魔法少女リリカルなのは~遥かなる悟空伝説~   作:群雲

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孫悟空は武道家である。

故に彼は切磋琢磨を繰り返し、包丁が如く己の技を磨きあげ、巨大建造物に負けないくらいに経験を積み重ねていく。
何がいいたいかというと、彼は戦う者であって、救うものではないということ。 それでも彼が人助けをするのは……誰かが求め、自分が正しいと思ったから。

強要された使命なんかじゃない。 最初からそうしたいと思うその想いがとても凄いものなんじゃないか……これを書きながら思いました。

 りりごく17話です。 


第17話 孫悟空、八神家で働く

 空気の切れる音。 これはそもそも空気の層をある物体が高速で突き破っていくから聞こえる音であり、ある程度ならば一般人にでも出せないものではない。

 そう、常に連続で出そうとしないのならば可能なのである。

 

「ふっ! はっ!」

「…………」

 

 うまい例えかどうかは微妙なのだが、戦闘機が飛んでいく莫大な音、あれも空気を切る……いいや、『裂く』と言えばいいだろうか? とにかく突き進んでいる音なのである。 今はそのような盛大なものは鳴り響いてはいないが。

 

「だだだだ! だりゃあ!!」

「うぉ……」

 

 その突き、その拳打、鋭く速いこれらは戦闘機と形容しても差し支えないくらいに突き抜けたものだから。

 

「はぁぁぁぁぁぁ」

「じ、地面が揺れ――!」

 

 唸る彼は姿勢を低く、胸の前で腕をクロスに組んで力を高めていく。 重力に反したように浮いていく周囲の砂粒、石ころ、物干しざお……そこまで浮いていくと。

 

「ごくう! なにやっとるんや!!」

「うぉ!!」

「おっと……」

 

 小さな少女の絶叫が庭に響くのであった。

 それに及び腰になったのはオレンジのジャージを着込んだ我らが孫悟空。 彼は構えた両腕を天にあげるとそのまま空に不可視の衝撃波が走っていく。

 

「いきなりどうしたんだよはやて? あぶねぇからいきなり――「どうしたって、それはこっちのセリフや!!」……お、おぉ」

 

 それを見来ることもできずに、ただ少女の咆哮に及び腰のまま小さく返事をする彼に、そっと冷たい風が吹く。 同時、落ちる物干しざおを曲芸よろしく、その『尻尾』で巻き取ると、そっとシグナムに受け渡す……この二人なかなか慣れたものである。

 

「ごくうは怪我人なんやろ! せやのにそんな無茶苦茶に身体動かして!」

「そんなことねぇって。 なっ? シグナム」

「……いや、私から見てもかなりの常識はずれだと思うが」

「ああ!! きったねぇぞシグナム! はやてが怒るもんだから自分だけ――」

「そんなことはない! 私は思ったことをだな――」

【ええ加減にしなさい!!】

『…………はい』

 

 なかなか、慣れたもんである。

 

「まったく。 ごくうはともかく、シグナムもどうしたん? なんや落ち着きがないっていうか……」

「――うぐっ!? そ、そんなことは……」

 

 この家の主の喝が入るとそこから数秒の間、そこから気合を徐々に抜いていく主はやてに対し、従者シグナムは焦り顔。 言えないわけではないのだが、それでもいうのを躊躇わせるその理由。

 

「……うぅ(言えない。 争い事が極めてダメだという我が主に、この男と手合せしてみたいだなんて)」

 

 武芸に生きる者が持つその性が原因だなどと、いったい誰が言えるだ――「シグナムの奴よ、きっと戦いたくてウズウズしてんぞ? 天下一武道会に出た時の天津飯とかピッコロとかとおんなじ目ぇしてるしな」

 ……ろうか。 いや、居たな。

 

「お、おい! 孫!」

「いいじゃねぇか、ウソつくよりも全然マシだろ? なっ? はやて」

「え? あ、うん……」

 

 どこか遠慮がちに少女との距離を一定に保っているシグナムに対し、悟空はほぼゼロ距離のクロスレンジではやてに話しかける。

 一緒にイタズラしよーぜ? などと聞こえてきそうな顔でこそこそとはやてに話しかける悟空に、今の発言を否定しようとして……できない彼女の手は宙を仰ぐ。 そんな彼女の姿を見て……

 

「そうやね!」

「あ、主……」

 

 結構強引ではあったが、どこか納得したかのように見えるはやての微笑。 だが――

 

「でも! ごくうのケガと今回のそれは別や!」

「ぃい!」

「シャマルも言っておったで? 今のごくう、本当なら全治半年の重症やって。 魔法である程度治った言うても、右足なんてまだ骨が完全にくっついてないんやろ?」

 

 やはり怒るときは怒る。 ただ優しいだけが優しさではないと知っている彼女は本当に強い子なのであろう。 これには悟空はもとより、シグナムも若干の委縮を開始する。 ただ欲求のままに突っ走ろうとしていた自分を戒めると共に。

