東方四季物語   作:KO鬼塚

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今回は、紅魔館前までとなります。
僕の中ではヒロインも決まりましたので、近いうちに簡単な人物紹介でも入れようかと思っています。
まぁ、近いうちと言っても紅霧異変が終わってからなんですがね…
それでは、本編をどうぞ。


第三夜~妖怪の森の向こうへ~

「こいつは驚いたな…」

 

そう呟いた四季は現在、妖怪の森の中を走っていた。

 

 

遡ること数十分前…幻想郷を覆う、紅い霧を生み出している犯人を見つけるために四季を置いて霊夢と魔理沙は『異変解決』のために飛び出して行った。

掃除ばかりの毎日に飽き飽きしていた四季は、二人が飛んでいった後すぐに走って追いかけ始めた。

 

そして今に至る。

 

 

「身体能力向上ってのは本当だったんだな」

 

そう言った四季は、自分が幻想郷で目覚める前に見ていた夢の中で出会った女の子の言葉を思い出していた。

 

――――――――――――――――――――――

 

『今の貴方なら制御できる。

その証拠に今の貴方は、人間以上の身体能力を有し『鬼の血』による『反転衝動』の痛みも感じていないはずよ?』

 

――――――――――――――――――――――

 

「………」

 

『鬼の血』を支配した四季の身体能力は人間を遥かに凌駕し、走る速度も霊夢たちの最高飛行速度と大差ないほどだった。

 

「今度会ったら感謝ぐらいはしてやるさ」

 

そう言った四季は少し顔に笑みを浮かべ、自分の身体の調子を確めるように、木々の間をジグザグに走ったり、木の上までジャンプしたりした。

 

(これなら霊夢達にも追い付くかもしれないな)

 

そんなことを考えて、更に走る速度を上げようとした時…

 

「きゃあぁぁぁぁッ‼」

 

何処からか叫び声が聞こえた。

 

「!?」

 

四季は驚き、走るのを一旦やめて立ち止まり、声の聞こえた方へ視線を向けた。

 

(さっきの叫び声はなんだ…?

………………………。

いや…俺には関係ないか

それよりさっさと霊夢達に追い付かないとな)

 

そう考えた四季は視線を戻し再び走ろうとするが…

 

――――――――――――――――――――――

 

『だから…皆を助けてあげて?四季』

 

――――――――――――――――――――――

 

夢の中の女の子が別れる前に最後に言った言葉をふと思い出した。

 

(……………)

 

四季は、叫び声が聞こえた方に再び視線を戻し…

 

「…どうもこっちに来てから…らしくないな…」

 

走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

黄色い髪に赤いリボンを付けた少女…宵闇の妖怪ルーミアは森の中を必死に逃げていた。

 

「グオォォォォォッ‼」

 

その後ろから体長2メートルはある赤い目をしたオークがルーミアを追いかけていた。

 

「なんで…はぁ…追いかけて…はぁ…来るの~」

 

そう逃げながら呟いたルーミアは数分前のことを思い出していた。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「お腹すいた~…」

 

最近、食べ物にありつけていないルーミアは飛ぶ力も出せなくなり、歩いて食べ物を探していた。

そんな中、ふと空を見上げると博麗神社の巫女である霊夢と、その友人の魔理沙が何やら言い合いをしながら何処かへ飛んでいくのが見えた。

 

(どこ行くんだろ~?)

 

そう思いながら霊夢達を見送ったルーミアは再び、食べ物を探し始めた。

キョロキョロと辺りを見回しながら歩いていたルーミアは、森の中で倒れているオークを発見し、不思議に思い近付いてみた。

 

「どーしてこんなところで寝ているの~」

 

そう聞いても起きる様子のないオークにルーミアは…

 

「起きないなら食べちゃうよ~」

 

そう言い更にオークに近付いた。

その時…

 

ビクッ‼ビクッ‼ビクッ‼

 

オークの身体が痙攣し始めたのだ。

 

「うわ!」

 

驚いたルーミアは尻餅をついてしまった。

 

