ポケットモンスター陰/陽 〜ポケットモンスターが幻想入り〜   作:Mr.Pooh

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巫女二人は後にして、まずは魔理沙の視点をお楽しみ下さい。

お相手はメイド。では、本編どうぞ。





第一六話 木の枝メイド

視点:魔理沙

 

数年前の話だが、どこかの紅白巫女が、異変はどんなものであれ解決すべきと言っていた。

 

まぁ、普通に考えりゃそうだ。例えば紅い霧で太陽の光が遮られたりしたら困るし、春が来なくても困る。困るから解決するのだ。

 

じゃあ、誰も困らない、平和な異変ならどうだ。

 

それこそ ・・・今みたいな。

 

解決する理由がどこにあろうか。

 

そりゃあ多少主犯をとっちめるだろうが、幻想郷を元に戻す理由はどこにも無い。雨降って地固まることだってあるだろう。地霊が湧いて出た時同じくして温泉が湧いたことが良い例だ。

 

異変を起こす側にも目的があるのだ。それがこっちにも良い結果をもたらしたらハッピーハッピーじゃないか。

 

・・・これが幻想郷を大事に思っているか否かの違いなのかもな。

 

結論。

 

私はいつもの私のように振る舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつも通りお邪魔するぜー。」

 

前置きはさておき、私は至極いつも通りにホウキに乗ったままスピードを付け、適当に見つけた窓をぶち破って例の館の中に進入する。

 

「ちょっ、また魔理沙さん!?」「うわわ、窓がぁ〜・・・。」「またかぁ・・・。」

 

かなり激しい音を立ててガラスが崩れ、周りにいた妖精メイドが慌てるのを通り越して呆れている。すごーく、いつも通り。

 

例の館──紅魔館は霧の湖の中心に建つ、内装も外装も呆れ返るほど真っ赤に染められた洋風の屋敷だ。

 

私がここに来る目的は大抵一つで、この紅魔館の地下にある大図書館。魔道書や召喚書に始まり、評論や物語、戯曲にあらゆる週刊誌、果てには漫画や薄っぺらい謎の本まで外界のあらゆる書籍が揃う。出処は全く不明だが。

 

あんだけ本があるんだから少し位借りてもいいだろ、と言うのが私の意見である。って言うか、紅魔館の住人は約一人除いて全員人間じゃないし私より世紀単位で長生きなんだから私が死ぬまで借りててもあっちの体感じゃ短いもんだろ?だから・・・。

 

「・・・何も咎められないとでも思っておいでで?」

 

何もないはずの空間に突如、メイド服とその中身が姿を現した。おまけに私の心の中の質問の回答付きで。

 

「思ってるさ。実際そうじゃないか。」

 

「あんたが毎日毎日普通にガラスぶち破るから普通になっちゃってるんじゃないの。」

 

「変わることも良いことだが、変わらないことも同じ位良いことなんだぜ?」

 

と、私はそれだけ言って(ホウキに乗りながら)大図書館へ歩を進める。

 

地下に続く廊下に差しがかったとき、またしても突然目の前にメイド服がパッと姿を現した。

 

「おっと!」

 

仕方無く、急ブレーキをがかけて止まる。

 

メイド服の彼女は真っ赤な廊下に似合う鋭い目つきでこちらを睨んでいた。

 

「残念だけど、私は変化を求める革新派なのよ。・・・あなたの対応に関しても、異変に関しても。」

 

そう言ってメイド服は胸のポケットから紅白の玉を取り出す。

 

言うまでもなく、モンスターボール。

 

「おぉ、流石革新派だな。この間まで私のレンタルを黙認してたのに。・・・いっちょやるか、咲夜。」

 

十六夜 咲夜──彼女こそが紅魔館で唯一の人間にして革新派(らしい)メイド長。ついでに言うなら時間を止めることができる厄介なナイフ使い。さっきから瞬間移動しているように見えるのは単にその力を使っているだけである。

 

私もついさっき聞いたことだが、こいつは変化が好きらしい。その証拠に彼女が持つモンスターボール。どうやらこいつは霊夢と違ってポケモン勝負でケリを付ける気だ。私の保守的な姿勢を通す為にも、負けられないぜ。

 

私も自前のモンスターボールを用意する。手元にあるのはまだ二つ。

 

