ポケットモンスター陰/陽 〜ポケットモンスターが幻想入り〜   作:Mr.Pooh

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ここでは全然テストの話しませんでしたが、今日テスト終わりました。その勢いで書き溜めしてます。

またサブタイで登場キャラネタバレしてますが、そこはご愛嬌と言うことで・・・。

ではどうぞ。





第一○話 天狗記者と鴉の歌

視点:早苗

 

人里やその他を望む高台にある、山の中の澄んだ池。

 

・・・なかなか良さげなポイントじゃないですか。

 

ここは妖怪の山のとある水場。現在、香霖堂へボールを頂きに行った帰り。まだまだ夜には遠い、夕方です。

 

もうそろそろ夕飯の準備時ではありますが、ポケモンの一匹も捕まえないままのうのうとは帰れません。

 

それに、早くこの手でポケモンを捕まえたい。

 

 

 

 

 

 

仮想ではなく、現実のポケモンを。

 

 

 

 

 

 

何しろ、外の世界で「ポケモン」と言ったら単にRPG、ロールプレイングゲームの一つでしかないのですから。仮想も良い所です。

 

私はゲームのジャンルとしての「ポケモン」のプレイヤーの一人に過ぎません。仮想のデータ上でポケモンと接して来ました。

 

だけど、全てを受け入れる幻想郷がそうさせたのか、紫さんが仮想と現実の境界を取っ払ったのか、何があったのかは分かりませんがこうして幻想郷の現実には姿を現した。

 

現実となったポケモンに早く会いたい、って言う感情は全く間違っていないと思うんです。それが迷惑を掛けてしまうか否かの違いだけで。神奈子様や諏訪子様も一応はポケモンをご存知ですから、きっと分かって頂けるはず。

 

・・・さて、遅くなるにしても、早めに帰るに越したことはありません。早く捕獲してしまいましょう。

 

みずタイプでもくさタイプでも、どんなポケモンが・・・。

 

 

 

 

 

 

「ケロッ!」

 

 

 

 

 

 

・・・!

 

今、確かにポケモンの鳴き声が聴こえました。

 

ケロッ、とそう言っていましたが、確かカエルのポケモンは結構数があったはず。気になります。少し覗いてみましょうか・・・。

 

私は木の陰に隠れて、池の様子を伺い始めます。

 

・・・しばらくして現れたポケモンに、私は驚きました。

 

 

 

 

 

 

ケロマツです。

 

 

 

 

水色に近い体色のカエルのようなポケモンなのですが、確かあのような「御三家」ポケモンは野生で出ないはずじゃあ・・・!?

 

・・・ん?

 

胸辺りに振動を感じました。

 

何でしょうか・・・って、図鑑!?

 

No.656 ケロマツ あわがえるポケモン

みずタイプ

高さ0.3m 重さ7.0kg

身体に泡を纏わせて身を守る。見た目よりも用心深い性格で、常に周囲に気を配っている。

 

こっちに来るときに持ち込んだこの図鑑、玩具のはずじゃあ・・・!

 

私達が生活していた、現実の外界ではポケモンは存在していませんでしたし、ポケモン図鑑も同じく存在していませんでした。

 

これはあくまでそれを模造した玩具のはず・・・何で普通に図鑑として動いているんですか!?

 

しかし、これは嬉しい誤算。泡が身体を守るなら、その泡が乾いて少なくなったときに攻めれば良い。図鑑はそうアドバイスしてくれているようです。

 

・・・分かりました、図鑑様の仰せのままに!

 

ケロマツは陸に上がって日光を浴びています。この夕方には珍しいと思いますが・・・昼間は混んでいたのでしょうか?

 

皮膚は段々と乾いてきているようです。

 

・・・よし、今だ!

 

「行けっ!モンスターボール!」

 

私は奇襲を仕掛けました。

 

皮膚が乾き始めて動きが鈍くなったケロマツをボールで捉えるのは容易なことです。

 

「ケロッ!?」

 

ケロマツは一瞬驚いた顔をこちらに向けましたが、すぐにボールの中に吸い込まれました。

 

まんま、ゲームのエフェクトを見ているようでした。

 

ケロマツが入り込んだボールは地面に付くとカタカタと動き始めました。まだ中で暴れていますね・・・。

 

この、ボールが動いているときの緊張感。

 

仮想の方で慣れなかったんだから、現実で見て平然として耐えられる訳がありません。

 

さぁ、どうか・・・。

 

 

 

 

 

 

・・・カチッ。

 

 

 

 

 

 

子気味の良い音と一緒に、私の目の前で、ボールは動かなくなりました。

 

捕獲、成功・・・!

