みなさん、如何お過ごしでしょう?
私は軽い熱中症で寝込んでましたw。
・・・笑えないですね。
皆さんも熱中症などには十分注意してください。
それでは本編、どうぞ。
臨海学校 1日目 其ノ壹
001
「海だぁ! 海が見えたぁ!」
IS学園から出発してから数時間、トンネルを抜け一バスの中でクラスの女子が声を上げる。一面に広がる海が視界に映る。
一夏と忍野は隣同士で座っていたが、海が見えてきたら一夏のテンションがアップした。
「忍野! 海だぞ海!」
「んなこと分かってるよ。それより俺は旅館の温泉が楽しみだ」
『お前様、温泉には儂も入れるじゃろうな?』
「どこの世界に温泉に入る吸血鬼がいるんだよ」
『ここに居るではないか』
「ハッハー、頑張れよ一夏」
テンション高めの男子と低めの男子、あと幼女は違いこそあるが通常運転だった。
携帯端末で音楽を聞いていたセシリア。周りが海が見えたと騒ぎだしたので釣られて窓を見るが、
「箒さん、どうかなさいましたか?」
海より先に、隣の窓側の席で携帯電話とにらめっこをしている箒が目に映った。
「いや、どうも携帯の調子が悪くてな。動作が遅いのだ」
「データの詰め過ぎでは?」
「そんなに情報を入れた覚えはないのだが・・・」
「そんな事よりも箒さん。今日は海を満喫しませんと」
「それもそうだな」
箒は携帯を消し、セシリアと一緒に海を眺めた。だが一瞬、画面が消える直前、デフォルトした蝸牛が映ったのには気づかなかった。
002
旅館に到着したIS学園御一行。旅館の方に挨拶を済ませた後、各自の部屋へと向かう。
因みに男子二人の部屋は教員用だった。
荷物を置いて、何事もなく早々と更衣室へと向かい、着替えを済ませる一夏。更衣室を出た所で先に浜辺に居た女子達と出会う。
「あ、織斑君だ!」
「う、うそっ! わ、私の水着変じゃないよね!? 大丈夫だよね!?」
「わ、わ〜。体かっこい〜。鍛えてるね〜」
「織斑くーん、後でビーチバレーしようよ〜」
「いい体だわ~。あとは忍野くんの体をこの目に焼き付けて、帰ったら早速原稿に上げましょう。一夏×仁か仁×一夏か。今年は熱くなるわ!」
「鍛えてるから織斑くんが攻め?」
「バカね。ここは受けでしょ!」
一人が気付けばみんなが気付く。
あっという間に人集りが出来てしまった。一組の生徒は勿論、ここで距離を縮めようとする他クラスの子達もいる。
・・・一部、腐食系女子もいるが。
なんとか女子の包囲網を脱出した一夏だが、
「一夏さん、サンオイルを塗ってください!」
海に入ろうとしたところでセシリアからとんでもないお願いをされてしまった。
彼女は鮮やかなブルーのビキニで、腰に巻かれたパレオが優雅で格好いいが、今はそんな事より、
「私サンオイル取ってくる!」
「私はシートを!」
「私はパラソルを!」
「じゃあ私はサンオイル落としてくる!」
「オイルを塗る一夏がそのまま仁を攻める。いいわ!」
一夏が止める間もなく海や更衣室へ走っていく女子生徒たち。
そんな中、セシリアは持っていたパラソルとシートを準備し、パレオを脱ぎ、首の後ろで結んでいたブラの紐を解くと、水着を上から胸を押さえてシートに寝そべった。
「さ、さあ、どうぞ?」
“もう準備は整ってます”とこちらを見てくるセシリア。しかし一夏は、
(どうぞって言われてもサンオイルなんて塗ったことないぞ。忍に聞いても無駄だろうし、どうしよう)
かなり困っていた。
しかしそんな、どうしようかと考えいた一夏に救いの手が差し伸べられた。
「一夏、何をしているの?」
やってきたのは、セパレートとワンピースの中間のようなデザインで、鮮やかなイエローの水着に身を包んだシャルロットだ。
「見ての通りだよシャル。サンオイルを塗ろうとしてるんだけど?」
シャルロットは一夏とセシリアを交互に見たあと、少し目を細めながら頷いた。
「ふぅ~ん。ねえ一夏、僕が変わりにやろうか?」
「シャルロットさん!?」
「ありがとうシャル! セシリアも男の俺がやるより同性のシャルが塗る方がいいだろうからな」
「一夏さん!?」
「あとは僕がやっておくから、一夏は泳いできなよ」
「ああ、それじゃあお先に」
一夏はオイルのボトルをシャルロットに渡してサッサと海に行ってしまった。
「ちょ、一夏さん!?」
「はーい、動かない。水着が落ちちゃうよ」
「シャルロットさん! 何故邪魔をなさるんですの!?」
「別に邪魔するつもりはなかったよ? でもね、水着だけならともかく、サンオイルを塗らせて一夏を誘惑するのは流石にズルいかなーって」
「ししシャルロットさん!? 目が怖いですわよ!? ハイライトがお仕事をしてませんわよ!!」
「えぇー。そんな事、ナイヨ」
「ちょーー!?」
イヤーーーー!!
