魔法少女リリカルなのは~遥かなる悟空伝説~   作:群雲

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タイトルの割には、出てくるのはかなり後半のあの子。
前回の展開があまりにも悲壮に過ぎたらしいので、ここはひとつハートフルにでも……悟空さんが動くということなので、砂糖を吐き出すほどに甘いことなんてできませんが。
朗らかな気分になってもらえればこれ幸いです。

では、45話です。


第45話 闇からの脱走者

 闇が胎動する次元世界の彼方。 そんな遠くを見通すことがまだできない悟空はまだ知りもしなかった。 いま、世界を覆い尽くそうと、友や仲間が無残にも貪りつくされていることを……

 それを知り、強く拳を握りつくすのはいつの事か――今只わかることと言えば、この世界に戦士の咆哮が轟くであろうという結果だけである。 悟空は……サイヤ人は“戦”前の空気を微かに感じ、今日という日を歩いていく。 自身の足で、自身の考えで……

 

 

 

「なぁリンディ。 オラに会わせたい奴って誰だよ?」

「え? あぁ、そういえば言ってなかったわよね」

 

 ちょっと前にシグナム達と戦って、そんでドラゴンボールを集め始めて“2、3日くれぇ”経った頃だ。 今の実力で行けるようになった新しい“せかい”を彷徨ってた頃にいきなりリンディが念話で話しかけてきやがった。 その声があんまりにも切羽詰ってそうだったからよ? オラ、急いで瞬間移動で駆け付けたんだけど……

 

「なんだよおめぇ。 結構、元気そうじゃねぇか」

「……?」

 

 来てみりゃいつも通りで、なんだか拍子抜けだったぞ。 まぁ、変に落ち込んでたり、気が滅入ってたりされても困るんだけどな。 それはそうと、今オラはコイツに呼ばれてミッドチルダってところに似た場所に来てる。

 前に行ったときとは別に、一回行ったことはあったけど……そん時も相変わらずでっけぇ建物がならんでて、空が見えなかったりすんのは西の都みてぇだったな。 んなこと言ってもみんなにはわからねぇからあんまし口にはしねぇけど。

 

「今日はね」

「ん?」

 

 お、ついに話が聞けんのか? いい加減、界王さまみてぇに要点を後ろに持っていく会話はこりごりだからな。 こうやってさっさと話してくれるようになって、オラうれしいぞ。

 でも、リンディのやつどうしたんだ? なんだかおかしそうに笑ってやがる……いったい何がおかしんだ?

 

「今日はクロノの師匠と、その“保護者”にあってもらいたいの」

「ふーん」

「あら? やけにそっけないのね……」

「…………」

 

 ししょうかぁ……そうか、あいつにもシショウが居るんだなぁ。 まぁ、クロノはなのはやフェイトたちに輪をかけて頭で考えるような戦いかたすっからなぁ、それを教えてくれる奴が居て当然か……ん?

 

「師匠?」

「……? え、えぇ」

「…………師匠!!」

「ふぇ!?」

 

 し、師匠って……クロノのか!? どうしてあいつの師匠がオラに用があんだ!? ま、まさかこのオラに稽古をつけてくれようってのか! そりゃあ楽しみだなぁ……はは! いったいなに教えてくれんだろうなあ。

 

「残念だけど悟空君」

「お?」

「あなたが考えてるようなことはないから……」

 

 え? ホントか……ちぇっ、つまんねぇ。

 

「そんな子供みたいな顔しない。 今日はホントに難しい話をしてもらったり聞いてもらったりするんだから。 もっとしゃんとして?」

「むずかしい……話?」

 

 なんだよそれ。 オラ聞いてねぇぞ。

 あ、リンディの奴いまイジワルな顔しやがった……ああいうときは大抵カリンさまみてぇなこと事しだしたりするんだよなぁ。

 

「おめぇ言っとくけどオラ――」

「難しいはなしは聞いてもわからねェし、言おうとしてもこんがらがる。 そう言いたいのは承知の上……よ」

「うげ」

「でも、今日はそれでも来てもらいたいの……あのヒトのたっての願いだから」

「あのヒト?」

 

 誰の事だ? オラが知らねぇ奴の事か? ……よし、当ててみるかな。

 

「プレシア」

「……」

「なのは」

「……」

「フェイト」

「……」

 

 まぁ、違うよな……クロノだったら直接いってきそうだし、ユーノもおんなじ理由で違うと見た。 ……誰だ?

 

「なぁ、いったい誰なんだよ?」

「……着いたら紹介するわ」

「てことはオラの知らないヤツか」

 

 そんじゃあ仕方ねぇ……よな? 知りもしねぇヤツの名前なんか出されたって、どういっていいかわかんねぇモンな。 ――とと! いきなり曲るなってッ…次は左で右に行って…ノロノロ真っ直ぐいって……

 

「なぁ、まだかよ?」

「もうすぐよ」

「オラいい加減退屈だぞ。 ……はぁ、誰かわかれば瞬間移動でズバーって、行けるのになぁ」

「無理を言わないで悟空君。 あなたのそれは報告には入れてないのだから、もしも他の人に見つかりでもしたら大変よ。 今だって、人がいない時間を狙って行動してるのだから」

「……ドロボウみてぇにな」

「余計なことは言わない!」

「……おう」

 

 最近なんだかリンディがオラにだけ厳しくなってきた気がする。 なのはやフェイト、それにユーノにはあんなに優しくするのにな。 このあいだだって、オラのお茶に砂糖なんかめいいっぱい入れてイタズラしてくるし。 困ったもんだぞ。

 

「何か………………不満?」

「……なんでもねぇ……です」

 

 その目は止めろって! 目の中に光がなくって気色が悪いったらねぇ……あり? これって前にフェイトがやってたような目だなそういや。 いつだったっけか? 忘れちまった。

 

「とにかく悟空君。 これから会う人は管理局でもかなりえらい立場にいる方で」

「おうおう」

 

 ちぃと小腹がすいたな……あとでなんか食うか。 今日は恐竜じゃなくって魚がいいかな? 身体作るには“えいようばらんす”が大事だって界王さま言ってたもんな。 

 

「わたしもかなり良くしてもらっているし」

「おうおう……」

「クロノの師匠の保護者でもあって――」

 

 リンディ、そりゃあさっきも聞いたぞ。

 

「歴戦の勇士とも言われてる方だから」

「おうお……う?」

 

 よし今日は魚に決定!! さっさと話し終わらせ……んん? いまリンディ何て言ったんだ……? れきせんの……ゆうし?

 

「“ゆうし”ってあれか? とっても強くて頼りになるっていうアレの事か?」

「たぶんそうね」

「……へへ」

「あ、まずい」

 

 そうかぁ! オラこれからそんなスゲェ奴に会うんか。 なんだリンディ、そう言う事なら先に行ってくれよ。

 

「そんなスゲェ奴の気なら――」

「ちょっと!? 悟空君!?」

 

 さっさと探って瞬間移動で会いに行こうぜ。 ほれ、そんなところで突っ立ってねぇで、オラにしっかり捕まってろ。

 

「こ、腰に手――ねぇったら!」

「気はそんなに強くねぇ……けど、強い魔力がまとまったところがあるな。 ここか……――――」

「もう! ごくうk……――――」

 

 へへ! リンディの奴ほんと人が悪いぞ。 こういうイタズラばっかりしてさ。 オラが退屈なのを笑ってると思ったら、実はこんなうれしい知らせを用意してんだもんなぁ――はは、なんか面白くなってきたぞ!

