横島の道   作:赤紗

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すいません、遅れました。
内容を修正しながら書いてました。


契約

 

『……目覚めたか?』

 

荒れ狂う魔力の中で猿神は覚悟を決めていた。

この策に失敗し魔族化して理性を失い闘争本能で生きる獣になった場合は自らの手で討つ覚悟を…

だが彼女を救うには横島の魂と融合している彼女を覚醒せねばならないのだ

…それをルシオラが望まないとしても

 

 

 

 

「ウガアアアアアアアアアアアァァァァァァァァ!!」

 

激しい痛みの中で横島は、懐かしい魂の波動を感じていた。

(お前なのか? ルシオラ!!)

だが、次の瞬間に内側から

 

コロセ!!  コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!!

 

コロセ!!  コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!!

 

コロセ!!  コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!! コロセ!!

 

そこには最愛の彼女ではなく、自分自身の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

『…皆さんは疑問に思いませんでしたか?』

 

小竜姫の声で一同彼女に注目する。変わっていく横島に目が離せないでいたのだ。

 

「疑問ってなんだよ? アイツの今の状態と関係あるのかよ!」

『雪之丞さん、貴方が一番理解できるはずですよ、横島さんの肉体が侵食もされずに魔族化すらしていないという事が異常だということに…』

「っぅ!? …そういうことかよ!」

 

雪之丞の使う魔装術は特殊な魔法陣の上で契約する魔族の血を受け取るという儀式を持って行われた。そのさいに僅か一滴の血でも鎌田勘九朗、伊達雪之丞、陰念 この三名以外の儀式を受けた白龍寺の門下生は魔族の血に耐え切れずに肉体が自滅してその場で魔物になりそこない、メドーサによって始末されてしまったのだから

正真証明、上級魔族であるルシオラが譲歩したとはいえ霊其構造を人間の横島に与えて肉体に変化がないのはよくよく考えるとおかしいのだ

 

『考えられる理由は一つ …ルシオラさんの意思が横島さんを護り続けているのでしょう …たとえ死んだとしても横島さんを護る意思だけは彼女の霊其構造に刻まれているのでしょうね』

 

二人を知っているメンバーの 雪之丞 カオス マリア 魔鈴 エミ ピート タイガー 唐巣は驚きながらも納得していた。ルシオラが横島の命を救う為に自らを犠牲にしてまで護りたかった想いはヒャクメの映像越しとはいえ観ているからだ。

 

 

一方ルシオラを知らない 愛子 テレサは困惑していた。特にテレサは横島の事もよく知らない為に理解できなかったというのが本音だった

(自分より弱い人間を助ける為に命を捨てるなんて… あの人間、横島忠夫にそこまでの価値があるというの?)

ただ以前と違い横島に興味を持ち、ひそかに観察しているのだが、テレサは自覚していなかった。以前なら人間自体を見下していたため興味を持つことすらしなかったであろうことには

 

 

「ですが小竜姫様、この戦いに何の意味があるのですか? このままでは横島君が…」

『意味は有ります。…横島さんが命の危機に陥れば彼女の魂が目覚める可能性が有りました。そして今、彼女の護りは横島さんを人間のままでという想いより、生きて欲しいという想いが優先され、魔族に変えないという想いを上回っているのです。』

「待ってください! 横島さんを魔族にするつもりですか?」

『違いますよピートさん、あくまで目的は横島さんの中のルシオラさんを覚醒させることです。 どのような形であろうとも彼女は横島さんを護り続けていますから、ですから目覚めさせる方法はこれしか…』

「小竜姫様…ですがこのままでは?」

『大丈夫です。そのために私と老師がおりますので!』

 

そう言うと小竜姫は横島と猿神のもとへと歩きだしていた。その背中には決意と覚悟が感じられ誰も何も言えず、黙って見ていく事しか出来ずにいた。

 

 

 

 

 

 

横島は満身創意の中で自身から湧き上がる殺戮と破壊の衝動を必死に抑えていた。

(マズい、血を流し過ぎて意識が…)

 

『…許せよ! 乾・坎・艮・震・巽・離・坤・兌 “八卦封印”・禁!!』

 

猿神がそう呟くと八方向から炎の鞭が横島を貫き意識を奪っていた。

 

 

 

 

