暴物語   作:戦争中毒

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どうも戦争中毒です。

今回は魔女っ子アルト姫さんの作品、
『IS×OO もう一人のマイスター』とのコラボになります。
魔女っ子アルト姫さん、ありがとうございます。

時期的には夏休みの後半になります。


特別コラボ編
渡物語 上


いちかゴースト

 

 

001

 

~一夏サイド~

 

夏休みのとある日。

俺は曲者(くせもの)に出逢ってしまった。

 

自分を選ばれた人間だと語ってさして立派でもない自らの欲望のために動き、道徳なんて物はとうの昔に捨て心が捻曲がったその様は、映画の悪役よりも醜悪で、昔習った『性悪説』を体現するようだった。

 

“人は生まれながらにして悪性を持つ”

 

なるほど、こう言う奴のことなのか。

会って半日もしない短い間でそう納得できるほどに、彼はこの世界に侵入した“曲者”だった。

 

これは曲がりに曲がったその傲慢と強欲で、自らの居る場所さえ曲げてはじき出された、

 

織斑 秋久の話だ。

 

 

 

 

002

 

 

「これでよしっと」

 

その日、俺は山の中に居た。

晴天に恵まれ、蒼一色の空には白い絵の具で線をひくように現在進行形で飛行機雲が伸びていく。海は海水浴に来た人が多過ぎて芋煮状態で、テレビでは熱中症予防の特集が放送されていた。

 

そんな日に俺は、銃術の練習にするために山の中にある岩場に来ていた。

そんなの学園でやれよ、と思うかも知れないがそれが出来ないから山の中でやってるのだ。学園だとみんながすぐにISの訓練をしようと誘ってくるし、そもそもISの訓練以外ではアリーナの使用申請がなかなかおりない。

 

だから中学の時に練習するのに来ていた自宅から近くにある山に来ていた。ちなみに箒の実家のである篠ノ之神社がある山とは別の山だ。

 

的として木板を枝にぶら下げてから少し離れた場所に移動して、大型二丁拳銃『阿吽』を構える。

 

「忍、弾着の確認を頼むぞ」

「お~、任されよ~」

 

生返事をしながら自分の能力で作ったビーチチェアに座って寛ぐ忍。

本当に大丈夫か?

 

一度、目を閉じて深呼吸をし、意識を自分の指にあるトリガーと周辺感知に集中する。

 

「ッ!!」

 

カッ、と目を見開き、弾丸を十発放つ。

銃口は一発撃つたびに向きを変えるが、それらは必ず木板を外れ、()()()()な方向を向けているが今回はこれでいい。

 

十発撃ち終え、忍の方に視線を向けるが、

 

「一発だけかろうじて命中・・・。まだまだじゃな」

 

その成績はとても酷かった。

 

今練習しているのは跳弾による攻撃だ。

元はゴム弾が跳ね返してきて自分の命中した、と言う何とも間抜けな出来事がきっかけだが、それを意図的に敵に向けて放てないかと思い練習している。

しかしこれがなかなか難しい。

跳弾せずにメリ込んで終わりだったり、跳弾してもあらぬ方向へと跳ねたり。近頃やっと的のある方向へは跳ぶようになったが命中率は未だ、一桁を超えなかった。

 

「やっぱり難しいな」

「お前様の姉上なら出来そうな気がしてならんのじゃが」

「確かに否定できないけど、千冬姉なら弾丸を放つくらいなら斬撃を飛ばしそうだけどな」

「怪異じみとるの」

「ISを使ったら斬撃どころか亜光速で剣を投げれそうで怖いよ。投げる=相手が死ぬの方式が完成する」

「それ人間を辞めておらぬか?」

 

頭の中にソニックブームを発生させながら持っていた刀を投擲する千冬姉をイメージした。うん、絶対に貫通どころか当たった途端に相手は爆散するな。

 

「何か千冬姉との差に絶望しそう」

「そもそも世界最強と比べておる時点でおこがましいと儂は思うんじゃが」

 

まあ確かに忍の言う通りなのだろう。

だけどやっぱり、男である以上はせめて家族である姉を守れるくらいにはなりたいと思って止まないのは無理からぬとは思わないだろうか

どっちにしてもちょっとやそっとじゃ越えられない壁なんだろうけどな。

 

そう結論付け、今は地道に練習あるのみと意気込みよく練習を再開し、阿吽の引き金を引くと。

 

 

ドッカァァァァァ!!!

