無限の剣を担った男   作:通りすがりの二次好き

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以前のがあまりにアレだったので書き直してみました。
良ければ読んでやってください。


リメイク(仮)
構築された世界(クリエイテッドワールド)錬鉄の英雄(エミヤシロウ) 《第1話リメイク》


 ――鉄を打つ

 

 この身に宿るは無限の剣。あらゆる刀剣を複製する模倣の世界。

 

 ――鉄を打つ

 

 心は火災で失った。

 空虚な自分が求めたのは、恩人が自身に与えた理想(ねがい)

 

 ――鉄を、打つ

 

 必死に走った。走り抜けた。

 この心は偽物かもしれない。でも、この理想は間違ってなんかないと信じて。

 

 ――鉄を………打つ

 

 しかし、その理想の果てに目にしたモノは――

 

 

 そびえ立つ、殺した者達の墓標(無限の剣)と、未だ墓標を増やし続ける(剣を突き立て続ける)――――哀しい、自分の姿だった

 

 

 

 ――その戦いは救済であった。

 

「俺の勝ちだ………アーチャー」

「ああ、そして―――私の敗北だ」

 

 ――間違いながらも走り続け、そして心を磨耗させた男への……最後の救済。

 

「凛、私を頼む。知っての通り、頼りないやつだからな。――君が支えてやってくれ。」

 

 ――これからも、自分は走り続けるのだろう。先が見えない、この長い旅路を。

 

 そう、ただ無我夢中に。

 

「大丈夫だよ、遠坂。俺もこれから――頑張っていくから。」

 

 ――得ることのできた、掛け替えのない答え。それすらもエミヤシロウは忘れてしまうのかもしれない。………でも、それでも、この経験(第五次聖杯戦争)は決して、間違いなんかではなかった。

 

 

 だからオレは――――――

 

 

 

 ――目が覚める。

 

 背中に伝わる硬い感触。彼を照らすは夏の日差し。

 今は昼なのだろうか。通行人の姿は見えない。

 

「…………ここ、は…………」

 

 彼は咄嗟に自らの体の状態を確認する。

 

 ――――魔術回路27本確認

 ――――魔力量正常

 ――――身体外面に損傷なし

 ――――固有結界『無限の剣製』、発動可能

 

解析完了(トレース・オフ)………問題ないな」

 

 ふと、辺りを見回す。決して広いとはいえないが、しかし狭いとも言えない普通の道。その脇には家と思われる建物が並び立っている。

 一般に『住宅街』と呼称される場所だ。

 

 状況は把握不可能。

 この場所の正確な位置も、把握不可能。

 また守護者として駆り出されたのかと思えば、周りにターゲットらしき姿は見えない。聖杯戦争のような、魔術的な儀式によって召喚されたかと思えば、これまた召喚者とのパスすら感知できない。

 

 八方塞がりとはこういうのを言うんだろうなと自己完結し、立ち上がる。

 

 

 

 

「……何だ、アレは」

 

 

 

 

 その時、立ち上がった彼の目が驚愕に染まった。

 彼は空を見上げていた。視線の先には青が、雲が、太陽があった。澄み渡る青空、漂う白い雲。そして――

 

 ――黒く、得体の知れない太陽が、素知らぬ顔でそこにいた。

 

 ……太陽とは地を、世界を照らす存在だ。

 だが、()()()()()。明るさも、熱さえも感じない作り物。醜く、おぞましいただのレプリカ。

 

 謎は深まるばかり。彼の中の冷静で、冷徹な戦士としての思考は今も尚周囲への警戒を怠ってはいない。

 それでも、彼の生前は歴とした人間だ。摩耗しながらも残る僅かな記憶、彼が培ってきた常識と相違する現状に彼は困惑を隠せなかった。

 

(兎に角、ここにいたままでどうにもならん)

 

 切り替えようとする。意識を、無理矢理にでも切り替えようとする。

 僅かに残る人間性、それは戦場では命取りだと、彼は痛いほどに理解している。

 

