横島の道   作:赤紗

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決意と覚悟

『お待ち下さい。コスモプロセッサー以外でルシオラさんを復活させる方法が見つかりました!!』

 

そう言って突如現れた小竜姫に対し、真っ先に動いたのはエミだった。

コスモプロセッサーは神魔にとって見過ごせるモノではない。それが例え小竜姫としてもだ

ゆえに反射的に横島の前に出て精霊石でカバーしようとして

 

 

――――いつの間にか背後に居たワルキューレに無言でその手を掴まれてしまった。

 

 

『横島さん 皆さん妙神山へ一度お越し下さい』

 

そう言いながら何故か横島に対しその場へ即座に片跪いて頭を垂れた。まるで、王に対する臣下のごとく礼をとる小竜姫に一同は絶句した。

友好的とはいえ神族である小竜姫の、この対応は異常であり、その目は決意に満ちていたのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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猿神が最高指導者謁見する前日

 

 

 

「小竜姫、ワシは明日上層部に例の件を申告しに行く」

「…本当にそれしか無いのですか?」

「今や神魔の霊力バランスが崩れ、このままでは神族の過激派による暴走がおきかねん。 …最悪の場合、聖書崩壊(ハルマゲドン)に一直線となろう」

「ですが老師が責任を…」

「小竜姫!! 責任は有る アシュタロスの策に嵌められとはいえ、ワシは身動きとれずに妙神山も落ちてしまったのだ」

「……」

「責任者は責任を取らねばならぬ!」

「ならばその責私にも…」

「…小竜姫よ お主には為さねばならぬ事があろうて!?」

「!?」

「小竜姫よ、主には二つ道が残されている 一つは妙神山を正式に引き継ぐ事 そしてもう一つは……お主の心のままに生きる道じゃ!!」

「どういうことですか?」

「小僧の事に罪悪感を持って悔やんでいることにワシが気が付かぬと思うたか?」

「……」

「小僧…いや、横島はコスモプロセッサーでルシオラを復活させる気じゃ!」

「そ、それは!!」

「無論、今の情勢でソレは認められん …様々な所を刺激し、目を付けられるだろう。」

「…それ以外に手は無いのでしょうか?」

「…ある。」

「そ、それは…」

「それが先に言ったお主の心のままに生きる道であり、ルシオラを復活させる唯一の方法でもある …“眷属化”じゃ」

「眷属化?」

「ルシオラの霊破片を摘出するには横島の霊体を強化せねば不可能じゃ …お主が眷属になり横島の霊質と反発せぬようになれば、竜化した、お主の子宮で横島の霊体自体の強化が可能じゃ」

 

子宮を使う、これは小竜姫の本性である竜の姿にならねばならない、末席とはいえ龍王家につならる小竜姫。彼らは竜神族は自身が神としての誇りが有り竜化は最も忌むべき行為でもある。だがそれよりも…

 

「それは私が横島さんの …人としての生を …殺すということですね!」

「そうじゃ …人の霊質のままの神魔化、一種の転生といえよう!!」

「…私は …私には」

「そしてリスクもある、最悪お前に魔族因子が入り込めば……その身の堕天を意味する!!」

 

堕天……それは魂と肉体を同時に犯されることに等しい。神として、そして女として……それは死ぬよりも辛いこと。どうしたって、その恐怖は拭えない。…だが、それでも…

 

「……師匠。管理人の任返上させていただきます」

 

あの戦争で何も出来なかった自分

ヒャクメの記録映像で観た横島さんの慟哭

笑わなくなった横島さん

 

「私は、横島さん…いえ忠夫様のお心を晴らす剣となりましょう。不肖の我が身なれど、あの御方と共に歩ませて頂きます…」

 

ルシオラさん、貴方は横島さんの命を救って心を殺してしまいした。 

私は横島さんの人としての生を殺し心を救います。…たとえ貴方に怨まれようとも…

 




ヒャクメは大戦後、報告の為に関係者から事件の記憶を見て記録映像を作成しています。(横島くんの慟哭も)

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