 

「勝負すんのは悪い事やない、ごくうが本調子になったらまた相手してもらおな?」

「……はい」

 

 彼女の優しさに、そっと胸の内をなでおろすのであった。

 

「うっし、はやての機嫌もなおったな! いやーよかった! これでオラ修行の続きができっぞ!」

「ごくうは――」

「もう少し――」

『反省しろーーーー!!』

「おわわっ!!」

 

 このトウヘンボクに息の合った喝を入れつつ……なのだが。

 

 

「ところで……」

「ん? なんだはやて」

「ごくう、なんでこんなところでシグナムと一緒に居ったん? 修行っていうやつをやるためだけなん?」

 

 すこしして、車いすに乗ったまま器用に洗濯を干し始めたはやては、横で物干しざおを持っている悟空に視線を向ける。 結構な早朝、普段なら朝食が先なのだが、増えた男手を有効活用するべく作戦を変更したからこそのこの行動。

 それを手伝う形で彼女の横にて、ただ物を持つことだけを求められた悟空は、右手でそれを持ちながらもう片方で頭部をひと撫で……「何て言うかなぁ……」などと小さくつぶやくと、そっとはやてに視線を返す。

 

「ん~~なんていうかさ、オラなんだか身体全体がなまっちまってたみてぇでよ。 そんでいろいろ試してみようと思ったんだ」

「あ、そうやね。 ずっと眠ってたんやもんな」

「あぁ、だから外でいろいろ技とか型とかやってみようかと思ってたらよ?」

「……私が先客でしたもので、その……」

 

 その視線をそのままシグナムの方へと分岐させた悟空に、静かに俯いて見せた長髪の騎士様はどことなく失敗を隠そうとした子供の様で。 それを知ってか知らずか、悟空はほんの少し伸びをする。

 上に両腕を上げて、背中をのばし、全身の力を上方向へと突き出すかのようなそれは、まるでラジオ体操の最初の動き。 突然の動きに視線を奪われ、どことなく猫の昼寝の映像がダブって見えたのは彼女たちだけであろうか? そんな彼女たちに、悟空は『にかっ!』っと笑いかけると。

 

「ほんの少しだけ、手合せしてもらったんだ。 そのおかげで、結構『感』ってヤツを取り戻してきたんだけどな」

「手合せと言っても! 決して主が思うような危険なものではなくてですね!」

「あ、それは周りを見てれば解るんやけど」

 

 やはり言うのは誤魔化しゼロの真実ひと絞りであろう。

 それに訂正を入れるべく、結ったポニーテールを振り回したシグナムはやはり焦り顔。 聞こえが悪かっただろうか? どう受け取られてしまった? などと、優しい主人を不快にさせたと思い込んでいる彼女はかなり必死である……のだが。

 

「ふたりがケンカしとるわけやなくて、なんだか安心したわ。 シグナム、最初はごくうをうちにつれて来るの反対しとったから」

「へ? そうなんか?」

「あ、そ、それは……その……」

 

 はやてはどうやら、別の方向で彼らの心配をしていたようである。 ケガもそうなのだが、やはり彼女には今回、悟空とシグナムが不仲かどうなのかというのも心配事の一つで。

 

「でもな、いまの見とったらそんなのつまらん心配やったんやなって思うてな。 ホント、よかったわ」

「主……」

 

 朗らかな笑顔は、いまだ寒さが消え去らぬ4月の空気を抱きしめる、そんな彼女の暖かさに包まれて……ぐりゅううう

 

「ははっ……ハラぁ減っちまった」

『あはは!』

 

 今朝も悟空の腹が鳴る。

 これのベルが、八神家での最初の朝が始まるときであった。

 

 

AM 8時半

 

 朝食もそこそこに終え、この家の住民に悟空の真の恐ろしさ? を体験させること一刻のこと……彼らが持った感想と言えば――

 

「なんだと!? シャマルが料理を――」

「やべぇ! マジヤベェ!! ちょっと目を離したすきに……アタシのせいだ!!」

「おい……」

『どうした!?』

「悟空が……全部平らげたぞ……」

『なん…………だと……!?』

 

 英雄……ただそれだけだったろうか。

 皆が悲壮に打ちひしがれ、その胸に『喰らう』の言葉を傷み込むその刹那、(なぜか)ヒト型になっていたザフィーラから聞こえてきた声は天啓だったとかどうとか……ヴォルケンズよ、言葉の使い方が違うぞ……

 

「みんなひどい!」

「むうぼむうぼ! もんもみ……んくっ!! こんなにうめぇのに、そんなこと言ってやんなよ?」

 

 その中で「よよよ……」と泣き崩れる副料理長シャマルは、焦げ付いたフライパンを金たわしでゴリゴリ磨いている。 いまどきタワシかよと突っ込むことなかれ、このフライパンは素人でも持ちやすく、さらに軽量と特殊合金の組み合わせで焦げにくく、汚れが落としやすいという『業物』なのである。

