ポケットモンスター陰/陽 〜ポケットモンスターが幻想入り〜 作:Mr.Pooh
では、本編どうぞ。
視点:チルノ
「わーっはっはっは!どうだ!アタイの雪ん子!強いだろー!」
「バニッ!」
「あぁっ、僕のイモムシまでぇ・・・。」
南か北か忘れたけど、どっちかの方向に太陽が沈む夕暮れの霧の湖。水面にオレンジ色の太陽が映って眩しいけど、こんな光位アタイ達が遊びを止める理由にはならない。
今アタイ達がしている遊びはポケモン勝負。
今朝から現れた外界の生き物、ポケモンを道具を使って捕まえて、そのポケモンを出し合って戦う、幻想郷に新しくできた勝負だ。
アタイ達ができる勝負には別に弾幕ごっこがあるけど、それとは大きく違って自分自身では戦わない。ポケモンに指示を出して戦う。
だから、弾幕ごっことは全然違う力が要るし、楽しさも違う。
アタイが使っているポケモンは雪ん子。水色と白の身体で頭が少しとんがってて、空中に浮いている。アタイと同じで氷を使えるポケモンだ。
もちろんどんな勝負でも、勝つのはこのアタイ、チルノ!アタイが勝つのは当たり前よね。だってさいきょーだもの!
「これで五連勝!アタイったらさいきょーね!」
「チルノちゃんが勝てたのはその雪ん子ちゃんが強かっただけなんじゃ・・・。」
「いやいや大ちゃん。アタイは雪ん子の強〜い力を使いこなしてるの。だからアタイもさいきょーなんだよ!」
大ちゃんはアタイの一番の友達で、アタイとはいつも一緒。本当は大妖精って言うみたいだけど、言いにくいからアタイ達は大ちゃんって呼んでる。
「使いこなしてるのかー?」
「僕もチルノちゃんはただ技の名前を叫んでるようにしか・・・。」
横で文句を言ってるのは闇を使える妖怪のルーミアと虫を使える妖怪のリグル。後ろに「のかー」を付けるのがルーミアで、男の子みたいな格好してる方がリグルね。
今はこの二人に大ちゃんと私の四人で勝負している。
・・・って言っても、さいきょーのアタイに誰も勝てなくて、アタイばっかり戦ってるんだけど。リグルとルーミアはそれに文句を言っているみたい。
「何よ!?アタイの的確な判断が気に食わないって言うの!?」
「だってチルノちゃん、ふぶきふぶきって声出してただけじゃないか。しかもそれ一回で相手のポケモン倒しちゃうし・・・。」
「ぐぬぬ・・・。じゃ、じゃあ、もう一回勝負よ!これで勝ったらアタイの強さを認めろー!」
「チルノちゃん、もう夕方だし、そろそろ帰らないと・・・。」
「大丈夫大丈夫!これ一回で終わりにするから!さあ!次の相手は!?どっからでもかかってこーい!」
「じゃあ私が二匹目出すのかー。」
前に出たのはルーミア。
「次はルーミア?さっきのいぶくろみたいにならなきゃ良いわね。」
いぶくろは一回目の時にルーミアが出した緑色のポケモンだ。すぐ倒したけど。
「行くのだー!」
ルーミアの投げたボールは空中で開いて、中から出た光がポケモンとなった。
「ヨマ・・・。」
中から出たのは、ドクロに灰色の布を被せたものが浮いたようなポケモンだ。
オバケとか、そういうものを想像させた。
「・・・ちょっと怖いけど、アタイの敵じゃないわ!雪ん子!ふぶきよ!」
「やっぱり・・・。」
「やっぱりね・・・。」
「やっぱりなのかー。」
アタイがさいきょーの技を繰り出す様子を三人はやれやれと言った様子で見ている。だけど・・・。
「・・・あれ?」
雪ん子はふぶきを出さなかった。
いや、出せなかったのかな?