 

私は思わずガッツポーズ。その後ボールを拾い上げて、その勢いでボールを投げました。

 

「行けっ、ケロマツ!」

 

ボールから出た光がポケモンを形作り、そして光が払われます。

 

「ケロッ!」

 

中から元気そうなケロマツが出てきました。・・・何故か皮膚が再び潤ってますが、気にしたら負けだと思って無視して再びケロマツをボールに戻しました。

 

良く見るとモンスターボールに画面が。そこにはまんまゲームのようにポケモンのデータが書かれています。なるほど、データってこう言う風に確認してたんですね。

 

いや、そんなことは置いておいて。

 

・・・まさか野生で、しかも初っ端から御三家のポケモンが出てくるとは。

 

御三家とはポケモンのゲーム内での主人公が最初に譲り受けるポケモンの総称で、基本的に野生では登場しません。

 

・・・そうだ、このポケモンのデータを詳しく見てみましょうか。

 

すなおな 性格。

20XX年X月X日

妖怪の山で

Lv6のときに

出会った。

とても きちょうめん。

 

妖怪の山で出会った・・・ちゃんと場所まで入るのがちょっと感動しました。

 

どれどれ、技は・・・?

 

 

 

 

 

 

・・・!?

 

 

 

 

 

 

この技・・・!

 

いや・・・なんでこんな技を・・・!?

 

 

 

 

 

 

「あやややややややや!早苗さーん!」

 

 

 

 

 

 

突然、またもどこからか名前を呼ばれ、現実に引き戻されました。

 

その声は・・・文さん!?

 

しかも妙に慌てているような・・・?

 

そう思っている暇もなく、文さんはいつかの魔法使いとは違って真っ先に私の目の前に降り立ちました。いつも通り素早いです。

 

この方があのポケモン記事を書いた鴉天狗の記者、射命丸 文さんです。

 

「ハァ・・・ハァ・・・探しましたよ、早苗さん!」

 

文さんは肩で息をしながら私を指差しました。

私を探していた?

 

「えっと・・・何の御用でしょうか・・・?」

 

「あややっ!?もしかして神奈子さんの悲鳴聞いてないんですかっ!?」

 

「聞こえ・・・えっ!?神奈子様の悲鳴!?」

 

「そうですよ!神奈子さん、神社の食べ物食い尽くされて干からびそうになってるんですよ!?」

 

「え・・・えぇぇぇぇぇぇっ!?一体何があったんですかあっ!?どどどどうすれば・・・。」

 

とりあえず守矢神社に・・・いや食べ物が無いとどうにもならないじゃないですか!食べ物を買って来なければ・・・でも今私お金持ってませんから一旦守矢神社に戻って・・・でも神社には戻れないし・・・あれ?何で神社まで戻れないんでしたっけ?あれ?

 

「さ、早苗さん!落ち着いて!」

 

えっと私は神奈子様と諏訪子様におゆはんを作らなければならなくて・・・でも作ってなくて・・・それで今は私は神社に戻ろうと・・・でもじゃあなんで戻っちゃダメなんだ・・・おゆはん?でも私も神奈子様を・・・おゆはんを・・・おゆはんって何でしたっけ?

 

「落ち着いて!落ち着いて下さい早苗さん!」

 

私?諏訪子様?神奈子様?あれ?あれ?私は・・・私は・・・。

 

「私はっ、何をすればいいんですかぁーっ!」

 

「せいっ!」

 

「きゃっ!?」

 

突然、強風が巻き起こりました。同時に私の頭が冷やされます。

 

「目が覚めました!?とりあえず、私の家でスパッと料理を作りましょう!話を聞くのは料理を振舞ってからです!」

 

「! はっ、はいっ!」

 

どうやら文さんが風を起こして目を覚まして下さったようでした。また我を忘れてうろたえてしまってたんですか・・・。

 

「さっ、急ぎましょう!お二人にもなるべく早く作るって言ってありますからね!」言いながら、文さんは飛び立ちました。

 

直後、

 

「あやっ!?」

 

木の枝が大きく揺れる音と一緒に文さんが落っこちて来ました。漫画だったらグルグル目になるような状態で。同時に大量木の葉も落下しました。

 

沈黙が流れます。

 

状況から考えますと・・・文さん、木の枝(それもいっちゃん太い部分)に頭をぶつけました?

