自分でもそう思えてしまうくらいの執筆の遅さにあきれてしまいそう。
えっと、だらだらと4話消費して、ようやく一日が終わるんだ(泣き)
はい、りりごく第5話です。
第5話 突撃! 月村家!!
高町なのは……9歳。 私立聖祥大付属小学校の3年生である彼女は、つい数分前までは只の非力な子供であった。 しかしそれは黒い影の襲来と共に瓦解――兄が倒れ、自身も命の危機にさらされたところを、孫悟空という“少年”に助けられ。
少年が闘志を燃えたぎらせる中、今度は自身も『ちから』を手に入れる―――それがすべての始まりであり。
悟空にもない力。 魔法という未知の力を……彼女は手にしてしまう。
…………とまぁ、そんなことはどうでもいいのだが。
「はーらへったぁ~~ は~~らへったぁぁーー……ふんふーん」
ぴきぴきぴきぴき――――夜空に上がる不思議な歌、それはとっても機嫌がいい声色であり、聞く者の口元を不思議と緩めさせる。
きっと、よほど待ち遠しいのだろう。 彼はあぐらをかいてなお、その場で飛び跳ねかねないテンションを維持し続けている。
「っ~~~~」
「…………傷が……すごいな」
「……あ、あんまり動かないでください」
「ん、すまない」
「え、あ……いえ……」
その中でいくつか見える別の顔。 怯えと恐怖……それにどこか好奇心が見え隠れした、非常にアンバランスな表情をするのは、この中で唯一の女の子であるなのは。
彼女はその表情の通り、今いる場所におびえている……そう、いま彼女たちは――
―――――地上、5000メートルを飛行していた。
「ご、ごごごご……悟空くん! も、もう少し低く飛ぼうよ!!」
「え? そうか? でもよ、そこにいるイタチがさ、あんまし低く飛んで誰かに見られるんはよくねぇっていうからよぉ……」
「そ、そうなんだけどね? いくらなんでも――わぷゅ!」
「あはは! なのはおめぇ、雲に頭つっこんでらぁ」
「ん~~もぉーー」
動揺し、しかし悟空の言葉でむくれる彼女には既に恐怖はない。 彼女は案外平気そうである。
そんな彼らとは別に、ここで驚くべき事実が発覚する。 高町恭也、彼は今……筋斗雲に乗っているのである。
「にしても不思議な雲だ、こんなにやわらかいのに人を乗せて空を飛んで……面積も若干ごまかしてるのか? さっきより少し広くなっただろコレ」
まるで低反発マット……否、羽毛布団にくるまれているような感覚に恭也は驚いている。 今自分がどれほど名誉な出来事にあっているかもわからないのはまぁ仕方のないことであろうか。
「あの、みなさん……」
そんなこんなで、非常識にかなり驚いている兄妹を前に、フェレットは若干頭を垂れる。 先の戦闘で傷ついた恭也に向かって、緑色の光……治療魔法をあている彼。
どことなく落ち込んでいるかのように見えるそれを見た彼らは、彼が言いたいことを何となく把握する。
「どうかしたんか?」
「………えと、悟空くん……」
「悟空、今は少しだけ待っててくれ……な?」
「……お?」
悟空以外は……という話ではあるが。
「みなさん、先ほどは本当にありがとうございました。 そちらの……えっと……」
「俺か? 恭也だ……で、俺がどうかしたのか?」
「あ、いえ……ただ、かなり酷いケガを負っていたので――その」
「なに、気にするな。 なのはにも言ったが、あんなものは忍のビンタに比べたらどうってことはない」
「す、すみません」
フェレットの謝辞。 それに若干戸惑いながらも、彼を気遣うように小さく笑って見せる恭也……そんな恭也は悟空に向かって指示を出す。
「悟空、少し遠回りをしてくれないか? そうだな……あぁ、あの林のあたりがいい。 あそこで一旦降りよう」
「え! でもオラ、早く帰んねぇと飯が……」
「そんな泣きそうな顔をするな。 大丈夫だから、晩御飯は逃げやしないから」
自身の提案、それに難色を表す悟空はおなかの音も一緒に露わにする。 くるくると鳴っているその音と、ホントに只の子供の様な落ち込んだ顔を見た恭也はすぐに訂正、説得にかかる―――それを。
「でもよ、早くしねぇと……エビフライ、冷めちめぇぞ?」
「えびフライ…………だと!? わかった、2分で済ませよう――ふっ、えびフライか」
「お、おにいちゃん……」
「は、はは……」
逆に説得される恭也であった。 彼は、本気で桃子氏の作るフライは世界一……なんて思っていたりする。 たぶん今の悟空と恭也のシンパレートは200%を突破しているであろう。
そんな二人をほっといて、なのははフェレットにひとつだけ質問する。 なんだかんだで一番知っておかなければならない大切なこと、それは―――
「ぼ、ボクの名前は…ユーノ…ユーノ・スクライアと言います。 えっと……スクライアは部族名だから、ユーノが名前です」
「ユーノくんかぁ、かわいい名前だね」
「え、あ……はぁ」
「??」
そう、名前である。 細く、小さく、愛らしくてかわいらしい。 そんな彼の名前を受け取った彼女は、思った通りの事を口にする。 どこも変じゃない、“こんな姿”の彼を見れば誰だって同じアクションを起こすであろう。
