神楽「こんなにも作者の妄想に付き合って下さる方がいて少し驚きました。」
これからもどうぞよろしくお願いします。それでは本編へどうぞ。
サラサラという音が紅魔館の静寂さを際立てている中、いくつかの足音がその音の根元へとゆっくりではあったが確かに近づいていた。
時節聞こえる男女の会話に彼女達はそれぞれ、何かを考えているようだった。
「……ねぇ、咲夜。本当に美鈴は無事だと思う?」
「えぇ、彼の事です。異様に静かであるのは仕事に熱中しているからだと思われます。」
「そう、貴女は随分と彼を買っているのね。」
「逆にレミィが少し警戒心が強すぎると思うのだけど。」
「……何もないと分かっていても、あんな事が起きれば警戒もしたくなるわよ。」
レミィと呼ばれた少女は溜息をつきつつも、歩き続ける事を止めなかった。
「……彼が私達にやってくれた事はありがたい事であるからきちんとお礼は言わないといけないし、そのつもりよ………でもそれ以上に彼がフランにやった事を悪いけど私は許す事が出来ないの。」
彼女はギリリと僅かながらではあったが手を握る音を出した。
「だからと言って……いえ、だからこそというべきね。尻尾を巻いて逃げる訳にはいかない。 私はフランドール・スカーレットの姉としてではなく、紅魔館の当主として彼に会いに行く。」
そう言ってある扉の前で静止し、一呼吸をおいた。
「そうでないと貴女らしく無いわね。じゃあ私と咲夜はここで待つとするわ。」
「……一人でいくつもりですか?」
「大丈夫よ。彼女は誇り高きレミリア・スカーレットよ?例え何かあっても美鈴がいるから多分大した事は起こらないわ。」
「…………分かりました。どうか御武運を。」
「貴女の主を信じなさい。」
彼女は二人に笑みを投げ掛けながら目の前の扉に手を伸ばした。
何となく考え事をしているとキィィと音と共に、コツコツとして一人の足音が部屋の中へ響いてくるのに気がつきました。
「お、お嬢様!?」
見ると私の主であるお嬢様が入ってきたのでした。私はいきなりの事で少し取り乱してみましたが、奴は鉛筆を机に置き、お嬢様へと向き合うと深々と頭を下げた。
「お久しぶりです、レミリア・スカーレット様。本日は私を招いて下さって誠にありがとうございます。」
何も知らない者が見れば至極当然の事をしていると認識するだろう。しかし、私達にとってみればこの行為事態に深い戸惑いや、違和感を覚える。
お嬢様の口元が僅かながらに引きつってます。
「あらあら、随分と丁寧に対応してくれるのね。てっきり私の事を見下してるのかと思ったわ。」
そんな口を動かしてお嬢様は奴へ挑発とも取れる様な事を言いました。……心を少し乱しながらもそんな事を言うなんてよっぽど気に入らなかったんでしょう。
「いえいえ、滅相もありません。私は一介の客人、貴女はこの館の当主。どんな経緯があるにしてもそれは変わる事の無い真理ですよ。」
しかし奴は特にこれといって目立った反応も無く、唯々当然の事であるかのように何食わぬ態度を示した。
「あらそう……まぁいいわ。そういえば貴方に一つ御詫びをしておかないといけないわね。」
「御詫び…?」
「えぇ、私達は フランを初めとする色々な事で迷惑をかけた。それらについて謝らなくてはいけない。」
お嬢様は奴が困惑しているのも気にせず、先程の奴とった行動同様に深々と頭を下げ、謝辞を述べました。
「神楽……と言ったわよね。本当にごめんなさい。フランドール・スカーレットの姉としても紅魔館当主としても分別のかける行動を取ってしまった。許して…という様な都合の良い事は言わないわ。貴方が一体何を考えて、どんな事を思って行動してるかは私には分からない。でも私達は敵対しない………かなり時間がかかってしまうかもしれないけれど貴方と向き合っていくつもり。これだけは知っていてて欲しいの。」
「お、お嬢様………」
他の者に、まして得体の知れない奴に頭を下げてこんな事を言うなんて……私は驚きと戸惑いが溢れながらも自分の主の勇姿から目を離せないでいました。
「いえいえいえいえ頭を上げて下さい。私は特に何もしていませんよ。確かに少し手を貸す事はしましたが御二人方が何も包み隠さずに話し合って手に入れた物です。それは私による干渉した結果ではありません。自身を持って下さい。」
……なんで奴が狼狽えてるんですかね?相変わらず不思議な奴ですよ。うっかり礼儀正しい人間に見えてきてしまいますよ。お嬢様もその綺麗過ぎる敬語に違和感を思ったのか不意に顔を上げ、キョトンとした表情をしていました。
「……ねぇ、一ついいかしら?どうしてそこまで丁寧な言葉遣いなの?人間でもそこまでするなんて珍しいと思うのだけど。」
「……そうですね。これは出来れば秘密にして欲しいんですが。自分は元は人間だったみたいなんですよ。」
「後天性で妖怪になった?……いえ、それだけじゃない。貴方は人間でもあって妖怪でもあって……神でもあるのだからね。」
「か、神…ですか?」
「……誰からそれを?」
私はいきなりの事実に驚き、奴はお嬢様の発言に眉をひそめた。
「なんて事ないわ。唯、貴方の血液を飲む機会があっただけよ。」
「血液を飲む……僕は貴女に……自分は貴女様に血液を渡した覚えは無いのですが……。」
「そんなにかしこまらないで頂戴……何かそんな仰々しい敬語を使われ慣れないからか分からないけど案外気持ち悪いわ。」
「………。」
「分かりました。レミリア様……いえ、レミリアと呼ばせてもらいます。」
……お嬢様、それは私達から仰々しい敬語を使われてないと思われてしまうんじゃないですか?
