・・朝だ。
霊夢は起床すると、早朝の薄暗い賽銭箱の中を懐中電灯で照らし、金額を確認した。
パッと見て判断できるほどの枚数しか入っていない。
・・・。
・・だが大丈夫。
マッククルーとして、働いているので、経済的には安定している状態である。
賽銭箱の中身を一瞬で確認した後、神社の辺りを見回した霊夢だが、
神社の前に、何者かの姿があった。
藤原妹紅であった。
あの日依頼の再会であった。
まあ、一週間程度しか時間は経過していなかったが・・・。
「こんな朝早くにどうしたの?妹紅」
「今日は霊夢に頼みがあってきたんだ。」
「頼みって何?」
「霊夢には、マクドナルドで諜報活動をお願いしたいんだ。」
諜報活動・・・いわゆるスパイだ・・。
霊夢は妹紅の頼みを受け入れた。
「で、何を諜報すればいいのかしら」
「勿論、ハンバーガーの仕入先、原材料とかだ。」
「え、でもそんなのどうやって・・・」
「マクドナルドのトイレの近くに「避難経路図」が貼ってあるだろう?」
「ああ、あったわね。」
「あの地図に事務室の位置が書かれている。そこのパソコンから盗み取るんだ。」
「で・・でも、そんなことしちゃっていいのかしら」
「大丈夫だ。問題ない。」
「・・・。」
霊夢は内心不安であった。
が、しかしハンバーガーについては自分も気になることは確か。
・・やるしかない。
翌日、霊夢はマクドナルドの制服に着替えた。
もちろん小細工がしてある。
胸の店員バッジには盗撮カメラ、襟の下には盗聴器がある。
盗撮カメラはもちろん情報収集のため。
盗聴器は念のためである。なので意味がないかも知れない・・・。
これらの細工は、機械などの応用知識が豊富な河童の「にとり」に頼んだ。
にとりは、「これなら完全勝利だ!」というようなことを言っていた。
別にこれは勝負ではないような気がするが・・・?
そして霊夢はクルーとして、職務についた。
そしてお昼ご飯の時間。
マッククルーになると、昼食を出してくれたり、ハンバーガーなどを買う時は30%オフなどといったお得なことが驚く程ある。
人が多い、昼に情報は盗めないだろう・・・。
霊夢の目はとても悪そうな目であった。
やはり狙い時は夜だろう・・・。
そのため、店長であるドナルドに残業をすると申告しなければ。
「ドナルド店長。今日残業するんでよろしくお願いしますね。」
「うん。わかったよ。頑張ってね。」
「はい。」
そして、店員が・・私含めて3人と、店長であるドナルドの合計4名のみだ。
しかも、奇跡的に店内に客はいなかった。
・・・今なら・・・やれる!
霊夢はそう思い、ハンバーガー情報諜報計画を実行させることにした。
霊夢はまず、トイレの個室に入った。
そして、電話を胸ポケットから出し、ある人物を呼び出した。
「あら、ついに計画の時かしら。」 電話の向こうで言ったのは八意永琳だ。
「永琳、私の声 聞こえてるわよね」
「ええ。」
「じゃあまた情報がとれたら電話するわ。」
霊夢はそう言うと電話を切った。
そして、誰にも気づかれることなく事務室に行くことができた。
事務室の書斎の上の一台のパソコンを見つけた霊夢。
彼女は事務室の中を見渡した。
聞こえる音は店内にかかっているジャズの音楽。
事務室内を照らすのは、窓からの月明かりのみ。
今、やるしかない。
薄暗いが、パソコンは白色で、見つけやすかった。
パソコンの前についた霊夢はパソコンを立ち上げた。
パソコンにはパスワードが無く、極めて容易にパソコン内を閲覧できた。
そして沢山のフォルダの中から、目当ての情報らしきものが入っていると思われる『情報の墓場』というフォルダを開いた。
そこには、沢山の情報があった。
幸い、原材料や輸入先などの情報は、フォルダの冒頭あたりに存在しており、すぐに必要な情報を手に入れる事ができた…。
勿論、驚くような情報もあった。
霊夢は任務を終えると、パソコンの電源を落として事務室を出た。
いつものカウンターに戻ると、二人の料理担当の店内が暇そうに店外の景色を見ていた。
ドナルドは厨房の清掃をしていた。
霊夢は 仕事熱心だな と思いつつ、二人の暇そうな店内に 掃除を手伝ってやれよ と言おうとしたが、よく考えれば、自分に そんな事言える資格が無いこと に気づいた。
…とにかく霊夢は残業を終わらせた。
「おつかれさま。今日もよくがんばったね」
店長であるドナルドは、仕事が終わるといつもこう言ってくれる。
霊夢は、 仕事が終わった今の自分が、いつもより達成感と安堵感を多く得ていること に気づいた。
まあ、これでよかったのかもしれないな…。
霊夢はそう思った。
霊夢は更衣を終えて、いつもの巫女の姿で夜空を飛びながら 神社へ帰るつもりだった…。
霊夢は夜空の煌めく星々を見ながら神社への道を飛ぶ。
彼女は空を飛ぶことができる程度の能力を持つ。
故に移動手段として空を飛ぶことがある。
…そういえば、竹林で迷った時は 「竹林散策でもして、心を癒そう」とか考えていた。
その結果、迷ってしまったのだ…。
進行方向には、白く輝く大きな月があった。
内容は明かされてはいませんが、 ついに情報を入手した 霊夢。
そして、まだ何かありそうな予感がする月夜。
「こんなに綺麗な月夜なら、月見バーガーを持って来ればよかった」
霊夢は思った。