 

 

ミッドチルダ標準時間 AM11時……とある時空間・管理局中継基地内

 

 近代的で未来的、現代の地球ではお目に掛かれないような機器が並び立つこの空間。 外はオーロラ状の空間で敷き詰められ、まるで砂のようにその光の形を変えていく。

 そんな幻想的な世界を窓枠に収めたとある一室、そこには三人の人物が鎮座していた。 一人は初老にも見える男性。 もう二人はリンディよりは幼く、エイミィよりは歳が行ってそうな女性。 その三人が、まさに沈痛とも消沈とも取れる表情を顔の中で染め上げていた。 ……そんな、真剣な彼等をあさってに蹴っ飛ばすかのように――――…………

 

「とうちゃっく!!」

「なに?!」

『きゃあ!?』

 

 青年は、空間を割って入りこんでくる。

 

 

 

「へぇ……こいつがそうなんか?」

 

 見た感じ士郎よりもずっと歳が行ってそうだな。 でもガタイは良いし、背もオラぐれぇあんのか? いや、ちぃと高ぇかもしんねぇかな。 へぇ、気の方は大したことねぇけど、魔力は結構大きいんだな。 確かに歴戦の勇士なんて呼ばれるだけはあるかもしんねぇ。

 

「はは!」

「な、なにか……おかしなことでも?」

「ん? いや、なんでもねぇ」

「ちょっと悟空君……」

 

 行き成り現れたオラに、言葉だけ驚いたいまの物腰からわかる。 コイツ、結構な修羅場をくぐってきたな? それに……

 

「なぁ! おめぇ――」

「悟空君!!」

「痛っ~~~~……なにすんだリンディ!!」

 

 かぁ~~! おめぇ、いきなり“グー”で殴ることねぇだろ。 いちち……あ、頭に少しコブが出来てら。 今のオラにここまでダメージ“徹す”のもある意味驚異的だぞ……実は隠れて修業でもしてたんじゃねェのかコイツ。

 なのはにはダメって言ったくせにずりぃヤツ。

 

「なにがずるいのかしら!?」

「……なんでもねぇぞ」

「そう、それはよかったわ」

 

 ……もしかして今の聞こえてたんか?! 恐ろしいくれぇ地獄耳だな。 閻魔のおっちゃんもびっくりなんじゃねェのか?

 

「というより悟空君! あなた提督に向かってなんて口のきき方をするの! 失礼だから、おめぇ―ではなくて、“あなた”とか言っておいてもらえないかしら」

「え? あ、あなた……ん~~なんかやだなぁ。 界王さまみてぇに“ていとくさま”って呼べばいいんか?」

「……は、はは」

 

 リンディ……どうやらおめぇの考えはダメみてぇだぞ。 目の前の“ていとくさま”のおっちゃんが困ってるみてぇだ。 何となくその後ろにいる二人組も困った顔してるしよ、どうすんだ。

 

「なぁ、そろそろ落ち着けよ? おっちゃん困ってるみてぇだし」

「お――ッ!?」

「ははは。 そうだよリンディ、少しは落ち着きたまえ」

「提督!?」

 

 ほれぇ見たことか。 おっちゃんだって困ってたんだって。 いちいち変なところで騒ぎ出すんだからよぉ、困ったもんだぞ。

 

「……あなたに言われたくないんだけど?」

「お!? おぉ……」

 

 やべ! なんだ今の不吉な気は……一瞬界王さまを超えたんじゃねぇンか。 いや、気のせいか。

 さてと。 歴戦の勇士ってのにはあったけど、こっから何する気だ? 話して終わりってんならさっさと帰ってボールさがしを再開したいんだけどな。

 

「なぁリンディ。 オラこのまま話すだけなら帰るぞ? ここに居たって時間食うだけでよ。 ボールだって集まりゃしねぇし」

「ぼーる?」

「ぎゃ!? ご、ごご悟空君!!」

「むぐぅ!?」

 

 何すんだよおめぇ! コラ! いきなり口をふさぐんじゃねぇって……この!

 

「    」

「あ」

「リンディ!!」

 

 つい……振り払おうとした右手がアイツの顎にかすめただけだったんだ、ホントだぞ? でも、それが不味かったんだろうな……前に悟飯が勉強してた“てこ”ってヤツだったか。 あれでアイツの首が結構な具合にひん曲がってら。

 声どころか身じろぎしなくなっちまったが、どうだ? 一応、急所は外したとは思ったんだが……

 

「いまのは……」

「入ってたよね……」

「やっぱおめぇたちもそう思うか……ははは」

 

 おっちゃんの後ろにいた娘たちも同意見だったらしい。 あーあ、こりゃ後でドぎつい説教が待ってる感じだな……やだぞオラ。

 

「……こほん。 一応、今回はお忍びだからね。 人を呼ぶわけにはいかないから、彼女にはそこのソファーに寝かせておこう」

「おう、オラも賛成だ」

 

 そんでそのまま夢だと思ってもらえば、リンディの疲れも取れて、オラは叱られなくて一石二鳥だな。

 

「あとで一部始終は説明しておくから、心配しないでくれ」

「……そうか」

「?」

 

 ははは……やっぱりどこの世もうまい事運ぶ訳ねぇか。 ここは素直に怒られておくべきだよな、なんてったってオラがいけねんだし。

 

「さて」

「?」

 

 なんだ? おっちゃんの雰囲気が変わった気がする。 なんていうか感覚が研ぎ澄まされていくっていうか……うまい例えかはわからねぇけど、修行の時、冗談半分で超サイヤ人のフルパワーで当たろうとした時のなのはとフェイトの目だ。 間違いねぇ、覚悟を決めたって目だぞあれ。

 

「今回、実はキミ……孫悟空君とは他の管理局の面々を介さずに話をしたかった」

「……リンディもか?」

「そうだよ」

 

 どういうことだ? なんだか急にきな臭くなってきやがったぞ。

 まえにプレシアが管理局は信用するなって言ってたけど、まさかこのおっちゃんもなんか!? ……つうかよ。

 

「そういや、おめぇ」

「え!?」

 

 む。 いきなり構えを取った……? 何警戒してんだコイツ……まぁいいや。 とにかく今は、オラの方が聞きたいことがあるんだよな。 いつまでもこっちばっかり知られてるのもアレだし、そろそろ――

 

「おめぇの名前さ、教えてくれねぇかな」

「……あぁ、そういえば」

「いつまでも、ていとくさま~~なんていうのもいやだろ? オラの方も、そんな呼び方すっとまたリンディにどやされるし正直勘弁だ」

 

 お、なんかしんねぇけど、おっちゃんの身体から“りき”が消えてくぞ。 力んでいた全身が柔らかくなっていきやがる。 なんなんだ? さっきからどうしちまったんだよ。

 

「すまんね。 どうにも警戒してしまって」

「やっぱそうか? さっきから妙に強張ってたもんな。 腹でも痛ぇのか?」

「……ある意味、そうでもあるが」

 

