それではどうぞ!
「あっ!この間のお兄さんだにゃ!」
どうやら猫語の少女も俺のことに気づいたのか、俺の方に手を振ってきた。
「おう、一昨日ぶりだな。」
「おはようございますだにゃ!お兄さん!」
「お、おはようございます…。」
一昨日はよく見てなかったが、友達の方は少し茶がかかったふんわりとした、ボブヘアーで赤縁のメガネを掛けていておずおずとしている。
「ああ、おはよう。」
溢れ出るほどの元気なあいさつをした猫語少女とは対照的にその友達のとても申し訳なさげにあいさつをした。
その真逆さに俺は可笑しくなってしまう。
「2人もアライズを見に来たのか?」
「うん!かよちんがみたいって言っててね、でもこれじゃあ見えないかなぁ。」
「うぅ、凄い人だなぁ…。」
確かに、さっきより人混みの規模が大きくなっていた。
これじゃあ確かに厳しそうだ。
「あ、そうだお兄さん。一昨日はホントにごめんなさい…。」
すると猫語少女は途端に申し訳なさそうに俺に謝ってきた。
彼女はさっきあったチビほどではないが背が低いので、自然的に上目遣いのようになる。
まだ気にしてるのか…。
なんだか俺が彼女がの笑顔を奪ってしまったようで少し罪悪感が生まれる。
少しでも彼女に笑顔になって欲しくて、俺はこんなことをしたんだろう。
「おいおい、大丈夫だっていっただろ?そんな顔すんなって。なんともないからさ」
そう言いながら俺は彼女を一秒でも安心させたくて、彼女の頭をポンポンとおくように少し撫でる。
触れた彼女の髪はとてもサラサラとしていた。
「えへへ、ありがとう!」
彼女はやっと笑顔に戻ってくれる。
その笑顔が自分の記憶の少女と重なった。
……やはりこの子なのだろうか…。
疑問は消えないがとりあえず彼女が笑顔に戻ってくれたことに安心して俺も笑顔を見せる。
ふと目を向けると彼女の友達は顔を赤くして「はわわわ」と言うような口をしてこっちを見ていた。
なんだ?なんかあるのか?
俺は自分の状況を落ち着いて整理する。
あって2度目の女の子の頭をいきなり撫でてる俺………、変態かな?
「あっ、すまん、つい。」
俺は慌てて女の子の頭から手を離す。
「?」
彼女は特に何か気にした様子ではなかった。いやそれはそれでどうなのだろう…。
「あ!そうだ!お兄さんお名前教えてもらっていいかにゃ?」
「お、おう、別に構わないよ。」
さすがに俺もいつまでも猫語少女って称すわけにもいかないしな。
そして彼女は…、
満面の笑みのまま…、名前をいった…。
「凛の名前は"星空凛"って言うんだにゃ!よろしくね!」
"ほしぞら…りん"
『うん!えっとね___』
ああ…、そうだ…。
思い出した…。
『うん!えっとね、ほしぞらりんっていうんだよ!よろしくね!____』
やっぱりそうだった。
この猫語少女は____ほしぞらりんは『あの』女の子だったんだ。
もう絶対に会えないと思っていた記憶の少女が目の前にいる。
「わ!お兄さん、どうしたんだにゃ!?」
「あわわわ……!」
「え?」
目の前の女の子2人が急に困った顔をする。
何だ、俺の顔になんかついてんのか?
自分の顔に触れて見ると、手が濡れた。
「…あ…。」
俺は、涙を流していたのだ。
つくづく自分の気持ち悪さに呆れてしまう。
小学生のころにあった少女と久しぶりにあって泣いてしまうなんて。
とりあえず何か言い訳しなければ。
「いや、えっと…、ほ、ほら!あれだ!さっき目にホッチキスが飛んできてさ!いや〜、いってーったらないぜ!」
「えええっ!凄い大事だにゃ!!」
「大丈夫だって!それより!"ほしぞら"ってあの星に空って字でいいのか?」
なんとか言い訳をし、俺は慌てて涙を拭う。
「うん、そうだよ!凛っていうのは〜……、よくわからないけど、よくあるやつだにゃ!」
多分彼女は"凛"のことを言っているのであろうが、果たしてよくあるやつなのだろうか。
「それで、こっちがかよちんだよ!」
"かよちん"と呼ばれた少女は先程よりさらに申し訳なさそうに俺に自己紹介をする。
「えっと、小泉花陽です…。花陽っていうのは花っていう字に太陽の陽で花陽っていいます…。よ、よろしくお願いします!」
花に太陽の陽で花陽か…、なるほど、だから"かよちん"なのか。
次はこっちの番だな。
「星空に、小泉か…。りょうかい、俺は佐藤亮っていうんだ。佐藤はよくあるやつでな、亮ってのはまあ面倒だから別に覚えんでいいや。」
「うん、わかった!よろしくね!亮くん!」
「お、おう、よろしくな。」
いきなり名前呼びされて少しドキッとしてしまった。
今の女子みんなこんな感じなのだろうか。
「よ、よろしくお願いします、佐藤さん。」
まあこっちが普通だよな。星空が特別なだけか。
「ああ、よろしくな。それで、2人とも音ノ木坂なんだろ?」
「うん!音ノ木坂学院の1年生にゃ!なんでわかったのー?」
「俺の知り合いにも音ノ木坂の人がいてな。制服が同じだったからさ。俺は上野の桜泉高校ってとこの2年生なんだ。」
「わ!先輩さんだったにゃ!」
「あ、だからと言ってべつに今から敬語とか使えとかそういうことじゃないからな。話しやすい感じでいいよ。」
「あ、うん、わかった!でもでも、上野にあるって、時間大丈夫なのかにゃ?」
「あ」
すっかり忘れていた。
俺は自分の左手にある腕時計に目を向ける。
時刻は8時20分を過ぎている。
俺は…、今度は自分の意思で涙を流した。
タイトル『再会』のくせに凛ちゃんとは前にあってるじゃんっていうツッコミがあるかも知れませんが、
この『再会』は亮くんの記憶の少女との再会なのでそういうことでお願いします!