 

 これをこうも簡単に再起不能にしかけるこの女が異常……そういう話なのである。

 

 そんなこんなで激しい朝食は幕を閉じ、悟空のリハビリが再開されるのである……されるのだが。

 

「これでええんか?」

「サンキュウ。 この前病院でやってたんだけどな」

『???』

 

 その行動は奇怪極まりない。

 はやてが持ってきたごく普通のコップ。 それに8分モリに注がれた水が向こうの景色を反転させて映らさせる。 飲むために持ってきてもらった訳ではないこのコップ、いったい何に使うかというと。

 

「――――ッ!」

『おお!?』

「う、浮いた!! 水がッ!!」

 

 一発芸……それに見合った何かである。

 コップに注がれた水、それを悟空が鋭い視線で睨みつけるとゆっくり浮いていく。 その器を置いたままに。

 

「…………」

「すげー……魔法も使わないのにどうやって」

「稀に耳にする“超能力”というやつか? いったいどんなからくりを……」

 

 浮いては沈み、そのままコップの中に戻っていく水。 まるで何事もなかったという風態であるコップの周りには、驚愕に顔を染めた顔がいくつか並び、悟空に向かってあれやこれやと質問する準備を整える中、悟空はほんのりと苦い顔をする。

 

「ダメだ……」

「なに?」

「どうにも気のコントロールがいまいちだ……これじゃかめはめ波だって撃てやしねぇ」

『???』

 

 それは大変困難な診断結果。 本来ならばもっとすごいことができたという悟空の言を、信じられないという顔を半分、言っている意味が理解しきれないという顔を半分といった表情を取るシグナム達。 彼女たちは悟空の言った“気”“かめはめ波”の単語の意味を掴みかね……

 

「き? 気……それって、よくテレビとかでやってる奴やろか?」

「お? テレビ? ん~よくわかんねぇけど、そうだなぁ……界王様が言うには、“この世全ての生きとし生ける者がもっている”らしんだけど。 オラそういうんは口で説明すんのはちぃと苦手だな、ははっ」

「……ほぇ~なんやえらくすごい事しとるんやねぇ」

『はぁ……?』

 

 現代っ子? であるはやては、悟空が言う『気』という単語をすぐさま気功という意味に脳内変換。 その意味が解ると、悟空に対する認識を『気功を操る武道家』へとジョブチェンジさせては小さく感嘆の声を上げる。

 それについて行けないのは古き良き『騎士』の肩書を持つ彼等だろうか。 詳細は今は省くが、彼らがこれまで見てきた力とは明らかに異質なそれは、大きく興味をそそられると共に、いまいち意味を掴みかねるのもまた事実。 彼らは背後に大きな疑問符を作り出していた。

 

「まぁ、とにかく“おめぇたちが使う”魔法とはそもそもの在り方が違う……はずだぞ?」

「そうなのか……ん?」

「オラたちのはあくまでも自分が持っている力だけど、おめぇたちのは多分、外にある奴を取り込んでそれをある程度自分の力に変えてる。 そうだろ?」

「え? あ、あぁ……大体あってるが……?」

「そこんとこだけ見ると、界王様に教えてもらった技に似てるんだけど、やっぱ根元のとこから違うんだろうな。 なんていえばいいかなぁ? 毛色が違うっつうのかな……まぁとにかく『おめぇたち』が使う力とは違うモンだってのは確かだ」

 

 めずらしく始まる悟空の解説。 普段から何となく使っている力の再確認と、納得できない彼女たちへの補足をする悟空はどことなく学校の先生の様で。 学校になど行ったことがないはやては、ほんの少しだけ背中がむずがゆくなっていたりした。

 

――――「ちょっと待て!」

 

 ここで呼び止める声。 言葉の中の不快な点を見つけ出したシグナムは悟空に人差し指を向ける。 今コイツはなんといったか? その言葉をのど元までため込んだら、一気に放り投げる。

 

「どうして『我等』が魔法を使うとわかる! シャマルやザフィーラはともかく、私とヴィータは一言も言ってないだろ」

『あ……』

 

 それは確かな疑念の言葉。 それを聞いた悟空は後ろを向き、彼女たちを視線の外に置く。 今まで正面切って話していた悟空がとったこの行動に、一抹の不安がよぎるシグナムその他3名。

 

「そりゃあわかるだろ?」

「なぜだ!」

 

 はやて以外の誰もがほんの少し身構える。 決して彼を敵対者とは見て無いモノの、彼に対する疑惑は膨らんでいくばかり……シグナムは、そっと右手を胸元のペンダントに持っていく。

 

「シグナム!」

「……なんだ?」

 

 そのとき、悟空から発せられるのは呼び声。 いまだ背を向けた彼の表情は読めず、だからだろう……動向が読めないシグナムはさらに警戒の念を強め――

 