 ある意味? まぁ、いいや。 とにかく今は名前だな。 えっと、名前を聞くときは自分からってのが礼儀なんだっけか? いやでもこいつらオラの事知ってそうだったし……やっぱ言っとくか。

 

「オラ悟空、孫悟空だ。 よろしく」

「あぁ、これはどうも」

 

 お、手ぇ出してきた。 あ、握手すんだよな……加減、加減と。

 

「はは。 どうも、どうも」

「こちらこそ」

 

 ふぅ。 どうやらうまくいったみてぇだ。 オラがちから加減あやまると、平気で誰かがおっ死んじまうから困ったもんだ。 このあいだのユーノやキョウヤも下手したら飛んでもねぇことになるとこだったしな、本気で気を付けねぇと。

 

「そういやリンディは手遅れだったな……」

「え?」

「あぁいや! なんでもねぇ、なんでも……はは!」

 

 ま、クロノの母ちゃんだもんな、なんだかんだで平気だろ。 さってと、オラの事は今の反応でやっぱり知ってたとみていいかもな。 やっぱりリンディが教えたんかな、まぁ、どうでもいいけどさ。

 とりあえず、次はついにおっちゃん達の番か。 どんな名前なんだろうな? 知ってる名まえだったりして……そんなわけねぇか!

 

「わたしは――」

「……」

「グレアム……ギル・グレアムだ」

「…………お!?」

 

 なんか、腹のあたりがゾクッてなった気がする……

 

「他の人からはグレ――「ギル……かぁ……はは!」……あ、ええ?」

 

 いいなまえだな。 なんか、聞いてて気分がよくなってくるっていうかさ。 こう、懐かしいっていうかなんて言うか……よくわかんねぇけど、とにかく。

 

「よろしくな、ギル!!」

「こ、こちら……こそ」

「お父さま相手に呼び捨て……!」

「しかもファーストネーム。 聞いた通りの天真爛漫というか傍若無人というか……」

 

 後ろにいるやつらがなんか言ってるけど、もしかして不味かったんか? あんましヤバかったら後でリンディたちになんて言われるかわからねぇしなぁ。 ……あれ?

 

「ん?」

「……なに?」

「ギクッ!」

 

 なんか……コイツらどっかで感じたことがあんぞ。

 

「悟空君?」

「ちょっとすまねぇ」

「え?!」

 

 後ろにいる娘っ子たち……背はオラより頭一個分小さくて、髪の色はプレシアに似てるかな? 片方、髪の長い方は何となく落ち着いた感じだな。 大人びてるっていうか、静かな感じだ。

 

「へぇ……そうか」

「にゃッ!」

 

 もう片方の髪が短い方。 こいつはもう、落ち着かない見た目まんまに、きっと活発なタイプのヤツと見た。 細かな身のこなしを見切っていくとわかるが、こいつはおそらく格闘主体の戦闘をするタイプだな。 気の方も、若干だがこっちの方が大きい。

 何より……

 

「おめぇ、このあいだの奴だな?」

「にゃ、ニャニをおっしゃるのやら……」

「ロッテ?」

 

 後ずさりの仕方、思わず驚いた時の仕草、とっさの対応をする時の癖。 これらすべてと、何より持ってる気の質でもうわかる。 コイツ、間違いなく……

 

「このあいだの、仮面被ってた奴だろ? おめぇ」

『…………』

「しかも、はやての家をグルグル回ってたっていう――」

「ぶふーーッ!!」

 

 うぉ?! ぎ、ギルのやついきなり噴き出してどうしたんだ!? 双子の方もあたふたし始めたし明らかに様子が変だ。 もしかして図星って奴なんか、オラが言ったことが全部当たったからこうなったんか。

 

「……こほっこほっ」

「おいおめぇ、大丈夫か?」

「す、すまないねぇ。 随分と突然だったから……ばれるとは思っていたけど、まさかこの段階でとは……恐れ入ったよ」

 

 ふーん。 こいつらあくまで隠そうとしてたんだな? 付け狙うような事しておいて、知らん顔で笑いかけてきてたんかコイツら……案外面の皮厚いのな。

 

「…………」

「……本当に、わるかったよ」

 

 ん? なんだ行き成り。 急に落ち込んだみてぇに肩を落としちまった……

 

「すべてはロッテ……こっちの髪の短い方の子から聞かせてもらったよ。 キミが“あの子”と親身になっていることと、それを阻害するわたしたちに送ってきた警告。 さらに、君自身を敵に回したときのリスク……全部をね」

「そうか」

「あぁ」

 

 なんか、会話がトントン進んでくな……

 

「ホントはね。 いや、こんな残酷なことをしているわたしが心を痛めているだなんて言っても、懺悔にもならないのは承知の上だよ。 でも、どうしても……闇の書をどうにかしたかったんだよ」

「……おう」

 

 い、いきなりお話が始まっちまった……どうすっかなぁ、むずかしいことはオラわかんねぇぞ。 でも、なんだかとてつもなく悲しい顔だ。 聞いてみよう、コイツの話。

 

「あれがとんでもないモノというのは……リンディとプレシア女史から聞いてるね?」

「おう。 なんでも、粉みじんにしても新しく復活する面倒くせぇ相手なんだろ?」

「……だいたいそんな感じだろう」

 

 こういう相手はおそらく初めてかもしれねぇな、いくら倒しても、遠慮なしに復活する奴なんてのは。 実際オラが相手取った訳じゃねぇからなんとも言えねぇけど。

 

「何が言いたいかというとね、わたしはあの闇の書を永久に封印しようとしてたんだよ。書の主――つまり、キミがはやてと呼んで、親しんでいるあの子ごと、ね」

「……なんだって?!」

 

 それってつまり……ん?

 

「どういうことだ?」

「……えぇっと」

「封印っちゅうと、ピッコロのときみたく壺とか電子ジャーなんかに入れたりすんのか?! でも、本相手にそんなもん……ん~~」

『電子ジャー……?』

 

 そもそも何で電子ジャーなんだろうな? 他にも何か代用が出来たんじゃねぇンか? たとえば…たとえば………

 

「なぁ、電子ジャーの代わりってなんだろうな?」

「す、炊飯器じゃないかな?」

「そっかぁ、炊飯器かぁ……」

 

 そんじゃ炊飯器で闇の書を封印でき……ん?

 

「なぁ、電子ジャーと炊飯器ってどう違うんだ?」

「な、名前かな?」

「そっかぁ」

 

 名まえが違うだけかぁ……オラで言うと、孫悟空とカカロットぐれぇちがうんか? ――てかよ。

 

「オラたち、何の話してたんだっけか?」

「……なんだっけ…………あれ!?」

「お父さま……気をしっかり」

「なんだろう、さっきまで真剣に悩んでいたわたしたちが阿呆に落ちていく様を見てるようだよ」

 

 なんだか、はやてをあーじゃねぇこうじゃねぇ――って話だったような、そうじゃなかったような……そうだ!

