ポケットモンスター陰/陽 〜ポケットモンスターが幻想入り〜   作:Mr.Pooh

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全然筆が進まない。

この話を投稿する週は二二話を執筆しているのですが、まぁ進まないったら。コミケだからですかね?関係無いか。

今回はキャラ紹介が主になります。では本編どうぞ。





第二○話 猛暑

視点:霊夢

 

目の前に広がるのは古風な和風景。夜のように薄暗く、家々の屋根にぶら下げられた提灯が光をもたらしている。さっきまでの岩場よりずっと目に良い景色だ。

 

この景色から見るに、ようやく私達は旧都に入ることができたようだ。ここまで長かった。

 

穴に潜ってからどれ位経ったのかからない。太陽が見えないので体内時計が狂いまくっている。

 

ただ一つ分かるのは、いつもより時間が掛かったと言うこと。穴に潜る時点から常時誰か彼かに足止めされ続けられたんだからこうなるのも当然か。

 

まぁ、そのお陰でヤミラミを仲間に引き込めたから逆にお釣りが来る位だとは思うが。

 

ポケモンで溢れていた岩場とは違って、街並みの外観は異変前と変わっていないようだ。元々妖怪が溢れているせいで入る隙間が無かったんだろう。

 

しかし。

 

この辺り一帯は大きく変わってしまったと言える。

 

外観が変わっていないことを差し引いてもだ。

 

何がって・・・。

 

 

 

 

 

 

暑い。

 

とにかく暑いのだ。

 

 

 

 

 

 

元々ここは灼熱地獄に近いので地上に比べると温暖であるのだが、明らかに気温が上がっている。

 

今は季節的には初夏で、本来はまだまだ暑くない頃のはず。なのに今は夏真っ盛りより暑い。その位差があるのだ。

 

そんなことをここの妖怪も感じているのだろう。外に出ている妖怪は全員薄着。打ち水をしている家も目立つ。

 

ヤミラミの件ですっかり忘れていたが、そう言えばヤマメも「旧地獄街道が暑くなった」と、そんなことを言っていた。その時はあまり重く考えてはいなかったのだが、まさかここまでとは・・・。

 

時期的に考えて、ポケモンが関わっている可能性は高い。他に原因も見当たらないし、その線で見て間違い無いだろう。

 

このままでは灼熱地獄も調べる羽目になりそうだが・・・しかし。

 

私はこの件を異変と認めた訳でも無いし、灼熱地獄には灼熱地獄を管理している者もいる。それに私がこっちに来た目的も灼熱地獄とは何ら関係無い。無理に首を突っ込む必要は無いし、私個人としてもそうしたくは無い。

 

もっと噛み砕いて言うなら、関わりたく無い。だって面倒だし。

 

誰かに頼まれたなら渋々にでもやろうが、幸い今の所それも無い。私は私の目的を達してサッサと帰ろう・・・。

 

「おーい!霊夢ー!」

 

げえっ!?

 

私を呼ぶ幼声に悪寒が走った。

 

その声はもしかしなくても・・・。

 

「来てくれてたのかい!いやー嬉しいよ!」

 

「・・・萃香。あのね・・・。」

 

「まぁまぁ。皆まで言うな!ここらの皆解決者に期待してるから、頑張ってくれよっ!」

 

「・・・。」

 

あぁもう。やっぱり巻き込まれた。

 

伊吹 萃香。幻想郷に古くからいる鬼だ。見た目はかなり小さく幼いが、鬼らしく力持ちで、酒好きである。そのせいか、こんな豪快なおっさんみたいな性格なのである。

 

・・・萃香は誤解をしてしまっているようだ。まずそこから話を付けなければなるまい。

 

「いやー大変だったよ。昨日から急に暑くなるもんだからさ。地上に帰ろうかって悩みもしたけど・・・。」

 

「萃香?良いかしら?」

 

「暑い中の冷たいもんはやっぱり格別だったから残ったんだよ。冷酒が進むの何のって・・・。」

 

「・・・萃香ー?」

 

「でも二日も経つと流石にうんざりしてきてさ。あんまり酒も進まないんだよ。だからさ霊夢。今回ばっかりは私も・・・。」

 

「ちょっと!聞いてんの萃香!?」

 

「ヴェイッ!?」

 