だからって……そんな言葉さえ出ない“彼”はただうつむくことしかできずにいた。
―――――そんなこんなで2分が経過する。
「わかった!」
「ちょっとお兄ちゃん!?」
高町恭也、かなり理解力がいいようである。 フェレットの話を聞いた恭也はただうなずきこう言う、しかしその顔は険しい。
その原因は、フェレットの言ったこの言葉である。
「妹さん……なのはさんじゃないと、今回の……ジュエルシードの事件は解決できないんです」
それは必然として、自身の妹が危険にさらされていくことを意味し、それは恭也の心情と摩擦を生むのには十分すぎる案件であり。
「確かにわかった。 おまえが発掘したあの青い宝石……ジュエルシードだったか。 それが事故でこの町にばら撒かれてしまったこと。 そうだな?」
「はい」
「それを集めたいっていうお前の決心は確かにすごいと思うし、俺もできれば協力してやりたい……これもわかるな?」
「……はい」
「だがな、それとこれとは別として、なのはを……妹をたたかいに巻き込むのは反対だ」
「…………はい」
理解した。 そう、確かに恭也は理解している。 この少年が背負わんとする事の重大さを、危険性を。 生半可な気持ちで手伝うなどと口にすれば、その先に待ち受けるのは後悔と――――であることを……
それはフェレット……ユーノと名乗った彼もわかっているのであろう。 彼の声色は深く沈んでいくばかり。 事件を解決したい、けどそのためには彼女の力が必要だ、でもあんな小さな女の子を自分が原因であるはずの危険に巻き込むなんて……
「自分勝手というのならそう言ってくれて構わない。 確かになのははあの怪物をどうにかする力を持っているんだろう。 それでもなのははまだ10歳にも満たないんだ、それにあいつは戦いとは無関係なところに今までいたんだ。 それらを踏まえて、すまないがもう一度言わせてもらおう――俺は、そんな妹を戦わせるなんて反対だ」
「………………はい」
できるわけがない。 雁字搦めとなっていく少年の決意、一歩動くたびに他の誰かが傷ついていく現実、そして仕様がないとはいえ巻き込んでしまった事実。
彼の口からは、空気の出入りする音しか聞こえはしなかった。
「…………まぁ、しかし―――」
そんな彼を、しかし突き放したままにはしないのが“兄”のいいところ。 恭也はそっぽを向きながら頭をかく。 その仕草はどこか自分を責めているようにも、彼を放っておけない優しさが混じっているようにも見え。
「俺が―――「大ぇ丈夫だ、オラが手伝ってやっぞ!」―――む」
けどその言葉は、後に続くことはなかった。
「え? あの……? 悟空……さん?」
「悟空くん?」
「オラさぁ、もの探しが結構得意なんだ。 ボールさがしとかでいろんなとこに行ったりしたしな」
「あ、え……? で、でも……」
続いた声は男の子のもの。 重く、深く考えていた恭也とは正反対な軽い声、それは何も考えてないから? けど、そんな声がとっても頼もしく思えるのはユーノが追い詰められた状態だからだろうか―――きっと、違うだろう。
「でも悟空さんだって危険が―――うわわ!?」
戸惑う声はすぐ消える。 いいや、悟空によって上書きされる。
「さっきの事、気にしてんのか? そんな過ぎちまった事いつまでも引きずってんじゃねぇぞ―――うりうり!――また次頑張りゃいいじゃねぇか……な?」
「悟空……さん…………」
その一言はホントに無責任に聞こえるかもしれない。 後先は考えないと思えるかもしれない。 けど後先が不安以外なにも見えないものがいたとしたら? その者にとって今の言葉は……
「う……うぐっ―――ひぐっ―――」
「ん、なんだおめぇ泣いてんのか?」
「な……泣いてなんか……いませ―――んく」
「え? でもおめぇ―――「悟空」―――お? なんだキョウヤ?」
「そっとしておいてやれ」
「ん??」
きっと何もにも代えられない、救いの言葉になるかもしれない。
俯き加減が物悲しさを彩るフェレットは、その小さい身体を丸めてはさらに小さくなりつつも、悟空に持ち上げられるとテンヤワンヤ……零れそうだった涙は静かに、しかし一粒だけ流されるのであった。
「……もういいんか?」
「す――ぐしゅ……すみません、まさかこんなふうに誰かが協力してくれるだなんて夢にも思っていなかったものですから……その」
「ふーん、そっか」
すこし、時間が経った。 むせび泣くユーノをあたまに乗せたまま、少しだけ肌寒い風に身を委ねていた悟空。 ちなみに彼らは筋斗雲からは降りている、ここから自宅まではもう1分と掛からない距離。
なんだかんだでここまで来て、人の目について大騒ぎなんて御免だ――ということでこのまま歩くことにしたのである。
ちなみに、ここに至るまでなのはのバリアジャケットは解除されないでいたりした。
「もうすぐ家か」
「もうか! オラ腹ぺこだぞぉ」グゴゴゴゴゴ!!