「バニッ・・・!」
雪ん子は頑張って出そうとはしてる感じだけど、出てこない。
「あれ・・・どうしたんだろう。吹雪出ないね。」
「チルノちゃん・・・?雪ん子ちゃん・・・?」
「むむ・・・もう一回よ!雪ん子!」
「バニィ・・・!」
うんともすんとも言わない。
「チャンスなのかー!ドクロ君、シャドーボールなのだー!」
「ヨマ・・・ッ!」
「えっ!?」
慌てて前を見ると、ドクロ君が出した黒い玉がこっちに向かって来ている!
「バニィー!」
「雪ん子っ!」
その黒い玉は雪ん子にクリーンヒット。そのまま倒れた。
「勝ったのだー!」
「あっちゃあ・・・。大丈夫?雪ん子。」
「バニ。」
雪ん子はアタイに抱かれながら答えてくれた。でもまあ、満身創痍ね。
「わはははははは!どーなのだー!」
「ヨマ・・・。」
ルーミアはドクロ君と自慢気に胸を張っている。
「ちょっとルーミア!強い技一発で勝負終わらせるなんてどんな根性してるのよ!」
「チルノには言われたくないのだー。」
「むきーっ!覚えときなさいよ!」
外側で大ちゃんとリグルが笑ってる。くっそー・・・。
「もう一回よ!もう一回!」
二人の笑いに耐え切れなかったアタイは、服のポケットから「アレ」を取り出した。
「えっ、あれで終わりじゃ無かったの?」
大ちゃんはキョトンとして聴いてきた。
「アタイが負けたまま終われないよ!アタイがさいきょーなんだから!」
「ワガママなのだー!」
「問答無用!」
ルーミアの一言は聞かずに、アタイは「アレ」をアタイの片腕の中で倒れている雪ん子の上に置いた。
すると「アレ」は雪ん子の身体の上で溶けるように広がって、傷付いた身体に染みた。
「さぁ雪ん子!もう一回やるわよ!」
「バニッ!」
アタイが一喝入れると、雪ん子はまた空中を漂い始めた。
・・・でも、アタイが雪ん子を復活させたのは決して良いことじゃ無かった。
「チルノちゃん・・・約束は守ろうよ。あれが最後だったんでしょ?」
「うっ・・・。」
「約束は守らなきゃダメなのだー!」
「ルーミアも!?」
「そ・・・そうだよチルノちゃん!約束は守らないと!」
「大ちゃんまで・・・。」
三人に睨まれて、もう謝るしか無くなってしまった。
「・・・分かったわよ。今回はアタイの負けってことにしておくわよルーミア。その代わり、この一戦絶対忘れるんじゃないわよ。」
「分かれば良いのだ。」
ルーミアは相変わらず偉そうに受け答えた。
「ゴン!」
雪ん子もアタイを励ましてくれているみたい。
・・・ん?
何だか鳴き声が違うような・・・?
アタイは反射的に横を向いた。
「ゴ〜ン!」
隣にあったのは、見たことも無いポケモン。深緑色の身体でアタイ達より少し小さい。
「・・・誰!?」
アタイは遅れてびっくりしてしまった。
「ゴンゴン!」
ポケモンはアタイの反応も気にせず、胸をポンポン叩いて鳴いた。
多分、こっちに攻撃する気は無い、って言いたいんだろう。
とりあえずアタイは三人の方に向き直って「この子、誰のポケモン?」って聞いてみたけど、三人は同時に首を横に振った。
いつの間にアタイの隣に・・・。
するとそのポケモンは、こっちこっちと手招きを始めた。
「・・・へっ?アタイ?」
一応聞いてみたけど、ポケモンは頷いた。間違い無いみたい。
確認していたら、ポケモンは森の中に歩いて入って行った。走ってる割には遅いけど、そんなこと気にしている場合じゃない。
「どうするの?」
リグルが聞いてきた。
「当たり前よ。あのポケモンに付いて行くわ!」
「・・・やっぱり?」
「行かないなら置いて行くわよ。大ちゃん、ルーミア、行こう!」
アタイはそのポケモンの後ろに付いて、森に入る。
「あっ、チルノちゃん!待って!」
大ちゃんがアタイの後ろに付いた。