 

「あの・・・文さん?大丈夫ですか?」

 

「あやややややや・・・。やってしまいましたね・・・。」

 

どうやら気は失っていなかったようで、頭を押さえながら文さんは受け答えてくれました。

 

「自らのスピードに慢心してしまうとは・・・。私もまだまだのようですね・・・。さて、今度こそ・・・ん?」

 

文さんは突然に青ざめました。目線はただ一点を向いています。

 

「・・・。」

 

おまけに黙ってしまいました。

 

・・・いつか、綺麗な水場の近くには鳥が巣を作りやすいと聞いたことがあります。

 

もう何が起こったかは予想付くと思いますが・・・。

 

文さんの視線の先にあるのは藁の束です。

 

しかし、もちろん普通の藁束ではありません。幾つか紺や白の羽が混じっていて、中に四、五個程の卵が入った藁束。

 

・・・鳥の巣です。

 

しかも中にある卵は・・・全滅していました。

 

これはやばい。

 

私にも分かりました。

 

「・・・文さん、面倒なことになる前に早くここを立ち去りましょう。」私はなるべく静かに、しかし必死の思いで文さんに伝えました。

 

が・・・。

 

「・・・いえ、既に手遅れのようですね・・・。」

 

・・・。

 

・・・上から鳥ポケモンの鳴き声がしてきました。

 

見たくない・・・。

 

いやしかし、見なければ・・・見なければ!

 

・・・見上げました。

 

「スバッ!」「スバーッ!」「スバッ!」「スバーッ!」

 

黒い雲のようなものが、そこにあります。

 

雨雲ではなく・・・鳥ポケモンであるスバメ、オオスバメ入り混じった大群です。

 

遠くからでも見える瞳には明確な殺意が見て取れました。

 

スバメ・・・鳥ポケモンらしくかなり素早いポケモンだったはず。

 

ああ、これは・・・神奈子様達の所に向かうのが遅くなってしまいそうですね。あはは。

 

 

 

 

 

 

「くっ、行きなさい!クロスケ!」

 

 

 

 

 

 

私はまたも文さんの言葉で我に帰りました。

 

ハッとした時には既に、そのポケモンは文さんのボールから姿を現していました。黒い鳥の姿をしたそれは・・・ヤミカラスです。

 

No.198 ヤミカラス くらやみポケモン

あく・ひこうタイプ

高さ0.5m 重さ2.1kg

不幸の象徴として知られる。光るものを集める習性があり、集めたものを巡ってニャースと対立することもしばしば。

 

「ケァーッ!」

 

文さんもポケモン持ちでしたか!

 

カラスという点では共通していますが何か合ってないような気も・・・って、そんなこと考えてる暇はありません!

 

「文さん!私も加勢します!」

 

「いえ、少し待って下さい!」

 

「えっ!?」

 

文さんは私の加勢に待ったをかけました。

 

「スバーッ!」

 

恐らくリーダー格であろう、一際身体の大きなオオスバメが一度鳴いたのがきっかけに、スバメとオオスバメ達はこっちに突進してきました。これ、まずいのでは・・・!?

 

 

 

 

 

 

「クロスケ、ほろびのうた!」

 

 

 

 

 

 

ほろびのうた!?

 

「ケァッ・・・ケァッ・・・!」

 

クロスケと呼ばれたそのヤミカラスは、大量の他の鳥ポケモンを目の前に、文さんの一声で歌を歌い始めました。

 

しかしそれは、お世辞にも美しいとは言い難い、自前でエコーさせているような不安になるメロディーです。

 

さらに歌っているクロスケの口元からは超音波のような黒い波が絶え間なく流れ続けており、ただならない気配を放っています。

 

まるで呪いのような。

 

「ケァッ・・・ケァッ・・・!」

 

さらに、異変はクロスケにまで。歌っているだけなのに尋常じゃなく消耗しているのです。

 

「お願いです、少し我慢して下さいね、クロスケ・・・!」

 

どうやらそれは文さんも承知のようです。一度でも使ったことのある技なのでしょう。

 

「スバ・・・ッ?」

 

相手の鳥ポケモン達は、クロスケが必死に歌っているのを見て尻込みしたのか、行動を止めて様子を見ています。

 

「クァッ・・・ケァ・・・ッ!」

 

この技がゲームと同じ特性なら、次に取るべき行動は・・・。

 

「よし、もう十分です!早苗さん!さっきのポケモンを繰り出せますか!?」

 

やはり、そういうことでしたか!