「痛いな~…起きてるならそう言ってよ…」

 

そう言ったルーミアは尻餅をついた痛みに涙目になりながらも、オークの方に視線を戻していく…

 

「!?」

 

するとそこには…

先ほどまで倒れていたオークが赤い目をルーミアに向けて立っているではないか。

 

「な…なんかようなの~?」

 

ルーミアは立ち上がりながらオークにそう質問した。

するとオークは…

 

「グオォォォォォッ‼」

 

ボコッ‼

 

「いあッ‼」

 

いきなりルーミアの腹を蹴飛ばした。

 

「ぐあッ‼」

 

後ろにあった木まで蹴飛ばされたルーミアは、痛みに堪えオークの方を見た…。

 

ドスンッ‼ドスンッ‼

 

すると、不気味な足音をたて、オークはルーミアに向かって少しずつ近づいてきていた。

 

「き…きゃあぁぁぁぁッ‼」

 

ルーミアはオークが近付いてくることに恐怖を覚え、叫び声をあげて逃げた。

 

そして、今に至る。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

ルーミアは不用意にオークに近付いたことに後悔していた。

 

「ぐっ…」

 

必死に走っていたルーミアだったが、オークに蹴られたお腹の痛みが再び襲ってきたため、身体のバランスを崩し…

 

「きゃあッ‼」

 

ドスンッ‼

 

転けてしまった。

 

「痛いよ~…」

 

そう言ってルーミアは、オークとの距離を見るため後ろを振り返った…

しかしそこには、いつの間にかルーミアに追い付いていたオークの姿があった…。

 

「いや…やめてよ…」

 

ルーミアは急いで立って逃げようとするのだが、空腹と蹴られたダメージで上手く身体を動かせずにいた。

 

(に…逃げなきゃ…)

 

よく、見ると赤い目のオークの爪は、普段の彼らと違い鋭い刃物のように延びていた…

 

(早く…逃げなきゃ…私…殺されちゃう…)

 

その爪を見た瞬間、ルーミアの瞳からは、死に対する恐怖で涙が溢れてきた。

そんなルーミアを見下すようにオークは赤い目でルーミアを睨み…一歩…また一歩と近づいていた。

 

「あ…あぁ…来ないで…来ないでよ…」

 

必死にオークに懇願するルーミアだったが…

オークはそんな言葉すら耳を貸さないのか、非情にも、その鋭利な爪を突き刺そうと右腕を掲げた。

その行動にルーミアは反射的に眼を瞑り…

自分に襲いかかるであろう痛みを待った…。

そして…

 

グシャッ!

 

そんな音が静かな森に響いた。

草木を赤く染め上げる鮮血が飛び散り、辺りを血の臭いが充満していく。

オークの腕や顔も返り血を浴び…元々醜悪な顔がさらに不気味さをますほどとなっていた…。

 

しかし…

 

ルーミアは、いつまで待っても痛みが訪れることがないことを不思議に思い…うっすらと眼を開けた…

そしてルーミアは驚愕した、なぜなら目の前には、自分の代わりにオークの爪によって腕を貫かれた白髪の男が立っていたからだ…。

 

「な…なんで…?」

 

こんな所に人がいる驚きと、自分の盾になるように割り込んでいた男の行動にルーミアはさまざまな疑問を浮かべ無意識にそんな言葉を口にだしていた…。

しかし、ルーミアの呟きは…

 

「痛ってぇな!このクソ野郎が‼」

 

痛みに叫ぶ白髪の青年…四季によってかき消された。

 

「さっさとこの汚い手を退けやがれ!」

 

そう言った四季は、爪が刺さったままの左腕を上げ、そのままオークの懐に素早く入ると…

 

「オラァ‼」

 

ドンッ!

