ポケットモンスター陰/陽 〜ポケットモンスターが幻想入り〜   作:Mr.Pooh

14 / 24
いつの間にかUAが3000突破してた。毎度ご愛顧ありがとうございます。

しかしまだまだ満足できる数じゃありません。更なる人気に向けて、頑張ります!

今回は早苗のターン。では、本編どうぞ。





第一四話 外界視点

視点:早苗

 

今日はまた一段と疲れました。

 

文さんと一緒に神奈子様と諏訪子様に食事を作り、自室のに戻った私。

 

勉強机に突っ伏して一息吐きます。

 

今日だけで何キロ走って飛んだことか。

 

それに体力的な面だけじゃ無くて、良い意味でですが精神も疲弊しています。

 

良い意味と言うのは・・・喜び過ぎた、とでも言えば良いのでしょうか。後は驚きとか。

 

その原因はただ一つ、今日起こった「ポケモンが幻想入りする異変」です。

 

仮想の存在であるポケモンが、幻想郷で私の目の前に現れたことで私は度を超えてハッスルしてしまい、その結果がこの疲弊です。・・・まぁ、分かって頂けますよね。

 

・・・それにしても。

 

私は顔を上げます。

 

外界で「ポケモン」をしていた身からすると、この異変で幻想入りしたポケモン達は普通とは少し違う点があるようです。

 

今の所、私が異常を認めたのは二匹。

 

・・・外界出身を代表して、少し考えなければならない気がします。

 

そうですね・・・じゃあ文さんの使っていたクロスケから紐解くとしましょうか。

 

夕方の頃、文さんが繰り出したヤミカラスのクロスケ。聴いた者を全滅させる技、ほろびのうたでスバメとオオスバメの群れを一網打尽にしました。

 

私が気になったのは、その技──ほろびのうたです。

 

恐らくこのことを知る人は私一人でしょうが、ほろびのうたは、本来クロスケが覚えることの出来ない技です。

 

ポケモンがレベルアップによって覚える技は最初から決められています。

 

カラスのような見た目で、ヤミカラス自体も不幸を象徴するポケモンですので勘違いし易いですが、どれだけ経験を積んだ所で普通「ヤミカラス」と言う種類のポケモン自体「ほろびのうた」を覚えることはありません。

 

ポケモンに人為的に技を覚えさせる道具──「わざマシン」のことも考えましたが、ほろびのうたを覚えさせられるわざマシンは存在しなかったと記憶しています。

 

しかし、ヤミカラスがほろびのうたを覚える方法が一つだけあるのです。

 

技の遺伝です。

 

ここから先は、ゲームのポケモンの知識が幻想郷でも成り立つ・・・と仮定させて下さい。

 

ポケモンとは不思議な生き物で、ある条件を満たせば、別種同士でも交配ができます。そしてそうした場合、交配したオスメスの内メスの種が誕生することになっています。

 

そんな中で、オスの持っていた技が子のポケモンに受け継がれていることがあるのです。

 

それが遺伝技。別名、タマゴ技とも言います。

 

この場合だと、メスのヤミカラスとオスで「ある条件」を満たし、ほろびのうたを覚えたポケモンで交配させてほろびのうたを覚えたヤミカラスを誕生させた・・・と言う訳なのです。

 

しかし・・・ゲームの中で考えると別種のポケモンが勝手に交配することはありえません。そうなるとこっちに来てから産まれたと考えられるのですが・・・いかんせん時間が少ない。何せ、ポケモンが幻想郷に来てからまだ一日なんですから。

 

そこで私が疑っているのは、クロスケが所謂「厳選余り」であることです。

 

外界で「ポケモン」のゲームは本当に人気があり、登場した当初のターゲットである子供の枠を超え、今や様々な年代に愛されるゲームとなっています。

 

ここまで大きなゲームに成長した理由はいくつかあると思いますが、その中でも私は「手軽に勝負ができるようになったこと」と「自分でポケモンを育てられること」が大きいと思っています。

 

ミュウの都市伝説やポリゴンショックもありますがそれは置いておいて・・・。

 

自分が育てたポケモンで、友達とバトルできるのは当時画期的でした。自分の育てた、愛着のあるポケモンで戦えるなら尚更です。

 

そんな中で人を問わず生まれるのが、「もっとポケモンバトルで勝ちたい」と言う願望です。

 

