神楽「無駄にテンションだけあげやがって…」
しょうが無いね、もう勉強なんてやってられなくて卓袱台をひっくり返す勢いだから!
神楽「あっそ。」
それじゃあ本編へどうぞ!
「おはよう。」
「おはようございます。」
何気ない唯の朝の挨拶。しかし、声を掛けてきた上白沢慧音という者はある疑問を覚えた。
「そういえば鈴仙はどうしたんだ?何時もならこの時間帯にはもう来ているものだと思ったんだが。」
「鈴仙は今日から一週間程休むと言っていましたよ。何でも永遠亭で用事があるだか何だかと。」
「そうか、それではこれから暫く神楽だけが店にいるという事か?」
「えぇ、そうですね。」
彼女は納得した様子で顎に手を当てながら頭をコクコクと振った。
「あぁ、でも鈴仙から薬を多めに預かってますから永遠亭にわざわざ出向くという事は無いですよ。」
「分かった。それなら安心だな。」
彼女は気が利く彼に少し感心しながら話を聞いていた。
「神楽、一つ聞きたい事があるのだが……いいか?」
「えぇ、構いませんよ。」
「前々から思っていたのだが私には何故(さん)を付けて会話するのだ?」
「はぁ、特に深い意味は無いのですが……どうしたんですか?」
彼は彼女の突拍子も無い言葉に困りながら質問をし返した。
「特に深い意味は無い……か。別に私も特に深い意味は無いさ。唯、少し疑問に思っただけだ。」
彼女は何気なく視線を彼から空へと溜息を吐くかの様に呟いた。
「私より後に会った筈の妹紅や鈴仙には呼び捨てだが何時までも私には敬語で話すのだから少しばかり私という存在は神楽にとってどのような存在なのかと思ったんだがな……」
「僕にとっての貴女という存在ですか……まぁ、そもそも僕は貴女の下にいる存在なんで部下が上司に敬意を示すのは普通だと思いますけどね。」
彼は苦笑して彼女を見つめた。彼女は視線を空から彼へ戻すと失笑した。
「部下と上司か……それにしては私は上司が不甲斐ないと思うんだが。」
「僕は慧音さんをいい上司だと思っていますよ?」
「…世辞は寄せ。」
「お世辞に聞こえますか……別にいいんですけど。僕は色々な組織で色々な方達と話したり仕えたりした事がありますが慧音さんはどの指導者にも負けず劣らずの実力を持っていると思いますよ?」
「……何?」
「集落一帯を統治する者、事業を纏める者、都市の頭脳などと呼ばれて街の全てを牛耳っている人とかにも会った事などがありましたっけ、その人にはカリスマ性や突出した能力はありました。」
彼は目を瞑り、記憶の奥をゆっくりと辿る様にしていった。
「しかし、全て自分で物事をこなせるが故に一人で事を推し進めた為、他者との関係は疎遠になりました。そして出来ない事を見つければ、何とかして自分の物にしようとしました。」
能力者には短時間でそれが可能なのです。彼は羨ましそうに話を続けた。
「指導者という物がそういう物が無くてもいいと言う訳ではありません。但し、何かと競っている訳でも無く、外敵が攻めてくる事が無いのならそんな指導者よりも協調性があった方が部下と上司の関係は悪くなる事なく、長い事やっていけるでしょう。」
「……そう、なのか?」
「僕はそう思いますね。半妖である為、人々からそれなりに恐れられる存在でありながら人々から慕われ、引っ張っていく。自分と相手を相互に思いやれる…そんな方が数百年と統治していたら確かに人里は安泰だと思いますよ?」
「あ、あぁ。そう言ってくれると……何だか照れくさいな。」
彼女は目線を彼から外してポリポリと頬をかいた。
「自信を持って下さい。僕は貴女の事を信用してますから。」
「分かった。期待に添え続けれるように努力しようではないか。」
「はい。それでは僕は店の準備を始めるので失礼しますね。」
彼は軽く会釈をすると店の中の方へと入っていった。
「相も変わらず実に不思議な奴だな……」
彼女は彼に対して呆れて笑っているのか、何か嬉しい事でもあったのか知らないが頬を若干緩ませてその場を去って行った。
