神楽「でも五分遅れてたからな。」
そうなんですよ……時間を守らないのは嘘つきですよ、悪ですよ。
神楽「それはもっともだが殆どの奴が遅れてたからな。」
作者もその一人に……ううっ、気を取り直して本編へどうぞ。
春雪異変が起きてから数日して博麗神社では大規模な宴会が開かれた。博麗神社にある立派な桜が咲いていたり、長い冬の間に宴会が無かったり、ただ単に酒を飲んで騒ぎたかった者などで賑わいを見せていた。
「それにしても大変だったな。」
「んー、何が?」
「何がって異変がだよ。咲夜があの中何とかして倒してくれたから良いものの、あんなに苦戦を強いられるとは思わなかったぜ。」
「へぇ、魔理沙と霊夢と咲夜の三人で異変を解決したのね。」
魔理沙は酒の入った杯を口に近づけながらそう言った。隣で聞いていたアリスは意外そうに呟いた。
「まぁ、確かに大変だったけど……何だか妙に引っかかる事があるのよね。」
「引っかかる事?」
霊夢の出した言葉に彼女の背後から返答があった。
「うぉぉ!……何だ紫か。おどかすなよ。」
「何だとは失礼ね。それで霊夢、貴女が幽々子と戦ってて感じた引っかかる事って何かしら?」
紫は少し悪態をつきながらそう問いかけた。
「……何かトドメを刺す前の西行妖の様子がおかしかったの。」
「具体的には?」
「別にあの桜の木に何か攻撃をした訳じゃないのに急に弱り出したのよ。後は明確に威圧感が無くなってたりしてたし。」
「そう言えばあの亡霊はもう花は開くとか言ってたけど結局は花は咲かなかったしな。」
「そう考えると何かしら西行妖に働きかける奴がいて、前々から手を打っていたか絶大な力を持ってそれを行使したかのどちらかね。」
「前者はあっても後者は考えられない。紫は寝てたんだろ?そんな事出来る奴なんて幻想郷いないんじゃないのか?」
魔理沙は手を振りながら紫に笑いかけた。
「…………えぇ、そうかもしれないわね。」
紫は扇子で口元を隠すと小さく呟いた。
アリスはそんなうかない表情をした彼女の様子を見ながら酒を口にした。
「ふぅ……これでよし、と。」
私は長い冬もあけて、疎かになっていた物の分別を行い、部屋を整理した。今年の冬は家でする事は次第になくなってしまったので、たまに掃除をしていたが、大雪で外に出るのも億劫になり、ゴミを捨てに外へ出るのも嫌だった。それに無駄に要らなくなった物で幅をとるのも面倒なため、後回しにしていた。
そして冬があけた事によって彼を家へと招待する事がができるようになった。冬前に約束していた事を彼が忘れるはずが無い。もし忘れていたとしてもきっと約束は守ってくれる、長年過ごしていたから私には分かる。
その時に伝えようとずっと思っていた。
ずっとずっと抱いていた彼への思いを――――
そんな事を考えているとドアが轟音をたてて開いた。
「おーっすアリス!!今日も宴会に来ないか!?」
魔理沙は彼女の家の扉を勢いよく開くとズカズカと入ってきた。アリスはビクンと身を震わせた後に恐る恐る彼女方を向いた。アリスは来訪者が魔理沙だと気がつくと深くため息をついた。
「……いきなり何の用よ。」
「何って宴会に誘いに来たんだよ。」
「宴会?数日前もしたし、私は今日の宴会は遠慮しとくわ。少しやらなきゃいけない事があるから。」
「やらなきゃいけない事?それって部屋が何時もより綺麗なのと関係あるのか?」
「どうしてそれを!?」
魔理沙はそれを聞くとニヤリと口元を吊り上げ、一方のアリスはしまったというような顔をしてすぐに手で口元を抑えた。
「ははぁん……アリスも乙女って感じか。それでお相手は誰なんだよ。」
「ち、違っ!そんなんじゃないんだから!!」
「いいから教えろって、こう見えても私は口が堅いんだぜ?」
「う、うぅぅ……。」
「まぁ、何ならガセネタの新聞記者にでもたれ込んで来るかな。」
「ま、待って!!言うからそれだけは止めて!!」
観念したのかアリスは魔理沙の肩を掴んで懇願してきた。魔理沙はニヤリと笑って近くにあるソファへとどっかり座り込んだ。
「そんじゃあ聞かせてもらうぜ。」
「誰にも言うんじゃないわよ……。」
「分かってるって。」
アリスはそんな様子の彼女を見ると軽く鬱になったが少しずつ彼の話をし始めた。
「卵屋の妖怪……?何か変な奴を好きになったな。」
「変な奴を好きになって悪かったわね……」
アリスは渋々ながら話を続けていった。
「私があった時にはまだ卵屋を経営してなくて幻想郷にきたばっかりだと言ってたわね。」