 

唐突に響いてきた爆音と地響き。

一瞬、何がヤバい物でも撃ったかとビビったけど音源は遠くだったので内心ホッと安心した。

 

「爆発音?」

 

日本の人里からさして遠くない山中で、爆発が起きることは普通ではありえない。

 

「行くぞ忍!」

「待て! 先に儂を助けんか!」

「助けるって何から、って何やってんの?」

 

意気込みよく走り出そうとして忍に止められ、振り返ると彼女はビーチチェアやパラソルの下敷きになっていた。多分、揺れた時に椅子がひっくり返って運悪くパラソルまで倒れてきたんだろう。

涙目になって這い出そうとしているけど、正直なところ少し可愛いと思った。

 

「いつまで見ておるんじゃ! 手を貸さぬか!」

 

そして怪異の王の威厳が無いとも思った。

 

 

003

 

 

土埃の発生源に着くと、そこはかなり不自然な荒れかたをしていた。まるで隕石が落ちたかのような円形に、外側へと木々がなぎ倒され地面が抉れているが、中心部はそんな様子が一切見られない。中央には周囲の状態を存ぜぬといった様子で数本の木がそびえている。

 

明らかに異質で異常な現場。

何事かと忍に話し掛けようとした時、残された中央のに倒れている人影が見えた。

 

「おい! 大丈夫か!?」

 

安否を確認するために近寄って見ると、同い年くらいの青年でどこかで見たような顔をしていた。

その青年は目をうっすらと開き、こちらを見る。

 

「織斑・・・一夏?」

 

そして俺の名前を言うや否や、気を失ってしまった。

 

 

 

とりあえず近くの休憩所にまで背負っていき、そこにあったベンチに謎の青年を寝かせる。

屋根と湧き水の水飲み場、ベンチが二脚しかない簡素な休憩所だが、こんな山の中にあるという点で見ればそれなりに整ったものだ。

 

倒れていた青年の額に水で濡らしたタオルを乗せる。

看たところ目立った外傷はないし、熱や発汗なども普通なので軽い熱中症だと思うからしばらくすれば起きるだろう。

と言うか真夏にコートなんか着てるのが悪い。

 

「それにしてもよく似ておるのう」

「自分の顔だからピンとこないぞ?」

 

どこかで見たような顔だと思ったが、俺とよく似ているのだ。雰囲気とかじゃなく顔立ちからして似ているように思える。

忍が言うには目つきとかそのくらいしか違いを見つけれないそうだ。

間違い探しを見ているような気分になるな。

 

「でもさっきの現場、いったい何をどうしたらあんな風になるんだ?」

 

もしあの現場を科学的に証明するとしたら、指向性対人地雷であるクレイモア地雷(埋めるタイプじゃなくてただ地面に置くだけの弁当箱みたいやつ)を中心から外側向きに円を描くように配置して起爆したってことになると思う。

だけどそれらしい破片がないし、そもそもそんな事をする意味がない。

謎は深まるばかりだ。

 

「ん・・・う~ん・・・」

 

おっと、彼が目を覚ましそうだ。

 

「忍、いつも通り頼む」

「仕方がないのう」

 

そう恩着せがましい言い方をして、忍は“阿吽”を両手で抱えたまま影へと潜った。

巨大な拳銃なので隠し持つことが出来ない。だからと言って剥き出しで持ち歩いていたら直ぐにお巡りさんに逮捕されるだろうから、忍に影の中で管理してもらってるのだ。

 

青年は身じろぎを少ししてから、うっすらと瞼を開ける。

 

「気がついたか?」

「ッ!? お前死んだはずじゃッ!?」

「初対面でいきなり酷いな!」

 

起きたと思ったら人の顔を見るなり上半身を跳ね上げ警戒心を露わにする青年。ってか勝手に殺さないでほしい。

 

「初対面? 俺が、分からないのか?」

「え? どこかで会った事あるのか?」

 

だとしたら困った。一生懸命に記憶の中を探すが思い当たる人物がない。

同級生? 町内の人? 生き別れの兄弟?

そもそもここまで顔が似てる人物に会ったことがない。生き別れの兄弟という線は捨てきれないが、千冬姉からそんな話は聞いてないし、うろ覚えだが織斑家は両親含めて四人暮らしだったはず・・・だと思う、気がする。

 

だとしたら・・・両親の隠し子?

それも無いな。この青年は俺と会ったことがあるような口振りだ。そんなインパクトのあるエピソードを忘れるほど馬鹿じゃないつもりだ。

 

「・・・どうなっているんだ?」ボソボソ

 

何だか訳ありっぽいな。

 

「それにしても、どうしてこんな山の中に居たんだ? それもそんなコート姿で?」

「そ、それがよく分からないんだ。気がついたらこんな所に居て・・・」

 

もしかして何らかの怪異現象に巻き込まれたのか?

