東方四季物語   作:KO鬼塚

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今回はvs紅美鈴戦です。
漫画版月姫(佐々木少年氏が描かれたもの)を久方ぶりに読んだのですが、やはり少年時代(ロアが四季に入る前)の四季は格好いいし優しいですね。
やはり僕は志貴より四季派です。
それはそれより、本編をどうぞ。


第四夜~紅の館の居眠り門番~

「ふぅ…やっと着いたな」

 

そう呟いた四季は紅魔館前まで来ていた。

 

「しかし、近くでみると余計にデカイ館だな…

遠野の屋敷と同じくらいか…いや、こっちの方が少しデカイか?」

 

もとの世界で、帰ることの出来なかった本当の家と目の前にたたずむ紅い館を比べながら四季は門に近付く。

そして、門を開けようと手を伸ばした所で…

 

「当館になんの御用ですか?」

 

横から呼び止められた。

 

「あ?眼を閉じて大人しいから寝てるかと思ったんだが…

起きてたのかよ?」

 

そうニヤつきながら声のする方を向く四季。

そこには、赤い長髪に、緑色の帽子とチャイナ服に似た服を着た女が立っていた。

 

「貴方みたいな『人ではない気を放つもの』が来たのに、寝てるわけないじゃないですか」

 

そう言った女は目付きを鋭くし、四季を見た。

 

「…よく俺が『純粋な人間』じゃないってわかったな?」

 

四季は内心驚いた。七夜のような対魔の一族ならまだしも、見るからにも普通の女が自分の事を『人間ではない』と確信したように言ったことに…

 

「えぇ…私には『気を使う程度の能力』がありますからね」

 

「『気を使う』?」

 

「はい…それによって私には相手の気配を感知することができます…

貴方からは単純に『人間ではない何か』いや『妖怪にも似た』気配を感じます」

 

そこまで言った女は四季に再び…

 

「もう一度聞きます…

貴方は当館に何の御用で来たんですか?」

 

館に来た理由を尋ねた。

 

「…聞いてどうするんだ?」

 

「…ことと次第によっては…貴方を追い返します」

 

実力行使で…と付け加えて言う。

四季は若干溜め息を吐きながら…

 

「…霊夢と魔理沙がここに来ているはずだ

俺は二人を追ってここまで来たんだが、知らないか?」

 

自分の来た理由を言った。

 

「霊夢?あの博霊神社の巫女ですか?

…来てない…ですよ?」

 

そんな四季の質問に、若干眼をそらしながら答える赤髪のチャイナ娘。

そんな様子に四季は…

 

(明らかになんか知ってるな…

いやむしろ、この女の様子から霊夢達は来ていると考えて良いだろう…

…しかし…嘘が下手過ぎる…)

 

目の前の女が嘘を言っていると何処か確信していた。

そんなことを余所に赤髪のチャイナ娘は…

 

(まさか…寝てる時に微かに誰かが侵入するのを感じたけど…

あれが博霊の巫女だったのかしら…

夢かと思って気にしなかったけど…

もし本当に博霊の巫女だったら後で…咲夜さんに殺されちゃう‼

どうしよう…)

 

1人自分の失敗を、顔を真っ青にしながら嘆くのであった…

そんな女を気にすることなく四季は…

 

「どうもお前の言っていることが信じられない

悪いが、居るか居ないか自分で確かめたいから入るぞ?」

 

そう言って再び門に手を伸ばした。

 

「あっ!ちょっと待って下さい!」

 

「?なんだよ」

 

女の言葉に手を止める四季。

 

「そんな理由で館に入られたら後で私が怒ら…

いや、とにかく!入れるわけにはいきません!」

 

そう言って四季を追い返すため構えだすチャイナ娘。

そんな彼女の内心は…

 

(博霊の巫女だけじゃなく…こんな『人間でもない』わけわかんない人まで侵入させたら…

咲夜さんだけじゃなく…お嬢様にも殺されちゃう…

なんとしてでも帰って貰わないと‼)

 

ものすごい焦っていた。

そんな様子に呆れた四季だが…

 

「めんどくさいが…

どうやら素直に通してもらえそうもないし…

仕方ないか…」

 

そう言って…

 

「だが、その代わり…」

 

「?」

 

