中華料理というのは作るのが難しいものが多い。
最低でも中学生にならないと一人で作るのが難しいものが多い。
大体の子供が一番先に作れるようになる火を使う料理の中でも多いのは中華料理の一つだ。
米と卵、玉ねぎ、中華出汁の粉さえあれば作れる料理
そう、炒飯である。
誰でも作れる料理なだけに思い出も出来やすい。
母が作ってくれるお昼ご飯。
日曜の父の男料理感溢れる炒飯。
そんな思い出が俺にもある。
子供じゃなくて大学生の時だけどな。
おっと、そろそろ麺が茹で上がる。
冬のある日。
「へいお待ち味噌ラーメン」
「おお!この色こそ味噌ラーメンのスープだ!」
ヒースクリフさんに新作のラーメンの試食を頼んだ所夜にも関わらず十分で来た。
仕事はいいのか?
後一人お客が居る。
フードを被った十代後半くらいの子供だ。
注文がサンタs・・・ヒースクリフさんの方が早かったため味噌ラーメンを優先した。
まあ、麺を茹でている間に材料か切ったから五分もあれば出来るだろう。
「うまいぞぉぉぉ!「空いてるか大将」
扉が開く音と聞き慣れた声がしたので入り口を見るとキリト君とアスナちゃんが居た。
居たというより固まっていた。
どういうことかと思ってヒースクリフさんの方を見ると「ヤバッ」と言って固まっていた。
「まあ、寒いだろう?二人とも入んなよ」
「あ、ああ」
「はい」
「なっ!」
入り口を入ったキリト君が驚きの表情を示した。
「どうしたんだいキリト君?」
「どうしたって!気付かないのか!何でオレンジプレイヤーがここにいるんだ!」
そう、フードを被った子供はオレンジプレイヤー・・・つまり殺人以外の罪を行ったプレイヤーだ。
「それがなんだい?」
「なんでって!」
叫ぶキリト君にヒースクリフさんが口を出した。
「キリト君少し前にオレンジプレイヤーなら圏内に入ることが可能になったじゃないか」
そう、2ヶ月前にオレンジプレイヤーも武器を武装しなければ圏内に入ることが可能になった。
しかし、一度入ると犯罪者がのこのこ圏内に入るなよという目線などが多く滅多に圏内に入ることはなかった。
「ごめんなさい・・・ここでご飯食べたら。第一層の監獄に行くから・・・」
不意に聞こえた声は儚く犯罪など犯すような事など一切考えられない透き通った女の子の声だった。
そう言った後女の子は泣き出してしまった。
「あーあ、キリト君が泣かせた」
「え!?俺が悪いのか!?」
うんうんと女の子とキリト君を除いた全員が頷く。
「俺が悪かった」
「はい・・・」
その後女の子の話を聞いた。
彼女はミリーシャちゃんという名前らしい。
フィールドで狩りをしているときオレンジギルドに捕まり無理矢理所属させられていた。
オレンジプレイヤーになったのはギルドにいたグリーンプレイヤーを傷付けないと殺すと言われ短剣で一ミリほど傷付けたと言っていた。
犯罪者の手伝いが怖くなり逃げ出し圏内に入ったところこの店があったと言っていた。
女の子は泣き止んだが鼻声が混ざっていた。
「そういえばさミリーシャは贖罪クエストを受けないんだい?」
キリト君はそう言った。
贖罪クエストとはオレンジプレイヤーの罪をその名のとおり贖罪するクエストだ。
かなりの重労働と聞いたことがあるが死ぬことは無いと聞いたことがある。
「キリト君はバカかい?」
「は?」
「ミリーシャちゃんは追われてんだよ?捕まったら酷いことをされるだろう」
「そんなことになるなら監獄にいた方がマシってことか」
「そういうことだよね?」
「はい・・・」
「少し昔話をしようか」
俺はそう言ってフライパンに火を着けた。
高校生の時剣道でいい成績を残していた俺は大学に入って剣道のサークルに入ろうと決意し上京した。
しかし、サークルは半年前に問題を起こし崩壊していた。
それを知った俺は怒る気にもならず夜道をトボトボと帰っていると不良に絡まれた。
やり返す気力もなく不良は満足すると帰っていった。
俺もゆっくり立ち上がりアパートに帰ろうと歩いていくと暖簾を掛けている飯屋があった。
入ろうと思って財布を見るといつも間にかに不良に金を抜かれていた。
諦めて帰ろうとすると・・・。
「よぉ、兄ちゃん食ってかないのかい?」
中から初老の男性が出てきた。
「はあ、金ないんで」
「そうかい、だったら奢ってやるから入んな」
「え、ちょ」
俺の腕をつかんで店の中に入れた。
「奢ってやるから料理は俺が決めっからな」
「は、はあ」
戸惑ってると炒飯が出てきた。
「食いな」
「はい、いただきます」
俺はスプーンを握って炒飯を口に入れた。
俺の口から出たのは一言。
「旨い」
俺はあまりの空腹にガツガツと食べていたら男性が一言。
「そうか」
と言って笑っていた。
「その炒飯を食った次の日俺は剣道のサークルを作ってメンバー集めて大会に出たんだ。三年目で小さな大会で優勝してその店に行くと・・・」
「行くと?」
キリト君が相づちを返す。
「俺はその人のお陰で優勝できたって言ったら『勝ったのはお前の努力の結果だ。俺は飯奢っただけだって』」
「ほう」
ヒースクリフさんが感心したように呟いた。
「で、何が言いたかったんですか?」
アスナちゃんが首を傾げ言った。
「最後にその人が言ったんだよ『旨いもんに旨いって言える内は大丈夫だ。旨いもんに旨いって言えねぇ大人になんなよ』ってな」
俺は作っていたその料理を皿に盛りミリーシャちゃんの前に出した。
「食いな炒飯だ」
ミリーシャはいただきますと呟くと咀嚼した。
飲み込むと・・・。
「美味しい・・・です」
と呟いて涙を流した。
「じゃあミリーシャは大丈夫だ」
俺はそう言って笑った。
「さて、失礼なお客さんを返してきますかね・・・」
そう言って刀をストレージから出した。
「おい、大将」
「キリト君。大丈夫だ」
ヒースクリフさんがそう言ったのを聞いた後店の外に出ていった。
「ミリーシャァァァ!出てきやがれ!」
まさに不良というようなプレイヤーが叫びを上げる。
「あの~他のお客さんに迷惑なのでお静かにしていただけませんかね」
目の前には十五人ほどのオレンジプレイヤーがいる。
「うるせぇよ!オッサンぶっ殺すぞ!」
「そうかい」
俺は着物の袖に手を入れ一つの結晶アイテムを取り出す。
「"