「大丈夫なのかー?」
ルーミアがその後ろに。
「・・・良いのかなぁ・・・。」
最後にリグル。結局付いて来るみたいだ。
アタイ達はポケモンを先頭にして、森の中を進み始めた。
いつの間に太陽が沈んだのか、もう明るく無かった。森の中だから辺りはもっと薄暗い。だけど友達も付いてるし、全然怖くは無い。
ただ、暗いだけでいつも見ている風景とは全然違うものになっているから、少し不思議だ。
「暗いのかー。」
「わっ、回らないでよルーミア。この暗がりじゃ危ないよ。」
ちょっとルーミアが楽しそうにしてるみたいだ。そう言えば闇を操る妖怪だったわね。
ポケモンは森の深くまでどんどん進む。アタイ達もその後ろに付いて一緒に進む。
「これ、どこまで行くんだろう・・・。」
大ちゃんが不安気な声を漏らした。
「大丈夫だよ大ちゃん。さいきょーのアタイが付いてるから!」
アタイはそれを元気付けた。大ちゃんは結構こうなりやすいから、励ますのは慣れている。
「ゴン!」
ポケモンも右から励ました。こう言うのは人数が多ければ多い程良い。
・・・右から?
前を見ると、やっぱりポケモンは前をノロノロ歩いてる。
右を見てみる。
同じような深緑色の身体が同じようにノロノロ歩いてた。
「・・・増えた?」
二回目だったから驚きもしないで、隣にいきなり現れたポケモンを受け入れた。
「何でこんなに同じポケモンが・・・。」
リグルが呟いた。
「何か問題あるのかー?」
「同じポケモンが集まるのって、大体は群れている時だけだと思うんだけど、そう見えないんだよ。」
「・・・ん?どゆこと?」
「ホラ、ポケモンに限らないで動物ってさ、自分の身を守る為に、仲間と集まるでしょ?でもこのポケモンはそうは見えない。なのに何で一緒になったのかな、って思ったんだ。」
「う〜ん・・・う〜ん?」
全然分からない。
「チルノちゃん・・・無理しないで・・・。」
「とっ、とりあえず、不思議ってことなのね!」
「・・・すごーく大雑把に言うとそうだね。」
後ろから聞こえるリグルの声は少し呆れているようにも感じた。
それからしばらくは、誰かが話しかけるのも無く、新しくポケモンが現れるも無く、ずんずん進んだ。
鈴虫の声と、風で葉っぱが揺れる音と、アタイ達の足音だけが聴こえる。
アタイも、不安じゃ無いけど、いつになったらポケモンが連れて行ってくれる場所に着くのか少し不思議に思ってきた。
足も疲れてきたし。
「フワァ〜・・・。」
ルーミアが欠伸したみたいだ。
・・・確かにアタイも少し眠くなって来た。
目を閉じたらそのまま・・・。
「ゴ〜ン!」
唐突にポケモンが鳴いた。
「えっ!?」「うわっ!?」「のかっ!?」「えっ!?」
大ちゃんとリグルもアタイやルーミアと同じようにボーッとしていたみたいで、ポケモンの声にビクッとした。
慌てて前を見てみる。
「「「「・・・!?」」」」
・・・アタイ達四人、全員声も出せない位ビックリした。
アタイの前をと右を歩いていたポケモンが走って行った先に、とんでもないものがあった。
・・・アタイ達の目の前に現れたのは、大量の木の実の山。
アタイの何倍もある高さに木の実が積まれていた。
しかも、たくさん。
アタイ達の丁度目の前にあるものだけじゃ無くて、その山の後ろにもいくつも積まれている。
・・・いや、木の実の量だけじゃない。
青いオレンジに水色のイチゴ、ピンク色のバナナ。他にもタケノコみたいな形のとか、イガイガしたトマトとか、ハテナマークが付いた奴とか・・・他にも色々。
・・・こんな木の実見たこと無い。
ビックリしたのはそれだけじゃ無くて、ポケモンも。
アタイの前と後ろを歩いていたポケモンと同じポケモンが、辺りに何匹もいる。