「俺を殺す気でこいよ…

じゃないとお前…死ぬぜ?」

 

チャイナ娘を睨み付けた。

 

「…!?」

 

その四季の殺気にチャイナ娘は…

 

(この人…かなりできる…)

 

警戒を強めた。

 

「…わかりました…

私も手加減はしません

だから、もし怪我しても知りませんからね!」

 

そう言って、深く深呼吸をし…

 

「紅魔館門番!紅美鈴!行きます‼」

 

チャイナ娘こと紅美鈴は四季に向かって走った。

 

「…!」

 

美鈴の思わぬスピードに面食らった四季。

その間にも美鈴は懐まで潜り込み腹に向けて正拳付きを放つ!

 

「ちっ!」

 

四季は咄嗟に腹をガードしたが…

 

「んな!?」

 

あまりの衝撃に身体が後ろにズレた!

その瞬間、美鈴は四季に一歩近付き無防備な顎に向けて真上に右足で蹴りを放つ!

 

「ちぇいやーッ!」

 

「ぐあっ!?」

 

身体能力が向上した四季でも流石に顎への蹴りは防げずにまともに受け、身体が浮いてしまう!

 

「ふぅっ!」

 

そして浮いた四季の腹に、蹴り上げたままの足の裏を当て…

 

「うりゃ!」

 

グンッ‼

 

「うわッ‼」

 

そのまま地面に叩き潰した!

 

「ッゲホ!」

 

あまりの衝撃に四季は吐血し、地面には亀裂が入った。

その血は美鈴の四季の腹に乗ったままの右足に付着した。

そんな四季の姿を見て勝ちを確信した美鈴は…

 

「どうです?

これで帰る気になりましたか?」

 

そう言った。

しかし、四季は…

 

「…ふ」

 

そう短く笑い、素早く右手で美鈴の足を掴み…

 

「な…!」

 

「おらよ!」

 

紅魔館の外壁に投げ飛ばした!

 

「きゃあッ‼」

 

ドンッ‼

 

短い悲鳴を吐き壁に叩き付けられた美鈴だったが…

 

「…ぐ…はぁ!」

 

直ぐ様体勢を立て直し、再び構える。

 

「勝ちを確信するのは、ちょっと早いんじゃないか?」

 

そう言って四季もゆっくり立ち上がり美鈴の方に顔を向ける。

 

「確かに…少し軽率でしたね

まさか、あの一撃を受けて動けるなんて思ってなかったので…」

 

「悪いな

普通の人間と違って身体は多少頑丈なんでな」

 

「そうみたいですね

流石は『人間じゃない』だけあり…ますね!」

 

そう言うや否や、美鈴は再び四季の懐に飛び込む!

 

「はぁ!」

 

今度は腹ではなく直接顎に向けてアッパーを放った!

 

「そう何度もくらうか!」

 

その一撃を半歩後ろに下がり避ける!

そして直ぐ様、四季は体勢を低くする!

 

「…!」

 

いきなり四季が体勢を低くし美鈴の視界外へと移動したことにより、美鈴は一瞬四季が消えたかのように見えた…

あまりにも突然のことに美鈴はアッパーを放った体勢のまま動きを止めてしまう…

 

「ここだ!」

 

その瞬間に四季は低い姿勢から起き上がる反動を利用し、美鈴の顎に向けてガゼルパンチを放つ!

 

ブンッ‼

 

「…な!」

 

しかし、ギリギリ四季の攻撃に気付いた美鈴は頭を身体ごと傾けることで回避し、その流れを利用し四季の脇腹に向けて蹴りを放つ‼

 

「ぐあっ!」

 

あまりの衝撃に顔を歪めてしまい一瞬動きを止めてしまう四季…

その間に美鈴は、四季から少しだけ下がると…

 

「はぁいやぁーッ!」

 

身体を後ろに反らしながら飛び、四季の顎へサマーソルトを決めた‼

 

「ぐおッ‼」

 

サマーソルトの勢いを利用し距離をとる美鈴。

そして、本日2度目の顎への蹴りに、流石の四季も眼に涙を浮かべ…直ぐ様体勢を立て直す。

 

「…お前…ただの人間じゃないな…?」

 