でも忍野が居ないと俺は手が出せないし、八九寺の一件で釘を刺されたばかりだからな、正直頼みづらい。

 

「その、おま・・・君は何でこんな山中に?」

「俺は、まあ、散歩の途中かな?」

 

まさか銃をブッ放していたなんて言えないからな。

あ、そういえば。

 

「ところで名前は?」

「織、ッ」

「おり?」

「おり、織、原。そう、織原 秋久だ。よろしく」

 

なんか詰まっていたような気がするけど、まあ良いか。

 

「よろしくな、秋久」

「ああよろしくな一夏」

「あれ? 俺、名乗ったーーー」

「そ、そうだッ! 織斑って言ったらあのISを動かした男だよな!?」

「まあ一応、そうだけど・・・」

「スゲーな! やっぱり女子校だからハーレムなのか?」

「まさか、周りに女の子しか居ないから居苦しいよ。それにハーレムって。俺、モテないし」

「えっと、ああそうだ! ほら専用機を持ってる代表候補生の女の子とかさ!?」

「? 仲のいい友達だけど?」

「原作通りだ」ボソボソ

「どうした?」

「いや、なんでもないぜ。おととっ」

 

立ち上がろうとした秋久はバランスを崩してベンチに再び座った。一応元気はあるようだけどまだ足がおぼつかないようだ。

やっぱり病院に連れて行った方がいいかな?

 

「(とりあえず山を下りるか・・・)歩けそうか? 手貸すぜ」

「悪いな、一夏」

「困った時にはお互い様だって」

 

俺は秋久に肩を貸し、ゆっくりながらも下山し始める。

道中の会話は、まあ何の変哲もない普通の会話だった。好きな週刊誌とか、どこのIS企業が凄いかとか。あと兄弟の話もあったな。

いろいろ質問責めにあったけど男同士だと話易いな。うん、気楽でいい。

 

そうしているうちに、山道を抜け舗装されたアスファルトの道に行き当たる。

左には2㎞ほどで村が、右には最寄りのバス停。家に帰るなら右へ行くんだけど、秋久を公的機関に連れて行くなら左方向だ。

秋久はもう一人で歩けるまでに回復してはいるがどうするべきか。

 

「ここをまっすぐ行ったら交番があるけど、一人で大丈夫か? もし良かったら付き添うけど」

「平気だって。そういえば一つ訊き忘れていた」

「まだあるのかよ!?」

「これ最後だって!」

「たく、それで。何を忘れてたんだ?」

「男で、ISを動かせる教師は居るのか?」

 

男の教師?

IS学園には用務員のおじさん以外、大人はいない。忍野も実年齢はともかく肉体年齢的には未成年だし、そもそも教師じゃない。

 

「いや、居ないぜ?」

「そうか。なら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前を殺せばいいんだな」

 

 

 

004

 

 

「お前が殺せばいいんだな」

「は?」

 

秋久の発言が理解できずに呆けてしまう一夏。

そして突然と殺害を宣言した秋久は、どこからか緋色の大剣を出現させ握り締め、そんな彼の胸を射抜くように狙いを定めて突進してくる。

 

《勝手は許さぬぞ!》

 

忍の判断によって緊急展開された二機のホルスタービットがひとつの盾として立ちはだかり、秋久の突撃を防ぐ。主を護らんとする防壁、それを火花を散らせながら突き破らんとする大剣は互いに一歩も譲らない。

ここで漸く秋久が本当に自分を殺そうとしていることに気がつく一夏だが、彼の瞳には攻撃されたこと以上に驚く物が映し出されていた。

 

今し方、自分の命を奪おうと振りかざされた紅色の片刃の大剣。その大剣の形状が自分の知っている物と同一で、しかも今、この場にいない人物の装備品だった。

 

(アルケーガンダムのGNバスターソード!?)

 

「何だよ、その装備! 『白式(びゃくしき)』じゃないのかよ!」

「白式? 何の話だ!?」

 

GNピストルビットを左手に呼び出し、ホルスタービットの陰から秋久に向けて引き金を引く。

秋久は一夏が銃を向けてきたことに驚いた表情をしたが、すぐに動き、大きく後ろにジャンプし離れる。

 

(人間の脚力じゃないぞ!?)

 

バスターソードなんてヘビー級の重武装を持っているのにも関わらず、秋久は助走もなく後ろ向きで10m以上も飛んで離れたのだ。

 

すぐにサバーニャを完全展開した一夏は全身からGNミサイルを放ち、秋久はそれをバスターソードの側面を盾として構えた。

次々と命中するミサイルの爆発と爆煙は、秋久の姿をあっという間に隠してしまう。

 

「やったのか?」

《いや・・・まだじゃ》

 

粉塵が晴れた先に居たのは紅い機体。

全身装甲で手足が長い。胸部と両脚部のクリスタル状の部分が怪しく輝き、血のような真っ赤な粒子を放出していた。

 

「あ、アルケーガンダムだと!?」

 

秋久が纏ったISは、どう見てもアルケーガンダムだった。サイズ、装甲の彩色、放出している粒子の色、どれをとっても同じ機体。

違うのはそれを纏う人物だけ。

 

「その機体をどこで・・・忍野はどうした!?」

「今から死ぬ奴がそんな事を知ってどうするんだ? それに、お前の機体を見てるとイラつくんだよ」

 