やっと萃香のマシンガントークが途切れた。いくら何でも強引過ぎる。

 

「あのね。私は今回暑いのを解消すんのにこっち来たんじゃ無いの。期待乗せられても困んのよ。」

 

「ええっ!?この異変解決する為に来たんじゃ無いの!?」

 

「そうよ。こっちに来て初めてここが暑いのに気が付いたのよ。だから強引に話進めないで。」

 

「なぁんだ・・・。」

 

萃香はしゅんとしてしまった。罪悪感はあるが問題は無い。

 

解決を依頼されない限りは・・・。

 

「・・・あっ、じゃあさ!私から頼むよ!この暑さ、何とかしてくれ!」

 

うわ、来たか・・・。

 

どう断ろうか・・・他の用件出しても聞かなそうだし、だからって嘘を吐くのも・・・。

 

「あたしからも頼むわ、霊夢。」

 

・・・!?

 

「勇儀!」

 

あちゃ・・・二人目の鬼来ちゃったよ・・・ 。

 

現れたのは星熊 勇儀。萃香と同じように鬼だが、萃香みたいにちんまく無い。むしろ私よりあらゆるものが大きい。竹を割ったような性格で肝も座っている姉御肌だ。

 

「この暑さのせいで、ここらの知り合い全員夏バテしてんだよ。こんなんじゃこの先が不安だ。頼む、何とかしてくれ!」

 

「ほらぁ!勇儀だって言ってるじゃんか!頼むよぉ!」

 

目の前の大小二人の鬼は私に向かって手を合わせた。

 

・・・この二人からここまで頼まれて断ったらどう料理されるのか想像できない。折れておくのが懸命だろう。

 

「分かった分かったから、顔上げて。」

 

「本当!?霊夢!?」

 

「えぇ、本当よ。」不本意だけど。

 

「ありがとう霊夢!これでまた涼しくなる!」

 

萃香は私の周りを飛んで跳ねて喜びを表した。

 

「私も礼を言うぞ霊夢。ありがとう。」

 

感謝されたのは良いが、関わりたく無いものに関わりハメになってしまったのはつくづく運が悪い。

 

「お礼と言っちゃ何だが、今度また、どうだ?」

 

言いながら勇儀は杯を口元に傾ける仕草をした。本当にこいつらは好きね。

 

「そうね、考えとくわ。異変もあるから間が空くかは分かんないけど。」

 

「へっ?異変?」

 

あっ、しまった。余計なこと言った。

 

「そう言えば霊夢ってなんで地下に・・・。」

 

これまた時間喰われるオチじゃ・・・。

 

「無理に聞くのは止めとけ萃香。霊夢にも霊夢の時間があるんだ。」

 

勇儀が萃香を制した。

 

助かったぁ!ナイス勇儀!

 

「どうせアレだろ?ポケモンだが何だかって奴。あたし達も捕まえたけど、その話はまた今度、な?」

 

「・・・あんたは何でも肴にするつもりなのね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・やっぱりか。」

 

地霊殿へ向け一歩進む度、汗ばみが加速する。

 

周りを見てみると、道行く妖怪も段々と生気を失っているように見える。

 

つまり、暑くなっているのだ。体感的にも間違い無い。

 

地霊殿は灼熱地獄の真上にある建物だ。つまり、灼熱地獄が近付く度に暑さが増していることになる。

 

そこから導き出される結論は・・・。

 

「やっぱり、この暑さには灼熱地獄が絡んでるみたいね・・・。」

 

収まらない暑さに独り言も漏れる。

 

灼熱地獄に暑さの原因がある、と語られていた噂は当たっていたことになろう。

 

しかしここまで暑いと、地霊殿に住む妖怪とペットはどうなっているのか。蒸し焼きになっていてもおかしくない暑さだし、相当参っているんじゃないか・・・?