「いま右手を胸まで持っていったな?」

『――――ッ!!!』

 

 衝撃が走る。

 

 この男、孫悟空はいったい何をしたんだ……

 

「な、なにを……」

 

 悟空の言葉に後ずさったのはヴィータ。 彼女はシグナムの仕草と、悟空の言い放った言葉を確認するとその心の内を激しく乱す。 偶然などではない! アイツは今絶対なる自信を持ってシグナムの行動を当てて見せたのだ……それに驚き――「お? ヴィータ、それ以上うしろに下がるとはやてにぶつかるぞ?」

 

「なっ!?」

「え? えぇ!?」

 

 今度は二人分をしっかりと当てて見せる。 この正確さはなんだ! なぜ自分たちの行動が手のひらを動かすように簡単に当てられる!

 この男は……いったい何をしたんだ!!

 

「孫……おまえ……」

 

 シグナムが言葉を漏らす。 決して呼びかけたわけではないそれは驚愕からくる呟き、それを聞くと悟空はふいに振り向き、昔に言ったあの言葉をシグナム達に言い聞かせる。

 

「目で見るんじゃなくって感じるんだ。 そうやって相手が持っている『気』を探って、その流れを読む」

「気……流れを読む……?」

「そうだ、その要領でおめぇたちが持ってる“普通の奴が持ってないナニカ”を感じとったから、おめぇ達もなのは達みてぇに『まどーし』ってやつなんじゃねぇかなって思ったんだ」

「そう……だったのか……」

「はは、そうだったんだ!」

「……はぁ~~」

 

 腰から座り込むシグナム。 まさかこれほどまでに緊張をするとは思わなかった彼女。 不測の事態、聞いたことすらない得体のしれない力を持った男と相対するかもしれないという状況は、彼女に多大な重圧をかけた。

 故にそれが解かれたせいで彼女は肝心なことを聞き落す。 彼が自分たちと比較にしていた人物がいるということを。 しかしそれは――

 

「すまない……昔にいろいろとあってな、つい他人を疑う悪い癖が……」

「別に気にしねぇさ。 こうやってわかってもらえるんだから、まだいい方だぞ」

「そ、そうか。 すまない。 まさかお前にこんな力があるとは思わなかったからな」

「そうだな、オラも言い忘れてたってのもあったしな。 誤解させてすまなかった」

 

 いまは関係ないのであろう。

 

 

 

PM 13時半

 

 時間は過ぎ去り、お昼を大きく過ぎた時間帯。 日差しが東から西に傾くはずの時間帯。 外には小鳥がさえずり、道路にはふとんを叩く音が木霊する。

 平和な時間帯……その時それは怒った。

 

「ああああ!! ゴクウおまえそれ!」

「んくんく……ん? どうかしたんか?」

「そ、そそそ……その――」

 

 起こった……いいや、やはり怒っただろう。 仔猫と子犬の週刊ぐらいで喚き散らすのはヴィータである。 彼女は開け放たれた窓の近くにいる悟空に向かて飛び跳ねる。

 まるで流星! 彼女はとび蹴りという一つの弾丸となったのだ!!

 

「それはアタシの―――!!」

「多重残像拳!!」

「ギャアア!!」

 

 どんがらがっしゃーーん

 

 大きな騒音を立てて消えていったのはご愛嬌。 彼女は、確かに星になった……シグナムと一緒に。

 

「こ、この! ヴィータ! いったい何を!」

「わ、わるいシグナム……でもアイツ! アタシのアイスを!!」

「もふ?」さくっ!

「あああ!! もう全部食いやがった!! アタシのストロベリー&チョコチップアイスを!! 最後の一つだったのに~~」

 

 ガクリ……かなりオーバーなアクションで膝から崩れ落ちるヴィータ。 そんな彼女の身を案じて、近づく悟空は空になったカップを指でクルクル。 余裕の完食ぶりである。

 

「あ~あ、ごくう、それはもともとヴィータのなんやで?」

「え? でも好きなもん食えってシグナムがよ」

「……あ」

「し~ぐ~な~む~」

「あ、いや……その、なんだ」

「んぐぐぐぐ~~」

「……わるかった」

 

 持っていないはずの鉄槌が、その打ち下ろし地点を変えた瞬間である。 これを微笑ましく見つめるはやてとザフィーラ。 さらに申し訳ないと後頭部を掻いているシグナムと悟空……それを見てしまったヴィータは、それ以上のダダはこねられず。

 

「いいよ……もう食べちまったんだから……うぅ」

「あちゃ~~ヴィータ! 悪かったから……な?」

「もういいって言ってるだろ!」

「ん~~(どうしたもんか)」

 

 見た目相応の『いじけんぼ』へと変身してしまったのである。

 それを見た悟空は腕を組んで床を見つめる……キレイにそろったフローリングは均等に並べられ、モダン的な美しさをこの家に――「あ、そうだ!」

 