 

「思い出した!」

「え?」

「今晩は魚じゃなくって、モモコのとこで食うってことになってたんだ! いやー、危うくいつも見てぇに忘れるところだったぞ」

「……んん」

「そろそろ、話し、もどしたいなぁ」

「ねぇ、アリア? コイツってわざとなの? 本気なの? 前者だったら相当の癖モノよね?」

 

 なんか、双子の娘っ子たちがぶつくさ言ってるけど、気になんねぇからいいや。 さてと。

 

「そんじゃあ、聞かせてもらうかな。 どうして、おめぇたちがはやての周りをうろついてたのかを」

「――!?」

「いきなり雰囲気が……!?」

「この子――いままでわざと?」

 

 わざとじゃねぇぞ? モモコのはなしは、いままでホントに忘れてたし……あ、ギルの奴がまた強張っちまった。 少しだけ、力が入っちまったな。 殺気はないはずだし、これくれぇなら勘弁してもらえるだろ。 さすがにやりすぎると、今度こそリンディに説教喰らっちまうもんな。

 

「はやての事、もう大体察しはついてるが普通の状態じゃねぇんだろ?」

「よく、知っているね」

「まぁな。 初めて見た時から、あいつの中にある気がだいぶ不安定だったし。 何より最近になって魔力が異常に膨れ上がって来てやがる。 正直言って、普通じゃねぇぞ」

 

 ギルの目つきが今度こそ鋭くなった。 どうやら、ジョウダンはここまでみてぇだな。 結構横道ばっかり行ってたけど、こうやって真剣に話して、目を見ればすぐに分かる。

 

「そうか……」

「……へぇ」

 

 こいつが、本当に困っていることが。

 

「どうかしたのかい?」

「いや、おめぇさ、結構いろんなこと考えてるんだなって」

「?」

「そんで、考えすぎて、悪い方へ転がっちまったんだな」

「……」

 

 だからなんだろうな。 はやての名前出すたびに、ギルのヤツが右手を強く握るんだ。 苦しくて、苦しくて。 でも、他にやりようが無くって……さ。 そうだよな、こっちにはねぇモンな……“あんなもん”は。

 

「いまはプレシアが先約だ」

「え?」

 

 けど、今はあるんだ。 あんまし使うんはよくねぇって気がするのは、よくわからねぇ。だけどもしもどうにもならねぇってんなら――

 

「オラが何とかしてやる」

「キミが?」

「おう、そうだぞ? ……あ、正確にはオラが呼び出すはずの奴、なんだけどな」

「?」

 

 分らねぇって顔だな? 教えて――やりてぇとこだが、プレシアとリンディに口止めされてるからな……すまねぇが秘密にしておくか。

 

「そんで全部が上手くいったら、今度こそみんなで温泉に行くんだ……はは! あそこのメシは豪勢でうめぇかんな! ぜってぇいくぞ~」

「……そうか」

「おう!」

 

 ちぃと強引だったか? でも、いいや。 どうせこれ以上の誤魔化しなんてオラには思いつかねェし、何よりオラ自身そう思ってるし。 ……とと、そう言えば。

 

 「はやての様子がおかしいのって、実はその闇の書のせいだったりすんのか? ただの病気にも思えて、結構判断が難しくてさ」

「……どうだろう。 けど、分ることと言えばあの子が闇の書を起動させてから数か月の間はそんなことはなかったはずなんだ」

「へぇ」

「でもね、それはおそらく闇の書の中では予想外の出来事だったんだと思うよ。 欲のない主、自身を完成に導こうとしない不出来な主。 貪欲な魔本は随分と息苦しかったろう」

「……」

 

 本に……意思か。 なんだかとてつもねぇ話しだけど、オラが居たところにも似たようなもんはあるし、滅多なことは言えねぇのか? にしても、聞く限りではトンでもねぇ悪いほんだぞ。 持ち主が自分の思いどおりにならないからって、まさか殺しにかかるなんてよ。 オラの兄貴っちゅう奴よりも“たち”が悪い。

 

「……アイツがオラにまかせるといった意味、ようやく解ってきたな」

「え?」

「……あ、いや! なんでもねぇ」

「そうかい……?」

 

 いけねぇいけねぇ。 あいつのことは秘密だったんだよな……? あれ? 秘密なんだよな? 超サイヤ人で冷静にいられるように……正確にはシグナム達と戦った後あたりから“随分と昔に在った”ような気がしちまってるから、どうにも覚えがわりぃや。

 

「でさ、その闇の書を何とかするのって、具体的にはどうする気だったんだ? なんだか思い悩んでたもんなぁ、きっと尋常な手段じゃなかったんだろ?」

「……」

 

 あーあ。 こりゃ相当に重い話だったみてぇだ。 まるでまえにピッコロの話してた神様とおんなじ顔になっちまったぞ。

 

「闇の書にある転生機能。 あれは本、もしくはその主が回復不能のダメージを負った場合に、別の世界にて自身を再構築する機能。 ……あぁ、術者は当然その機能で復活できない」

「本だけなんだよな? 持ち主を置いて自分一人だけって、聞くだけでずるがしこいヤツくせぇ」

「ははは……でも、事はそう簡単じゃないよ。 この数多ある次元世界のどこかで転生されれば、当然足が付きにくくなる。 そこでわたしは、その機能の隙をつくことに決めたんだ」

「……へぇ?」

 

 隙? でもよ、聞いた限りじゃほとんど無敵じゃねぇか。 たとえ蒸発させたとしても再生する……どうやってカタ付ける気だ?

 

「……つまりあの子か、あの子のリンカーコアと深い結びつきを持った闇の書のどちらか一方が消失すると発動する転生機能、これを発動させないようにするには、そもそも術者を死亡させなければいい」

「……おう」

「だから考えたんだよ。 術者をそのままに、闇の書を永久に封印する術を」

「へぇ……」

 

 言ってることはイマイチあれだけど、とっても大変ってことだってのはわかった。 けどよ――

 

「それは、はやてに何らかの害があるんだろ?」

「……」

「だまってるってことは……そういうことだと思っていいんだな?」

 

 やっぱりな。 これじゃあ、さっき何となく思い出した神さまとピッコロだぞ。 どっちかが死ねばもう片方も死ぬ。 だから封印する術である魔封波を神さま使おうとしたんだもんな。 しかも今回は厄介な方がどっかに確実に逃げていくんだから手に負えねぇ。

 だからギルのヤツは相当に“無理のあること”をやろうとしてるんだろうけど――

 

「それ、必要ねぇからな」

「……」

「おめぇが考えていた詳しい話はもういいや。 そっから先は聞く意味がねぇ」

『…………』

 

 双子と一緒に、ギルの奴が黙り込んじまった。 でもいいんだこれで。 あえてそうなるように、きつめの口調で言ってやったんだからな。

 

「さっきも言ったが、オラに任せてもらうぞ。 今回の事件」

「……だがしかし――!」

 

 いきなり立ち上がろうとするギルを、オラは目線だけで押さえてやる。 何か言いたいことがあるんだろうけど、それでも今はこっちが喋らせてもらう。 もう、決めていたことをな。

 

「闇の書はなんとかする。 シグナム達も説得するし、はやても犠牲にはさせねぇ」

「……」

 

 何か言いたそうな顔だな。 でも、それでも続けてやる。 オラはな――

 

「できっこねぇ、無理がある。 それはいくらオラだって承知の上だ」

 