バスターソードを構えるアルケーガンダム。

 

「イチカって糞教師が使ってたISに似ているから目障りなんだよおッ!!」

 

剣を大きく振りかぶってくる明久。

一夏は握ったピストルビットのブレードでその攻撃を防ぎ、二人の間で鍔迫り合いの火花が光る。

 

《お前様!》

《大丈夫だ! だけどこんな所じゃ戦えないぞ!?》

《ひとまず山の中へ逃げるのじゃ!》

 

今この場で戦闘を行えば近くの民家に被害がでるかもしれない。一夏は森に入って木々を縫うように逃げる。それを追う秋久は邪魔になる木を切り倒し、一直線に追撃する。

 

一夏が山火事を恐れてピストルビットを撃たないことを良いことに、秋久は距離を縮めて遂には追いつき、その大剣を振るう。

辺り構わず、一夏だけを狙う太刀筋はデタラメで子供のチャンバラそのもの。しかし一夏は苦戦する。

相手が見知った機体(アルケーガンダム)であるため無意識の内に忍野の動きと重ねてしまい、動き読み損ねてしまう。アイツならこう動く、そういう先入観のせいで回避が遅くなったり、反撃のタイミングを逃したりしている。

 

(忍野よりも動きが荒いが次の動きが読めねえ! けどよ!)

 

動きが読めなくても闘えないわけじゃない。

やっと森の開けた場所にたどり着いた一夏は、常に片方の銃を盾として使う守備型のガン・カタ戦で反撃を開始する。忍野の高機動パワーファイトとは違い、秋久の戦い方はスピードこそあるが一撃が軽いので片腕で十分防ぎきれるから出来る戦法だ。

尤も普通なら武器の質量に圧倒されてしまってただろう。

 

「大人しく死ね! ファング!!」

 

痺れを切らした様子でアルケーから放たれた6機の槍頭(ファング)の群れは一度散開し、それぞれが死角から一夏に襲いかかる。

 

だが一夏には心強い相棒がいた。

 

《ビットは儂に任せよ!》

 

ホルスタービットがファングの前に飛翔、その鼻先に体当たりをかまして弾き飛ばし、その進行を阻止する。そしてピストルビットの対空砲火がファングを追い払う。

 

《お前様、あれをやるぞ?》

《1対1であれをか? 何をするつもりだ?》

《弾幕を張ってファングごと奴のシールドエネルギーを掃討するのじゃ》

《その案採用!》

 

一夏は一度距離を取ると全ビットを手元に集め、ホルスタービットを前面に配置し、その隙間からライフルビットを覗かせると、

 

「乱れ撃つぜ!!」

 

一斉射撃を開始する。

ファングからのビームはホルスタービットで防がれ、その直後にはライフルビットの餌食となり紅い花を咲かす。

計10門のライフルから放たれる光の豪雨は次々とアルケーガンダムに命中し、シールドエネルギーを削っていく。

 

だが、

 

「死ねええええッ!!!」

「ゲッ!?」

 

ビームを喰らいながらも突き進み、剣を振りかざす秋久。

一夏はビットを散開させつつ離脱するが、逃げ遅れた2機のライフルビットが叩き壊された。

 

「オラオラ! サッサと殺されろ!!」

「やれるもんならやってみな!」

《人間風情が図に乗るでない!!》

 

モスグリーンと緋色の機体が交錯する。

 

 

005

 

二人の戦闘が始まってから数十分が経過していたが、未だ決着はついてなかった。

 

「そろそろミサイルが・・・」

 

度重なる攻撃でホルスタービットは数こそ減らしてはいないがその表面は傷だらけ。サバーニャ本体も無傷ではなく、装甲の一部に大きな斬り傷を作っている。

一夏自身の体力もかなり消費してしまっている。

 

一方、目の前のアルケーガンダムにはダメージらしき物が一切見受けられない上に、秋久からは疲れというのが一切感じられない。

無論、一夏が攻撃をしなかったからではない。

ビットやミサイルの攻撃が命中しているはずなのにそれが見受けられないのだ。

 

《お前様!!》

「ッ!?」

 

疲労から判断の遅れた一夏は、振り降ろされたバスターソードをギリギリのところで両手に握ったピストルビットを交差させて受け止める。

激しい衝撃と振動。

 

「いい加減に死ねよ!」

「お断り、だ!」

 

なんとか力任せに弾き、銃撃しながら距離をとる。

無数の光条はアルケーガンダムのシールドエネルギーを削り続けるが、それでも止まらな。

学園での模擬戦ならすでに危険域に達しているのにも関わらずだ。

 

(これ以上攻撃したら絶対防御を貫通しちまう。けどアッチは止まるつもりもないようだし・・・)

 

どうしようかと考えあぐねて集中力が散漫となった一瞬の隙をつき、背後に回り込んでいたファングが一夏の背中を襲う。

 

「うがッ!」

 

