「ねえカオス、あの人間に何があったの?」
「前に人質に捕まえた時とは印象が違いすぎるんだけど」
カオスにより修復されるなか、テレサが興味を覚えたのは横島だった。
前に会った時と別人のように霊力が上昇していたのだ
おまけに、会話を聞くと魔族の為に人間を辞めようとしているのだ、どう考えても意味が解らない行為なのだ。
「ふむ、そうじゃの横島は変わったかもしれん」
「…じゃがその本質は変わっておらんよ …だからこそワシは手を貸すのじゃがな」
「何よそれ、はぐらかさないでよ。」
「ワシがどう答えようとお前の中で納得せねば意味がなかろうて」
「興味があるのなら自分の目で確かめることだのう」
カオスはテレサが興味を持つ事が嬉しかった。それはプログラムなどではないテレサ自身の意思であるからだ。
そして願わくば、テレサが自らの学習能力を以って自分で成長してほしいものだ。
横島ならば、かつてのマリアと若き日のシャーロック・ホームズのような結末にはなるまい
マリア自らが笑顔のプログラムを削除するような事には…
「テレサ修理が終わったら横島の元へ行ってみないか?」
「何それ命令なわけ?私に何のメリットもないじゃない。」
「メリットは先ほど言った自分の目で確かめる事じゃな」
「お前さんの人格プログラムはわしらに反抗した時とまったく変わっていない。」
「ワシは正直、三原則ぐらい組み込もうかと思ったが、それをやるともはや前のテレサとは違う者になると。マリアがそれに反対しての」
「姉さんが!!」
「…考える時間はある、ゆっくり考えて自分で決めてくれ」
「「横島さん」」
「ピートに ……ま、魔鈴さん?」
「なぜ2人がこんな時間に一緒なんですか?」
「ピートさんには今、レストランの従業員として働いて貰っているんですよ」
「僕の所も今、働き口が厳しいのでアルバイトさせて貰っているんですよ」
「良ければ横島さんもご一緒に働きませんか? 調理担当がまだ人手不足なんですよ。」
「いえ、俺は料理なんかやったことないですし…」
「最初から出来る人は居ませんよ、それに横島さんは手先が器用そうですからすぐに覚えられますよ」
「…でも俺が手伝えば」
「横島さん …私ごときが生意気をいうようですが、逃げていても解決しませんよ。」
「っぅ」
「…失ったのは貴方だけではありません。」
「そしてルシオラさんが命を捨ててまで護りたかったものを、もう一度考えてみてください」
「…私が話せるのは此処までです。失礼します」
そう話すと魔鈴は立ち去り、ピートも慌てて会釈して追って行った
…立ち尽くす横島だけが後に残された
「…あれで良かったんですか?」
「…解りません、私はその場に居ませんでしたし、最後の究極の魔体を破壊する場にさえ、足手まといで途中退場でしたから」
「そんな私が慰めや説得の言葉をかけてもきっと横島さんには届かないでしょう」
「…けど今の横島さんを見たいが為に、ルシオラさんが命を賭してまで救ったわけでは無いはずです」
「横島さんに生きて欲しい、幸せになって欲しい、そういう気持ちがなければ自分の命を捨ててまで護れませんよ」
「…それくらい分かります、私も『女』ですから」
「…魔鈴さん」
そう語った魔鈴の表情は悲しそうだった。
一方取り残された横島は、かつてルシオラが言った
「私、お前が好きよ だから…お前の住む世界、守りたいの」
という言葉が頭の中を繰り返されていた。
「俺は一体どうすれば …どうしたいんだよ」
遅くなりました。
駄文ですが宜しくお願いします
また感想を書いてくれると喜びます。