 諦めが悪いんだ。

 

「でもよ、できねぇと思ってそこで立ち止まってたら、結局何にもできねぇ。 オラの修行の経験則で言うんだけどさ、うまく行きたかったらとりあえず行動してみる――これで間違えたことは“あんまり”無ぇ!」

「……!」

「それに封印するってことは、死んであの世に行くことすらできねぇって事だろ? それってよ、きっと辛いと思うんだ」

「……」

 

 人間、現世では必死こいて生きて、死んだら閻魔さまのところで裁きを受ける。 そんで地獄なり天国なり行くもんだ。 なのにそれすらさせてもらえないってのは、辛すぎるぞ。 どんなに凶悪な奴だって、必ずあの世には行けるんだし。

 

「それによ」

「……うん」

「はやてはまだ10歳にもなってねぇンだ。 そんなヤツひとり犠牲にして平和になったとして、それでホントに満足か?」

「…………」

 

 正直、オラはイヤだ。

 出来るできないとか、他に方法がとか、そんなこと言う前にオラはアイツに酷ぇ目に会わせるのが嫌なんだ。 だってそうだろ? こっちはもう大の大人なのに、たった一人小さな子供すら守れないでのうのうと生きるなんて……

 

「オラは絶対に我慢ならねぇ」

「……あぁ」

『お父さま……』

 

 ギルの声が、微かに震えた感じがした。 顔は最初の強張った感じのままだけど、それ以外はもう全く違う状態だ。 姿勢も気勢も全くの別物。 あいつは今、完全に迷いが出てきている。 そうだよな、やっぱおめぇも嫌だったんだよな。

 

「初めて会った頃のプレシアもそうだったけどさ、おめぇたち子供にいろんなモン背負わせすぎだ」

「あぁ」

「もうすこしだけ、必死こいて頑張ろうぜ? あいつら、まだまだこれからなんだし、守ってやらなきゃな」

「ああ!」

『……』

「……いや、つっても」

 

 …………まぁ、なんていうか。

 

「オラも案外、人の事とやかく言えないのかもしれねぇけど」

「ええ!?」

『はい?!』

 

 ははは。 さっきまでの空気ってやつをぶち壊しちまったかな。

 

「オラも、悟飯の奴には色々メイワク掛けちまったし」

「……ゴハン?」

 

 “精神と時の部屋での修行中”に見せたあの……そんで、オラが思っちまったこれからを思うと、なんだか随分と偉そうなことを言っちまった気がする。 それ思うと、こんなに悩んでいたギルにはすこしだけ頭が下がるな。

 

「こっちもやっぱり、自分の子供には随分と無茶をさせてきたし――させるつもりだからなぁ。 なんともいえねぇのか」

「…………」

「悟飯のヤツは……もう――」

 

 きっとこのオラを……ん?

 

「どうしたギル?」

「あ、いや……いまキミがとんでもないことを言ったような気がして……」

「うん。 アタシも聞いた」

「わたしも……!」

 

 なんだなんだ? どいつもこいつも、いきなりオラに詰め寄ってきやがったぞ。 オラなんか変なこと言ったか? どいつもこいつもおどれぇた顔しやがって、どうしちまったんだ?

 あ、こらギル! おめぇそんな鼻の息がかかるくれぇに詰め寄んじゃねぇ! きたねぇからやめてくれ。 とと、やっと落ち着いたみてぇだ。 座ってた椅子に戻ると、あいつはそのままポケットからハンカチだして汗をぬぐってる。 そんなに焦ることなのか? おら何言ったんだっけか?

 

「キミ……もしかしてお子さんが?」

「居るけど……」

 

 それがどうしたんだ? 何か変なことでも……

 

「じゃ、じゃあ……結婚も……?」

「けっこん……あぁ、してっぞ」

【…………は――ッ!!】

 

 おいおい、みんなそろって飛び退くなんてどうしたんだよ。 まるでなのはのレイジングハートみてぇな声だしてさ。 おかしいったらねぇぞ?

 

「こ――! ……は、い、いまおいくつで?」

「30だ」

「!?!?」

 

 お、おいおい……ギルの奴、目ん玉飛び出してんぞ?! 双子なんかさっきから口きかねェし、髪の短い方は泡食っちまってるしで大変なことになってんぞ。

 

「じゃあ……キミは今何歳!?」

「だから30だって言ってんだろ? あ、死んだら歳食わねぇらしいからまだ29なんかな? そこらへん曖昧だけど、今もうそんくれぇだろ」

『……あぁ、貴方の年齢でしたか』

 

 他に何があんだよ? まったく変な奴らだなぁ。 そんなにオラの歳がおかしいんか? どっちかっていうとプレシアの方が尋常じゃない気がするんだけどなぁ。 亀仙人のじっちゃんや占いババさまはともかくとしてさ、アレはなんかもうおかしいもんなぁ。

 

「まぁ、オラの歳だとかそんなくだらねぇ話はともかくさ」

『くだらない!? そ、そうとは思えませんが……』

「ともかく! いいなおめぇたち。 こっからは勝手な真似してくれねぇで、できればこのまま大人しくしててくれ。 下手に刺激して、厄介なことにしたくねぇし」

 

 うまく行くか云々じゃなくって、まず“アイツ”の相手はおそらくこの世界の人間じゃできないはずだ。 よほどの事がない限り――それこそ、誰かが思いっきり弱らせるくれぇしないとな。

 

「厄介……?」

「そうだ。 いろいろあって、今のオラが本気になっても、もしかしたら敵わねぇってくれぇに強い敵がいるかもしれねんだ。 しかもそいつは、闇の書に深く関係してきているかもしれねぇ」

「もしかしてそれはキミの世界の……?」

「ああ。 この際、隠しはしねぇが、少なくともそう思っている」

「……」

 

 でも、イマイチ確信を持てないところがある。 確かにあの時感じた気はフリーザの物だったはずだ、だがどうにも違和感というかなんというか――少しだけ考えたけどやっぱりわからないモンはわかんねぇ。 とりあえず今日はこれくれぇか?

 

「……ん~~」

「悟空君?」

「いや、なんでもねぇ。 それよかおめぇたち」

『はい?』

 

 双子たちに視線をくれてやっと、オラはそのまま笑ってた。 前に会ってから言った事、それをものの見事に守ってくれてたあいつらにさ、オラはなんか言ってやりたくてよ。

 

「やくそく、守ってくれてアンガトな」

「約束?」

「…………」

「え? ロッテ?」

 

 ロッテ。 そう呼ばれた髪の短い方――このあいだ対峙した野郎と同じ気を持った娘はちょっとばかし俯き始めた。 なんだか、超サイヤ人になろうと頑張っていた悟飯に姿が被るかなぁ。

 あいつ、責任感ならなのはよりも数段上だろうし、今思えばとっても嫌だったんだろうなぁ。 自分が役に立てずに、周りの奴らが全員倒れていったのは……あっと、関係ねぇことだったな、いまは。

 さてと、うつむいてたロッテがこっち向き始めたぞ。 なんだか話ししたそうなんだが……わりぃな。

 