「にゃはは。 悟空くんってば、すっごいおなかの音」
「しかたねぇだろ? オラおめぇたちが帰ってくるまでなんも食わなかったんだからよ」
「え……? なにも? どうして?」
そこで知ったのは意外なこと。 悟空の食欲を朝の一件で十分に思い知っていたなのははここで驚き、疑問符を浮かべる。
きっと我慢なんてできないだろう……そう思っていたのはなのはだけではない。 士郎も桃子も恭也も美由希も、皆が思っていた中で彼が見せた意外な一面。
真面目……誠実ともいえるこれは、彼の本質的なものであろうか……それはわからないけど。 けど……
「飯はよ? みんなで食うもんだって、じっちゃんが言ってたかんな。 それにオラもみんなで食った方が美味いと思ったんだ」
「…………そっか」
いまはただ、彼のそんな一面を見れてうれしかった。
「ありがとう。 悟空くん」
「ん? ……おう!」
ただそう思う、なのはであった。
「たっでぇまーー!!」
『ただいまーー』
「きゅ、キュウ~~」
本日二度目の振動音。 人体から発せられた“らしい”その大音量は、またも高町の家を大きく揺らす。
さっきは二人で……だけど今度はその倍の4人で上げられた声なのだ、大きくて当然であろう。
「ご、悟空君!! みんな無事だったかい?」
「あらあら大変! 恭也、ボロボロじゃない!?」
「服だけやたら汚れてる……どうしちゃったの? 恭ちゃん」
そこで向える3人。 悟空が出ていった後に発生した、謎の暗い雰囲気と空気に包まれたリビングから飛び出した士郎を筆頭に、桃子と美由希も続いて玄関口に駆け寄ってくる。
「えっとぉ……」
「……どうしたものか」
誰もが心配そうな顔と困惑そうな顔を浮かべる瞬間。 しかし彼は人知れず靴を脱ぎ、如意棒をその場に置き、士郎の足元まで近づくと。
「なぁシロウ! みんな揃ったんだからよ、早くメシにしねぇか?」ぐぎゅる~~~
『…………』
平常運転である。 先ほどまでの表情も焦りもまったく感じさせないその姿、その在り方は強張っていた雰囲気を瓦解させるには十分すぎて。
そんな悟空に、既に慣れつつある士郎は小さくため息。 だがすぐに口元を緩めると……
「はぁ。 それじゃあ、少し遅いけど晩ご飯にしようかっ?」
「おう!!」
悟空のあたまに、そっと手を置くのであった。
「……キュウ」
「へぇ~この子『ユーノ』君っていうんだ。 あ、逃げちゃった」
「おわっと――ちゃんとあいさつしなきゃダメだろ? これからここで厄介になんだからさ」
またも時間が経ち。 盛大な晩御飯を終えた悟空と高町家一行は、ここでひとつ話題を作る。 本日2人目の来客である小さな彼、フェレットのユーノについてだ。
悟空はともかく、このフェレットもどきに対する扱いにいささか困惑していた恭也。 一般家庭なら普通に飼うこともできるだろうが、なにせこの家には……
「お、おい悟空。 そんなストレートに――父さん、母さん、実は……」
「ん?」
「え?」
言いづらい。 ただそれだけが脳内を駆け巡り、恭也の口からその単語を出させるのを妨害し、彼を沈黙させる。
ついつい右手を握っては開くを繰り返し、表情筋を若干引きつらせていき―――ついに。
「なぁ、こいつ飼ってもいいだろ?」
「え? この子?」
少年が動く。 素早く、且つ適当に、そんな感じで動き出した悟空に作戦などない。 ひたすらに真っ直ぐを突き詰めたその一言に、けれど夫婦の顔は曇っている。
「ん~~動物かぁ。 いいって言ってあげたいけど……うちは食品を扱ってるから――」
「そうだね……」
「え! ダメなんか?」
「やっぱり無理があるか……」
そうなのである。 この家は別の場所にだが店を営んでいる。 『喫茶 翠屋』 海鳴の商店街にそびえるそれは洋菓子兼喫茶店として、人手不足が嘆かれるほどに繁盛しているのである。
故に夫婦は困る。 飲食の場を預かるものとしては、あまり動物との接点は設けたくはない……ないのだが。
「だめ……かな?」
「なんとかなんねぇか? 飯もトイレもオラが教えておくからよぉ」
「う~~ん」
普段からあまりこういったお願いなどしてこない愛娘と、悟空からのお願いに頭を斜めに傾ける士郎。 大黒柱としては、ここで一気にババーンと決めておきたい……ところなのだが。
などと思っている間に―――かわいらしい吐息が、一つだけ零れる。
「ふふ♪」
その吐息の発声元――高町桃子さんである。 彼女、実はこういう場面に……非常に弱かったりする。
「ちゃんとお世話して、途中で放り投げないでさえいればいいんじゃないかしら?」