 

「グオッ‼」

 

オークの腹に蹴りをいれた。

身体能力が向上している四季の蹴りは軽く木を折ることが出来るほどの威力があり、そんな一撃を直接受けたオークは、後ろの大木まで吹っ飛ばされてしまった。

その際に四季の左腕に刺さっていたオークの爪が引き抜かれた。

 

「おー…意外と飛んだな」

 

蹴飛ばした本人は間の抜けた感想を呟きながら、後ろを振り返った。

 

「おい?」

 

四季は倒れている少女にぶっきらぼうに声をかけた。

 

ビクッ‼

 

いきなり声をかけられたルーミアは驚いて、反射的に身体を起こした。

そんなルーミアの行動を気にすることなく、四季は…

 

「お前… アイツに襲われていたのか?」

 

吹き飛んで、今だにぐったりしているオークに向けて指をさしながら聞いた。

 

コクッ…

 

ルーミアは無言で頷き肯定した。

 

「そうか…」

 

そう呟いた四季の瞳には強い光が宿っていた…

そして、再びルーミアから背を向けた四季は…

左腕から流れ出る血を気にすることなく、オークの所まで歩いていった…

 

 

 

 

 

 

あの人間は何者なのか…

先ほど自らが蹴り飛ばしたオークに向かって歩いていく男の背中に眼を向けながら、ルーミアはそんな事を考えていた。

オークの爪が迫ってくる刹那、ルーミアは眼を閉じ、自分の死を覚悟した…

それは、そうだろう。オークがルーミアの心臓に突くのに3秒もかからない…

助からないと思うのも無理はなかった…

しかし、そんな絶望を感じさせる僅かな時間の間にルーミアとオークの間には人間が割り込みルーミアを守ったのだ…

只の人間がいつのまに…

いやそれ以前に、なぜこんな妖怪の森の奥に人が居るのか…

わからないことばかりがルーミアの頭の中を渦巻いていた。

 

無意識に、ルーミアは男の左腕…オークの爪が貫いた腕に視線を向けた…

腕にはオークの5本の爪のうち、3本の爪が男の腕を貫き、5センチほどの穴が3つ空いていた…

さらには、その穴を挟むように、残り2本の爪が刺さらず肌に当たり、切り傷となっていた。

腕からは止まることなく血が流れ続け…彼の腕は真っ赤に染まっていた…

誰がどう見ても重症だ…

 

だが、そんなことを気にする様子もなく男はオークに向かって歩いていく…

そんな不思議な男にルーミアは微かな興味が湧いていた。

 

 

 

 

 

 

「おい…」

 

四季はオークの所まで近付いて声をかけた。

 

「お前はなんで、あのガキを襲ったんだ?」

 

そう言って四季はオークを睨み付けた。

 

「グオォ…」

 

四季が近付いてきた事がわかるとオークは、よろよろと立ち上がり…

 

ブンッ‼

 

四季目掛けて右腕を降り下ろ…

 

グシュッ‼

 

すことはできなかった…

 

「グオォォォォォッ‼」

 

そう叫び、右腕を抑え始めるオーク。

 

「早く答えろよ、針ネズミになっちまうぞ?」

 

そう言った四季は、先ほどと変わらぬ様子で佇んでいた。

 

「グア…グゥガガガ…」

 

オークは鋭い痛みを感じた右腕に目線を向けた…

すると…

 

「ガッ!?」

 

右腕を赤い杭の様なものが貫いていた。

オークの固い皮膚を突き破り、肉を抉り骨を砕いた、その物体は四季の返り血を浴びた所から現れていた…

 

 

 

 

『不死』…

四季の混血としての能力の1つ。

『不死』と言っても心臓を潰されれば死ぬし、頭をぶち抜かれても死ぬ…ただ死ににくい身体という不完全な『不死』なのだ。

それに吸血鬼などの『不死』とは違い、身体が損傷しても自動的に再生や回復することはない…。

四季の場合は、損傷し、紛失した部分が無くても生きていけるように、身体を作り替える『拒死性肉体』と呼ばれるものだ。

だが、四季のこの能力の最大の特徴は別にある。

それは、『自分の肉体を自由に動かせる』という性質。

四季は、この性質を応用し、自らの血を硬質化・変形させることができる。

ちなみに、オークの右腕から生えた赤い杭の様なものの正体は、四季が自らの血を硬質化して作った『血刀』と呼ばれる(名付けたのは四季自身だが…)ものである。

 