「よし、ヴィータ!」

「え?」

「オラが買ってきてやる。 そうすりゃばっちしだ! ちょうどオラも、からだを動かしたいとこだったしな!」

 

 結構関係ないことを一瞬だけ思い過らせた悟空はすぐさま現実世界に帰還。 そしていちばんシンプルな答えを選んで彼女に言い渡す。 それはきっと初めてのお使い――

 

「はやて、ヴィータが食うアイスって商店街にいる帽子かぶったおっちゃんが売ってる奴だろ?」

「え? そうやけど……なんや、えらく細かいところを知っとるんやなぁ」

「まぁな。 前ぇに、モモコが一回だけ連れてってくれたんだ」

 

 だから場所は覚えている。 そう、場所だけなら完璧だとはやてに伝えた悟空に何の問題はない。

 だからだろう、ここではやては少しだけお願いすることにした。 どうせ向こうまで買い物に行くのだから、一緒に……

 

「せやったら晩御飯の買い出しも頼んでええかな? 買うモンはここに書いとったから大丈夫やと思うけど」

「お、これか? どれどれ……ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ……これ全部だな?」

「……大丈夫?」

 

 はやては小さなメモ紙を渡すと、見上げた男に尋ねていた。 その気はなかったのだが、そう聞かずにはいられない衝動に駆られるのだから不思議である。

 

「あぁ、任せてくれ!」

「……そんじゃお願いしようかな」

「おう!」

 

 ドンっと叩かれる悟空の胸板。 部屋中にその振動音が響き渡り、彼のスケールの大きさを思い知らしめる。 先ほどまでのためらいは既に消え失せた! そして悟空は庭に出て大きく息を吸い込む。

 其の姿になにを? などとどよめきを隠せないシグナム達に、悟空はあの者を――

 

「筋斗雲やーーーーい!!」

『――っうく!』

 

 思わず耳をふさぐ大音量。 それと同時に悟空は空に跳ね、『彼』に乗っかる。

 

「これなら気が使いづらかろうが、脚怪我してようが関係ないかんな」

「雲……なのか?」

「あ、このあいだ乗ってた!」

「お? そっか、はやては見たことあんだよな。 筋斗雲っていってな、オラの友達だ。 よろしくしてやってくれよ?」

『あ、はい……』

 

 悟空の召喚術に、というより召喚されたものに驚きを隠せないシグナム達。 ふよふよと浮かぶそれを凝視しては、その魅惑的な黄色い表面に手をのばそうとする。

 

「…………あ」

 

 触れたのはいちばん近かったはやてである。 押し込んでは引き戻し、低反発まくらと羽毛布団の中間点くらいな独特の触り心地に思わずつぶやいたのはたった一言。 だがそれでいい、それが正しい。 その反応、その対応こそが彼に対する最大限の惨事となるのだから。

 

【…………】もくもく

「はわ! うごいた!!」

「あ、主! 孫、これはホントに……」

 

 年齢通りの反応で雲に触りだしたはやてに、動くことで答えた筋斗雲。 それに過剰反応するシグナムはまるで現代にタイムスリップした侍か何かの様で、人差し指でツンつくツン……触れた感触に微妙な顔をしている。

 ジト目……しいて言うなら、メロンとかスイカとかを切る際によく見かける半円上の目になると、悟空にうねうねと視線を送り込む。

 

「大ぇ丈夫だって。 とってもいい奴なんだぞ? 一回消えてなくなっちまったけど」

「そう……なのか」

「あはは!」

「……まぁ、主が喜んでいるのならばよいが(まずい、何が不味いって…………気持ちがよすぎる)」

「なんか言ったか?」

「なんでもない……」

 

 悟空の無害宣言で何となく落ち着いたシグナム、だが彼女のようすはどことなく可笑しい……おかしい。 それに気づくが追求することがない悟空は背を向ける。

 何にも書かれていないただのオレンジ色の布地を使ったジャージは物足りなさを感じさせ、それがわからないシグナムはその背中に……

 

「…………ん」

「そんじゃま、はやて! 行ってくる!」

「気ぃつけてな?」

「おう! いざとなったら『気』ぃつかうから大ぇ丈夫だ」

 

 なにか大きなものを感じ取り、それがやっぱりわからない彼女は無言で彼を送り出す。 挨拶ははやてが済ませた今、自分が送り出す声など必要はないだろう。 そんな消極的に思える思考の中……

 

「おめぇたち! はやての事、よろしくな! じゃなーー」

 

 悟空は、大空へと翔けだしていく。

 妙にはやてを気遣う悟空。 それは彼が持つ優しさか気遣いか? それとも彼にしかわからない何かがあるというのであろうか……とりあえずそれは、常夏の季節が過ぎるまではわからない物語である。

 

 

 

~~2時間後~~

 