「ふうん……それからそれから?」
「……数十年間この家で同居したわ。」
「ぶふぉ!!何だって!?」
魔理沙はアリスの言葉を聞いて吹き出してしまった。
「何よ……何か文句あるの?」
「い、いや……別に何も無ければいいんだけどさ。」
「魔理沙……私は数十年と彼と一緒に過ごしたけれど貴女が予想してた事は一度も起きなかった。確かにそれはいい事かもしれない。でも一度たりともそういう事が起きない、起きる気配が無いというのは女としてはかなり傷つくものよ……?」
「あー……そういう感じのか。」
アリスは自分で語っているうちに悲しくなったのか溜息をついて消沈してしまっていた。魔理沙は突然立ち上がってアリスにこう言い放った。
「じゃあ私がアリスの事をどう思ってるか聞いてきてやるぜ。」
「えっ?」
「自分からじゃ聞けないんだろ?だったら私が聞いてくるからさ。じゃ、いってくるぜ!!」
「ちょっと!余計な事しないでよ!!」
彼女が重い気持ちから抜け出した時はもう魔理沙は空高く飛び立ってしまっていた。
「それにしても男にめっきりと縁が無いと思ってたアリスがなぁ。」
私はトップスピードを減速しながらこんな事を思っていた。
アリスが好きになった男はどんな奴何だろう。もし強いなら弾幕ごっこしてみたいな。
様々な考えで胸を踊らせていた私は知らず知らずのうちに人里に降り立った。
「神楽さんお待たせしました!」
その頃人里では凄まじい勢いで降り立っていた女性がいた。
「……射命丸。少しは自重しろよな。」
「あややや……これはこれは失礼しました。では気を取り直してこれです!文々。新聞の最新刊です!!」
彼女は深々と頭を下げて反省の意を見せたのも束の間、彼へとある物を差し出した。
「了解。取り敢えず、代金はこれね。」
彼はそれを受け取ると店のカウンターからいくらか彼女にお金を渡すとすぐ様読み出した。
「どうでしょうか!?」
「……ふむ。成程。」
彼は全ての記事に目を通した後に四つ折りにして言った。
「六十五点だな。」
「あやややや!!?結構自身があったんですよ!?」
彼女はさらりと放たれた彼の言葉に思わず大声を出してしまった。
「まぁ、何時もよりは面白いけども。」
「ううっ……一体どこが駄目だったんでしょうか。」
「まず一つは異変について大々的に取り上げてるのにゴシップ記事はいらないだろうな。」
「で、でも!!そこには拘りがあるんですよ!」
「異変とその記事のせいで他の記事は印象に残りにくかったりしてるのは減点対象だ。異変との関連性で書かれた記事が面白い内容なのはいいんだが、それらでこの新聞の記事が出来てるようなものになっている。」
「…………。」
「かなり中身も凝ってて面白いが勿体無い。それなりに時間かけたんだろう……ただゴシップ記事がどうしても書きたかったら比率を変えた方がいいだろな。」
「……そこまで分かるんですか。」
「後は異変が起きてる時の人里の人々の話を聞いてみるとか。天狗達の色好みは知らないけども雪の中、能力も持たずに暮らす人の生の声ってのは人だけでなく様々な奴らの関心も惹けるだろうな。」
「勉強になります……」
彼女は彼の言葉を素早くメモを取り、彼の話に聞き入っていた。
「それでも会ってすぐの頃に比べれば読みやすさや内容の偏りは減ってるし、良くなってるとは思う。」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
「あぁ、詳しく話が聞きたかったら時間を指定してから来いよ。」
「あ、では明後日の昼頃にまた伺ってもよろしいですか?」
「明後日の昼……分かった。空けとく、あぁ、それじゃあ天魔にこれを渡しといてくれよ。」
「分かりました!それでは失礼します!」
彼女はそういうとびゅんと音を立て、雲を突き抜けていった。
「……神楽、さっきのは?」
「あ、鈴仙おかえり。まぁいつもと同じだね。」
常備薬を配り終わって帰ってきた彼女は彼らの様子を見てて溜息をついた。
アリス出るフラグ→魔理沙出るフラグ
次は誰へと繋がってるんでしょうねぇ。因みにですが異変の名前が分かんなかったので普通に題名をつける事にしました。三日おきの何とやらでもいいと思ったんですが異変名前と何か違うような、そうでないような気がしましてね……それではここまで読んでくれてありがとうございました。質問、アドバイス、批評……などなど常時お待ちしています!!