「おら、そろそろ行かねぇと……話は、また今度あらためてな」

「そうかい? なんだかまとまらない話ばかりだったけど。 それに――」

「まぁまぁ。 なんなら、闇の書を何とかした時の祝勝パーティでも開いてくれよ。 ターレスのときみたく、お疲れって言ってくれる人がいないのはあいつ等に悪いだろうし」

 

 オラはやりたいからやってるだけだけど、あいつ等は違う。 たぶんな。

 守らなきゃいけないから立ち上がって、戦わないといけないから立ち向かった――それが一番大きかったんだと思う。 こうなるともう、オラとは戦う理由が根本から違ってくるはずだから……な。

 

「……約束するよ」

「お!? いったな?」

「任せてくれ。 最高の宴にしてみせるよ……もちろん――」

「ああ。 全部うまく行ったらだ」

 

 それだけいうとオラは立ち上がる。 もう、ここで話すことはないのかもな……なんて、ちぃと悟った感じなのは見せかけだ。 実際、まだ話すことはあったのかもしれねぇし、聞かなきゃいけねぇことはたくさん残ってるかもしれねぇ。

 でもよ。

 

「やんなきゃいけねぇことが分かったんだ。 あとは、それに向けて突っ走るだけだ。 それだけわかってりゃあいつも通りするだけ――悪いヤツを、オラがブッ倒すだけだ」

「…………頼んだよ」

「任せてくれ!」

 

 ドン――っと、胸叩いて見せる。 とっても強く、大きく鳴らしてやった。 あいつ等の耳に残るように、とんでもなくな。

 

「さぁて、向こうはこっちより時間がずれてるから……そろそろおやつの時間だな? 帰るに良い時間か、さてさて、なのはの魔力……」

「悟空……君?」

 

 あったあった。 あいつ等、気はテンで大したことはねぇけど、この魔力ってのはホントにスゲェくれぇに持ち合わせてやがる。 イメージ的には気に混ぜ物したような感じ、……いや、別物なんだろうけど、こうして瞬間移動でとらえられるんだから似たモノなんだろう。 あり?

 

「おかしい」

 

 なんだこれ? なのはの周りに、同じくらいにでけぇ魔力がかなり集まってやがる。

 

「フェイトにアルフ、そんでプレシアに……こ、コイツは!?」

 

 どうなってんだ!? なんであいつらのすぐ近くにこの魔力が!? 活発そうで、気難しそうで……どこかアルフと似通った感じの魔力は!

 

「気になる。 急いでみっか!」

「なにか、異常があったのかい?」

「まぁな。 とにかくオラもう行くぞ? ここでじっとしている場合じゃなくなった。 そんじゃ――」

「待ってくれ、行くというならむこうの地球まで送って――」

 

 ギルがいきなり立ち上がってくる。 送るって言っても、おらにはその必要が……あ、そうかコイツ知らねんだ。

 

「大ぇ丈夫」

「え?」

「おら、ひとりでも地球に行けるから」

 

 だから少しの間だけ集中させてくれ。 いくら探知できる範囲がデカくなったと言っても、気が散るとできねぇ。

 

「なに言ってんのさ!?」

「そうよ。 大体魔導師でもないあなたが――」

「なんだおめぇたち、オラの事調べてたらしいけど、知らないことも結構多いんだな」

『どういうこと?』

 

 少しだけ騒がしくなったロッテたちを、片手で留めるとそのまま、オラは額に指先を伸ばしていく。 こうやって、一点に集中することで集中力を一気に底ましする術は、聞いた時には半信半疑ってやつだったが……こうも効果があるのはさすがだったな。

 よし、段々とつかめてきた。 複数の大きな魔力が渦巻いてるみてぇで、もしかしたら瞬間移動の到着位置がずれるかもだけど――

 

「行くぞ……――――」

『き、消えた!?』

 

 それでも、善は急げだ! 早く行ってやんねぇと大変なことになる。 だからもうすこしだけ待っててくれ――みんな!

 

 

 

 こうしてこの世界からサイヤ人は消える。 静かに唐突に。 全てのものが感知できない程の速さで――瞬間的に。

 

 変えてしまった物語を、自らの手で終わりに導くが如く。 彼はこの道を進んでいく。 その結果、自身の身に最大級の破滅が押し迫ってこようとも――きっと彼は、歩くことをやめないだろう。 そう、いつだってそうしてきたのだから。

 

 

 

 

 地球。 高町家、一階リビング。

 

 静けさを 割って裂いたる 孫悟空。

 

 彼の登場はまだ先なのだが、その彼がギル・グレアムたちと会話をしている頃であろうか。 この家の住人は、昨日拾ってきた珍客を相手に……

 

「はーい、脱ぎ脱ぎしましょうねぇ?」

「……やだ」

 

 結構、手を焼いていた。

 学校が休みである今日この頃。 悟空よりも幼く、尚且つ彼とは正反対に天邪鬼に見える“少女”に対して、この家の次女の保護欲は臨界を超えてオーバーロード。 彼女の脳髄はいま、幸せという花畑でいっぱいであった。

 

「……やめろよ……このぉ」

 

 少女の方もいっぱいいっぱいであるのだが……

 

「もう、そんなにボロボロの服じゃかわいいお顔が台無しだよ? お風呂も沸かしてあるし、一緒に入ろ?」

「やなモンはやだ!」

「変なところで似てるんだから……もう」

 

 そんな彼女に手を焼きつつ、美由希が思い起こすのはふたりの頑固者。 妹は要所要所で、もう一人は――兄から聞いただけ。 そんな人物たちが脳裏を過ぎる中、ここまで停滞した物語は新たな展開へと流れていく。

 

「あれ? 誰か帰ってきた?」

「…………うぐ」

 

 帰還者の声がちらほら。 小さな声を筆頭に、喧噪、疾走、闘争と、まるでまとまりのない間奏がこの家に流れていく。 そんな声たちで、大体の人物たちをあたまの中で思い浮かべることが出来た美由希は……それらに声を……

 

「お帰り、なのは」

「ただいまぁ~」

 

 かけていく。

 

「お泊りどうだった? おぉ、今日は随分……お~、なんかいっぱい連れてきたねぇ。 あ、プレシアさんこんにちは」

「こんにちは。 お邪魔させていただくわ」

「いえいえ」

 

 先頭からなのは、フェイト、アルフ、そしてプレシアといういわば“いつもの面子”で現れた彼女たち。 すっかりと女性色の強くなる高町の家は、既に女子会の会場を思わせる雰囲気をただ寄せようとしていた……そう。

 

「…………ち」

「こ、この子が……なんで――!」

 

 高町なのはと、招かれてしまった客人との対面が引き起こされるまで……は。

 

「こ、このヤロウ!!」

「なになに!?」

 

 飛び出したものが居た。 

 疾風怒涛!! 瞬殺と決め込んだ拳はなによりも固く……強かった。 忘れもしない、忘れようが無い! 大事な大事な主人の友人たちを――仲間を傷つけたこいつだけは絶対に。

 そう、いまかけていくその者の名は……アルフであった。

 

「アルフさん!」

「くらいな!!」

 

 血気盛んに攻める彼女の、攻撃的な音声をそのままに、なのはの制止の声すら届かずに駆けていく狼の牙は――「ぐじぇぇ!?」

 案外簡単に止まってしまう。

 