なんて言いつつも、その実本当は心が決まっており。 そのいかにも嬉々とした妻の姿を見た……見てしまった士郎は。
「……かーさんが言うならいいかな? なのは、悟空君、しっかりと育てるんだよ?」
あっけらかんと折れてしまう。 ちなみに、今回の決め手である桃子さんなのだが。 こういった場面で子供を甘やかすのが大好きというレアスキル“親バカ”を固有装備していたりする。 なのはたちの勝利の瞬間である。
もうひとつちなみに。
「いいか? ユーノ。 イタチってのはネコの友達みてぇなもんなんだ、だから飯は裏でネズミを捕まえるとこからオラと一緒に――」
「キュウ!?(え! うそ!?)」
「悟空くん、ちゃんとご飯ぐらいだすから。 だから変なこと教えないで……」
「え! メシでんのか? よかったなユーノ」
「キュウ……(よ、よかった)」
悟空主導の下による“野生化”をなんとか免れたユーノであったりする。
「さて……」
「お?」
「晩御飯も済んだことだし。 悟空君、お風呂に入ってきなさい」
「風呂か?」
一区切りついた話。 それから数十分が経つと、士郎は悟空を誘う。
風呂―――それは身体を洗い、心を清め、魂を潤わせる魅惑の地。 ひとたび浸かれば肺から空気を出し切り、低い声を上げざるを得ない至高の癒し場。
一番風呂をなのはと桃子の二人に済ませた士郎は、頃合いを見て悟空をその地に送り込もうとする。
もちろん―――
「そう、風呂。 ほら、ちょうどなのはが上がったところだから、後に続いていってくれると助かるんだけど」
「わかった。 じゃあもらうぞ」
「悟空が風呂か。 よし、それじゃあ俺も一緒に―――「恭也、お前は少しだけ父さんとお話しをしよう」……ですよね。 悟空、先入っててくれ……はぁ」
「ん? わかった」
――――すべて意図ある行動である。
「あ、悟空くんお風呂入るの?」
「そうだぞ……? なんだミユキ、オラになんか用か?」
ドアを開け、なのはが出てきた部屋……風呂場に入ろうとする悟空を呼び止める声がひとつ。 それが後ろから歩いてきた美由希の声だと知った悟空は、風呂場の前でたちどまり、尻尾と共に向き直る。
そんな悟空を見て若干“おねえさん”の顔になる美由希は……少しだけ悪戯寄りな意地悪を敢行する。
「ねぇ、悟空君?」
「??」
「お風呂……いっしょに入らない?」
「…………」
それは……とても魅惑的な誘い。
それは…………とてつもなく動揺を誘う言葉。
それは――――――男にとっては夢のような出来事。
この娘は、この16歳は、この女子高生は!!――目の前の“コドモ”にむかってそんな夢と希望が凝縮され、さらには周囲から哀と怒りと悲しみの声が上がりそうな……まさしく阿鼻叫喚となるのではないか言うくらいの発言を……したのだ。
「ふふ~~それとも恥ずかしいかなぁ~~?」
「…………?」
しかしそれは彼女も承知の上。 どう見たってなのはと同い年の“おとこのこ” それは誰が見たってそうであって。 だから彼女に『そんなつもり』などなく。
恥ずかしがって、うつむいて、慌てふためく姿がみれればなぁ……などと思ったこの発言を…………それを―――
「一緒に入るんか? わかった、そんじゃ早くすっぞ―――それえ!」
「え!……悟空……君?」
事もなく、こともなく、コトモナク。 あっけらかんとした二つ返事で切り返す悟空。 そんな彼の顔に羞恥の色はなく……それどころか、異性に対する興味の色さえ見当たらない。
ない……ない……ない。 なんでもない様子に呆ける美由希、まさか自分に魅力がないのか――そんなことすらよぎってしまうこの出来事に、しかし悟空はまたしても平常運転。
バサバサと道着を脱ぎ捨て、裸一貫となった悟空は風呂場のドアを開けては湯気の中へと消えていった。
「…………えっと……とりあえず、服を脱ごうかな」
取り残された美由希の、弱々しい呟きを残して……
シャワーの前でバスチェアーに座った悟空は、取りあえずコックを全開にし始め――
「おわちち―――ひえぇーー! 冷てえ!!」
「あ、悟空君! …シャワーの設定温度は…っと。 あれ? 40度?」
「お! だんだん温かくなってきたぞ!!」
「あ、ホント? 良かった、壊れちゃったかと思った」
叫ぶ。 いきなり冷水を浴びた彼は声を上げる。 その音量たるは、嫌でもエコーのかかるこの場では必殺の武器ともなりうるほどであろう。
そんな悟空のリアクションに、取りあえず冷静に対応する美由希。 その姿、その仕草はどこか桃子に通じるものが見えるのは、ひとえに彼女の母性が悟空によって刺激されたからか……