『…覚悟は決まったか小竜姫?』

「はい!!」

『一方的ではあるが、今の状態の小僧に契約でラインを繋ぎ、お主の霊質と反発せぬ状態になれば竜化した、お主の子宮にて横島を人間の霊質のまま神魔の域まで霊体を作り変えられる。そうなれば2人の分離は可能だ。 じゃが――』

「解っております老師。そうなれば私が妙神山に括られる存在から忠夫様の括られる眷属となります。そして多種族を産む行為により私は竜神族を追放されるでしょう。…ですが私は何処までも付いていこうと決めましたから!!」

 

古来より竜種は生命力に優れその血を飲むと不老不死になれるとまで言われている。

勿論そこまでの効能は無いが純血の血液は寿命を数百年から千年のばすと言われ古来より争いの原因となってきたのだった。

故に血を外に分ける異種婚は竜種にとって禁忌されてきていた。

竜神族も、おもに血統を重視しており王家などは近親婚が未だに主流なのだ。

 

横島を子宮に受け入れ、霊体を再構成して産むのは生命力が強く最適だが、この行為も多種族を産む行為には変わりなく禁忌とされるだろう

 

だがそんな些細なことより小竜姫が気を重くしているのが忠夫様に黙って眷属の儀式を行い、その後は私の子宮にて彼の霊体を再構成してしまうことだ。

これは人間の肉体を事実上、殺して新たに私の子宮で降誕されるのだ、こうなれば忠夫様は 人間 魔族 神族 いずれの勢力にも属さない異端者となるだろう。

人間の霊力のまま肉体を捨てて神魔化するのであり、神族にも魔族にも属さないと言うことは、神魔両界の助けも無いと言うことなのだから …だがら有事の際に自分が横島の護り手であり、剣になると誓ったのだ。

 

 

「横島忠夫様 貴方の人としての生を奪う、この私を怨んでくれてかまいません。なれど御身のお側にて守護させて頂きたいという、この想いだけは引けぬのです!! お許し下さいませ!」

 

そう言うと何時の間にか ちぎれた腕を拾っており、小竜姫は灼熱の鞭に捕えられ気絶している横島のもとへ行き …横島の目の前でソレを …かじりつき血を啜りだしていた

 

(…やはり忠夫様の血は霊濃度が高いですね。これなら!!)

 

「我、妙神山管理人・小竜姫 この血を契約に使い人間横島忠夫の眷属を願う」

 

その後ろにはいつの間にか来ていた魔族ワルキューレと斉天大聖猿神老師がそれぞれ

 

「我、神族斉天大聖… ここに小竜姫の眷属の転身を承認する」

 

「魔族ワルキューレ… 人間横島忠夫に対する小竜姫の眷属転身を見届ける」

 

 

横島との血の契約に、神族の承認、魔族の確認、それらが言霊になって小竜姫を縛っていた妙神山の括りが消え、横島との間に契約のラインが確かに繋がったのだ。

 

「忠夫様、初めてお会いした時に手加減したとはいえ私の剣を避けましたよね。サイキックソーサーも私が与えた心眼が授けて、栄光の手や文珠の時にも私はお側におりました。…それなのに私は貴方を指導することをしませんでした。…貴方の成長を誰より認め嬉しく思っていたのに……そのせいで事件の中で力不足に陥り最愛の人を失わせてしまいました。」

 

事件後ヒャクメの映像を観て小竜姫が後悔したことは数あれど、一番の後悔は横島の才能と実力を認めておきながらも何もしなかったことだ。

勿論 一神族の小竜姫が直接指導しに行くのは問題だが、美神に言って妙神山に呼ぶことや出来る手段は有ったはずなのだ!

それを怠り結果論かも知れないが彼の恋人が死んだ。それは武を教えるべき武神の小竜姫がやってはならない事だ。

彼の爆発力が安定していればあるいは… そんなIFを思ってしまうのだ。

 

「貴方は“小竜姫様のせいじゃないっすよ”とでも言うのでしょうか?」

(ですがこれは私の罪 そしてこれから行うのも私のエゴで有り罪)

 

横島に近づき炎に身を焼かれるのも気にせず、耳元で囁くように

 

「我、竜神族・真名は小蘭(シャオラン) この真名と共に貴方に忠誠を誓います!!」

 

そう言うと黄金の神気を纏った美しい竜になっていった。

 

 




八卦封印はナルトと関係ありません。
太上老君の八卦炉を再現した術です。
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