 一歩踏み出そうとする。再び違和感。今度は外面でなく内面へ。自身の体に残る、拭いきれない違和感。

 普段と違う感覚。誤差に近いであろう感覚のズレは、しかし彼にとっては十分に懸念材料たり得た。

 

(肌の色はいつも通り黒に近いそれだ。魔術回路の数や編成も平常時と何ら遜色はない。それでも尚、しこりのように我が身に残るこれは一体……)

 

 思考、思考、思考。イレギュラーに次ぐイレギュラーに、思わず警戒が緩んでしまう。

 

 ――その、一瞬だった。

 

「……ふむ。なぜ私は銃口を向けられているのか、それについての説明を要求したいんだが……応じてくれるかな?レディ」

「――喋るな。そして動くな。私の前でこれ以上余計なことをすれば、その命はないものと思ってください」

 

 

 ――――彼の頭部に、見知らぬ赤髪の女性によって銃口を突きつけられたのはまさにその一瞬の出来事であった。

 

 

「少々挙動がおかしかったので監視していましたが、まさかこんな地雷原の上で儀式をおっ始めるとは予想外でしたよ。……さっさと何をしていたのか吐きなさい? でなければ……」

「ストップだ。まぁ落ち着きたまえ。少し冷静になって話をしよう」

 

 彼は交渉を試みる。気障なセリフに、彼女の表情が僅かに歪む。

 

「すまないが、私には君が何を言っているのかこれっぽっちも分からない。ほんのこれっぽっちもだ。非常に残念なことに、私には数分前までの記憶の一切がない。何故ここにいるのか、まずここはどこなのか、それすらも分からない。神に誓ってもいい。まぁまず、ソレがいるのかも分からないんだがね」

「白々しい……貴方に話す気がないのなら、私は強引にでもあなたに真実を吐かせないといけなくなります……いいですか? 貴方には今2つの選択肢しかないんです。1つ、正直に何をしていたか告白する。2つ、今すぐここでドタマをぶち抜かれる。……ですが後者に関しては大変面倒な事でしてね。正直気乗りはしないんですよ」

 

「これが最後です。可及的速やかに、あなたが、ここで、一体何をしていたのか。余すことなく、全てを告白しなさい」

 

 彼は溜息をついた。

 交渉は不可能だと、戦闘行動は避けられないと、そう判断したが故のものだ。

 

 カチリ。

 

 セーフティーが外れる。撃鉄を起こす、その準備が整った。

 

「……今私が言ってることが真実であると、そう信じてもらう方法は……ふむ、これっぽっちも無さそうだな」

 

 呟いた直後、彼は普通の人間では視認できないその俊敏性で彼女から距離をとる。

 

 既に魔術回路は起動してある。

 唱えるのは使い慣れた一説。自身の得意とする魔術、その一つを行使する為のトリガーだ。

 

「――投影(トレース・オン)

 

 稲妻のような魔力痕。この世に干渉せんと視認可能な程に濃密なそれがバチりと音を鳴らす次の瞬間には、彼の左手には黒い短剣が握られていた。

 

 ――――投影魔術。別名をグラデーション・エアという。

 自身の魔力によってオリジナルの投影品、贋作を作り出す。それが彼の得意とする魔術だった。

 通常の魔術師が行使すれば世界の修正力により瞬時に消滅するはずの投影品は、しかし彼の投影の特異性により現実に留まり続ける。

 

 彼はその魔術によって、中国における名剣である夫婦剣――その陽剣である『干将』を投影した。

 

「……錬金術(アウター・アルケミック)? 私と同じ術式(マクロ)ですか……」

「……何を言っているのかはわからないが……私も君にこの世界について聞きたいことが山ほどある。あまり女性を傷付けるのは好きではないのだが……君が私に攻撃を行うのならば、私も正当防衛として君にこの刃を向けよう。――それでレディ、私の質問に答えてくれるかね」