・・・よし、今回はこいつで行ってみるか。

 

「ブランチ、出番よ。」「行けっ、キノスケ!」

 

咲夜と同時にボールを投げた。

 

「キモキモッ!」「キノッ!」

 

私が出したのはピカチュウじゃなくキノスケ。何気に対人戦では初めて起用する。

 

相手のポケモンは緑色の身軽そうな身体で深緑の尻尾を持っていた。イメージとしては、小枝を咥えたトカゲ。

 

No.252 キモリ もりトカゲポケモン

くさタイプ

高さ0.5m 重さ5.0kg

足裏に生えた小さなトゲとバランスを取るための尻尾を使い壁や天井を移動する。非常に太い尻尾は攻撃にも利用する。

 

・・・屋内で動きやすいポケモンを選んできたか。厄介だぜ。

 

「一対一で構わないかしら?」

 

「ああ。私も急いでんだ。さっさと始めようぜ。」

 

 

 

 

 

 

しばし、沈黙。

 

 

 

 

 

 

「それではキノスケ対ブランチ、戦闘開始!」

 

・・・えっ!?

 

誰が審判に出てきたんだ!?

 

「ブランチ、りゅうのいぶき!」

 

「キモッ!」

 

私がしょうもないことに気を取られているスキに、ブランチは技を繰り出してきた。

 

「あっ、やべっ!避けろ!」

 

「キモーッ!」

 

私が叫ぶと同時に、ブランチが口から蒼い風のようなものを吐き出す。

 

「キノキノッ!」

 

キノスケはバックジャンプで風をひらりと避ける。

 

「お前なぁ!いきなり審判されたら流石に驚くだろうが!先に言え!つかどっから湧いたんだこの妖精メイド!」

 

「あなたは戦闘開始の宣言も聞かずに殴りかかって来るつもりだったのね。相変わらずで感心するわ。流石保守派。」

 

「鼻に付く言い方しやがってぇ・・・私は先に言えって言ったんだ!お望み通り殴ってやるぜ!キノスケ、ドレインパンチ!」

 

「キノッコ!」

 

キノスケは頭に橙色のオーラを纏わせ、ブランチに突進した。

 

・・・いや、私も疑問なんだぜ?これがパンチって名前付けられてるの。でもボールの言うことなら仕方ないだろ。

 

「それがパンチ?色んな意味でどうなのそれ?」

 

相手も同じようなこと考えていたようだ。

 

「減らず口は避けてから言ったらどうだ!」

 

「そうね。ブランチ!」

 

「キモ。」

 

ブランチは翻すだけでキノスケの突進を避けた。

 

攻撃が空を切ったキノスケはそのまま紅魔館の廊下を粉砕する。

 

「もう一回!キノスケ!」

 

「キノッ!」

 

キノスケは私の指示通り、瓦礫の中から再び頭を光らせてブランチに向かう。

 

「相変わらず攻撃自体は単調ね。当たったら痛いんでしょうけど。」

 

咲夜が言いながら、またもブランチがキノスケの突進を軽く避けた。キノスケはそのまままた廊下を破壊。

 

くっそあいつ、絶対当たんなきゃ怖くないって暗に言ってやがる・・・!

 

「ブランチ、りゅうのいぶき!」

 

「キモッ!」

 

ブランチは跳び上がって、蒼い風をキノスケが突っ込んだ瓦礫に浴びせた。

 

やばい・・・避けられるか・・・?

 

・・・いや!

 

「キノスケ!攻撃継続!ドレインパンチ!」

 

「キノーッ!」

 

キノスケは前の二回と同じように頭に橙色を集め、ブランチに向かって頭突き。

 

りゅうのいぶきがキノスケを襲うが・・よし!弾いてる!

 

「なっ!?」

 

「キモッ!?キモーッ!」

 

ブランチも流石に避け切れずにパンチらしきものを食らう。

 

「ブランチ!」

 

しかしやはり完全で瀟洒なメイドのポケモンだ。これでへばるはずも無く壁に足を付けた。そうだそうだ、こいつ壁歩けるんだ。

 

「くっ・・・いわなだれ!」

 

咲夜が新しい技を指示すると、ブランチはキノスケが立つ逆側の壁に移り、

 

「キッ、モ!」

 

あろうことか尻尾で壁を思い切り叩き、壁を破壊した!