四季は痛む顎を擦りながら、先ほどからの美鈴に対する疑問を口にする。

いくら純粋な格闘戦が得意な人間だろうと、『鬼の血』を支配し身体能力が上がっている四季に対して、こうも一方的に攻撃を当てられるはずがない。

しかし、目の前のチャイナ娘は、あろうことか四季の攻撃を全て避け、人間とは思えぬ力で反撃してくる。

これらのことを踏まえ四季はチャイナ娘が『人間ではない』と考え言い放ったのだ。

 

「流石に気付かれましたか…

そうですよ、私は妖怪です」

 

四季の疑問に律儀に答えた美鈴は続けて…

 

「でも今更そんなこと関係ないですよね?

貴方だって『人間じゃない』んですから」

 

そう言った。

そんな彼女の言葉に四季は…

 

「確かにな」

 

そう呟いて、美鈴に向かって走り出す。

美鈴は、そんな四季を見て小さく…

 

「…ふふ、面白い人ですね」

 

微笑み呟いた。

四季は美鈴に近付くと…

 

「おらッ‼」

 

顔に向かって拳を突く!

しかし、その拳に合わせて美鈴は、頭を振って避ける。

そして、四季のがら空きの腹にボディブローを素早く2発当てる!

 

「ぐッ‼」

 

その衝撃に少し身体を硬直させられる四季だが、素早く体勢を立て直し美鈴の横腹に蹴りを放つ!

それを見た美鈴は直ぐ様、真上にジャンプして蹴りを回避!

さらに空中で一回転し、その勢いのまま四季目掛けて踵落としを放つ‼

咄嗟に四季は両腕でガードしたが、重力と体重が乗った踵落としの威力を殺せず、そのまま地面に叩き付けられた‼

 

「ぐ…あ…」

 

俯せに倒れた四季に対して美鈴は…

 

「…勝負アリです」

 

そう言った。

しかし、四季は…

 

「いや…まだだ…」

 

そう呟いて、ふらふらと立ち上がる…

その姿は、ぼろぼろで膝や顔などにも少し怪我をして血が滲んでいた。

 

「…いくら立った所で、貴方は私に勝てないんですよ…

まだわからないんですか?」

 

「………確かにな」

 

「ならこれで終わ…え?」

 

四季の言葉を聞き、戦いの終わりを告げようとした美鈴だったが…

 

「あ…あぁ…」

 

突然、右足に違和感を感じ…

そちらに視線を移した…

 

「な…なにこれ…」

 

そこには、美鈴の右足を貫くように生えた赤い杭の様なものがあった…

 

「あ…アァァァァァァァッ‼」

 

突然の痛みに混乱し叫び声を上げて、右足を抑えうずくまる美鈴…

そんな彼女に四季はよろよろと近付き…

 

「痛いか?」

 

呟いた…

 

「…ぐ…あぁ…」

 

その声に反応するように美鈴は顔を四季に向けた…

美鈴がこちらを向いたのを確信すると四季はゆっくりと…

 

「格闘戦では分が悪いのは最初の攻撃でわかっていたさ

だが、能力なら俺に分があったみたいだな」

 

そう言った。

 

「のう…りょく…?」

 

「あぁ…」

 

美鈴は痛む足を抑えながら呟き、それに肯定するように四季は頷きながら答えた。

 

「俺の能力は…そうだな…この世界の言い方なら…

『自分の肉体を自在に操る程度の能力』ってところか?」

 

「『肉体を…操る…』?」

 

「そうだ」

 

次に四季は、美鈴の右足に生えた赤い杭(血刀)を指差しながら…

 

「俺はその力でお前の足に付いた、俺の血を硬質化させて…

お前の足を貫いた」

 

そう語った。

 

「そして、今のお前はもう満足に動けない

なら…」

 

そう言って四季は美鈴の方へ腕を伸ばす…

その時美鈴は、四季が戦う前に言った言葉を思い出した…

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「俺を殺す気でこいよ…

じゃないとお前…死ぬぜ?」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

(!…このままじゃ…殺されちゃう…)

 

そう感じた美鈴は眼に涙を浮かべ…

必死に足に力を入れ立ち上がろうとする…が…

 

「痛ッ‼」

 

四季の作り出した血刀が今だに足を貫いており、うまく力が入らなかった…

その間にも四季の腕は美鈴の方に伸びていき…

 

(やだ…殺さないで…!)