「アルフ……“待ちなさい”」

「かあさん……魔法障壁の展開が早い!?」

「フェイトちゃん、驚く箇所が違うよね?」

 

 紫の壁がオオカミの速さを失踪させた。 いかにも、めんどくさそうな声を流し目で強化して、ぞっとするような雰囲気を放つのはもちろんプレシア。 ハンデが無ければおそらく、今いる面子で最強と自負できる彼女がこの行動を行うのは当然のことであった。

 

 それでも――

 

「なにすんだいアンタ!」

「それはこっちのセリフよ。 いきなり一般人の目のまえでこんなことをして……」

「だけどアレは――!」

「黙らないとおやつのドッグフードに調味料をありったけ混ぜるわよ?」

「……ダマリマス」

 

 いいや、それすらも沈黙させるカノジョのなんとすごい事か。 既に恒例行事となりつつある彼女の制圧力は、いまだ成長途中である。

 

「はは、気にしないでください。 大体は悟空君から聞いてましたし……あの人に比べたらこれくらい」

「そう? なら、良いのだけど」

「あはは。 あのヒト、その気になったわたしたち相手でも、片手で捌くし剣だって“刃取”で軽々掴んじゃうし……あ、はは…………」

「ていうかおねぇちゃん……その子――」

 

 ダンダンと暗くなる美由希の、そのテンションが闇に落ちる前に質問をしたなのはの判断は正しかった。

 見知ってる……訳じゃない。

 知り合い――にしては殺伐としていて……

 

 でも、どうしてか放っておけないのは彼女の性分かそれとも……

 

「とりあえずここじゃあれだから、わたしの部屋にいこ?」

「……誰が――」

「――ギロ」

「ひぅ?!」

 

 誰がどういう行動に出たかは、あえて明言はしない。 故に行動の詳細は書かないが、大多数の人間が、今起こった威嚇の前に内またになったのはあえて明記しておこう……話し合いの場所は、狭い部屋の中に相成っていくのでありました。

 

「……なるほどねぇ。 この子が例の――闇の書の守護騎士プログラム」

「……む」

 

 警戒心を隠そうとしないのは、まるで見知らぬ家に預けられた子犬のよう。 どこか親近感めいた感情を胸に、アルフが一番遠くから眺める中で、プレシアはベッドに座らせた少女に近づく。 しかし。

 

「拘束しねぇのかよ」

 

 彼女の警戒心はいまだ強い。

 当然だ、自分はいわば犯罪者で、彼女たちの中央にいる少女を襲った張本人。 そのこと自体、罪悪感がないと言えばウソとなるが、それでも譲れないものがあったから武器を向けたわけで。

 

「……」

 

 だからこそ押し黙る。 長い時間を生きた“はず”の彼女からすれば、この歓迎は正直戸惑いを隠せない。 どうして……? こんな迎え入れ方は今代の主人の面影さえ感じてしまう。

 

「……くそ」

 

 それを思ってしまった少女に、敵対の心は薄れていく。 でも、どうしても聞きたい。

 

「なんでおまえたちはそんなに――」

 

 振りあげられた……オレンジの髪。 怒気よりも困惑が強い揺れ方は、まさに彼女の心の内を代弁していた。 でも、それに向けられる目線は決して同情ではなく。

 

「あら? でもあなたは片手で街を破壊できるほどのモノじゃないのでしょう?」

「それにいきなり巨大な化け物に変身もしないんだよね?」

「とてつもない怒りで、髪の色が変わったり……」

「戦闘能力が数十倍に跳ね上がったりもしないんでしょ?」

「あ、ああ?」

 

 いままで在ったことを思い出す、苦労の目。

 その話が何かの暗喩だとでも思いたい少女は回答を出しかねる。 なんの話だと、口元でゴネゴネと混ぜ合わせていると……

 

「プレシア・テスタロッサ!!」

『?』

 

 やかましいモノが独り……

 間が悪い、もう少し早く来れば――どうにも不自然なほどに悪いめぐりあわせは、まるで彼の星のめぐりを示し合せるかのよう。 氾濫した天の川のような彼の星はなんなのかは知らないが、それでも物語を進めようとする彼の名を、皆が一斉に口にする。

 

『クロノ(くん)!!』

 

 魔導師の男の子……見参!

 今現在で、この場をヤバい方向へ持って行けてしまうファクター……管理局員という称号の持ち主が到着してしまったのでした。 この、いかにも穏やかに終わろうとしていた流れをかき乱しながら。

 

「ユーノの具合の報告にやって来てみれば……美由希さんが言っていた子というのは彼女の事ですか?!」

「……そうよ」

「はぁ……その子って報告にあった人物なんじゃ……」

 

 あたまを抱える少年の苦悩は深い。 仕事柄、このような事態に陥った場合は即刻の判断のもとに拘束する……のだが。

 

「すまないが……」

「ああ、なんだかやっと今まで通りって感じで、どうもほっとしている気分だ。 やってくれ」

「あぁ」

 

 なぜか少女の許可のもと、緩い拘束魔法を四肢に掛けるだけ……そう、本当に輪が付いただけで身動きは一応とれるくらいの軽薄さで、彼女を言葉だけなら拘束する。

 

「これよりキミの身柄は管理局が“一応”預かる」

「いちおう……?」

「そうだ。 何分僕は管理局の人間だ、キミのような存在は見過ごせない……無いのだが」

 

 だけどやはり、態度はなのはたちのそれに準じていた。 初対面で容赦のなさが消えているのは――ひとえに一人の男が原因なのだが、いかんせんそれに気づかないクロノは……

 

「こうでもしないと彼女たちに何をされるか分かったもんじゃない」

「そんなにあいつ等怖いのかよ」

「キミは戦って知っているはずだと思うが……その通りだ」

『クロノ?』

「な、何でもない」

 

 とりあえず、彼女たちのせいだという事だと思い込んでいたりする。

 

「んで、あたしをこれからどうする気だ? 無様に敵陣に“逃げ込んできた”んだ。 こうなるのも覚悟の上だ。 好きにしろよ」

「……?(逃げ込んで……?)」

 

 ここでクロノの脳裏に、幾多の単語が流れ出す。 逃げる、Escape. 迷う、うつむく、孤立、…………

 

「救助……?」

「クロノ?」

 

 そのとき呟いていたのは、まさに正解の一言。 それに気づいたフェイトも怪訝な顔をするに至る。 この幼女、何か重要なことを引っさげてきたのではないか……と。

 それでも、彼の肩書が幼女の救援を遠ざけようとする。 言葉もなく、ただ俯いている犯罪者には救いの手を差し伸べるどころか見向きもできない……立場というものが、クロノがもつ良心を隅へ隅へと追いやっていく中。

 

 そう、そのときであった。

 このときであった。

 こんな時だからであった――――…………

 

「お、……おっす!」

『悟空!!?』

「…………ぁ」

 

 黒髪の青年……到着である。

 あまりにも都合のいい登場は、もはや狙っているのではないかという疑問さえ隠しえない。 いいや、もしかしたら狙っているのかもしれない……今ここに居る幼女が、手痛い目に会ってしまいそうだった分岐点を、防ぐべきタイミングを……そして。

 