「前ぇにも思ったけど、火にかけてねぇのに水があったまっちまうんだもんなぁ、“しゃわー”ってすげぇなぁ」
「え? 悟空君ってこういうの使ったことないの?」
「あんましねえぞ? オラずっと山で暮らしてたもんなぁ。 風呂なんかその辺の川に飛び込んでたんだ」
「へ、へぇ……そうなんだ」
そんな感じで繰り広げられる会話。 広がっていく先に、一抹の不安を悟った美由紀は気を遣う。 ここで話題を切ろうと、悟空のうしろにしゃがみ込みシャンプーを手に取る。
「あれ? そういえば朝見た時からずっと疑問に思ってたんだけど……」
「なんだ?」
「悟空君、“それ”ってアクセサリー? 良くできてるけど……お風呂でも外さないの?」
そういってシャンプーのついでに取った“それ”をニギニギ……触感を味わうように握る美由希。
あ……なんかホンモノみたい。 そんな感想が口からこぼれようとする瞬間である、悟空は答えを美由希に返す。
「“これ”か? そいつな、オラが生まれた時から生えてたんだ……ほれ! こんなこともできんぞ!」
「え? ええ!?」
そう、豪速球で返された悟空の答えは只の事実。 いま言ったことを証明するかのように、美由希の手から離れたソレ……『しっぽ』は彼女の持ったシャンプーに巻きつき、宙に持ち上げられる。
実は今朝の時点でなのはを持ち上げて見せたのだが、そんなことなど判らなかった美由希さんは口を丸の字に空けたまま硬直する。
「は……はは……ウソ」
「ん? 喋んなくなっちまった……まぁいっか。 しゃんぷーしゃんぷーっと」
実際問題“彼女達”がいるのだから、そのようなことはもしかしたら些末事で済むかもしれないのだが、いささかインパクトがでかすぎるその事実を前にいまだ帰ってこない彼女。
そんな中でも頭を洗い、身体を洗い、お湯をかぶって泡を落とす悟空。 彼は本当にマイペースである。
「ミユキ! おーい……ん?」
「あ……あれ? いつの間に湯船に入ったの?」
「やっと気が付いたんか? おめぇいつまでもぼおっとしてたんだろ? オラ結構前から風呂に入ってたぞ」
「え? あ、そうなんだ(ん~この子“あの子”と違って全然周囲の目を気にしないのかぁ……そうだ)」
湯船につかって100数えよう。 そんな雰囲気で肩まで浸かっている悟空に対し、義妹になるであろう“少女”の事を思い出す美由希。
すこしの思案は、だがすぐに中断。 きっといい刺激と効果をもたらすと、ほんの少しのお節介を焼こうと思い至る。
「ねぇ、悟空君。 あした、なのはがお友達の家に行くんだけどね?」
「なのはのともだち?」
「そう、友達。 それで悟空君には、そのときなのはと一緒に行ってもらいたいんだけど……大丈夫?」
彼女はシャワーのコックを捻ると、湯を浴び髪をなじませる。 結っていた髪は今は解かれて只の長髪に、それがすべて湯で濡れるとシャンプーで丁寧に洗い出す。
そうしながら尋ねる内容は明日の事。 ただ遊びに行く、けれどそこにはとても重大な意味が忍び込まれている……そうとは知らず。
「わかった、明日なのはについて行きゃいいんだな?」
「うん―――わっ! 目にシャンプーが……いたた」
「……明日かぁ、ん? ユーノの奴も連れてった方がいいんかなぁ……なのはの奴に聞きゃいっか!」
「え? 悟空君なにか―――「うっし、そうと決まったらさっそく聞いてみなくちゃな。 ミユキー! オラ先に上がってるぞー!!」―――え!? ちょっと悟空君!!」
思い立ったが吉日と、いったい誰が言ったのか……今は誰もそんなことは言ってはないが、悟空の行動はまさにそれ。 肩まで浸かっていた湯船から勢いよく飛び跳ねると、そのまま湯煙の中から突き出て……風呂“場”の外まで駆けていった。
「おーい、なのはーー! 明日―――」
「うお! 悟空! おまえなんて恰好で―――」
「悟空くん!?」
「やぁああ! こっちこないでぇぇええーー!!」
「わ! なんだよ!? 痛ええ!!」
もう一日が終わろうというのに……こんな時間にまで騒動をまき散らせる少年。 高町家の一日はいまだ終わり知らず。
その中でひとり風呂場で身体を洗い出した美由希は、起こった事態を背にしながらシャワーのコックを捻ると。
「………あーあ」
目をつむりながらため息をするのであった。
PM9時―――高町家リビング
悟空の大騒動から数分が経ち、周囲は穏やかさと静寂さを取り戻そうとしていた。 なのははテレビを見て、美由希は自室に、桃子はなのはの横で微笑んでいる。
一日の終わり。 それを飾るにはとても朗らかな景色であり……ながらも。
「御神流! 『徹』 ――――かぁあああ~~なんつう石頭だ!」
