001
翌日の朝のSHRだ。 一夏にとっては驚きのことが起きていた。
「では、1年1組代表は織斑一夏くんに決定です。あ、一繋がりでいいですね!」
山田先生は嬉々として喋り、周りも大いに盛り上がっている。
「先生、質問です」
「はい、織斑くん」
「俺は試合で一勝一引き分けなのになんでクラス代表になっているんですか? 」
その答えは山田先生が答えてくれるさ。
「それは、忍野くんが推薦したからですよ」
「えっ!?忍野!?」
一夏は驚き、忍野の方を振り向く。
「俺より一夏の方が観客の受けが良かっただろ?だから俺は辞退して一夏を推薦したんだよ」
「なるほど、それで本音は?」
「誰がやるか、面倒くさい」
「やっぱりかよチクショー!」
忍野の本音に叫びを上げる一夏、それを笑ってる忍野。
「大丈夫だよ一夏、俺はお前のサポート役としてクラス代表補佐になったから」
「なに!?変わってくれ忍野!」
『惨めったらしいぞお前様』
「やだよ、そのまえに君はサポートなんて出来ないだろ?諦めな」
ガタン、と音がした。 その音源は突如起立したセシリアだった。
「あの・・・非常に不躾ですが、発言の許可を頂けるでしょうか・・・?」
「許可しよう、なんだ?」
千冬に許しを得たセシリアは深呼吸を大きく一度二度し、直角に腰を曲げ
「私、セシリア・オルコットはイギリス代表候補生として、人間として。今日までの、無礼を謝罪をさせて下さい。国を、そして男性を侮辱した愚行。誠に申し訳ありませんでした」
真摯な謝罪だと一夏と忍野は思う。当然な話ではあるが、この謝罪を受け入れる人も居ればそうでない人も居る。こればかりはどうしようもない、人の心の問題だ。 相手を受け入れる心、受け入れず拒絶する心。 それはその心の持ち主以外にはどうすることもできない。 そして心の問題は時間の経過に任せるしかない。
「オルコットさんもこうやって謝罪していることだし、皆も受け入れてくれないか? 今後は自分の立ち振る舞いを改めると言っているんだし、この前のような事はもう発言したりしないさ」
一夏の言葉にみんな納得したのか誰も文句を言わずセシリアを許してくれた。
002
「織斑君、クラス代表就任記念パーティーの始まりーーー!!」
本日の授業が終了し、一夏達が食堂へ行くと一夏のクラス代表就任記念パーティーが開かれた。 当然、このパーティーに参加しようと他クラスの生徒達もいたが、一夏は一組の代表。参加権は一組のメンバーだけだった。
「「「織斑君! 代表就任おめでとう!! 」」」
「お、おう。ありがとう」
一斉に鳴らされたクラッカーの音を合図にパーティーが始まる。 パーティーの主役である一夏は嬉しいのだが、女子生徒の元気についていけず少々顔が引き攣り気味であった。
多種多様のお菓子やジュースが並べられ、各々がお菓子を食べながら話しをしているのだが、一夏へ寄ってくる女子が多い。と言うか、ほぼフルメンバーである。
なぜ一夏にみんなが寄っていくか?
理由は簡単、忍野が居ないからだ。
破損したケルディムとアルケーの部品が届いたのですぐに修理すると整備室に向かったのだ。連絡してから24時間もしないうちに荷物が届く、運送業でもやったらどうですか束さん?
「一夏、人気者だな」
隣に座る箒が少し捻くれて呟く。 想い人が祝われるのは嬉しいが周りには女子しかいないのでやはり妬いているのだろう。
「・・・ただ騒ぐ口実が欲しかっただけだろう」
『なんじゃい! 目の前にドーナツがあるのに食べれんとは新手の拷問か!』
すでに疲れ果てた一夏と出てくるわけにいかず影の中でドーナツを食べれず悔し涙をながす忍だった。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と忍野仁君に特別インタビューをしに来ました!」
そこにいきなりやってきた女子生徒。ネクタイの色は二年生を表している。
「はい。私は二年の黛薫子。よろしくね! 新聞部副部長をやってまーす。はいこれ名刺」
手慣れた様子で一夏に名刺を手渡す。 部活動で作ったわりには本格的にできている。
「あれ? 忍野君は?」
「忍野なら整備室ですよ」
「なら後で取材するとして、ではずばり織斑君! クラス代表になった感想を、どうぞ!」
「期待に応えれるように頑張ります?」
「なんで疑問系? もうちょっと面白いコメント ちょうだいよ。そんなありきたりなのじゃなく て。もっとこう、俺に触ると火傷するぜ! みたいな」
「んー、“全力で狙い撃つ!”とか?」
「まぁまぁかな? 細かいところは適当に捏造しておくからいいとして」
「「「『(それは新聞部としてどうなの?)』」」」
みんな同じことを思った。
「あぁセシリアちゃんもコメント頂戴」
「わたくし、こういったコメントはあまり好きではありませんが仕方ないですわね」
「あ、じゃぁいいや。適当に捏造しておくから」
「ちょっと!?」
こんな感じで捏造と言う名の取材が続き最後に写真を撮ることになった。
「男性操縦士のツーショットが良かったんだけど仕方がないから一組の専用機持ちね」
そう言うと強引にセシリアと握手まで持って行く。セシリアは頬を染めてるが一夏が気づくはずもなく、
「・・・・・・」
「? なんだよ?」
「べ、別に何でもありませんわ」
何か用があるのかと勘違いして、
「・・・・・・」
「・・・なんだよ、箒」
「何でもない」
幼なじみがなぜ不機嫌そうにこちらを見てくるのかも分かってない。そんな事お構いなしに撮影は進められる。
「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は~?」
「え? えっと・・・2?」
「ぶー、74.375でしたー」
そこは分かりやすいので行かないと、一夏くんがポカンとしてますよ。しかも撮影の瞬間にみんな集まりツーショットではなくクラス写真になってる。
「あ、あなたたちねっ!」
「まーまーまー」
「セシリアだけ抜け駆けはないでしょー」
ともあれ、このパーティーは十時過ぎまで続き織斑先生に怒られやっと終了した。
003
後日、今回の新聞が発行されたが見出しが、
『噂の男子生徒は何かに取り憑かれてる!?』
になっていた。一夏の背後から隣の子の持ってるドーナツを取ろうとする少女の手が写っていたらしい・・・。
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