 

「キノッ!?」

 

「なっ!?」

 

派手な音を立てて壁が倒壊する。

 

やばい、このままじゃ瓦礫はキノスケに!

 

「キノスケっ!」

 

「ノコーッ!」

 

一瞬で逃げることも叶わず、あっという間にいわなだれがキノスケを巻き込んで、大量の土煙が舞う。

 

土煙が晴れると、目の前にはただ瓦礫だけが積まれていた。天井にはブランチ。

 

「ふぅ・・・本当はあまり廊下を破壊したくはなかったけど・・・これで勝負あったわね。」

 

咲夜は勝ちを確信しているようだが・・・。

 

「・・・おいおい、そっちの妖精メイドだってそんな早とちりしないぜ?」

 

「あら・・・言ってくれるじゃない。あなたの負け惜しみ、私は嫌いじゃないわよ?」

 

「そりゃありがとさん。私も言わせてもらうと、お前の油断しやすい性格、嫌いじゃないぜ。

 

 

 

 

 

 

キノスケ、タネばくだん!」

 

 

 

 

 

 

瞬間、轟音と共に瓦礫がまたも崩れ、中から何かが飛び出してブランチに向かう。

 

「キモッ!?」

 

飛び出したのは、頭一つ分程の大きさで、おまけにかなり硬い、

 

種。

 

キノコは種子植物じゃ無い何て気にしちゃいけない。

 

爆発こそしないが、巨大なそれは名実共に「タネばくだん」そのものだ。

 

「ブランチっ!回避っ!」

 

咲夜が慌てて指示する。

 

「キッ、キモーッ!」

 

しかし、あまりに急でブランチには届かなかったようで、巨大な種は天井でブランチと衝突。さらに落下に巻き込んでそのまま地面に叩きつける。

 

「今だっ!キノスケ!ドレインパンチ!」

 

「キノッ!」

 

瓦礫を突き破り、キノスケは何事も無かったように頭を光らせて再びブランチに頭突きをかます。

 

「キモォーッ!」

 

「ブランチっ!」

 

地面に落ちて身軽さを失っていたブランチを捉えるのは子供の手を捻るより簡単。

 

これで本当に勝負ありだ。

 

 

 

 

 

 

「決着!ブランチ、戦闘不能!勝者、キノスケ!」

 

 

 

 

 

 

妖精メイドの審判も私の勝ちを認めたようだ。

 

「まっ、ざっとこんなもんだぜ!」

「ノッコ!」

 

ガッツポーズを決める私を横目にして、咲夜は倒れて目を回してるブランチをボールに仕舞う。

 

「・・・よくあの瓦礫の中で無事だったわね。」

 

「ポケモンって案外丈夫だぞ。この位の技食らっとける位頑丈じゃないとこの先やってけないぜ。」

 

「そうかもね。魔理沙のポケモンだから尚更だったんでしょうけど。」

 

・・・負けた後も一言多いぜ、咲夜。

 

「・・・ま、勝負は勝負。負けた私に発言権は無い。これで失礼するわね。」

 

と、それだけ言って一礼すると、文字通り私の前から姿を消した。時間止めて自分だけ戻りやがったか。

 

・・・さて、気を取り直して大図書館に向かうとしよう。この方がゆっくり本が読めそうだしな。

 

大図書館の大量の蔵書の中にはきっとポケモンに関する書もあるはず。

 

そもそも今回の本狩りの標的はポケモンに関する本だ。私や、恐らく幻想郷の他の人々は今あまりにポケモンの知識が少ない。昨日まではあまり広い範囲にポケモンが伝わっていなかったから、紅魔館の人物がポケモンを知らないとタカをくくっていたのだが・・・紅魔館にまでポケモンの存在が伝わっていたのは予想外だった。これじゃあ、他の人々も大図書館で情報収集している可能性が高い。

 

まぁ、そうなっていたらまたポケモン勝負してで奪うまでだ。あまり案ずる必要ないだろう。

 

もっと強くなれるなら、何だって吸収するぜ。本からも、人からもな。




キノスケの初バトル。覚えてましたかキノスケ。

キノココとキノガッサみたいな進化前後で差があるポケモンだとちょっと遺伝技がイメージと違うものになったり。

次は大図書館へ。どんなポケモンがいるのか・・・予想してみます?

では。
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