「悲鳴が聞こえたような・・・、気のせいか」
泳ごうとしていた一夏の耳に、セシリアの叫びは届かなかったようだ。
003
ビーチパラソルの下でジュース片手に読書にふける忍野。
下は黒い短パンタイプの水着だが上には赤いパーカーを羽織っており、どうやら泳ぐつもりはないようだ。
「お、忍野くん・・・」
「ん?」
そんな忍野に声をかける人物。
振り向いた先に居たのは水着姿の簪。
決して小さくない胸元を強調するような黒の水着。フリルとリボンが可愛さを演出している。
「そ、その・・・どう、かな?」
少し恥ずかしそうに、お腹の辺りで手をモジモシさせながら忍野に感想を求める。
「うん、とっても似合ってるよ簪」
忍野は純粋な笑顔で簪の水着姿を褒めるが、
ボンッ!
「う~~~///」
言われた当人は顔を真っ赤にして後ろを向いてしまった。
しかし、そんな姿を見ても忍野は、
(あれ? 後ろを向いちゃった。その水着は嫌だったの? まいったな、やっぱり試着した時に見せてもらってないからなぁ。気に入らない所があったのだろうか?)
まったく見当違いな事を考えてた。
「隣、座っても・・・いい?」
「いいよ。でも泳いでこないでいいの?」
「あの、えっと、その・・・」
深呼吸をし、呼吸を整えてから、
「お、忍野くん。い、一緒に泳ーーー
「忍野さぁん! 一緒に泳ぐんじゃよ!」
「向こうのブイまで競争するわよ!」
簪が何か言おうとした瞬間、真宵と鈴がやってきて忍野に水泳勝負をしかける。
遮られてしまった簪は、頬を膨らませてそっぽを向くがそれに気づかない忍野。
鈴の水着は、オレンジと白のストライプのタンキニタイプ。真宵はチェックのビキニだ。
いつも白衣なのと、隣に立っているのが鈴なので真宵のスタイルの良さが際立つ。どこがとは言わないが。
「お~、似合ってるねお二人さん。それで、何だって?」
「ちゃんと聞いてなさいよ! ブイの所まで競争すんのよ!」
「ふぅ~ん。俺はパス。みんなで泳いできなよ」
「せっかくの海じゃよ? 泳がないと損にゃよ!」
「いいよ、俺はこのまま読書をしてたいんだ。そういうのは一夏に頼みな」
「一夏が居ないからあんたを誘ってるんじゃない!」
「・・・二番手扱いありがとう。とにかく俺は泳がない」
「にぇーにぇー、そんな事言わずにー」
「えぇい、引っ付くな!」
「忍野ぉ~」
「なんだよ?」
ガシッと忍野の肩を掴む鈴。
「そんな事言わずにさぁ~」
「ちょっ! 鈴、何すんだ!?」
何を思ったか、甲龍を部分展開した鈴はそのまま忍野を持ち上げる。そして彼女が向いてる方向は海。
「お、おい。鈴、待て待てやめろ! マジでやめーーー」
「泳いでらっしゃい!!」
「ぎゃあぁぁぁーーー!!!」
嫌がる忍野を、彼女はとても良い顔で海へとブン投げた。
数十メーターの生身による空の旅をしたあと、忍野は大きな水柱をたてて、水中に没した。
「鈴! 何やってんだよ!?」
悲鳴を聞きつけてやってきた一夏。
「一夏!? どこ行ってたのよ!?」
「そんな事より忍野は!?」
「忍野なら海に放り込んでやったわよ」
「マジかよ!? あいつ、大丈夫か!?」
「織斑さんは何を慌ててるんにゃ?」
「忍野のやつ・・・
「「「はいぃ?」」」
その場にいた全員が、なんともマヌケな返事をしてしまった。
「泳げないって・・・あいつカナズチだったの?」
「泳げない、と言うかより泳ぎ方を知らないらしい」
「それって・・・」
「かなりマズいんじゃよ・・・」
徐々に顔を青くする四人。
すでに三十秒以上経過しているが、いっこうに浮いてこない忍野。四人の顔は蒼白そのものになっていた。
「た、助けに行かないと!」
「先生呼んでくるんじゃ、にょわー!?」
「え!? キャアッ!」
「な、何だ!?」
四人が助けに行こうとした矢先、真宵を跳ね飛ばして一夏たちの目の前を砂埃をたてながら海目掛けて疾走していく白い影。
その姿は、足以外がタオルで隠されて顔などは一切わからない、しかしその背丈と頭部と思わしき所からはみ出ている美しい銀髪が正体を明かしていた。