そしてプレイヤーはその願望を叶えるため、勝つための努力をします。

 

その一つが、厳選と呼ばれる「作業」です。

 

ポケモンバトルに勝つためには、そのポケモンを能力が高くなくては話になりません。ここでの説明は省きますが、ポケモンの能力を構成する要素は幾つもあり、一度ポケモンを捕まえる、あるいはタマゴから孵させるだけではその要素が揃うことは滅多にありません。

 

ですから、「厳選」するのです。

 

完全に強くなる要素を満たした、最高のポケモンを。

 

当然、激戦されなかった、厳選落ちしたポケモンはその人にとって不要な代物です。

 

そのようなポケモンがどうなるかと言うと、手放されます。

 

そりゃそうです。不要なんですから。

 

このように厳選で落ちて不要になったポケモンを、私達ポケモンプレイヤーは「厳選余り」と呼んでいます。

 

勿論、これはデータ上で繰り広げられるゲーム「ポケモン」の中の出来事ですから、動物虐待その他には断じて引っ掛かりませんし、その逃がしたポケモンがゲームに影響を与えることは絶対にありません。

 

でも、厳選余りの逃がされたポケモンがゲームから見えない所で残っていて、それが幻想入りしたとしたらクロスケが遺伝技を覚えていることにも説明が付きます。

 

元々タマゴで孵されて逃がされたポケモンですから、遺伝技を持っていても何もおかしくありません。

 

そして、明らかに厳選余りだと分かるポケモンがもう一匹。それこそ私が異常を認めた二匹の内のもう片方です。

 

そのポケモンとは、何を隠そう私がその時捕まえたケロマツ、すわさまです。

 

因みに命名私。

 

例によって私が目を付けた理由は技です。

 

懐からすわさまの入ったモンスターボールを取り出し、技を確認してみます。

 

ハイドロポンプ、

れいとうビーム、

まきびし、

めざめるパワー。

 

これが、まだレベル10にも満たないすわさまの持っている四つの技です。

 

・・・こんなに戦略的で強力な技を持つケロマツは厳選余りしかあり得ません。

 

例えばハイドロポンプやまきびしはケロマツがレベルアップによって覚える技ですが、レベル10では当然覚えられません。しかし、遺伝でなら可能性があります。

 

そして重要なのは、これらの技が非常に戦略的に選ばれていることです。

 

単に威力のある技だけで攻めるのでは無くて、自分のポケモンに戦略的な意味を持たせ戦うのが外界でのポケモンバトルの常識。すわさまのような技編成はその「戦略的な意味」を色濃く残しているのです。

 

・・・そうだ、まだすわさまに技を使わせてあげて無かったです。折角ボールを出したんですから、少し外で使ってみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すわさま!ハイドロポンプ!」

 

「ケロマーッ!」

 

すわさまの口から放たれた激流が野生のホーホーを襲います。

 

「ホーッ!」

 

そのままそのホーホーは倒れました。

 

この、みずでっぽうの三倍はあろう勢いの水流。・・・やっぱりこれは、ハイドロポンプ。

 

今までこの技だけで野生ポケモンを五連続で沈めました。

 

そして次に近場の木に向かってもう一発。

 

「すわさま、ハイドロポンプ!」

 

「ケロッ・・・!」

 

・・・あれ?出せない。

 

あっ、そうか。PPが無くなったんですね。

 

ポケモンの技には、個別に回数制限があります。その回数制限も数値化されて、外界ではPPと呼ばれています。ハイドロポンプのPPは5。回復しない限りハイドロポンプは五回までしか使うことが出来ません。

 

つまり、ハイドロポンプを五回出した時点で使えなくなったこと、これもやっぱりこの技がハイドロポンプだと言う動かぬ証拠です。

 

やっぱりデータは嘘をつきませんね。

 

・・・今起こってることに悩むのも何だか虚しいですね。これはこういうものとして割り切ることにしましょうか。

 

さて、今日はもう遅いですし、さっさと寝ましょう。恐らく、すわさまも寝て休めばPPやHPも回復するでしょうし。

 

と思って神社の方に振り向くと、

 

「早苗ぇ・・・うるさいよぉ・・・。」

 

寝ぼけ眼の諏訪子様がこっちを見ていました。目をこすっているのが寝巻き姿と相まって、完全に見た目子供です。

 

「諏訪子様。まだ起きていらっしゃいましたか。」

 