「いちちぃ~~何すんだキョウヤ!」
この二人は、そんなことなどお構いなしである。
戒め一発。 それは悟空はもちろん、放った恭也にも甚大なダメージを負わせていた。 わざわざ御神の技まで出した恭也は徒手空拳。 しかしそれでも威力はあるであろうその拳は悟空の頭皮に巨大なタンコブを作るに至り……終わる。
「悟空君、キミはもう少し“常識”というのを考えて行動した方が――」
「そうだぞ、いきなり全裸でリビングを駆けまわるもんじゃない。 特になのはのような年頃の女の子は“でりけーと”なんだから」
「けどよぉ、オラ……」
コブをさすりながら始まった説教の時間。 叱る士郎にうなずく恭也、悟空は悟空で言いたいことがある中で、彼女は風呂場から出てくる。
「うわ! 大きいたんこぶ……悟空くん大丈夫?」
「美由希、いつの間に風呂に入ったんだ?」
「え? あっと、悟空くんと一緒に入ったんだよ」
『なに!?』
美由希である。 風呂を出て、結っていた三つ編みを解いてメガネは外している『無装備』な彼女はそこに居た。
そしてそんな彼女から出てきた言葉に、更なる動乱の予感をはためかせながらも美由希は彼らにコソコソと話し始める。
「それよりお父さん、恭ちゃん」
「な、なんだい?」
「……どうした?」
「あのね? 明日、なのはって“あの子”のところに遊びに行くんでしょ?」
『え?』
それはさっき思いついた“お節介”を実行するための相談。 これを実行するのは簡単で、しかし成功させるには周囲の協力が必要で、だから彼女は彼らに話を持ちかける。
「その時にね、悟空くんも一緒に行ってもらおうと思って。 きっといい刺激になると思うんだ」
「……なるほど」
「そういうことか」
その内容に感嘆する男たち。 いつまでもなのはに尻込みするみたいに『話』をしない……できない“あの子”に、きっと悟空は大きな変化をもたらすはず。
まぁ、良くも悪くもという意味でだが。 それでも何もしないより、手をこまねいているよりは全然マシなのだから……だったら。
「オラ、明日なのはと―――」
「話は大体分かった」
「お?」
「明日の事はきみが思った通り動けばいい。 それとユーノ君も一緒に連れてってあげるといい、なんたってあの屋敷には彼の仲間“みたいな”のがたくさんいるから。 きっと彼も喜ぶだろう」
「ホントけ!? うっし、これで明日の心配はなんもねぇな!」
いつのまにかトントンと進んでいく話題。 説教は? お叱りは? そんなものはいつの間にか飛んでって、悟空はトン! とジャンプする。
「それと、今夜はなのはの部屋で寝るといい」
「え!? と、父さん!!?」
「恭ちゃん、反応しすぎ……子供同士なんだから平気だって。 それに悟空君“興味”ないもんね?」
『え?』
「きょうみ?」
「んーーん、なんでもないよ~~」
士郎の思いつきと恭也の驚愕と美由希の経験談が交錯する中、意味が解らない悟空の頭をわしゃわしゃとかき乱していくのは美由希。
悟空がもたらす刺激は、なにも“あの子”だけではない。 そう、我が家にもひとりだけいる、この先どうするべきか道がわからず悩む歳不相応な問題を抱える妹が。
だから士郎は……
「なのはと“いろいろ”と話をしながら寝るのもいいかもしれないね?」
「そうなんか? でもオラ、そんなおもしれぇ話なんかねぇぞ」
「……なにを」
「いってるんだか……」
“わかっている”顔をしながら悟空を促す。
「……としては失格かもしれないな」
「なんだシロウ、なんか言ったか?」
「え? あぁいや、なんでもないよ」
「ん?」
その顔に、わずかな影を落としつつも、これからの事を見守ってみようとする姿勢は崩さない。 なぜ彼がその選択をしたのか、どうして手を差し伸べてやらないのか。
今はまだ語られる話ではない、けれどきっといつか分かるその話は……
「なのはのこと、頼んだよ」
「おう!」
彼女が“大きくなったら”わかるのかもしれない。
PM9時30分 なのはの部屋
「はぁ~~魔法……かぁ」
「キュウ……」
少女はため息をついていた。 もう寝る時間だろうに、ベッドに身を投げているもののその目は冴えきっている。
それほどまでに先ほどの事が心に強いナニカを残し、こびりついて離れないそれは少女の心を摩耗させていく。
「ジュエルシード……怪物……それに……」
いろんなことを知り、大変な目に合った。 けれどそれよりも印象的なのは“あの顔”で、林でのひと時とはまた違った戦う顔をしたあの少年。
―――――よくもキョウヤとなのはに……
「……ん」
―――――ゆるさねぇぞ!!