「そうね、その位砕けた感じでいいわ。それで貴方の血液の話だけど咲夜から貰った物なんだけど覚えてない?」
「……成程、その時の血液か。でも血液飲んで種族が分かるんですね。」
「まぁね、私はかなりの量の血を飲んでるから。」
何の話で盛り上がってるんですか……
私はさっきの様子とは一変したお嬢様を見ながら少し気だるさを覚えました。
「どうやら上手く行ったみたいね。」
「そのようですね。」
二人は扉越しに彼女達の話を聞いて一息ついた。すると二人に安堵心からか何となく笑みが生まれた。
「これで一件落着かしら。」
「はい、これからも彼には仲良くして貰いたい物です。」
「ねぇ、二人共。ここで何をしているの?」
嬉しそうに笑う彼女達に声を掛けたのは一人の小さな女の子だった。
「フランッ!?どうして貴女がここに?」
「まだお眠りになっているのでは無かったんですか!?」
彼女らはその少女を見ると様子が一変し、 驚きのあまり呆然としてしまった。
「うん、ちょっと気分が悪くなっちゃって…二人は一体何してたの?」
「……別に何でも無いわ。」
「えぇ、妹様が気にされる事はありません。」
「えぇぇー、絶対何かあるでしょ!」
「何も無いって言ってるじゃないの。」
「じゃあ何でパチュリーはこんな所にいるの?」
「……ちょっとレミィに用事があっただけ。咲夜は私の付き添い。」
「ふうん……じゃあお姉様は一体何しているの?」
フランドールの無垢な質問に冷たい物が背筋を通る。貴女をコテンパンに負かした相手が扉を挟んだ先にいる、とは口が裂けても言えなかった。
「外が騒がしいわね…」
「外……?あぁ、確かに誰かの声が聞こえますが……咲夜さんですか?」
「えぇ、おそらくはそうよ。少し保険として部屋の外にいてもらってたんだけど、あとは一人でやれそうね。」
レミリアはこれ以上は心配無いと二人に伝えようと思い椅子から立ち上がって扉の方に近づいた。そして取っ手に手をかけて、扉を開いた。
「お姉様?」
「……ッ!」
しかし驚いた事に視界には三人の女性がいたのだった。
「お姉様どうしたの?一体誰と……」
フランドールは視線を手前から奥へと動かすと驚愕した。足は竦み肩は強張り口元はガクガクと震えていた。
「何で……い、嫌だ。」
彼女は掠れた声でただその言葉だけを発した。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
彼女は頭を押さえながらじたばたと体を振り回して泣き叫んだ。
「ちょ、ちょっとフラン!」
咲夜やレミリアが静止をしようと近づくが強い力で振り払われてしまっていた。
そこで部屋の奥で一人の男がフランに向けて手を伸ばした。すると一瞬手が光ったかと思うと彼女の声は途端に消え、膝から崩れ落ちていった。咲夜は彼女が床に頭を打ち付ける前に抱え込むと彼女がすうすうと気持ち良さそうな寝息をたてている事に気がついた。
「申し訳ないけどレミリア。僕はここで失礼させてもらうよ。設計図は粗方出来たから後は組み立てるだけ、完成したらまたここに……いや、咲夜さんに渡しておくから。」
「え…えぇ、分かったわ。満足におもてなしも出来なくてごめんなさい。」
「別に気にしなくていいよ。」
彼は設計図を丸めて紐で縛ると鞄に入れると手早く鞄を肩にかけ、直ぐにその場を去った。
「……さて、どうしたものかな。」
彼は離れていく紅色の館に一瞥して、これからの最良行く末を考えていった。
もう一話あった方が良かったかなぁ……見積もり甘くて泣きそうです。あと、機種変更してから落ち着いたのでそろそろツッタカターのURLを貼ろうかと思います。アナログ野郎なので時間がかかるかもしれませんが……そしてそして次は永夜抄です。ひっさびさにあの二人のお話かー、気を引き締めないと。
それでは最後まで読んで下さってありがとうございました!質問、感想、批評……などなど常時お待ちしています!