装甲を貫き、その鋭い衝撃が身体を蝕む。

絶対防御が発動したので物理的ダメージは機体装甲のみだが、この戦いが、互いの命の奪い合いだということを容赦なく突きつける。

そして、一夏の堪忍袋の緒が切れた。

 

「こうなりゃ正当防衛だ! 手足の2,3本は恨むなよ!」

 

そう言うや否や、再びビットを正面に集め、手に握っていた片方のライフルビットも一緒に集結させる。

そしてライフルビットを角に、ホルスタービットを辺とした菱形に二つ形成すると、

 

《忍! 粒子をケチるな!!》

《わかっておる!》

 

ほんの一瞬、稲妻を発してから高出力ビームの束が照射された。

二つの巨大なビームは進路に浮遊していた秋久のファングを飲み込み、爆発する間もなく蒸発させながらまっすぐに秋久へと向かう。

緋色の機体は粒子ビームから逃れようと機体をずらしたが逃れきれず、下半身を呑み込まれ、火花を散らして爆発した。

 

《あれだけの火力じゃ。ただでは済まんじゃろう》

《だといいが、死んでないよな?》

《生体反応が残っておるから大丈夫じゃろ》

《そうか。煙が晴れてきたぞ》

 

爆発によって発生した黒煙が晴れていき、緋色の装甲が見えくる。

上半身は焼け焦げただけだったが、直撃を受けた下半身は焼失して消し飛んでいた。一夏の予測を上回るほどにシールドエネルギーを消費していたアルケーは、その絶対防御を十分に発揮できず、秋久は致命傷を負ってしまっていたのだ。

 

「あの傷、すぐに病院にッ!?」

《どういう事じゃ!?》

 

慌てた一夏と忍だが、次の光景を見た瞬間、息をのんだ。

 

消し飛んだ下半身。

しかし残された上半身から新たに下半身が()()()きた。骨、筋肉、皮膚の順に中身が再生し、それに僅かに遅れながら装甲も再生される。

つま先まで再生し、完全に復活するのには30秒と要しなかった。

 

《再生能力!? 人間じゃないのかよ!》

《分からん。少なくとも純正の人間ではない事は確かじゃの》

 

明らかに致命傷だった傷が再生するその様は、もはや見慣れてしまい、馴染んでしまった不死身の特性だった。

 

「ハハハッ、見ろ!! これが選ばれた人間の、主人公の証だ! 俺は不死身を手に入れたんだ!」

 

愉悦(ゆえつ)の色を浮かべて高笑いする秋久の台詞に、一夏は眉間に深くしわを寄せぎりぎりと歯噛みして、笑い続けるアルケーガンダムを睨みつける。

 

「選ばれた人間? ふざけるな! そんな奴は主人公とは・・・ましてや人間とも呼ばねえ!」

「ああん!?」

「『化物』って呼ぶんだよ!!」

「違うな! 最強の主人公(秋久様)って呼ぶんだ!」

 

「ふざけるなぁぁぁッ!!」

 

一夏は憤怒し、両手のピストルビットで斬りつける。

が、秋久も負けじとそれを大剣で弾く。

 

「不死身の何が最強だ!! そんな奴を誰が人と認めてくれるって言うんだッ!!」

「俺がお前より強ければみんなが認めるさ! 何たって俺は特別なんだ!!」

「そう言うのは特別じゃなく特異って言うんだ! 人を外れて普通に生きていけると思ってるのか!?」

「当たり前だ! だから俺の計画(ストーリー)にお前は邪魔になるんだよ! 分かったら死ね!!」

「てめぇだけは絶対許さねえッ!!」

 

二人が咆哮をあげながら再び衝突しようと武器を振ろうとした。

 

だが突如として邪魔が入る

血のような真っ赤なビームと10機ファングが二人の間に割り込み、ビームが鼻先を掠めそうになった一夏が、常に二方向から襲いかかるファングに秋久が、互いに戦っていた相手から離れて戦闘を中断した。

 

「なっ!? 粒子ビーム!?」

「俺のファングじゃない!? 誰だ!!」

 

秋久にまとわりついていたファングは妨害だけが目的だったらしく、二人が戦闘中断をさせた直後に、(きびす)を返して去っていく。

そしてそれは、此方へと飛んでくる飼い主の下へと戻る。

 

紅よりも赤く返り血を浴びたような機体は、双方に衝撃をもたらした。

 

「「アルケーがもう一体!?」」

「退け一夏! こいつは俺の獲物だァ!!」

 

新たに参戦し、二人からちょうど中間点になる位置を陣取ったアルケーから忍野の声が響く。

 

「忍野!? お前今までどこに行ってたんだ!? それとその機体も!?」

「えぇい質問が多いぞ! 細かい説明は後にすッけど、野郎ォは俺が始末する!!」

「始末って、何でだよ?」

「仕事に決まってンだろォが」

 