そうして彼は数日程、鈴仙がいない中で何時もと変わらない毎日を送っていた。朝は卵を取り、夜になるまで知人と度々談笑しながら卵や鶏肉を売り続け、夜になれば蝋燭を灯しながら書物を書き記したり読んだりする。当たり障りの無い様な毎日。少し違う事があるとしたら鈴仙や永琳にはめっきり会わないという事だけだった。
彼は全く彼女達を心配してはいなかった。逆にいないから清々していたという訳でも無かったが、彼女達の動向を気にする事は無かった。無理に関わるのは迷惑と思ったのか、厄介事に巻き込まれると思ったからなのかは知らないが何事も無く過ごしていた。
それはまるで嵐の前の静けさの様に……
数日後、彼は何時も通りに店を終えようと思うとある種の異変に気がついた。
それは何とも言えない気配を身に感じ、決して気持ちの良い物だという風に受け取る事が出来なかった。彼はその不思議な感触に思考を張り巡らせていると、彼の視界の奥の方からはっきりとはしないが人影が見えた。
「あれは……あぁ、慧音さんか。」
「ん?どうしたんだ。私の顔に何かついてるか?」
「いえいえ、久し振りにそのお姿を見たので一瞬誰だか分からなかっただけです。」
あぁ、そういう事か。と彼女は何時もとは違う色の髪の毛を揺らして、二本の角を生やした頭を掻いた。
「今日は満月みたいですが……色々な事が複合的に起こってますね。」
「そうだな。所でお前は今日、帰るのが少し遅いが……今の異変の一端に関与してたりはしないよな?」
彼女は彼に訝しげな視線を送った。
「通常常務とはいえ、そんな嫌疑を掛けられるのは少し心外ですよ。」
彼は彼女にそう言われると苦笑いをしながら手を横に降った。
「ハハハすまないな。これも仕事のうちなのだから、大目に見てくれ。」
彼女は軽快に笑い飛ばしたが彼は苦笑いを絶やさなかった。
「満月なのに月が満ちてない。何だか知らないけれども夜は深くならない。更にはこの人里の歴史が隠されている。僕の関係ない事この上ないですよ。」
「そう言うな。最後のは確かに私のせいだが、他二つは無関係だからな。」
「分かってますよ。慧音さんは里の危機を案じて能力を掛けたんですよね。お勤めご苦労様です。」
彼は彼女に敬礼をした。彼女は彼を見て再び笑い飛ばしていた。
「全く、久し振りに仕事かと思えば何が起きてどうなっているのやら……神楽、お前には何も問題無いと思うが異変の主犯には気をつけるのだぞ?」
「了解です。慧音さんも頑張っていって下さい。」
「あぁ、それじゃあまたな。」
彼女はそう言って手を振ると彼から遠ざかり、暫くすると彼の視界から外れた。彼は彼女が視界からいなくなると閉店の準備をし始めた。彼は面倒な事が起こって巻き込まれるのはとても嫌な物だと感じていたので早急に片付けを終わらせ、石扉に手を掛けた。
「ん……待てよ。」
彼は力を一気に抜き、扉に手を掛ける形で静止した。
「…………異変で今は紫とか、永琳が忙しいんだよな。そう考えると誰にも見られないであそこに行くのは今しか無いのかもな……」
そう呟いたかと思うと彼は半分程閉めた扉を開放し、再び店の中に入って作業を始めた。
私が結局の所、皆の足を引っ張るなんて思っていませんでした。
過去の精算が来るとは思っていましたがこんな形で、しかもこんなにも唐突にやってくるなんて思っていませんでした。
でも、全く思っていなかった訳じゃ無かったんです。もしかしたらいつかこんな日が来るかもしれないって思っていたんです。
けれど、皆の優しさに触れてしまったら手放す事が出来なくて…………
「私は一体どうすればよかったのよっ……」
満ちる事の無いあの月が私の未来を暗示してる様で私は嫌になってきました。
永夜抄は後、三話は最低でも使います。皆さんは輝夜と妹紅の掛け合いを期待してるかもしれませんがこの小説はそんなのついでに過ぎません!そもそもあるかも分かりません!宣言しておきます!
神楽「ネタバレ乙。」
テンプレは防いで新たなる境地を!それでは最後まで読んで下さってありがとうございました。質問、感想、批評…等々等々!気軽にドシドシおねがいします!
神楽「まぁ、何か知らないけど感想が欲しくて狂喜乱舞してるだけなんで気にしないで下さい。そして次回も良ければ読みに来て下さい。」