ポケモンはその山に群がって木の実を食べている。アタイ達と一緒だった二匹もそれに参加した。
「木の実なのだーっ!」
そしてルーミアも。
「ちょっ、ルーミア!?」
ルーミアはポケモン達に混ざって、得体の知れない木の実に手を伸ばした。
ルーミアが手に取ったのは周りに深い毛が生えた緑色の木の実。
ルーミアはそれに齧り付く。
そして一秒で叫んだ。
「美味しいのだー!」
「ほ・・・本当なんでしょうね!?」
釣られて同じ種類の木の実を山の中から取り出して、食べてみた。
「・・・うぇっ!?苦っ!?・・・でも美味しいかも!」
苦くて少し酸っぱいのに、なぜか美味しい。
「じゃ、じゃあ私も・・・。」
大ちゃんが手に取ったのは実が半回転カールしているピンクの木の実。
「・・・甘くて美味しい!」
一口齧って好きになったみたいで、残りはすぐに大ちゃんの口に消えた。
「・・・ぶっ!?」
一瞬、変な声が聞こえたかと思ったら、リグルがオレンジ色の木の実を齧ったまま固まっている。
「どうしたのだー?」
二種類目の木の実も食べてご機嫌のルーミアが駆け寄った。
「かっ・・・かっ・・・。」
「かー?」
「からぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うわわわわわ!?リグルが!リグルが壊れたのかぁーっ!?」
リグルが絶叫した。ついでにルーミアは混乱した。
「辛い!?木の実が!?」
「ええっ、どうしよう!?」
アタイと大ちゃんも揃って混乱。
「かっ・・・かはいはふ!」
「何て言ってるの〜!?」
「大ちゃんに分からないならアタイに分かる訳無いじゃん!」
「はふいはふへい!」
「どうすれば良いのかぁーっ!?」
「あわわわわ・・・。」
もう何が何だか分からない。
「ゴ〜ン!」
場違いに呑気な鳴き声に横を向くと、さっきアタイ達を案内してくれたポケモン・・・かどうかは分からないけど、少なくともそれと同じ種類のポケモンが何かを差し出している。
「・・・桃?」
桃。少し小さい気もするけど、確かに桃。
「はひはほっ!」
リグルは何か言って、桃をすぐ受け取って食べた。
「・・・ふぃ〜っ。助かった。」
しばらくして桃を飲み込んだリグルは、舌を引っ込めて、いつもの状態に戻った。
「大丈夫?リグル君。」
大ちゃんが不安気に話しかける。
「ごめんね慌てさせちゃって。でももう大丈夫。甘い桃を食べたら辛さが引いたよ。」
「良かったのだー。」
「本当よ!」
「・・・木の実の中には辛いものもあるんだ・・・。気を付けないと。」
「でも、ここにある木の実って美味しいものが多くない?さっきの毛が生えた木の実も苦かったけど美味しかったし。」
「そーなのだー!」
アタイの言葉にはルーミアが一番反応した。ルーミアがさっきの辛い木の実食べても平気そうね・・・。
「もしかしてこのポケモン達って、僕達にケンカを止めて欲しいからここに案内したのかもね。」
「またリグルが難しいことを・・・。アタイ達、ケンカ何かしてないのに。」
「いや、単純だよ。あのポケモンは単に僕達がケンカしているように見えただけ。チルノちゃん一人を責めちゃったし。」
「うーん・・・やっぱりリグルの言うことは難しくて分からないや。」
「あら、誰かと思ったら、アンタ達だったの。」
「うわっ!」
突然、隣から三人以外の話し声がした。
よく聞いたことがある声。
横を見てみる。
紅白の巫女服に頭のリボン。
「・・・霊夢?」
木の実の要素初登場。残念ながらバトルでの使用はしてませんが。
木の実、人間が食べても大丈夫なら妖精も大丈夫です・・・よね?
後半に登場した四つの木の実、種類は分かりましたか?オレンジ色の奴だけ候補が色々ありそうですが、それ以外は簡単かな?
では。