そんなことを、オークが知るはずもなく…

 

 

 

 

「グワァァァァァッ‼」

 

ただ今の現状に困惑し、治まらぬ痛みに叫び声を上げるだけだった…。

 

(上手くいったな…)

 

そんなオークをよそに四季は自らの能力(ただしくは、血の硬質化・変形の能力)が無事発現したことに安堵していた。

それはそうだろう。四季は自分の中に眠る力を『鬼の血』のお陰で、本能的に理解しているだけで実際に使ったことはなかったのだから。

 

「叫んでばかりいないで、質問に答えろよ!」

 

そう強めにオークに向けて言う四季。

 

「ウガ…ウグァァァァァッ!」

 

それでも、壊れたラジオのように叫び続けるオークに、呆れた四季は…

 

「もう…聞かねぇよ」

 

そう呟き…

 

ズボッ‼

 

オークの爪でボロボロにされた血塗れの左腕を能力で『血刀』に替えた四季は…

オークの心臓を突き刺した。

 

「…グ…」

 

叫び声も止まり次第に眼から光が抜けていくオークに…

 

「恨むなら、あのガキを襲った自分を恨むんだな」

 

四季はそう言うと…

 

ズボッ!

 

刺していた腕を引き抜いた。

そして…

 

「あと、ついでにお前の…

少しばかり『貰っていくぞ』」

 

そう言い残しオークから離れて、襲われていた女の子の元に向かった。

 

 

 

 

 

 

ルーミアは、今起きていた出来事を一部始終見て、驚愕した。

オークの前で立ち止まった男は、何やら質問を(遠くて何を喋っているのかわからなかったが)していたようだ。

しかし、オークは立ち上がるや否や、男に対して、腕を振り上げ叩き潰そうとした。

その行動にルーミアは…

 

(駄目…殺されちゃう!)

 

と男に対して感じていた。

だが、そのオークの腕は男を潰すことはなく、何やら叫び声を上げて自らの右腕を抑え始めた。

ルーミアはオークのいきなりの行為に疑問を抱き、抑えている腕に視線を向けると…

 

(なんなの…あれは?)

 

何やら赤い杭の様なものが腕を貫き刺さっていた。

 

(あの人がしたの?)

 

そう思い男に視線を向けた。

だが、男はオークに近付いた時と何らかわりない体勢で立っていた。

 

(違うのかな…でも、何が起きたの?)

 

一歩も動いてない男がオークに対して何かしたとは思えず、ルーミアは混乱していた。

実は四季が自らの能力である『不死』の応用術を使って攻撃したのだが、そんなことを知らないルーミアが混乱するのも無理はない。

そんなことを思っている間にも、男は叫び続けるオークに何やら喋りかけていた…

だが、次の瞬間…

 

ズボッ‼

 

離れて見ていたルーミアにも聞こえてくるほどの肉を切り裂く音を響かせ、男はボロボロの腕でオークにとどめをさしていた…

 

ズボッ!

 

腕を引き抜いた男は、ボソボソと何か呟いた後にこちらに向かって歩いてくる。

その顔は、とても命のやり取りをしていた者とは思えぬほど無表情であり、引き抜かれた左腕からはオークの血が滴り、見るものに不気味な印象を与えた。

そんな男に対してルーミアは先ほどまであった微かな興味がなくなり…恐怖を感じていた。

そんな中、ルーミアは気が付いた…重症だと思っていた彼の左腕の傷が…

なぜかなくなっていたことに…

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

ルーミアの元まで戻った四季は声をかけた。

 

ビクッ‼

 

「な~に~?」

 

緩い口調を発しながら少しばかり身構えるルーミア。

 

「大丈夫か?」

 

そんな四季の一言に…

 

「へ…?」

 

間抜けな返事をするルーミア。

 