 春のそよ風が、その温度を徐々に下げていく時間帯。 海風が混じった空気は、ほんの少しだけ潮の匂いを漂せるそれを突き抜けていくのは孫悟空。

 どんなに大きくなろうとも、どれだけ常識を身につけようとも彼は彼、この大空を飛び回る感覚はいつだって胸を弾ませる。

 

「まいったなぁ。 肉屋が見つかんねぇ……なんで今日に限っておっちゃん休んじまってんだ?」

 

 だが彼の顔は渋い。 目的の物が見つからない、彼はほんの少し筋斗雲のスピードを落とす。

 

「野菜とかは畑にいる“いつもの”じいちゃんに貰ったし……他のヤツは縁側にいるばあちゃんがくれたしなぁ」

 

 ちなみに彼、今のところ財布のひもを解いたことはない。 それがどういう意味かはあえて書くことはしないが、決して悪い意味ではないということを記しておこう。 あぁ、それと「おんやぁ、ごくうちゃんかえ? こんなに大きくなってまぁ……」というセリフの後に、“おみやげ”だと言っていろいろ貰っているというのも書いておこう。

 

「肉……肉かぁ……恐竜が居ればすぐに手に入るんだけどなぁ……この辺にいねぇかな………?」

 

 何やら物騒なことをつぶやく彼はスッと急停止。 どこか遠くの方をながめている彼は、首をゆっくり傾げる。

 

「なんだ? とっても懐かしい感じの気だ……だれだ?」

 

 それはとても小さいけれど、とてつもない存在感を与える『気』

 

「キョウヤでもシロウでもない……ん? じゃあ誰なんだ?」

 

 それはもちろんなのは達でもない、さらにリンディ達でも誰でもないそれに頭の中をこんがらせると、悟空は進路を変えようとして。

 

「お? なんだなんだ? こっちからも変な気を感じる……誰だ?」

 

 段々と現れる知らない気のオンパレードに若干だが戸惑い、だけどすぐに周りを見渡す。 今までに感じたことがない奇妙な『気』を探している悟空は、それをすぐに見つける。

 

「な、何すんのよアンタたち!」

「や、やめてください―――ひゃッ!!」

 

 何やら取り込み中の様だ。 それを高いとこから見下ろす孫悟空は動かないし駆け寄らない。 今の叫び声だけでおおよその見当がつくはずなのに、それでも動かないのはなぜか?

 

「あ、思い出した! アリサとすずかだな!」

 

 遠い昔を悠長に思い出していたから。

 おおよそ8年前の出来事で、周りの時間は三日しか経っていなくって。 だから悟空がこんなに思い出すことが遅れるのも無理がなく、周りからしたら何してんだコイツと言われるのも仕方なく。

 

「そうか! あいつ等になのはがどこ行ったか聞けばいいのか!」

 

 なんて呑気にやっている間に、彼女たちが連れ去られてしまうのも致し方なくて。

 

「あり? あいつ等どこ行くんだ? あっちはすずかの家はねぇはずだろ……ん?」

 

 偶発的に怪しいと睨んだ悟空。 もしもここでそう思わなかったら……そう考えるのは無駄なこと、こうやって考え至ってくれたのだから今回はセーフであろう……

 右を見て、左を見て、そして正面を見た悟空はそのまま――

 

「うっし! 追っかけてみっか!」

 

 筋斗雲のエンジンを再点火させるのである。

 

 

海鳴市 郊外

 

「…………」

「…………」

 

黒いワゴンが法定速度をきっちり守りながら走行していた。

まるで必死に周囲と溶け合おうと、いかにも一般車両と言った風を装うこの運転。 周囲の車は行儀悪く速度オーバーしながら走り去っていくのに、これでは逆に目だって仕方なく、だが速度オーバーで捕まるよりは……故にこれはかなり頭のいい行動なのであろう。

 

「へへ、やりましたねボス」

「あぁこんなにうまくいくとはな、10日も待った甲斐があったってもんだ」

「でもまさかバニングス家の令嬢まで一緒に確保できるなんて、私たちついてますね」

 

 車内には5人が乗り込んでいた。 運転席と助手席に背の低い男が二人それぞれ座っており、後部座席には小学生くらいの女の子が二人と、長髪の20代の女性が一人。

 最後部は収納されており何やら大きな黒い箱が鎮座していた。 そのいかにも物騒ですよと存在感をアピールするそれを敢えて無視して話を進めよう。

 

「ごめんねアリサちゃん、わたしのせいで」

「なにいってんのよ、こうなったのもみんなあいつらのせいじゃない」

 

少女たちの状態は、まず両腕を後ろに回され手首をロープで拘束され、足首にも同じようにロープが掛けられている。縛られた少女たちの片方……緩いウェーブがかかった青紫の長髪の女の子の名を月村すずか。 こんな状況でも気丈にふるまう金髪のロングストレートはアリサ・バニングスという。

この両名は、学校が昼で終わると下校途中の林の中で欠席となったなのはの話をしている途中、突然背後から襲われそのまま袋に入れられてしまう。 その勢いを殺さずに車まで運ばれ、そこから2時間後の午後3時30分。

 

            がたん!!