いきなり登場してろくな説明をしない忍野を問い詰める一夏。それをいい加減で適当な返事で乗り切ろうとする忍野。

戦闘中だと言うのに緊張感に欠ける二人。

 

「お前ら二人を殺して、今度こそ主人公になるんだ!!」

 

案の定、秋久は一夏よりも先に自分に背を向けている忍野に狙いを定めて突進し、両手で掴んだバスターソードを力いっぱい振り下ろしたが、

 

ガシッ

 

「へ?」

 

振り返った忍野は間合いを詰め、左手で秋久の手を掴み取り、その大剣を振り抜かれるのを阻止した。

そして、秋久からは機体の影になって見えなかった右手で、

 

貴様(テメェ)だけは容赦しねェ! アルケーは2体もいらねェんだ!!」

 

自分の大剣を振るい相手の両脚を削ぎ落とした。そしてそのまま両つま先に仕込んだビームサーベルを、曲芸じみた素早い動きで軌跡を描かせて秋久の身体に多数の致命傷を与える。

 

ーーーこんな奴、原作に居ないぞ!?

なんだよ、なんなんだよ!?

 

「何なんだ、お前は!?」

「俺は俺だァ!!」

 

最後に大剣で殴り飛ばされてやっと連撃から離脱させてもらえた秋久。

ボロボロになった身体はすぐに再生を始めるが、自分の使っているのと同じ機体でここまでいたぶられたと言う現実からは回復できていない。

 

対して忍野は、何を思ったのか手に握っていたバスターソードを手放すと、拡張領域に片付けてしまう。

そして、嘲るようにしながら言い放つ。

 

「確かテメェは暴力が好きだったよなァ? 自分より弱くて抵抗できない奴を虐めるのが好きだったそうじゃねェか。だったら同じことをしてやんよォ!!」

 

するとその直後、忍野の纏う装甲の隙間から紅い光が漏れ出す。

 

秋久は始め、GN粒子が漏れているのだと思っていたがすぐにそれは誤りだと気づく。

粒子であるなら無造作に放出すればただ浮遊しているだけなのだが目の前の()()は明らかに違う。紅い光を放つ()()はスライスのような、そして見る人によればオーラと言われるエネルギー体のようにも見える。

 

そして()()は、泥のように装甲にへばりついたまま侵食を始め、機体を覆い尽くすとそのまま獣のような形へと変化する。

 

頭部アンテナの位置からは後ろへと伸びる尖った耳のように、

 

両手のオーラは本来の手の倍近くのサイズに、

 

バックパックから伸びている長い安定翼を包むソレは太い尾へと変化する。

 

その姿は正しく、

 

“化物”

 

それと相対する秋久は動く事が出来ないでいた。

なまじ透けて中身(本体)が見えているのが彼にとっては恐怖そのもの。

殺気を具現化したように目に映るそれは、その姿が“自分を殺した者(闘志を纏った者)”と重なって見えたからだ。

 

身じろぎ一つ出来ない。

ほぼ自我を失った後の出来事だったが骨身に染み込んだ経験から震えが止まらない。

 

「テメェは地獄に堕ちたのに刑罰を受けてねェだろォが! 堕ちるだけじゃァ足りねェんだよッ!!」

 

ーーーくそっ、動けってんだよ!

俺は転生者だぞ!?

神に選ばれた特別な存在である俺がなんでこんな目に遭わなくちゃならないんだ!?

 

その傲慢な意識で動こうとする秋久だが、身体は目の前の圧倒的な悪意に蝕まれ指先一つ満足に動かせない。

 

地獄(刑罰)のツケを払え! テメェの命でなァ!!」

 

傲然と言い放ち突進してくる化物。

 

ここに来てようやく恐怖心に打ち勝ち、身体の自由を取り戻した秋久は距離を取るように後退させつつ、大剣に仕込まれた銃で牽制のビームを放った。

しかし、化物は意に介さないように次々とビームを避け、その巨大な手でビームそのものを凪払う。

 

「ふ、ファング!」

 

一切の牽制を受け付けない化物に対し、秋久は残っていた槍頭(ファング)を向かわせる。

 

「目障りだァッ!!」

 

縦横無尽に宙を駆けるファング。

けれども化物は鬱陶しい羽虫を払うかのように、平然とその尾で(はた)き落とす。

 

「このぉぉぉぉぉおッ!!!」

 

相手の意識が逸れたと感じた秋久は形勢を覆そうと突撃。バスターソードを上段に構え、袈裟切りに剣を振るが化物はと言うと、

 

「動きが見えんだよォ!!」

 

速度を緩めぬまま螺旋を描くように紙一重で避け、そのまま秋久の後ろに回り込むと、

 

「バカが!!」

 