「悟空くん……かぁ」
彼の事を考え、その顔を枕に押し付けるなのは。 うつ伏せになっている彼女の表情をうかがい知ることはできないが、きっと困惑なものではないはずであろう。
ただ、やさしい子だと。 ただ年下の男の子だと思っていたあの子が持っていた別の顔……そんな彼になのはただ。
「ふぅ」
ため息を吐くのであった。 訪れる静寂、部屋の主が静かなのだから当然だ。 しかしそれはあっけなく崩されるのである。
「なのはーー」
「え!? 悟空……くん?」
そう、騒動の中心人物の手によって。
「悟空くんどうしたの……って、お布団?」
「シロウがよ、今日はここで寝ろってさ」
「えぇ!? なんで!」
一緒に朝日が昇るところを~~なんて言葉が、ほんの一瞬だけ出てきては霞のように消えていくなのはの脳内。 ついさっきまで考えていた人物が目の前で、しかも一晩一緒に居るなどと言い出せばパニックになるのも無理がなく。
「それと、なんかいろいろ話をしてみろって言われたっけかなぁ」
「……お話?」
「キュウ?」
だがそれは、悟空に言われた一言によって鎮火するのであった。
「よっと、ふとんはここでいいんか?」
「う、うん。 とりあえずそこで……ていうよりここまで担いできたの?」
「そうだけど……それがどうかしたんか?」
「えっと……やっぱいいや」
「?? へんなやつ」
担いでいたふとんを、なのはのベッドに並行する形で敷く悟空。 簀巻きのように丸められたそれを、赤絨毯
すると、あぐらをかいた悟空にかけよるものが一匹。 それは細い身体を持つフェレット……改め。
「なんだユーノ、おめぇ一緒に寝るんか?」
「あ、はい……よかったら」
「ユーノ君やっと喋った。 わたしと一緒だとあんまり喋んなかったのに」
「え? あ、それはその……なのはさんは」
ユーノである。 彼はなのはの一言に動きを止める。 そんな彼を不思議そうに見つめるなのは。 だがそれも数秒の事、すぐさまもとの目をすると彼に向き直り言葉を発する。
「なのはだよ?」
「え?」
「さんづけ、やめてほしいな?」
一つのお願いである。 それはいつまでも他人行儀である彼を心配した……訳ではなく、何となく気になったから。
もう少し距離を縮めてみてもと思い、言い放ったそれは―――
「あ、はい!」
見事、彼に直撃するのであった。
「天下一武道会?」
「おう、そうだぞ。 3年後やる武道会に向けて修行中なんだ」
「魔法の力もなしに……あの時の悟空さんと同じことができる人がいっぱいいるなんて」
それはお話。 奇想天外としかいえないその実体験は驚きの連続であり、ジャン拳に残像拳にかめはめ波etc.
少年少女が聞いたこともない話はホントの話。 特にさっき見た閃光……かめはめ波は、なのはとユーノの関心を強く集める。
「それに前に倒したピッコロって奴がオラの命を狙って出てくるらしんだ。 オラ今度こそぶっとばしてやるんだ」
「命……って、そんな危ないことを!?」
「それに今度こそって……悟空さん、そのピッコロって人となにかあったんですか?」
そして語られる目的地。 それは3年後……悟空が目指すは今より高い位置で。 その目は静かに語っている、奴だけは―――
「アイツは……アイツだけは絶対に許せねんだ。 あいつは、オラから大事なものをたくさん取ってっちまったかんな」
『たいせつな……もの』
息をのむ。 彼のいまの言葉は、彼女たちの背筋に緊張を走らせる。 何度目かになる真剣な眼差しは、しかしさっきの戦闘の時とは比べ物にならないくらいの決意……そしておそらく殺気にも似たなにかが深く深く沈みこんでいた。
その目を見て、少女は身動きを取ることを忘れ、胸にちくりと……何かが走る。
「…………(悟空くん)」
「…………(もしかして、悟空さんって……)」
その正体を掴めないまま、彼女はその感覚を手放してしまう。
「それよかよ? なのはおめぇ、明日ともだちのとこに出かけんだろ」
「え? うん、そうだけど」
「それな、オラも一緒に行くことになったらしいぞ?」
「悟空くんも?」
「それと……おめぇもな」
「え? ボクも!」
話は変わる。 同時に悟空の顔はいつもの調子に戻り、空気は穏やかさを取り戻していく。 急な申し出に驚くなのはと、既に巻き込まれているユーノは驚き。
「そだぞ? たしかキョウヤも行くって言ってたなぁ。 病院に行ってからって言ってたからオラたちの後に合流するみてぇだけどな」
『そ、そうなんだ』
結局、納得せざるを得なかったのである。
深夜―――月が頭頂部から外れ、既に近隣の家屋からは明かりが消え失せ、静寂と闇が支配しようかという時間帯。
