半分脳死しながら、阿津賀志山を周回していると鶴丸が来ました
やはり、ドロップ教が正義だったのだ
して、11話目となります
敵襲なうです
一瞬、時が止まったのかと錯覚した。
それほどまでに、私は混乱していた。
どうすればいい?
どうしたら、全員助かる?
他の本丸に逃げ込むか?
そこが襲撃されていないとも限らないのに?
……待ってくれ。あの時、ミツバはなんと言った?
「……冗談じゃない」
私たちには、終わりの無い地獄しかないのか――?
〜・〜・〜・〜・
ふらりと、三月は後ずさった。
顔色は青白く、呼吸はいつもより僅かに加速していた。
目の焦点は定まっておらず、黒曜石の様な瞳に世界は写っていなかった。
ジャリッと硝子の踏む音で、三月の意識は現実に引き戻された。
「……冗談じゃない」
憎らしげに、三月は呟いた。
絶え間なく偽りの大地は揺れ続け、何かが焼ける臭いが鼻についた。
その臭いは、間違いなく命を奪うものだった。
「……主、兎に角避難しましょう。薬研、退路は?」
「一応、確保してあるが、確実に安全とは言えねえ。敵数は増える一方だ……悪いな」
「……この状況だ。仕方あるまい。主、主の御身は私と薬研がこの身を挺してでも守ります故、ご安心を」
「政府なら安全じゃないか? それか、演練場か……」
「駄目だッ!!」
今まで黙っていた三月は、いきなり大声を出し、薬研を引き止めた。
薬研の右腕を掴んだ三月の右腕は小刻みに振るえ、顔色は先ほどと比べ物にならないほど、青ざめていた。
二人はいきなり荒事に巻き込まれた故の恐怖かと思い、三月の腕をさすった。
だが、それは間違いだった。
「どうしたんだ、お嬢。いつものお嬢らしくねえぜ?」
薬研はぐずる弟に話しかける様に、優しく三月に語りかけた。
三月は優しげな声に、幾分落ち着きを取り戻したのか、ようやく顔を上げた。
「……恐らく、今回の敵襲は、」
確証はない。だが、それ以上に否定できる要素もない。
もしも、ミツバの話が本当だったら……突如、三月はえも言われぬ不安にかられた。
皮肉にも、三月の不安は的中することなる。
「ッ!! 一期!!!!」
三月は夢中で手を伸ばした。
だが、掴むのは熱い空気ばかりだった。
熱い
これは、炎?
……燃えているのか?
また、世界の中に還るのか?
「ああぁぁああぁあぁぁぁあぁあああぁぁぁッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
絶叫の中で思い出したのは、燃え落ちる大阪城だった。
そこで、全てを失った。
主も、
弟も、
これまでの思い出も、何もかも。
失うのは怖い。
だが、それ以上に一人で燃え落ちるのが、何よりも怖い。
頼むから、もう自分から奪わないでくれ。
「お願い、します……どうか、どうか……ッッ!!」
手を伸ばし、何かに縋ろうと、必死にもがいた。
緋色の世界の中に見えた、黒。
きっと、あれは―――
『一人じゃなければ怖くないッ!!!』
「ッ!!」
――平時よりか、幾分か幼い声の主は、一期の顔に両手を沿えた。
瞳は藍色に輝き、心なしか何時もよりも幼かった。
「一人じゃなければ、誰かといれば、怖くなんてないんだよ、一期。その為に、
暖かい手のひらから、炎とは違う温もりが一期の頬を撫でた。
確かに、それは一期の知る三月ではなかった。
だが、それを悪しきものと決め付けるには優しすぎた。
「もう大丈夫。目を開けてごらん? どんな炎がきても、君が焼き尽くされることなんか絶対にないよ」
――私
その炎は幻想だ。
火は自分を生み出し、弟達を生み出したもの。
故に、恐るるに足らず!
刀を抜け、戦え。
「そこを退けェェェッ!!!!!!!!!!」
恐怖を振り払う様に、声を張り上げた。
過去への思いを断ち切る様に、己が太刀を振るった。
そして、一閃。
何の躊躇いも無く、敵の大太刀を斬り伏せた。
「……再刃された所為か」
一期一振は刀身に付いた血糊を振り払いながら、苦々しげに呟いた。
新手がいないか確認する為に、辺りを見渡した。
「ッ‼︎ いち、兄ッ!!!!!」
「‼︎ 薬研か‼︎」
切迫した様子の弟のもとへ向かおうと、足を踏み出したその瞬間。
ピチャンッ
燃える鍛冶場には似つかわしくない、水音を一期一振の耳は捉えた。
その音源は何処だ?
一期一振はその生々しい赤色の滴るもとを、目で辿った。
鉄臭さとむせ返る様な生臭さは嗅ぎ慣れたものだった。
「助けてくれ……!! 血が…血が、止まらないんだ」
一瞬、呼吸が止まったようだった。
偽りの心臓が嫌な鼓動をした。
血の滴り続ける槍の穂先は、三月の右胸から突き出ていた。
三月の瞳に、三日月が浮かんでいたことを、一期一振と薬研は知らない。
いち兄 は トラウマ を のりこえた ?
しんけん‼︎に手を出してしまいました
DMM怖い
いつの間にやら、本作品も10話を超えていました
まだまだ終わりが見えないので、ご安心ください!
さてさて、今回出てきた『三月の顔をした何か』と、4話で三日月が語った『老婆に手を引かれ、歩いていた幼子』
この作品のキーパーソンとまではいきませんが、中々重要なキャラクターとなります
最後に、三月さんは槍がぶっ刺さりぱなしですけど、大丈夫ですかね((