「「「ら、ラウラ!?」」」
「よぉぉぉめぇぇぇーーー!!!」
全力疾走のラウラは波打ち際ギリギリで、脱皮するかのようにタオルだけをその場に残し、海へと飛び込む。
数分後、ラウラに覆い被さるような形で背負われながら砂浜に戻って来た忍野。
「忍野!」
「お、忍野くん、大丈夫?」
すぐに駆け寄る一夏と簪。
「か、簪さん、私も心配して欲しいんじゃよ」
その後をボロボロになっている真宵がついて来た。
「・・・ああ、なんとか大丈夫だよ・・・」
いつもより弱っているが、ある意味いつもどうりの忍野。
ふと、自分より二周りほどの大きさのある忍野を、引きずりながらも海から救助したラウラの方を見る。
ラウラはレースをふんだんにあしらった黒の水着に、いつもは飾り気のない伸ばしたままの髪を左右一対のアップテールにしている。
そんなラウラの姿を見た忍野は、救助してくれたお礼も兼ねて、なんとなく、
「ありがとう・・・、ラウラ。水着、似合ってるよ」ナデナデ
笑みを浮かべ、素直な感想を言いながら、彼女の頭を撫でるが、
「あああ頭を、な、撫でるなあー////!!」
「グヘッ!?」
ラウラはそのまま背負っていた忍野を一本背負いで地面に叩きつけ、顔を真っ赤にして走り去ってしまった。
「忍野さん、大丈夫かにゃ?」
「一応大丈夫。ところで簪さん? なんでそんな目で俺を見てるの」
「・・・自分で考えて」
自分とラウラとの反応の違いに簪は、とても冷ややかな目で忍野を見つめていた。
そんな所に、
「織斑くんと忍野くん! 一緒にビーチバレーやろうよ!」
「わー、おりむーと対戦~。ばきゅんばきゅーん!」
のほほんさんを含んだ数人の女子達が手を振りながら一夏と忍野のもとにやってきた。
どうやら腐食系女子はいないようだ。
「いいぜ。忍野、お前はどうする?」
「つい今、溺れてた奴にスポーツをやれと? 悪いが俺は観客だ」
「私はやるんじゃよ!」
「私は、見物・・・」
こうしてビーチバレーをすることになり、その場にいたみんなでコートの準備を始めた。
004
支柱を立て終わり、ネットを張っている途中の一夏。
「織斑先生。一緒にビーチバレーをしませんか?」
「ふむ、では私も参加するとしよう」
「あ、千冬ね・・・え・・・・」
姉の声が聞こえたので作業の手を止め、振り向く。
一夏が振り向いた先にいた千冬は、スポーティーでありながらメッシュ状にクロスした部分がセクシーな黒水着を身に纏い、そのスタイルのいい鍛えられた体を惜しげもなく陽光にさらしていた。
その姿を見た瞬間、一夏の雰囲気が変わった。
「・・・忍野。あれはお前の趣味か?」
「まさか、千冬の趣味だよ。だからそう殺気立つな。元気いいな、なんか良いことでもあったか?」
腰に手を当てている千冬の姿は色っぽく、そして同時にモデルのような格好良さも兼ね備えていた。そんな姿だとおかしな男たちが寄って来そうで、姉思いの一夏はそんな水着を選んだであろう忍野にご立腹のようだ。
しかし選んだのは千冬だと聞き、一夏は仕方がなさそうな顔をしながら殺気を収めた。
コートに入る千冬。すると、
「何をしている忍野、お前はアッチだ」
「えぇー、俺は観戦してたいんだけど?」
千冬が指差す先はネットの反対側、つまり対戦相手の立つ場所だ。
忍野は用意した得点板に寄りかかり、どこからか取り出したかき氷を頬張って、完全に観戦モードだ。
・・・どっからかき氷を用意した?
「お前と勝負をしたいのさ」
「本気かよ?」
「本気だ。断ると言うならそうだな、お前の部屋の私物を処分するぞ」
「なッ! 汚ねぇぞ千冬!」
「家主は私だ。さて、どうする居候?」
「あぁいいじゃん! やってやろうじゃん!!」
こうして千冬VS忍野のビーチバレー対決の火ぶたが切っておとされた。
後に試合を見ていた生徒はこう語る。
“ビーチバレーの絵じゃなかった”
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