 

その首に…

 

ビシンッ‼

 

「痛ッ‼」

 

ではなく額にデコピンを放った。

突然のことに驚いた美鈴は顔をあげて四季の顔を見る。

すると彼は…

 

「これで俺の勝ちだよな」

 

そう笑いながら言った。

 

「…へ?」

 

そんな四季の言葉に一気に力が抜けた美鈴だった。

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後…

 

 

「はぁ…負けてしまいましたね」

 

美鈴は自分が負けたことに落ち込んでいた。

 

「まぁ、格闘戦では俺が負けてたから、あんまり嬉しくないけどな」

 

そう言った四季も、どことなく気落ちしていた。

そんな四季に微笑みながら、美鈴は立ち上がる。

 

「もう足は大丈夫なのか?」

 

四季は、元気に立ち上がる美鈴を不思議に思い、自分が貫いた足を指差して聞いた。

 

「はい、妖怪は時間と共に傷が治りますから」

 

そう言って二度ほど右足で空を蹴り、治ったことをアピールする美鈴。

 

「へー…すごいんだな」

 

四季は、自分の身体とは違い、ちゃんと元通りに治る妖怪の身体に感心した。

 

「まぁ、それでも殺されたりしたら意味ないんですけど…」

 

そう苦笑いしながら答える美鈴は続けて…

 

「…そうだ!貴方の名前を聞いていいですか?」

 

まだ、名前も聞いていなかったことを思い出し聞いた。

 

「俺か?俺の名前は四季だ

お前は確か…美鈴だったか?」

 

四季は自分の名前を教え、戦う時に言っていた美鈴の自己紹介を思い出し、確認のため聞き返した。

 

「四季さんですね、わかりましたって…

ん?!私の名前、覚えていてくれたんですか‼」

 

そう言って嬉しそうに四季に詰め寄る美鈴

 

「あ…あぁ…まぁな…」

 

そんな美鈴の勢いに若干押されながら肯定する四季

その言葉を聞いた途端、美鈴は…

 

「うわーい!」

 

何やら身体全体で喜びを表し出した。

そんな美鈴の姿に四季は…

 

(門番って言ってたし…

普段、影が薄くて忘れられやすいのかもしれないな…)

 

そう考え軽く同情するのだった。

そして、四季は今だに喜びを表す踊り?をしている美鈴に声をかけた。

 

「…そろそろ中に入りたいんだが…

もういいか?」

 

「あっ!はい、すみません!」

 

そう言った美鈴は踊るのをやめて急いで門まで行き…

 

「はいどうぞ、通って下さい」

 

門を開けた。

 

「あぁ、悪いな」

 

そう言って紅魔館の中に入ろうとする四季に…

 

「あ…あの!」

 

美鈴は声をかけ、引き止めた。

 

「?今度はなんだよ」

 

美鈴の声に振り返る四季。

 

「最後にいいですか?」

 

「あ?」

 

「なんで…最後の最後に自分の能力を使ったんですか?

2回目に接近したとき…

いや、最初から使っていたら勝敗なんてすぐ着いた筈です…

なのになぜですか?」

 

美鈴はそう聞いた。

四季の能力を使えば自分など、あっという間に倒せていたはず…

なのに、なぜ四季が負ける直前まで能力を使わなかったのか美鈴は不思議で仕方がなかったのだ。

そんな美鈴の質問に四季は…

 

「あ?単純に格闘戦で、お前がきたからそれに応戦したまでだ

まぁ、それと…」

 

「それと?」

 

「俺は負けず嫌いなんでな」

 

そう笑いながら言って四季は紅魔館に入って行った。

1人門に残った美鈴は四季のそんな言葉に…

 

「やっぱり…面白い人ですね」

 

そう口にし微笑んだ。




んー…どうでしたでしょうか?
今回は美鈴だったので、格闘戦onlyの戦闘になったんですが、次回は弾幕も使う相手なので、また違った描写になると思います。
やはり物語を考えるのはなかなか難しくおかしな所もあると思いますが、これからも東方四季物語をよろしくお願いいたします。
それでは、閲覧ありがとうございました。
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