「?襲われてたんだろ…

だから、怪我とかしてないか聞いてんだよ」

 

そう言われた瞬間、ルーミアは…

 

(…さっき私を助けてくれたし…見た目は怖いけど…良い人間なのかも…)

 

と思い、四季に対して…

 

「うん!大丈夫なの~!ありがとう~」

 

笑顔で答えた。

 

「そうか…なら、いいが

俺はもう行くから、お前もはやく…」

 

霊夢達を追っていた四季は女の子の怪我の有無を確認すると、別れの言葉を言い早々に立ち去ろうとするのだが…

 

ぐ~~…

 

そんな音が静かな森に響いた…

その間抜けな音に、四季は喋っていた口を途中で止めて、音の発生源であるルーミアに眼を向けた。

 

「えへへ…」

 

恥ずかしそうな顔をして言うルーミアだったが…

 

「お腹すいたのだ~…

ねぇ?貴方は食べてもいい人間?」

 

次に彼女から出た言葉は人間には考えられないような質問だった…

それに対して四季は…

 

「俺を食べても不味いだけだぞ」

 

と、こちらもどこかズレた返答をし…

さらには…

 

(最近のガキはなんでも食うんだな)

 

なんて常識外れなことを思っていた。

 

「え~…でもお腹すいて動けないのだ~」

 

そう言って、いつまでたっても立ち上がろうとしないルーミア…

そんな様子を見かねた四季は霊夢達を追いかけるのを一旦やめて、仕方ないという風に周りを見渡し始めた…

 

「…お!」

 

すると少し離れた場所にリンゴの木があるのを見つけた。

 

「ちょっと待ってろ」

 

そう短く言い残し四季はリンゴの木まで走り、素早く2つもぎ取るとルーミアの所まで戻った。

 

「ほらよ」

 

ポイッ

 

そう言ってルーミアにリンゴを1つ投げて渡す。

 

「あわわ!」

 

いきなり投げられたリンゴに驚き慌てて両手でキャッチしたルーミアは…

 

「…食べていいの?」

 

と聞いた。

 

「あぁ、拾い物だけどな」

 

そう言って自分の分のリンゴを一口かじる四季。

その行動につられルーミアもリンゴを食べ始めた。

 

「美味しいのだ~♪」

 

数日ぶりに食べ物を口にしたルーミアは、そのリンゴの美味しさに笑顔を浮かべていた。

四季は、そんなルーミアを微笑ましく思い…

 

(そういやアイツとも、こうやってよくリンゴを食べてたな)

 

少年時代のことを思い出し自然と笑みを浮かべていた。

そんな様子が眼に入ったルーミアは、

 

「どうしたの~?嬉しそうな顔して~?」

 

っとリンゴを食べながら聞いてきた。

 

「ん?いや、なんでもない」

 

自然と笑みを浮かべていたことに気が付いた四季は恥ずかしく思い、ぶっきらぼうに返答した。

そんな四季の言葉にルーミアは、

 

「ふ~ん」

 

っと素っ気なく返した。

 

ムシャムシャッ…ゴクリ!

 

リンゴを食べ終えたルーミアは、まだリンゴをかじっている四季に顔を向け…

 

「貴方の名前は、な~に?」

 

と先ほどから気になっていたことを聞いた。

 

「四季だ。

春夏秋冬の四季」

 

そう答え…

 

「お前の名前は?」

 

逆に聞き返した。

 

「私はルーミア、妖怪なのだ~!」

 

四季を驚かそうとしているのか、両手を広げて、そう言った。

その行動に四季は苦笑しつつも…

ルーミアみたいな小さな子供がなぜこんな危険なところにいる(四季にも言えたことではないが)のか訳がわかり、さらには先ほどルーミアが言った「貴方は食べてもいい人間?」の意味を理解した。

 

「ルーミアか…

ルーミアは、なんであの辺な奴に襲われてたんだ」

 

自己紹介も終わり、四季は先ほどオークから聞けなかったルーミアが襲われる理由が何か聞いた。

 