 

「分かりました!」

 

「よしっ、戻って!クロスケ!」

 

「行けっ!ケロマツ!」

 

私は歌を歌っていたクロスケと入れ違いに、先程捕まえたばかりのボールを投げました。

 

ボールが光を放ち、少し大きめのカエルを形成。そして光が払われます。

 

「ケロッ!」

 

私の一番手、ケロマツ。

 

ケロマツは出てくると早々に一声鳴きました。まだニックネーム──名前も付けていませんが、その凛々しさは一級品です。

 

「スバーッ!」

 

群れの中の一匹が、さっきのクロスケの時のように襲いかかって来ました。

 

でも大丈夫。あちらがクロスケに気を取られていた時間を考えると・・・。

 

「・・・バッ!?」

 

こちらに向かって来ていたスバメが急にブレーキを掛けて空中で止まりました。

 

「スバッ・・・!スバッ・・・!」

 

そして、突然ジタバタと苦しみ始めました。

 

・・・どうやら、ほろびのカウントが0になったようです。

 

「スバ・・・ッ・・・。」

 

間も無く、スバメは空気が抜けるようにフラフラと降下し、そのまま羽根を広げて倒れました。

 

これは・・・実際に見てみると中々のホラーですね。

 

「スバッ・・・!」「スバッ・・・!」

 

倒れたスバメから目を離し、再び前を向くと、前方の鳥ポケモン全てが苦しそうに身悶えています。

 

「スバ・・・。」

 

一匹が倒れました。

 

「スバァ・・・。」

 

また一匹。

 

「スバッ・・・。」

 

また一匹。

 

それからは途切れ無く、ドサドサと。

 

そして気が付くと・・・一匹も空中を飛んでいませんでした。

 

地面には蹲るスバメやオオスバメ。・・・マイルドな地獄絵図ですよ、これ。

 

「ふぅ・・・ありがとうございました早苗さん。手持ちのもう一匹が動ければ助けを受けずに済んだのですが・・・助かりました。」

 

「いえいえ。文さんの新聞のお陰でポケモンに気が付けたので、そのお返しと思っておいて下さい。・・・それにしても凄い技ですね。ほろびのうた。」

 

文さんも最初にそう指示していましたが、この怪奇現象のような技はほろびのうた。呪いの篭った歌を歌い、歌ったポケモン含め聴いた者全てをしばらく後に戦闘不能にする技です。

 

文さんはこの技の特徴を踏まえ、上手い使い方をしていました。

 

この技の一番の特徴であり同時に長所かつ短所なのは、技を繰り出したタイミングと効果が表れるタイミングが大きくズレていることです。

 

さらに、歌を聞いてから効果が表れるまでにボールに仕舞う等して呪いの範疇から出しておけば、この技の影響を受けることはありません。それは歌った本人でも例外無く適応されます。

 

つまりさっきの場合、クロスケがほろびのうたを使い、クロスケとスバメ達両方に呪いが掛けられたのですが、クロスケだけがその範疇から逃れ、スバメ達だけが呪いを受け戦闘不能になった・・・と言う訳です。

 

「あやや、初めてご覧になりましたか?」

 

「えっと、初めてと言えば初めてだし、違うって言えば違うし・・・。」

 

「?」

 

ゲームでは見たけど実際に見たのは初めてと言うことなのですが、説明が難しいので曖昧にしておきました。

 

「まぁ良いです。ささっ、早く神奈子さんと諏訪子さんにごはんを作ってあげましょう!足止め食らって遅くなってしまいましたしね!」

 

「ああっ!そうでした!急ぎましょう!」

 

私が言っている間に、文さんは飛び出しました。今度は枝に頭をぶつけること無くスムーズです。

 

私もケロマツをボールに仕舞って、飛び出しました。

 

・・・少しクロスケについて気になることがありましたが、今は気にしないようにしましょうか。




特に営業してない文はハーメルンではそれなりに珍しいんじゃなかろうか。

早苗がゲーム出身を暴露。さらにしれっとパートナーゲット。蛙の御三家、ケロマツです。ニックネームはお楽しみに。

さて、早苗の気になる所とは・・・?

では。
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