いつからだろう、彼を横目で追うようになったのは
いつからだろう、彼の不器用な優しさに気が付けたのは
いつからだろう、この気持ちが恋に変わったのは
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エミさんの仕事場で働かせてもらい、もう一週間
私は幸せな日々を過ごしている。…だからだろう、彼の事を考える余裕が出来たのは
『横島忠夫』 『人間』 『クラスのムードメーカ』
私が出会った頃の彼の印象はこんな感じだ。おバカでスケベで騒がしい奴
…正直あまり良い印象ではなかった。
…だが女子にセクハラまがいの事をしていても実は彼、一線を引いていたのだ。彼は心から嫌がる女子や、 明らかに自分より弱い相手、自分を抑えきれない女子には飛び掛らないのだ。
だからだろうか?女子の評価は芳しくないが、けして嫌われてはいなかった。
ピートの差し入れお弁当も横島がタンパク質と言って横取りをしていた為、彼にお弁当を直接渡せない女子がピート君に差し入れているのを私は気が付いていた。
私は興味を持ち、横島忠夫を観察し始めた。
横島忠夫、彼はバカである、しかしバカでも彼には裏表がない。
場を盛り上げる為にふざける事が多いが、人が傷つく事などはやらない、言わない。
そして区別をしない。普段は美女の味方と公言しているが、困ったら男女関係なく出来る限り助けようとする
…そしてそれは私達、妖怪もだ。彼は人間も妖怪も区別なく友人として付き合ってくれた。
否、彼には区別する意味が解らないのだろう、そんな彼が居たからこそ私達はクラスに溶け込めたのだろう!!
ピート君の容姿を妬む事はあっても決して見下さず、対等に付き合っている
私が彼を飲み込んだ次の日には、恐怖もなかったかのように友達としてみてくれている
それも無意識に、彼にとってはそれが当たり前なのだろう。
それがどれほど難しいことか、彼やクラスメートは気が付いていない。
そしてどれほど私達が救われているか気が付いていない。
…妖怪として退治されるなら …私は横島君に退治されたい! 彼ならきっと私という存在を忘れないでいてくれるだろう。
バレンタイン
初めて異性に渡せた。 …出来心と普段の感謝を込めて横島君のロッカーに入れておいたのだが、横島君にチョコがということで騒ぎになり名乗れなかったのは残念だ。
おキヌ事件
おキヌが食事を作りに来ている時、その事を邪推したクラスの面々が横島のアパートへ大挙して押し寄せた際には、愛子も内心焦り、血相を変えて同行した。
おキヌが当時幽霊だった為、問題なしとされたが…内心、愛子は不安になった
中間試験の勉強会
横島君の家で、ピート君、タイガー君を加えて皆でお勉強会をやった
…彼の家で散らかっているところも目立つが、炊事場は整理されていて、どこか女の匂いが感じられた。
魔族事件
横島君が人類の敵としてメディアに報道されたが、クラスの皆はGSの仕事だと深く考えていなかった
(冗談で机に落書きなどは一部の男子が面白がってやっていたが)
事件解決後、横島君は戻って登校してきてくれた。
…その日、校門の前で一人の女性が横島君を待っていた。
横島君は慌てて早退して彼女のもとへと行ってしまった。
…それだけで私は悟ってしまった
――――ああ、そうなのか。
…彼の心を掴んだのは彼女なんだということに
(…本当に綺麗な人 清楚系じゃん …てっきりラスボスは美神さんだと思っていたけど…)
彼と彼女に何が有ったのかは解らないけど…
彼女はきっと出会えたのだろう。自分にとって最も愛してくれて、愛するひとに…
それが横島君なら大概物好きだとは思うけど…
…彼を選んだ彼女の目は決して節穴なんかじゃあないのだから!
「…さん? …愛子さん」
「ピート君?」
「…珍しいですね。ボーっとしてましたけど…」
「…ちょっとね 横島君の事考えてたわ~」
「えっ」
「…ねぇ、ピート君 …横島君と前に学校に来た、横島君の彼女は元気かなぁ?」
「2人とも怪我が無ければ良いなぁ」
私達の学校では、幸い死者は出なかったが、校長を始め重傷者や怪我人が多くでた。
…横島君は大丈夫だと思うけど彼女は大丈夫だろうか?
「……」
何故かピート君は顔を真っ青にして口を噤んでしまった。