その巨大な手で秋久の纏うアルケーガンダムのボディーを鷲掴みにして、ISのパワーアシストを無視するほどの力で地面目掛けてぶん投げる。

しかしそれで終わらず、化物は空を蹴り、一気に加速すると墜落中の秋久に追い付いて追撃を仕掛ける。その両手から生えたビームサーベルのような爪で装甲と中身を斬り裂く連撃。

 

「止めッ、止めろッ、止めてくれぇぇえ!!」

 

凶刃(10本の爪)でズタズタに裂かれる秋久。けれども再生能力があるため傷が治り、再び斬り刻まれる。破壊と回復を繰り返されるその光景は蹂躙そのもの。

 

そして化物は、その手に一振りの剣を生み出すと弓のように身体を仰け反らせ、限界まで溜めた力で思いっきり射出した。

 

「そォら、逝ッちまいなァ!」

 

飛来してくる剣を防ごうと無意識で右腕を出すが、剣はその腕を引きちぎり秋久の身体に突き刺さると地面へと隕石のよう衝突した。

 

「グハッ!?」

 

装甲を貫き、秋久を地面に縫い付けていたのは中国の両刃剣によく似た剣で、刀身には北斗七星の装飾が施されている。

淡い光を放ち続けるそれは神々しさがあり、禍々しいアルケーには不相応な武器だ。

 

「ヘッ、へへへ、今の俺は剣なんかじゃ死なーーーッ!?」

 

そこまで言った所で、秋久は言葉を失った。

自分の不死性をアピールするつもりで掲げた右腕。ところが切り落とされた腕が再生せず、それどころか傷口から徐々に残った部分が消え始めているのだ。

まるで初めからなかったかのように。

ゆっくりではあるが、しかし数秒で変化に気づけるほどのスピードで消えていく。

 

「何で、何で傷が治らないんだよ!?」

 

何が起こっているのか分からないと言った様子だった。

 

「こいつは七星剣(しちせいけん)ッてなァ、死者をあの世に強制送還するてェ代物だ」

「死者、だと?」

 

その言葉の意味を、秋久は理解出来なかった。

 

ーーー死者? 誰が?

自分は転生して生き返ったんじゃ?

 

「テメェは生き返ったんじゃねェ、あの世から逃げ出して来たんだ。だからコッチとしちゃァそんなイレギュラーを見逃せねェだ」

 

そうしている間にも身体の消滅は進み、すでに四肢は殆ど残っておらず、あと5分と保たないうちに消え去るであろうと一夏は思った。

秋久の胸のGNドライヴは、彼の灯火を表すかのように徐々に光を失っていく。

 

「嫌だ、死にたくない! 俺はまだやりたい事があるんだ!! 頼む! 助けて、下さい!! そ、そうだっ、仲直りしてやるから!! 土下座でも何でもするから!!」

 

一夏は、彼が救いようがない存在と感じた。

ついさっきまで己が欲望のために他人を殺そうとしていた癖に、いざ我が身の危機となると助けてを請う。

そして彼の懇願はあまりにも身勝手なもの。他人の同情を引くには値しないほどレベルの低いものだった。

 

散々泣き喚く秋久だが、ついに年貢の納め時がやって来る。

忍野は七星剣の柄を掴み、一言だけ呟いてから秋久の身体を左右に両断した。二つに別れた事で消滅速度が加速するとあっという間に消え去る。

消え去る直前に頭部の装甲が外れ、その下にあった表情が現れたが、一夏と忍野は見向きもしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「被害者面が気に食わねぇんだよ」

 

それが、秋久が認識出来た最後の言葉だった。

 

 

 

 

006

 

~一夏サイド~

 

剣を地面から引き抜いた忍野は、紅いオーラ共々身体に吸収するように片付け、ISも解除して自分の足で地面に立つ。

それを見てから俺もサバーニャを解除した。

 

「忍野。その秋久っていったい何者だったんだ?」

「あぁ、こいつは地獄からの脱獄犯だ」

「脱獄犯!?」

 

まさかの回答。

監獄どころか地獄から脱走するやつが居るなんて信じられなかった。地獄の鬼や閻魔様は仕事をサボっているのか?

 

「アイツはいくつもある平行世界、所謂パラレルワールドのどこかで死亡。その後、地獄の最下層に堕ちる途中でこの世界に迷い込んだんだ。

平行世界同士の境界はハッキリと区切られてるんだが、地獄やあの世での境界が曖昧でなぁ、何かの拍子に生前とはまるで違う世界に移動しちまうんだ。つまり転生ってやつだ。

人為ならぬ神為的に行われる場合が多いんだが今回はちょっと事情が違ってな、それで俺が出張ってきたんだ」

 

相手が“死人”って時点で専門家の仕事に含まれるのは俺にだってわかる。だけどスケールが俺の理解できる範疇を越えてしまっている。

平行世界? 転生? 何のこっちゃ。 

 

