暴物語   作:戦争中毒

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ラウラコンタクト

 

001

 

 

「忍野仁、貴様も専用機を持っているのだろ?  果たし合いを所望する」

 

腕を組み、仁王立ちで言ってくるラウラ。

 

 

忍野は簪たちと一旦顔を合わせてアイコンタクトで相談。とりあえず話を聞くことになった。

 

「何で俺と果たし合いしろなんて頼むんだ?」

 

忍野がどうしようかと考えながら質問すると、

 

「織斑一夏が『忍野なら対戦してくれるよ』と言ってたからだ」

 

背後にドーンっと擬音がつきそうなほど堂々と言うラウラ。

 

 

 

 

 

002

 

 

 

ここからラウラの話を聞いた忍野たちの想像による回想

 

第二アリーナ

 

 

「命中率100%・・・すごいね一夏」

「止まってる相手なら、な」

 

そういいながらGNスナパーライフルを下ろす一夏。

 

現在一夏はシャルルと訓練用ターゲットドローンを使って狙撃の練習をしている。

ケルディムの本来の戦闘スタイルは狙撃戦なのだが一夏は狙撃が苦手だ。止まってる物は百発百中だが動いていると命中率が一気に下がるのだ。一夏の動体目標への狙撃命中率は58%、10発撃ったら半分近くはずす計算になる。

同じく狙撃機を持つセシリアに一度教えてもらったのだがわからなかったのだ。

 

「一夏は焦り過ぎなんだよ。静止目標は全弾命中なんだから」

「焦り過ぎか、頭でわかってるんだけどな」

「あはは・・・」

 

そんな風に練習をしていると、

 

「ねえ、ちょっとアレ・・・」

「ウソっ、ドイツの第三世代型だ」

「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど・・・」

 

急にアリーナ内がざわつきはじめだした。一夏とシャルルも何事かと注目の的に視線を移した。

 

「・・・・・・」

 

そこにISを展開していたのはもう一人の転入生、ドイツ代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒだった。転校初日以来、クラスの誰ともつるもうとしないどころか会話さえしない孤高の女子だ。

 

「おい」

 

ISのオープン・チャネルで声が飛んでくる。初対面があれだったのだから、その声は忘れもしない。ラウラ本人の声だ。

 

「何か用か?」

 

気が進まないが無視してまた切腹しようとされても困るから要件を聞く。言葉を続けながらラウラがふわりと飛翔してきた。

 

「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話が早い。果たし合いを所望する」

「断る。何で果たし合いなんだ?」

「日本では対戦の事を『果たし合い』と言うと聞いた」

 

「「・・・・・・」」

 

一夏とシャルルは思わず頭を抱えそうになった。

決闘と果たし合いは同意だが果たし合いだと相手の命まで取るものように聞こえるから不思議だ。

 

《どうする?》

《狐の小僧に押しつければ良かろう》

《おぉ、その手があった!》

 

一夏は忍の意見を採用することにした。

 

 

「ん~、俺としてもボーデヴィッヒさんと果たし合いをしたいけど、今シャルルに指導してもらってるからな~。あ~、そうだ。今第三アリーナに忍野が居るはずだ。あいつも専用機持ってるから忍野にお願いしてみてくれないかな~? 忍野なら対戦してくれるよ~」

 

なんともいい加減な言い方である。

 

「い、一夏! いくらなんでもバレバレだよ!?」ボソボソ

「え、嘘!?」ボソボソ

《お前様はバカか?》

 

シャルルや聞いていた周りの生徒も一夏が忍野にラウラを押しつけているのがわかった。

だが、

 

「指導中だったのか、手間をとらせてすまない。では忍野仁に果たし合いを所望するとしよう」

 

((((え、信じちゃった!?))))

 

 

ラウラは地上に降り、ISを解除してから第三アリーナの方へと走っていった。

 

 

 

 

 

以上、回想終了

 

 

003

 

 

(あの野郎、こっちに押しつけやがったな)

 

忍野は心の中で一夏に苛立ちながらラウラを見た。

勝負の承諾をしてもらえる時を今か今かと、心待ちしているようでずっと忍野の方を向いている。

 

「ごめんよ、俺も君とは勝負したいけど今は無理なんだ」

 

これぞ絶望といった顔して明らかに落ち込むラウラ。この姿を見た全員が垂れた犬耳の幻覚を見て、そして忍野を非難する目を向ける。

 

向けられてる本人はというと、

 

(なんでそんなに落ち込むの!? え、これ俺が悪い!? てか簪たちもかよ!?)

 

パニクっていた。

さすがに目の前で落ち込む女の子、そして友達のはずの簪たちからまで非難の視線を向けられたらいつものふざけた様子がなくなってる。

 

「そ、そうだ! 今度のタッグトーナメントで勝負してあげるから落ち込まないで! ほら、アメあげるから!」

 

ポケットからアメ玉を取り出してラウラに見せる忍野。

 

((((子供じゃないんだから・・・))))

 

アメで釣ろうとする忍野に呆れる他生徒たち。

 

「アメだと! くれるのか!?」

「あ、あぁ」

((((子供だった!!))))

 

アメと聞いて元気になったラウラを見て驚く忍野と他の生徒。

 

ラウラは貰ったアメ玉を口に放り込んでから忍野に指差し、

 

「ほれへは、はっくほーなへんとほはほひみにひへいるほ」

※ それでは、タッグトーナメントを楽しみにしているぞ

 

そういって帰っていった。

ちょっとそこの生徒たち、なんでそんなに慈愛に満ちた顔で見送ってるんだい?

 

「どうするにゃ? 忍野さん」

「どうもしないよ、なるようになれ」

「大変そう・・・」

「そう思うなら早く完成させるぞ」

 

再び作業に戻る簪と真宵と忍野。そこへ、

 

「おっし~の、私にもアメちょうだい~」

 

両手をだしてアメをせがむ本音だが・・・、

 

「悪い、あれ最後の一個」

 

 

 

今度はのほほんさんが落ち込む番であった。

 




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