「わからないの…」

 

そう言って怯えたように自分の身体を抱き締めるルーミア。

 

「わからない?」

 

「そーなの。

オークが森の中で寝てたから、気になって近付いたんだけど…

いきなり起きて襲ってきたの…」

 

そう言ったルーミアは今にも泣き出しそうな顔をした…

 

(ルーミアの様子だと、嘘はないようだが…

起きて、いきなり襲うのもおかしな話だよな)

 

そんなルーミアをよそに、四季は自分の中で話を整理していた。

 

(まぁ…もしかしたら、単純に腹が減ってルーミアを食おうとしたのかもな)

 

考えてもわからない結果に四季は先ほどの話を頭の片隅においた。

 

「四季はなんで、私を助けてくれたの~…」

 

ルーミアは四季が黙ってしまったことを不思議に思いながら…

自分を助けてくれた理由を聞いた。

あんな状況の中、見ず知らずの自分を助けた四季の行動に興味があったからだ。

 

「…約束…したからな」

 

「約束?」

 

「あぁ」

 

そう呟いて四季はリンゴを再び食べ始めた。

それ以上は話してくれそうにない四季にルーミアは…

 

「ふ~ん…そーなのかー…」

 

どこか納得できない様子だった。

しばらくはリンゴを食べる四季を見ていたルーミアだったが、次第に視線は四季の血塗れの左腕に向いた…

 

(やっぱり傷がない…あんなひどかったのに…)

 

オークの爪が貫き重症だった腕の傷が、塞がっていることを疑問に思い、そのことについて質問しようかとルーミアが口を開こうとした時…

 

「さて…と」

 

リンゴを食べ終えた四季は、遅れを取り戻すべく、霊夢達の追跡を再開しようと身体をほぐし始めた。

そんな四季の行動にルーミアは傷のことを聞くのをやめて、代わりに…

 

「?どこか行くの~」

 

と聞いた。

 

「あぁ、霊夢と魔理沙を追いかけないといけないからな」

 

「霊夢と魔理沙?」

 

「おう!

そうだ、ルーミアは二人を見てないか?」

 

そう聞いてきた四季に…

 

「二人なら、確か…

あっちの方に向かって飛んで行ったのだ~」

 

ルーミアはオークに襲われる前に見た霊夢達の姿を思いだし、向かった方向を指さしながら答えた。

 

「あっちか…

助かった、ありがとなルーミア」

 

そうお礼を述べた四季に、ルーミアは

 

「私の方が助かったのだ~

だから感謝するのは私の方なの~」

 

と照れながら返した。

そんなルーミアに四季は苦笑しつつ頷き、走りだそうと構えたのだが…

 

「あ…」

 

何か思い出したかのように四季は呟き、ルーミアの方を見て…

 

「ルーミア、人を襲ったり食べたりすんなよ?

それじゃ、バケモノと同じだからな」

 

そう注意した。

そんな言葉にルーミアは少し悩むように考えたあと…

 

「うん!わかった~

人間を食べたりはしないのだ」

 

それに続けて…

 

「その代わりに、また来てくれる?」

 

と何処か寂しげな声で言った。

それに対して四季は…

 

「気が向いたらな」

 

ニヤッと笑いながら言った。

 

その言葉を聞いたルーミアは…

 

「ホント!?わ~い!

約束だからね~」

 

嬉しそうに笑った。

 

そんなルーミアの笑顔につられて四季も、

 

「あぁ、約束だ!」

 

そう笑顔で返した。

そして、四季は、その場から走り始めた。

 

 

 

 

 

 

四季が行ったあとルーミアは、少し戻った力で宙に浮きながら、四季との約束を思い出していた。

 

「約束…」

 

ルーミアは嬉しそうに、そう呟き…

 

「いつ頃来てくれるかな~♪」

 

再び、食べ物を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、どうも俺はおかしいらしい」

 

四季は先ほどまでのルーミアとの会話を思い出し、1人苦笑いを浮かべていた。

別に四季がおかしいのは今に始まったことではないのだが。

 