「あなたが私の問いに答えてくれるならば」

「問いとは先ほどの『ここで何をしていたか』についてかな? 私はそれに『わからない』と答えを返したはずだが」

「あの答えを信じろと?」

「無理なのか」

「当たり前です」

「なら交渉決裂だ……なッ!」

 

 爆発的な加速と共に、彼は前へと出た。

 常人ならざるその身体能力による理解を超えたその移動は、常人から見ればまるで瞬間移動したかのようにも見えるだろう。

 

 事実、とても常人にはカテゴライズされないその女性――浅見リリスから見ても、その移動は驚愕に値するものであった。

 

(疾い……ッ!)

 

 リリスが、彼の突進に反応できたのは半分は彼女の実力であり半分は持ち前の幸運のおかげであった。

 咄嗟に銃を前方に投げ捨てる。

 長身の対戦車ライフルだ。その重量は約50kg。

 

 彼は眼前に飛んできたソレの軌道を干将でずらし、直撃を避ける。

 

 その行動によって突進の勢いが死に、彼は一度体勢を立て直すために地面に着地。同時に力強く踏み込み、そして大きく後退した。

 仕切り直し。リリスの咄嗟の判断は、結果として命拾いとなった。

 

 しかし、一度突進を防いだからと言っても俄然浅見リリスの敗勢は覆され得ない。

 

 何故か?

 

 そもそもの話、2人の実力の差はあまりにも離れすぎているのだ。

 リリスも修羅場を乗り越えてきた猛者とはいえ、エミヤシロウはその比じゃない地獄を潜り抜けてきた。

 経験と身体能力。単純だが、最も戦闘に置いて重要なその2つの面で彼は彼女に勝っている。

 

 更に付け加えるのならば、先程捨てたライフル銃は――

 

(咄嗟の行動とはいえ、迂闊だった。魔導書が手から離れてしまうなんて……)

 

 リリスの戦闘スタイルは本来援護射撃。接近戦は出来ない訳では無いが、あまり得意ではない。

 結果的に一時の攻撃は防げたものの、今の行動は致命的でもあったのだ。

 

 彼女の魔導書――『ヘルメス外典』が手を離れたことにより、彼女が出来る戦闘行動は肉弾戦に限られてしまう。

 

 英霊の分霊―――サーヴァントであるエミヤに対してこの現状、戦況は圧倒的に彼が有利であった。

 

「……レディ、もう一度だけ聞こう。私は別に君と争いたい訳では無いんだ。だからまずは落ち着いて私の話を聞いてはくれないか?」

 

 諭すように、刺激しないように、静かで穏やかな声音で彼は語りかけた。

 しかしその瞳はあまりにも無機質で、万が一おかしな挙動を取った暁には彼女がこの世を去るとそう思わせる程に冷たかった。

 

(現状、彼に対しての勝機はまるでない……催眠系の魔術を使ってくるかもしれないという危険はあるとはいえ、ここは素直に従っておくのがベターでしょうか……)

 

「………分かりました。あなたの話を聞きましょう。――ですが、勘違いしないでください。もし貴方が不穏な動きを見せたならその時は――」

「あぁ、分かっているさ。まぁ元々、そんなつもりはまるで無いのだがね」

 

 彼女の、精一杯張った虚勢も軽く受け流されてしまう。

 さながらその様子は大人と、それに反抗する子供のようでもあった。

 

 

 かくして、錬鉄の英雄のこの世界での初戦闘は比較的あっさりと、その幕を閉じることとなったのだった。




お久しぶりです。
匿名になってはおりますが、以前からお読みになっている方はもしかしたら覚えているかもしれない……そう、アイツです。
続きを書くかリメイクするか。まだ決め切ってはいませんが、一応勘だけは取り戻しておこうと第1話のリメイクだけ書いてみました。
「続き書けやボケェ」
「そもそも書くなやボケェ」
という声が聞こえてくるような……聞こえてこないような……
許してヒヤシンス。

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