なのは、悟空、そしてユーノはそろって『川』の字で寝ていた。 ベッドから転げ落ちたなのはの膝が悟空に直撃するというハプニングがあったりしたが、さすがに悟空が“そんなもの”で目を覚ますことはなく。
逆に落ちてきたなのはの横っ面に、右足を据え置くようにキックをお見舞いする始末。
人間というのは、特に疲れているときが一番寝相が悪いというが……今の彼らがそれであろうか。
『………ZZZ』
「はは、もう打ち解けたみたいだね」
「あらあら、なのはったらベッドから落ちちゃって」
「にしても悟空……なのは蹴っ飛ばしてるぞ」
「あ、もぞもぞしっぽが動いた……かわいい~~」
それを見守る4つの影。 影から見守るとはこのことか……彼らはそっと開けたドアから見えた、なんとも形容しがたい穏やかな風景を見ると。
『おやすみなさい』
そのドアをそっと閉じるのであった。
翌朝―――9時半
「遅刻―――! 遅刻!!」
「モモコーーおかわり!!」
「はーい! ちょっとまっててねぇ」
約束の日が来た! 本日は10時から月村さんちに集まることとなっている。 そう、10時にだ。
「ここからすずかちゃんのところまで1時間以上かかっちゃう! ん~~どうしよう!!」
「なんだこの魚! すんげぇうめぇ!!」
「それはね“ホッケ”っていって、このあいだお店のお客さんからもらったのよ」
完全なる寝坊。 絶対的なる遅刻。 またこれか、昨日に引き続きまたこの展開か――なのはの脳裏にはそればかりが木霊している。
―――――というより。
「悟空くん! “10杯目”にいってる場合じゃないよ! とにかく急がないと―――」
「はむ?」
「も~~~!」
「きゅう……」
実は今回、悟空に非はない。 そもそも悟空は1時間以上前には目を覚まし、桃子に朝食を作ってもらっていたのだから。
勝手に寝過ごしたのはなのは……起こさなかった悟空も悟空だが。
「どうしよう……どうしよう……」
焦る彼女は部屋を行ったり来たり。 両手を振ってはあわてふためて次の行動を起こせずにいる。 そんな彼女に……
「なぁ、なのは?」
「なに……悟空くん」
「筋斗雲ならすぐじゃねぇか、道さえ教えてくれればオラが連れてってやる」
『あ! そっか!!』
彼は、救いの手を差し伸べる。 ボリボリと魚の骨をむしゃぶる悟空は、文字通りに右手をなのはに伸ばしている。
さぁ、行こう。 ここからなら数分でついてしまう―――そんな彼の手を、なのははすがるように掴み取る。
「気を付けていってくるのよ?」
『はーい!』
ドアを開け、玄関で靴を履き―――如意棒を背負って。 悟空となのはの準備は万端どなり。
「筋斗雲やーい!!」
『―――!! すっごい大声……』
昨日の鏡写しのように友を呼ぶ。 遅れること数秒で空の彼方からやって来る雲……筋斗雲は悟空の足元で急停止。
まるで忠犬の様な振る舞いで悟空にじゃれては、その表面積をむくむく広げる。
「これでみんな乗れるな、しっかり捕まってろよ?」
「あ、はい!」
「筋斗雲はとっても速えかんな、振り落とされないようにすんだぞ」
警告もOK! 全ての準備を整え、彼らは今大空えと旅立つ――――
「いっけー!」
『―――――ひっ』
―――――時速200キロで。
高速なんてもんじゃない。 いきなり200、何が何でも急発進。 助走なんてあったものじゃないこれに、なのはとユーノから声が消え。
彼らの周りからも風を切る爆音以外の音が消失する……彼らは、風となった。
彼らが目指すは“月村”の家……悟空にとって特別な、切っても切れない縁がある単語を冠するその名を持つ彼女たちは。
悟空にいったい、どんな出来事をもたらして行くのか……それは取りあえず次の話であろう。
今日の話は――「きゃあああ……ふぅ…………」なのはの意識と共に終わりを迎えるのであった。
悟空「オッス! オラ悟空!!」
なのは「ここは……わたし……」
悟空「あ! 起きたか? おめぇいきなり喋んなくなっちまうんだもんなぁ。 オラびっくりしちまったぞ」
なのは「そっか……わたし悟空くんに……」
悟空「――!! なのは、おめぇ向こうに行って隠れてろ!」
なのは「はぇ? ご、悟空くん?」
???「該当するデータ……なしですか。 あなたはいったいどちら様で?」
悟空「おめぇこそだれだ?」
???「今日は来客の方がいらっしゃいますので……お引き取りください」
ユーノ「あわわ……なんだか大変なことになってきた。 えっと次回!!」
なのは「魔法少女リリカルなのは~遥かなる悟空伝説~第6話」
???「誤解……?」
すずか「なのはちゃん遅いなぁ」
アリサ「ねぇ、このモニターに映ってるのって……」
悟空「また今度な!」