 

ワゴンに大きな振動が走った。

 

「う~~~~」

「な、なんなのよ!?」

 

 突然の振動で全身に軽い衝撃を受けた少女達。 彼女たちは外を見渡すも、広がる闇だけの風景は不安をただ増大させていくだけで。

 

「もう……どこよここ……」

「わかんない……(うっすらだけど鋼板みたいのが見える……普通の場所じゃないみたいだけど)」

 

 それを正直に吐き出すアリサの傍らで、内心で気丈にも自信を保ち、何かないかと打開策を模索するすずか。 そんな強い少女たちを傍らに置いておき、バカみたいな笑い声を出す□□□一味の御一行は上機嫌で。

 

「着いたか……我ながら完璧な作戦だ! なぁ? 周(しゅう)よ」

「へい、さすがですボス!」

「盗難車で逃げた後、そのまま貨物船に紛れ込んで逃走し、どこぞの研究所にこのガキを売りさばく予定だったが。 バニングス家の嬢ちゃんが一緒となっちゃ話は別だ! 身代金をたんまりいただいて行こうじゃないか!! ぐふふふ、はーはっはっ!」

「さすが『炒飯』(いためし)様、完璧な作戦の上にこのような臨機応変な対応……恐れ入ります」

「これ米(まい)! その名でわたしを呼ぶんじゃない!」

 

 あまりの展開のスムーズさに、自画自賛の嵐を巻き起こしていたりする。

 どこかの世界の似たような3人組が聞けば、やはり賛同しそうなこの状況。 だがその二つの3人組どもがもつ、唯一の相違点がある……それは。

 

「ん」にっこり!

『……え?(なにあれ?)』

 

 お邪魔虫の存在であろうか?

 

 誘拐犯の3人は自分たちの立てた作戦がうまくいったことに歓喜していた! 油断していた!! そう、船に乗って外国まで逃げてしまえば普通の方法では捕まえることは困難、『この世界にいる誰もが』自分たちを捕まえることはほぼ不可能であろう……と。

まさか自分達の乗っているワゴンのすぐ後ろに『非常識』がついて回っていることも知らずに。

 

『がーはっはっは♪』

「…………誰だろ?」

「なにもん?」

 

 彼らはそのままバカな笑い声を上げつつ走っていく。

 目指す目的地は無人の倉庫。 そこで一息入れようという算段は確かに正しいだろうし間違いではない。 緊張をほぐすことは必要なのだから……そう、その場が彼らにとっての安息の地になればの話だが。

 

「よし! 降りろお前たち!」

『きゃっ!!』

 

 ついに到着したその目的地。

 

「ちょっとあんたたち! わたしたちをどうする気なのよ!? こんなことしてタダじゃおかないんだから!!」

「あ、アリサちゃん。 あんまり刺激したら……はぁ……はぁ」

 

 

 アリサが爆発していた。 大爆発である。

 車にゆられること2時間、そこから船に乗せられ30分、そんな時間拘束されていた血気盛んなバニングス家のご令嬢の怒りゲージはMAXであった。

 それをたしなめるように後頭部に汗をかいているすずかは若干消耗していた。

 

(だめ、あたまがクラクラする。 こんなことならおねえちゃんの言うとおりに『アレ』を飲んでおけばよかった)

 

――――――――決して疲れではない理由ではあるが。

 

 

「ぐぬぬ、この娘っ子はなんて生意気なのだ! きさまホントに人質という認識があるのか!?」

「落ち着いてくださいボス」

「そうですよ、身代金を貰ったらさっさとどこへなりとも売り飛ばしてしまえばいいんですから」

 

 3人組はかなり手を焼いていた、特にアリサが騒がしいと言ったら……それこそ拘束を引きちぎって其処ら中暴れまわりそうな勢いである。 何とも手を焼かせる小学3年生だ。

 

「がるるぅ!」

「えーい! うるさーい!! こうなったら少し痛い目を見てもらうしかないな」

「……な、なによ?」

 

 ボスと言われた男が懐から出したもの、それは黒い鉄の塊……拳銃であった。

デザートイーグルと呼ばれるその自動拳銃。 マグナム実弾と呼ばれる弾丸を運用することのできる非常に強力な銃であり、射撃時の反動はとても大きく通常の警官が使うような『トカレフ』などよりは扱いづらいが、銃自体の質量が大きく、ボルトやスライドの後退動作によって射手への反動の伝達が遅延され、体感される反動は“同種の弾薬を使用する”他の回転式拳銃に比べれば小さい。

 

 …………何が言いたいかというと、小柄なこの男にも使えるとっても強い鉄砲だっていうことなのである。

 

「そんなもの出したって全然――」

「だまれーー!」

 