「早苗がずっと騒いでるからじゃないか・・・ふわぁ・・・。」

 

どうやら遅い時間にハイドロポンプを乱射していたのに文句を言いに来たようでした。・・・半分寝ていますが。

 

「申し訳ありません、諏訪子様。では、私も中に入りますね。」

 

「ねぇ・・・。早苗・・・。」

 

「? はい、何ですか?」

 

「私と神奈子・・・外界ではゲームできなかったから・・・ポケモン持ってなかったけど・・・幻想郷だったら・・・私達にも・・・ふわぁ・・・。」

 

そう言うと、諏訪子様はパタリと横に倒れました。

 

「・・・!? 諏訪子様!?」

 

すぐに諏訪子様に駆け寄ります。

 

「・・・すー。・・・すー。」

 

倒れた諏訪子様は安らかに寝息を立てていました。ただ、寝てしまっただけのようです。

 

「・・・安心しました、諏訪子様・・・。」

 

こんな所で寝てしまっては風邪を引きます。お部屋に案内しましょうか。

 

私は諏訪子様の軽い身体を持ち上げて、部屋まで運びます。

 

部屋入ってみると、既に布団が敷かれていました。まさに寝ようとした所で私の元に来たのでしょう。

 

単なる寝言だったのかも分かりませんが、諏訪子様はポケモンに興味を持たれたようでした。

 

・・・全てを受け入れる幻想郷では祟り神もポケモントレーナーになり得る。

 

諏訪子様や神奈子様がトレーナーになるとしたら、どんなポケモンが手持ちに入るのでしょうか・・・。

 

「神のポケモン・・・とか?」

 

「どうだろうな?」

 

「ひゃっ!?」

 

突然の後ろからの声。後ろに立っているのは・・・神奈子様でした。

 

「なっ、なーんだ・・・。神奈子様でしたか・・・。」

 

「なんだとは何だ・・・。今ので少し傷付いたぞ・・・。」

 

「もっ申し訳ありません!」

 

「シーッ!諏訪子がもう寝てるんだ。静かにな。」

 

「あっ、ごめんなさい・・・じゃなくて、どうして私の考えていることがお分かりになったんですか・・・。」

 

「ん?何のことだ?」

 

「何のことって・・・神奈子様、私が考えてたことに返答したじゃないですか。」

 

「実際に声に出していたと思うが?」

 

「えっ、あ、そうだったんですか・・・。」

 

「ああ。・・・それで?神のポケモンって何なんだ?」

 

「そうですね・・・例えば、時間や空間を操るポケモンとか、地球に陸と海を造ったポケモンとか・・・古来からそれが存在するとして信仰されて来たポケモン、とでも言いましょうか・・・。」

 

「ふむ・・・ポケモンとは言えども私達と同じように信仰を集めているのか。」

 

「そうですね。でも・・・これは私の予想ですが、ポケモンの神様は神奈子様や諏訪子様と違って信仰を集める必要があるタイプじゃない、違う種類の神様だと思います。」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「神奈子様や諏訪子様は神様として信仰を集めなければ存在できませんし、力を持てません。逆に信仰が強いと多くの力を発揮します。つまりで言うと存在する為に信仰されている。しかしポケモンの神様は時間や空間を操れたり、陸や海を司ったり、人が存在しない原初から力を持っていて、その力を以って人に信じられているんですよ。それにその力は信仰に左右されない。つまり、存在するから信仰されているんです。」

 

「ふむ、そんな形を取っている神もいるのか・・・。」

 

「頑張れー早苗・・・むにゃ・・・。」

 

・・・今のは諏訪子様の寝言でしょうか。ハッキリ言って相当可愛いその姿に神奈子様も顔が綻びます。

 

「・・・ほら、明日も頑張らなきゃいけないんだろ?早めに寝る寝る。」

 

「そうですね。おやすみなさい、神奈子様、諏訪子様。」

 

「ああ、おやすみ、早苗。」

 

・・・ここでへばっちゃいられない。

 

今ある謎もいつか解けることでしょう。その時の為にも、今は休息です。

 

おやすみなさい。




・・・どうでした、ケロマツの技編成。

完全に対人用のソレ。特にめざパ。

早苗も勘付いていましたが、あんな技編成なのは厳選余りだから。今回幻想入りしたポケモンは軒並みあんな感じです。

異変一日目が終了。次回から新章に突入しますのでお楽しみに。

では。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。