「そう言えば何で不死身だったんだ?」

「アイツが墜されたのは等活地獄(とうかつじごく)、別名“殺戮地獄”。殺されると体が回復して、また殺される。そうやって永遠と死を体験し続ける地獄だ」

 

ここにきて再生能力の説明がついた。

何度も死ぬための地獄から抜け出してきたのだから幽霊でありながら生きた肉体を持ち、そして再生能力が備わっていたのか。

 

「 でも幽霊なら忍かお前が()()()あんな派手に闘わなくても済んだんじゃないのか?」

「確かにそうだ。でも喰ったらアイツは罪をつぐなわないだろ? 本人の反省云々はともかく、罰はちゃと与えないと。それに、」

「それに?」

 

「あんな奴を喰ったら、腹壊しそうだ」

 

「怪異を喰う奴のセリフじゃないだろ」

「そうかもな。んじゃ、後始末よろしくなぁ」

「あっ、おい!」

 

忍野は俺の返事も聞かず、走り去ってしまった。

そして俺は、戦闘の爪痕で荒れ果てた周囲を見回す。

 

後始末ってまさかこの惨状を片付けろって言ってんのか?

あ、遠くからサイレンが聞こえてきた。

 

「・・・よし、逃げよう」

 

この時、俺はこれまでの人生でトップ3に入るほどの走りでその場から立ち去った。

 

 

 

007

 

 

「これで依頼遂行だな」

 

そこは真っ暗闇の通路。

一切の光源がないにも関わらず、自分の身体と足の下にある獣道一歩手前のような地面が剥き出しの舗装されていない道だけはハッキリと見える摩訶不思議な空間。そんな道を行列を成して歩く老若男女。彼らには一切の表情はなく、ただ能動的に前を歩く人に続く。

空も地平線も路肩も、全てが黒く塗りつぶされそこには聞こえてくる会話もなく、足音しか存在しないある種の静寂な世界。

 

ここは地獄へと堕とされた者が歩かされる地獄への一本道。彼らは生前の愚かさによって地獄行きになった咎人の列。

 

そんな道の脇をしめしめと絵に描いたような守銭奴面で逆走しながら歩く忍野。片手に明細書を持ち、振り込まれるであろう報酬に胸を踊らせているのだろうか、鼻歌混じりでご機嫌な様子である。

ISの修理費に始まり、アリーナの賠償金、デンドロビウムの部品代、千冬への迷惑料、クロエのご機嫌取り。

・・・後半は少しおかしいが、とにかく出費が重なり彼の財布は秋の終わり状態。冬になってないだけ辛うじてマシになっていたのだ。

そこに今回の、専門家としての臨時収入。多額の報酬に喜びを押され切れなくても仕方がない。

 

 

明細書を読み終わり、歩く以外にすることがなかった忍野は横を流れていく地獄への列を何気なく眺めているとその中を歩く一人の男に目が止まる。

 

イギリス圏の顔立ちでブルーの瞳の左目にくせっ毛の茶髪、どこか飄々とした雰囲気の男性。それを払拭する程の異彩を放つ右目の眼帯。

 

だが忍野はそんな事よりも引っ掛かりを覚える点があった。

 

それは男が着ているダイバースーツのような衣服。

 

そのデザインと色合いが一夏のISスーツと、偶然で片付けるには無理があるほど酷似していたのだ。見た目が似ていると言うより、設計思想から似通っているように感じ、双方の違いが“新旧の差”程度にしか思えなかった。

 

(まぁ、()()()所を歩いている以上、咎人なんだろうけど・・・)

 

先も述べたように、ここは地獄への一本道。

そこを逆走している忍野がすれ違うのは、地獄へと堕ちた者と決まっている。極めて稀に、極々一部の専門家が来ることがあるが、目の前の男はそう言った気配をまるで感じない。

だから何故、彼が視界にとまったのか分からない。いやきっと一夏のISスーツに似ていたからだ。そうに決まっている。

 

そう自分に言い聞かせながら歩き、二人の距離が近くと、

 

「おっと」

「すまない」

 

()()互いの肩がぶつかる。

大して痛くもなく身体が揺れる程度の、触れたと表現する方が正しい思えるが確かにぶつかった。

けれども気にする程の事でもない、と忍野は一言謝罪を述べるだけで止まらずに道を逆走していった。

 

「・・・・・・」

 

男は黙ったまま忍野の後ろ姿を見送り、その姿が後ろの列の影で見えなくなってから悪戯が成功した子供のような笑顔を浮かべ一言呟く。

 

「悪いなイチカ。人を貧乏クジの化身みたいに言った恨み、晴らさせてもらったぜ」

 

それだけ言うと、男は忍野が歩いて来た(地獄)へ再び歩きだす。

 

紛争根絶のため、自分が奪ってきた名も知らぬ人々の命の償いを、咎を受けるために。




いかがでしたでしょうか?
近いうちに後編も投稿できるように頑張ります。

ご意見、ご感想がありましたらよろしくお願いします。
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