 それでも黙らないアリサに向けられた黒い鉄塊。 その冷たさはいまだアリサには届かず、それに痺れを切らせるように男は、アリサのすぐ横に向けて照準をずらした状態でトリガーを引く。

 

「――ッ!! …………うく」

「うぅ…………」

 

 一発の銃声が響く。 あまりにも乾いた音は、其の力に対する少女たちの無力さを思い知らせるかのようで、アリサは黙り込み、すずかは恐怖のせいだろうか……その小さな身体をビクビクと震えさせる。

 

――――――その姿に

 

「ふん、ようやくおとなしくなったか……これでわかったろ?」

 

 男はくだらない自尊心を満たし、いかにも満足したかのような表情を作り……

 

 

 

「なにがだ?」

 

 

 青年は、目尻をとがらせていた。

 

「なにがってそりゃ……て、誰だ! 貴様!?」

 

 唐突に聞こえてきた声に視界を再確認した小男の表情から満面の笑みは消えていく。 いつからいた? いつの間に……自分達と人質の間に割って入った!? 驚愕の表情の小男はここで気づく。

 

「弾……あれ!? 今撃った弾はどこ行った!!」

「へ? ボス??」

「……どこと申されましても」

 

 たった今撃ちだされ、亜音速で飛んで行ったマグナム弾の行方である。

 撃ち出したのならすぐ様に着弾音が鳴り響く音が聞こえてもいいはずなもの、なのにそれが聞こえない……というより、弾痕すらどこにも見当たらない、いったいどこ――――「たま? 球って、今飛んでたコレの事か?」――――に行った……のであろうか?

 

「え?」

「うそ!?」

『な、なんだとぉ!!』

 

 その場の誰もが驚きのたまう。 

 

「いやよ? アリサに当たりそうだったからよ? とっても速かったみてぇだけど掴めねぇモンじゃなかったしな、取っちまった!」

『取っちまったって……』

 

 いとも軽くあっけらかんに、そんな感じの彼は若干怒っているかのようにも思えて……だがそれがわからないこの場全ての者たちは――――

 

「いよっと……おめぇたち! ちょっと待ってろ!」

「え? ええ!?」

「え! あ、ウソ!?」

 

 いつの間にか10メートル単位で移動していた彼に、自分たちの常識をことごとく崩されていくのである。

 少女二人は目を見開いた。 それは当然だろう、なにせついさっきまで冷たい鉄板の上で無造作に座らされていた彼女たちが、今は正反対の暖かい腕の中でお姫様みたいな抱っこをされているのだから。

 

「遅くなってわるかった……ちぃとばっかし気付くのが遅れてな。 すまねぇ」

「は、はぁ……(……あったかい)」

「にしてもよく泣かなかったなぁ、えらいぞ……」

「あ、あんた……なんなのよ……うくっ」

 

 震えていた身体が、その振動をやめた瞬間であった。

 圧倒的な安心感。 まるで日の光に包まれているかのような感覚は彼女たちの瞳に、ほんのりと雫を零させようとする。

 冷たかった、痛かった。 その声を代弁させるかのように悟空の胸に顔をうずめていく彼女たち、それを感じ取った悟空は……

 

「――――ッ!!」

「え?」

「なに……?」

 

 剣よりも鋭いまなざしをする。

 これに戸惑う少女達。 なんで? 怖い顔を向ける彼がわからなくて……けどそれもほんの少しのあいだである。

 

『え? ええ?! ロープが……』

「これで立てるだろ? っこいしょ……ちょっとのあいだそこに居んだぞ?」

『は……はい……』

 

 悟空がとった行動は皆にはわからない不可思議なもの。

 それはつい数時間前にはやて達に披露したコップ手品のタネ……『気合砲』である。 それを極小規模で放ち、彼女達の拘束を取って捨てるとゆっくり床に降ろす。 まるで紳士かナイトのよう。 そんなことを思い描いた彼女たちを背に、悟空はほんの少し大人気を放り捨てる。

 

「おめぇたち悪いことは言わねぇ、すずかとアリサに謝って……」

 

その言葉を放つ彼は、一陣の風を纏う……

 

「とっとと帰ぇれ!!」

 

 青年の第一陣――いいや、準備運動の始まりである。

 




悟空「おっす! オラ悟空!!」

アリサ「ほぇ~~(なんて非常識な……)」

すずか「あったかい……ん~~」

悟空「あり? なんだよおめぇたち、そんなぼうっとしてねぇで早く次の話をよ」

二人「ぼ~~」

悟空「あっちゃ~~ こりゃ後でキョウヤの奴にどやされちまうかなぁ? まいっか! 次回!! 魔法少女リリカルなのは~遥かなる悟空伝説~ 第18話 大猿男と吸血姫」

すずか「わたし……わたし!」

悟空「……どうした? 言いたいことあんだろ? オラちゃんと聞いててやっからさ。 ちゃんと言ってみろ」

すずか「わ……わたしは――」

忍「…………がんばって。 すずか……」

悟空「またな!」

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