「…また来てやるかな」

 

そう口にして、四季は森の中を駆けていた。

 

 

 

 

 

 

ルーミアと別れて数分後…

四季は紅い霧とは別に、普通の霧に覆われた大きな湖に着いた。

 

「へー…こんな所に湖があるなんてなぁ…

泳いで渡るにも向こう岸が霧で見えない以上危険だな…

仕方ない、時間は少しかかるが…」

 

四季が湖の向こう岸へ行く算段をたてていると…

 

「チルノちゃーん!居ないのー?」

 

何処からか声が聞こえた。

 

「あ?」

 

こんな場所で声が聞こえてきたことに驚きながらも、四季は声の主を探すため周りを見回した。

すると、霧で少し見えにくいが、人の姿をした何かがキョロキョロしながら空を飛んでいるのが見えた。

その様子を見ていた四季に気づいたのか、人型の何かが近付いてきた。

 

「あの~、すいません」

 

そう言いながら降りてくるモノに眼を向けると…

そこには、緑色の髪をサイドテールにとめ、背中から不思議な形の羽を生やした女の子がいた。

 

「えと…ここら辺で水色の髪に水色の服を着た女の子を見かけませんでし…た…か?」

 

女の子は降りてきて、すぐに質問をしてきたのだが…

四季の姿を見たとたん、顔が真っ青になり、ガタガタと震え始めた…

そんな女の子の様子を不思議に思った四季は、声をかけようと近付いた…

だが…

 

「キャアァァァァァッ‼」

 

突然叫ばれた。

四季は女の子が、いきなり悲鳴をあげたことに驚き困惑した…

しかし、女の子が叫ぶのも無理はない。

なぜなら、四季の左腕は先ほどのオークとの一戦で血塗れのままで、お気に入りの青い着物にもオークの返り血が所々付着しているのだから…

はたから見たら明らかに、危ない人だと勘違いされる…

 

「と…取りあえず落ち着け!」

 

そんな自分の姿に気付いてない(または、気にしてない)四季は女の子を落ち着かせるために声をかけるが…

 

「あわわ…いや…来ないで…はっ!

まさか…チルノちゃんは…この人に…殺され…」

 

そこまで言った女の子は、友人のチルノが目の前の男に殺されるシーンを想像し今にも泣き出しそうな顔になった。

 

「まっ 待て!

何を勘違いしてるか知らないが、俺はチルノ?だかなんだか知らないが、そんな奴見てもないし、ましてや殺してなんかないぞ‼」

 

その弁解はまったく持って正しいのだが、血塗れの腕に血の斑点を付けた服を着た男の話を信じるものなど、この世に居ようはずが…

 

「え…?そうなんですか?」

 

居たようです。

四季は女の子が先ほどより落ち着いたのを確認すると…

 

「あぁ、本当だ

お前がなんで叫びはじめて俺を疑ったのか知らないが、俺はチルノって奴は知らない」

 

そう言った。

 

「でも…じゃあ、なんで貴方の腕と服には血が付いてるんですか?」

 

女の子は四季の血塗れの姿を指さしながら指摘した。

そう言われて四季は初めて…

 

(あー…確かにこれじゃあ叫ばれても文句言えねぇな…)

 

自分の異様な格好に気付くのであった。-

 

「説明してやってもいいが長くなるぞ?

…それに、お前…チルノって奴探してたんじゃないのか?」

 

四季は先ほどの事を話してもいいと思ったが、この女の子が自分の話を信じるとは限らないため上手く誤魔化すことにしたのだ。

 

「あ!そうだったチルノちゃんに用事があるんだった!」

 

(忘れてたのかよ…)

 

四季は女の子の言葉に内心呆れ…

 

「なら早く行けよ

俺も霊夢達を追いかけなきゃいけないからな」

 

これ以上下手に質問される前に、早く探しに行くよう促した。

すると女の子は「霊夢」という言葉に反応し…

 