「いやー、瞬間移動でここに来ようとしたのはいいけどさ、なんだか強い魔力持ったのがゴロゴロしてたもんだから着地に失敗したっていうかさ」

「それはいいとして、はやくどいてくれないかしら――――私の上から」

「はは……すまねぇ」

 

 …………プレシア女史の、マウントポジションを……

 

 説明するとこうである。

 クロノ登場から一歩引いていたプレシアはそのまま壁際のいぶし銀を敢行。 灰色の髪を揺らしながら、まるでタバコを吹かすような仕草で天井を見ていたら、その視線の先に空気を切り裂く青年が登場。

 同時に声を出す→プレシアの顔に黒い影→悟空の青いブーツがプレシアの顔面にダイレクトアタック。 まるでフリーザ戦で、かめはめ波を囮にした後の悟空のドロップキック張りの音が部屋中に轟くのは当然の帰結であった。

 

 そうして、崩れた二人はくんずほぐれず……今に至る。

 

「はは、随分とアレな登場だったかな」

「アレとはなによ……あれとは。 人のこと踏んづけといて」

「あ、ええっと……まぁ、わるかった……だからそんな怖ぇ顔すんなって。 な?」

 

 軽い会釈をすんなり終わらせ、謝罪もそこそこ――孫悟空は、ついに目的の存在へと視線を移す。

 

「…………んでだよ」

「お?」

 

 でも、その子は奥歯を震わせている。

 信じられない――最低だ。 そんな声すら聞こえてくる彼女の、侮辱に歪んだ表情は既に憎しみすらただ寄せている。

 

「おまえ……こいつの――」

 

 仲間だったのか……そう、読みとれるほどに親しい彼らの会話に、心の炎が燃えたぎるのも時間の問題であった。 彼が作る笑顔が、今はただ自分たちを嘲ったものにしか見えないのはもはや手遅れとしか言いようがない。

 幼女は、震える奥歯を強く噛みしめた。

 ―――――それを。

 

「そうだ。 こいつらはオラの仲間でさ」

「くっ!」

「いつか、おめぇたちに紹介したかった奴等なんだ」

「……ぁ」

 

 何時ぞやのように、そっと触れてやる青年の声。 手でもいい、声でもいい。 ただ、強張る彼女の身体があまりにも痛々しかったからで。 彼はそっと……幼女の衣服を叩いていく。

 

「あーあ。 結構大変だったんだなぁ、服、こんなに汚しちまって」

「よ、よせよ……」

 

 右手で肩を二回、左手で腰を3回、またも右手で今度は頭を……ひと撫で。

 

「クロノ、コレ外してくれよ?」

「ダメだ……残念ながら僕は――」

「そうかぁ」

 

 軽く微笑んで、怒ることなどせず。

 

「そうだよな、こういうのがおめぇのしごとだもんなぁ。 おら“仕事は”したことねぇからわかんねぇし、あんましとやかくい言えねぇからなぁ」

「すまない……」

「いいさ――」

 

 一言、そう言って悟空は水色の拘束魔法の一つに手を持っていく。 手のひらを水平に、甲を上に持っていくそれ。 さらに中指をあげ、人差し指とくすり指とで三角形を作ると、その中央にバインドを挟み込んで。

 

「オラが勝手にやるんだ。 “コレ”は、おめぇのせいじゃないからな?」

「…………バインドが……砕けた?」

 

 一気に水色の光りを粉みじんにしていく。 いともたやすく簡単に、それでいて当たり前のように崩していく悟空はそのまま。

 

「……ぅぅ」

「これで自由だ。 ほれ、取りあえず汚れちまった服着替えるんだ」

「…………ぁぁぅ」

「?」

 

 幼女の名前を……

 

「どうしかしたんか……ヴィータ?」

「……うくっ」

 

 つぶやく。

 この一言。 この声。 今のいままでどれほどに待ち遠しく待っていたことだろうか。 目元には溜められた涙が、既に決壊の時を待っていた。 彼女の心は、ようやく……悲しみを流していく。

 

「うああああーーーーーーうぅぅ。 ゴクウぅぅーーー!!」

「お、おい……ヴィータ」

「うぐ……ひっく……うわああーーーん!!」

「はは……しかたのねぇヤツだ。 よしよし」

 

 飛び込んでくる少女。

 青年の胸に頭をうずめると、そのまま首を左右に振ってダダをこねるようにその場を動かない。 強く握られた両の手は、もう、ここから離れないと言わんばかりに思える健気さと儚さを見る者に与えていて……

 

「みんな……」

『……』

 

 悟空以外の者は、特に異論なくこの場から去っていくのでありました。 何かがあったのは間違いない。 でも、あんな鋭い目をする女の子がここまで泣き叫ぶのだから……きっと何かあったに違いない。

 知らなければいけないことだ、でもいまは――

 

「あの子の気持ち、分っちゃうから。 だからこのまま、せめて今は――」

 

 あのまま、心の奥底に溜まった鬱屈を……吐き出してほしい。 そう、願うなのはであり。

 

「よしよし……辛かったなぁ……」

「うん……うん……」

 

 自身を掴んで離さないヴィータを、ただただ微笑んであげる悟空であった。

 

 落ちぶれた――いや、光射す世界へ助けを求める声を言い放つことが出来た彼女は、これから一体どのような変化を世界にもたらすのか。 そして主であるあの子の因果は、果たしていかように集結してしまうのか……いいや、それすらも出来るのであろうか?

 

「なにかあったんだよな。 辛くなかったら、話してみろ? オラがちからになってやる」

「……うん――~~ッ!」

「はは、もう少しこのままで居ような。 落ち着くまでこうしてると良いさ」

 

 様々な憶測生まれしこの瞬間。 けど今はただ、泣き叫ぶ声を必死に受け止めるしかできない。 

 




悟空「オッス! おら悟空!!」

ヴィータ「ぐしゅぐしゅ……」

悟空「おいおい。 そんなに鼻水垂らしておめぇ……ほれ、汚れちまった顔拭いてやるぞ」

ヴィータ「ありがとう……」

悟空「はは、いいさ」

プレシア「ねぇ、あなたたち……いいの?」

幼馴染S(仮)「え? どういうこと?」

プレシア「あんな強烈なかわいい子……孫くん、取られちゃうわよ? かわいさも残念だけどもしかしたらあなたたちよりも上を行くかもしれないわ。 なんていう美少女力かしら」

なのは「でも、悟空くんだし」

フェイト「……そうだよ、ありえないよ」

二人「………あれ?」

アルフ「……いま、なんだかガラスが割れるような……まるで自分の発言で自分自身が傷ついたような音を聞いた感じがするよ」

プレシア「まったく……これで彼が実は家庭もちだったら、この子たちどうなるのよ……あれ? 彼って……そういえば確認……今度して見おうかしら?」

アルフ「それはあとにしてもらうよ。 そんじゃ次回!! 魔法少女リリカルなのは~遥かなる悟空伝説~ 第46話」

悟空「拳よ届け! 炎熱の剣士のその先へ――」

???「……さいや……ジン……」

悟空「目を覚ませ!! おめぇ……よくも!!!」

???「ソン……たす……ろしてく――れ……」

悟空「させねぇ……させねぇぞ!!」

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