「
剣闘場結晶とは一定空間を圏外にするアイテムだ。
この空間ではHPが0になると死なずに犯罪者プレイヤーやそれらに関係を持っているプレイヤーを監獄に送る。
つまり勝てるという自信がある場合の自衛専用アイテムだ。
「とっとと武器を装備しな三十秒待ってやる」
そう俺が言うとオレンジプレイヤー達が装備スロットを操作し武器をオブジェクト化し構えた。
「死ねぇぇぇ!」
オレンジプレイヤーの一人が片手斧を振りかざし叩き斬るように降り下ろす。
「遅い」
しかし、その斧は俺には届かなかった。
何故ならばそれよりも早く俺の放った刀が斧ごと相手の首を斬り落としていたからだ。
「次」
残り十四人
俺は刀を納刀し冷たく脅すように二言だけ口から発した。
「こっちの方が人数が上だ!囲めば殺れる!」
「「ウォォォォ!」」
次は五人ほどが包囲する。
包囲した全員が同時に武器を振りかぶり降り下ろすタイプのソードスキルを発動する。
「あんまりオッサンを嘗めるな!」
俺は目の前にいるプレイヤーの後ろに体を避けるように回り込みさっきまで自分が居た位置に蹴り飛ばす。
四人が降り下ろすのを止めようとしたときにはもう止められなかった。
四人の武器は慣性の法則に従い目の前に存在する俺が蹴飛ばしたプレイヤーを切り裂く。
「グアァァ!」
残り十三人
自分のしたことに唖然とする四人の中の一人の首を俺は抜刀した刀で切り裂く。
返す刀でもう一人の胴を切り裂く。
残り十二人
「貴様ァ!」
我を忘れて突っ込んでくるプレイヤーに腹に刀を突き立てる。
「まだぁぁぁ!」
刀を突き立てたプレイヤーはそのまま片手剣を降ろうとするが・・・。
「終わりだ」
刀の柄を回し刃を上にして切り上げる。
刀は喉を切り裂き胴から頭までを二股にする。
残り十一人
早すぎる展開に動けないでいる残り一人の足を払い転倒させる。
「ぐあ!」
地面に頭が着ききる前に頭に刀を突き立てた。
残り十人。
「次だ!」
キリトside
強い
その一言しかなかった。
俺達は店の扉の隙間から大将の戦闘を見ていた。
大将は中層プレイヤーで上と言っても俺達トッププレイヤーとは少なくとも15以上の差があるはずだ。
それに大将はソードスキルを一度も使用していない。
「やはり、あのユニークスキルは彼が持っていたか」ズルズル
「ユニークスキルだと!?というか汁が跳ぶんだが」
ヒースクリフは顔を横に持ってきて大将の戦闘を見ながらラーメンを啜っていた。
「すまない」
ヒースクリフは真面目な顔をして啜っていたラーメンが無くなるのを確認するとカウンターに置いて話を続けた。
「ああ、私の神聖剣と同じ選ばれた者だけが使えるスキルだ」
「何故お前が知っている?」
俺は探りを入れるように
「私と茅場君は友人でね。神聖剣ともう一つだけ教えてもらったんだ」
「そのもう一つを大将が持っているというのか?」
「ああ、その名も『人斬り』人形の敵と戦闘するとき全部の数字を持つステータスが二倍になる」
「それって・・・」
「そうだ。対人戦において彼は無敵だ」
あんなスキルがレッドプレイヤーに渡らなくてよかった。
「しかし、どんなスキルにも弱点があるものだ」
「何だと」
「人斬りを発動しているときはソードスキルが使用不能になるんだ」
「それって」
「ああ、使用者の戦闘センスが皆無だった場合全くの使い物にならない。どうやら終わったようだよ」
ヒースクリフの言葉に促され戦闘場を見ると大将一人が立ち尽くしていた。
「終ったか」
全員を監獄送りにした俺は店に戻っていった。
「大将お疲れ」
一番最初に声を掛けてくれたのはキリト君だった。
「あの・・・その・・・」
ミリーシャちゃんはモジモジとしながら俺の側によった。
「もう大丈夫だ」
「・・・ありがとうございます」
「ああ」
ミリーシャちゃんの瞳から涙が溢れだした。
「また泣くのかよ」
「・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい」
「泣いてもいいんだよ」
そう言ってアスナちゃんがミリーシャちゃんの背中を撫でる。
「さすがだやはり血盟騎士団に「お断りします」そうか・・・」
「ミリーシャちゃん。君は贖罪クエストを受けるんだ」
「・・・はい」
「それに手伝いがいるときは言ってくれ」
「・・・え?」
「手伝うからよ」
「あの、その、今回のお礼もまだなのに・・・」
「お礼か・・・お礼ね」
「セクハラ的なことはダメですよマスターさん」
「当たり前だ俺はロリコンじゃない」
お礼と言われてもな。
そうだいいのがあった。
「笑ってくれ。ここ来てから泣いてばっかだろ?」
「金品要求は俺の主義じゃない。それ系はアスナちゃんに殺される」
「こ、こうですか?」
ミリーシャちゃんは涙混じりな顔で笑った。
ここに来てから一番可愛い顔だった。
「ああ、いい顔だ」
俺も笑いそう言った。
色々な人が来て色々な物語が生まれる。
人はここを仮想食堂って呼ぶよ。