「霊夢さん?霊夢さんならさっき見たような…

どうかなされたんですか?」

 

そう言ってきた。

 

「ホントか?」

 

「え…はい、何故か急いでたみたいだったんで声は掛けられなかったんですけど…」

 

「霊夢達が何処行ったかわからないか?」

 

思わぬ女の子の言葉に四季は質問を続けた。

 

「んー…たぶん紅魔館に行ったんだと思います

あっちの方には紅魔館ぐらいしかないですし…」

 

そう言って霊夢達の飛んでった方を指差す女の子。

 

「紅魔館?」

 

「はい、紅い大きな屋敷なんですけど、そこには吸血鬼が数人の召し使いと暮らしてるらしいですよ」

 

「吸血鬼…」

 

四季は、女の子の説明に出てきた『吸血鬼』という単語に、かつて自分の身体を奪った奴のことを思い浮かべた…

 

「?大丈夫ですか」

 

いきなり黙りこんだ四季を心配するかのように女の子は聞いた。

 

「…!いや、大丈夫だ

気にしなくていい」

 

「そうですか?」

 

「あぁ、それより教えてくれて助かった」

 

「あ…いえいえ!」

 

「じゃあな、俺はもう行く」

 

お礼を言ったあと四季は直ぐ様、教えてもらった方向に走りだした…。

そして…

 

「行っちゃった…」

 

四季のあまりの早さに唖然とする女の子であった。

 

 

 

 

 

四季と別れた後、女の子もとい大妖精は、友人のチルノを再び探していた。

 

「ん~…チルノちゃん何処いったんだろ?

…ん?」

 

大妖精が、キョロキョロと周りを見回していたら…

 

「大変!

チルノちゃんが倒れてる!」

 

ボロボロの姿で倒れているチルノを発見した。

直ぐ様チルノの元に近寄った大妖精は…

 

「チルノちゃん大丈夫?」

 

意識の有無を確認するため声をかけた…

 

「チルノちゃん!起きてよ!」

 

「………」

 

チルノの怪我はひどく、まるで、ぼろ雑巾のようだった…

 

「ひどい怪我…いったい誰が…!」

 

そこまで言って大妖精はある人物を思い浮かべた。

 

「まさか…さっきの人じゃ…」

 

それは、先ほどまで話していた白髪の青年の姿だった…

 

「やっぱりさっき…ちゃんと問い詰めておけば…」

 

そう呟いた大妖精の瞳には、後悔のためか涙が溢れていた…

そのとき…

 

「ん…う…」

 

「!」

 

チルノが意識を取り戻した。

 

「ち…チルノちゃん!大丈夫!?

一体誰がこんなひどいことを…?」

 

そうチルノに問いかける大妖精…

 

「こう…」

 

「こう?」

 

大妖精の質問に答えるため…

少しずつ口を動かすチルノ…

 

「紅白の…脇…み…こ…」

 

ガクッ‼

 

それだけ言うとチルノはまた気絶した。

 

「チルノちゃーん!!」

 

そんな大妖精の声だけが湖に響いた。

 

 

 

 

 

「あれか?」

 

湖で出会った女の子(大妖精)と別れて数十分後…

四季は紅魔館が見える位置まで来て立ち止まっていた…

(ちなみに、湖で腕の血は洗い流した)

 

「ここに霊夢達がいるはずなんだよな」

 

そう呟いた四季はニヤリと笑みを浮かべ…

 

「さて…吸血鬼退治と行きますか」

 

紅魔館へと走りだした。




いかがでしたでしょうか?
妖怪の森にオーク?なんて思った方もいると思いますが、すみません、居る設定にしていてください(懇願)
これからのため鬼とかをまだ出すわけにはいかなかったので仕方なくなんです(泣)
しかし…戦闘入れるとか言っておきながら、あっさりし過ぎですかね…
まぁ、仕方ないです、所詮は雑魚戦なので。
色々突っ込みどころの多い話ですが、これからもよければよろしくお願いします。
閲覧ありがとうございました。
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