暴物語   作:戦争中毒

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それぞれの後語り

001

 

 

学園の地下50メートル。

 

機能停止した無人ISが運び込まれ、解析が行われてる。

千冬は何度も一夏と無人機の戦闘映像を繰り返し見ていた。

 

「織斑先生」

 

真耶がブック型端末を持ってやってきた。

 

「あのISの解析が終了しました」

 

そう言うと端末の画面を千冬に見せながら解析結果の要点を報告していった。

 

「武器やセンサーなどの解析はできましたが、中枢部分は全損してました。おそらく情報漏洩を防ぐための自己崩壊機能があったものと思われます」

「解析は無理か・・・、コアどうだった?」

「かろうじて残っていた残骸の部品番号などから登録されてないコアだと思われます」

 

確証はありませんが、 と真耶は言った。

端末を見るとコアだったと思われる、溶けた金属片が写しだされていた。

 

「そうか、やはりな」

「・・・何か心当たりがあるんですか?」

 

真耶や始めから予想していたかのような返事をする千冬に怪訝そうな顔を向け、質問した。

 

「いや、ない。今はまだ・・・な」

 

(やはりお前なのか、束・・・)

 

千冬はISを作ることができる友人の事を思い出しながら再び戦闘映像を見始めた。

 

 

 

 

 

 

002

 

 

コン コン

 

 

忍野が用事がある、と部屋から出ていって一夏がくつろいでいるとしばらくして誰かがやってきた。

 

「鍵は掛けてないから、入っていいよ」

 

一夏が来客を招き入れると扉を開けたのは・・・

 

「一夏・・・」

「鈴?」

 

少し元気のない鈴だった。

 

 

 

 

 

 

~一夏サイド~

 

「あー、そういえば試合、無効だってな」

「そうなのよ。はぁ~、頑張ったのに・・・」

 

どうやら鈴の元気がなかったのは、試合が無効になったからのようだ。絶対勝つって意気込んでいたからよほど残念なんだろう。

 

「あ」

「な、なに?」

「賭の結果ってどうする? 次の再試合って決まってないんだよな?」

「そのことなら、別にもういいわよ」

「え? なんで?」

「い、いいからいいのよ!」

 

ん~、いいというなら従うけど、やっぱり謝らないといけないよな?

 

「鈴」

「なによ」

「その、悪かったよ。ごめん」

 

俺は素直に頭を下げた。理由はまだわからないが鈴を怒らしたのは事実だ、謝らないでいることはできない。

そんな俺を見て、鈴は少し気まずそうな顔をした。

 

「あたしも、叩いた事を謝るわ、ごめんなさい。・・・そもそも一夏がああいう約束を覚えてるわけなかったんだから」

 

謝ってもらったけど、最後の方何って言ったの? 

追求してもはぐらかされそうだし話を変えよう。

 

「こっちに戻ってきたってことは、またお店やるのか? 鈴の親父さんの料理、また食べたいぜ」

 

中学の頃は、よく鈴の家の中華料理屋に足を運んだものだ。あの料理、また食べれるのかな?

 

「お店は・・・しないんだ」

「え? なんで?」

「あたしの両親、離婚しちゃったから」

 

・・・一気に場の空気が重くなった。

思いっきり地雷踏んじゃった!!

 

「あ、別に両親の仲が悪かったわけじゃないのよ? 詐欺にあって、借金を抱えて、お父さんはあたしとお母さんに迷惑かけないって言って、離婚して一人で借金返済をしてるの」

 

詐欺、か・・・。

たしかあの頃、町のあっちこっちで詐欺事件があったな。小さい店が沢山潰れたっけ?

 

「お父さんとは一年会ってないけど、手紙で元気だって言ってるわ」

「そっか・・・」

 

明るく言ってるけどやっぱり元気がないな。

どうすれば・・・! そうだ!

 

「なぁ鈴」

「ん、なに?」

「今度どっか遊びに行くか?」

「え!? それって、デー

「五反田と忍野も呼ぼうぜ。久しぶりに四人で集まるか」

・・・トって訳ないか」

 

ん? なんでそんな呆れ顔するんだ?

 

「ま、偶にはいいかもね、それならあの子も誘ってよ」

「あの子って?」

「ほら、あんたの家に遊びに来てた忍ちゃんよ」

「あ、ああ。一応誘ってみるよ」

 

・・・そうだった。千冬姉や鈴とか他の友達は、忍の事を俺に懐いてる近所の子供だと思ってるんだ。

忍よ・・・、お前はまた、着せかえ人形にされるようだぞ・・・。

 

 

 

 

003

 

 

 

屋上に来た忍野は今回の事件の報告をしていた。

なんで毎回屋上なの?

 

「あぁ、さっき“ショートカット”にしたから俺も作れるようになった」

『それなら大丈夫だよ! あのGNドライヴは“ミカガミ”で使ってるからね~、これで1号機を起こせるよ!』

「・・・今度の件、千冬に言っておかなくていいのか? “私の作ったISじゃない”って」

『・・・“偽物”を捕まえてから打ち明ける』

「そうかい、なら次の休日にでもそっちに行くとするよ」

『くーちゃんと一緒に待ってるからね! お土産よろしく!!』

 

そう言って束は電話をきった。

 

「・・・偽物ねぇ」

 

 

『そこに本物になろうという意志があるだけ、偽物のほうが本物より本物だ』

 

 

 

「チッ 嫌な奴思い出しちまった」

 

舌打ちをして忌々しそうに呟いてから忍野は屋上をあとにした。

 




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