 

地霊殿には大抵一人の妖怪と無数のペットが常駐している。その内二匹が重役で、私達と関わる機会も多い。

 

妖怪の名は古明地 さとり。地霊殿の主で人や動物の心を読み取る、覚り妖怪の一人だ。そもそも私がこっちに来た目的もこいつにポケモンの心を読んでもらうことなのだが・・・いつの間に暑さの解消が目的みたいになってしまったのか。

 

重役ペットの一匹、火焔猫 燐、通称お燐は黒猫の火車引き。未だに旧地獄に残る怨霊を処理する仕事をしている。因みに趣味も死体を運ぶこととか何とか。

 

もう一匹の重役は霊烏路 空。こちらのあだ名はお空。こいつこそ灼熱地獄の管理を任されたペットなのだが、いかんせん鳥なので頭が良くないらしくあまり仕事に信用は無い。今回だって単にこいつの不祥事の可能性もある。

 

改めて見てみるとペットは大丈夫そうだが、さとりの方が不安だ。さとりが倒れてたりしてたとして、ペット同士の統率は取れているのか。そうなっていなかった時、果たしてどうなっているのか・・・。

 

何かまた面倒なことになりそうな匂いがするが、気にしたくないし気にしないようにしよう。

 

さて・・・見えてきた、地霊殿。

 

ここ一、二時間程の話ではあるが、いよいよ真相が見えるとなると若干感慨深い。原因が何であっても、私はこの現象を解決すると約束してしまったのだ。仕方無い、最後まで付き合うとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・んぅ?誰かそこにいるのかい・・・?」

 

地霊殿の庭にぐでっと伸びた人型の黒猫が一匹、私の気配を感じた。

 

「燐・・・やっぱり暑さにやられてるわね。」

 

言わずもがな黒猫の正体は燐だ。

 

「あぁ、その声は・・・霊夢かい。この暑いのによく来たね。」

 

首だけ私の方を向いて私を見る。

 

「ええ、大変だったわよここまで来るのに。それで・・・。」

 

「あぁ・・・この暑さのことだったらさとり様に言ってよ。」

 

「えっ・・・燐?」

 

「ゔ〜・・・。」

 

首の向きが戻った。

 

「・・・。」

 

動かなくなってしまった。

 

まぁ、こうなるのは予想が付いてた。しかし・・・この暑さにずっと外に出てたのだろうか。全身汗で濡れている。

 

「あんたも寝るのも良いけど、水分が無くならないようにだけはするのよ。」

 

とりあえずそれっぽいことを言っておいたが、反応は無かった。

 

いざ地霊殿の前に来てみると、建物を見ているだけなのに幾分か生命力が失われているように感じる。何と言うか・・・雰囲気が。

 

燐も倒れてるし、解決にはやっぱり実際に見てみるしか無さそうだ。燐はさとりに聞けと言ったが・・・本当は灼熱地獄絡みじゃ無いのか、単に事情を知っていると思われる上司に押し付けただけなのか。

 

「入るわよー。」

 

疑問は残しつつ、正面門を開いて地霊殿にお邪魔する。

 

「・・・。」

 

入ってすぐ、西洋由来なのか東洋由来なのかよく分からない大広間が目に飛び込んだ。

 

いつもは通りがかる動物の一匹や二匹は見かけるのだが、今日は何者の姿も見えない。重ねて言うなら何の音も無い。

 

皆働いてないのかしらね・・・。

 

私は扉を開いた勢いそのままに、主の部屋に向かった。

 

無数に伸びる廊下の一つに入ってすぐ、脇に白い何かを発見。

 

何だと思って近付いて見てみると・・・。

 

「・・・猫?」

 

それは白猫だった。大の字に近い体勢でぐったりしている。

 

「・・・ちょっと、大丈夫?」

 

「ん゛な゛ぁ゛〜・・・。」

 

ビックリする位のバリトンボイスだったが、その猫は一応反応した。その後はピクリとも動かなかったが。

 

また少し奥に進むと、またも動物が目の前に現れた。もちろん寝た状態で。

 

短い足、広い鼻でヒントは十分だろう。正体は小さめの豚だ。横向きに身体を寝せて暑がっていた。

 

「ブ?」

 

豚は珍しいことに私が呼ばずとも私の姿を見れたらしく、私の方に視線を向けた。

 

が・・・。

 

「・・・。」

 

見た瞬間につまらなそうな顔に変わって顔を戻しやがった。・・・食ってやろうか。

 

他にも、リスやハムスターとかの小動物や、果ては熊まで見たが、漏れ無く元気な動物はいなかった。この暑さじゃ無理も無いだろう。

 

そう言えば、ポケモンがこっちに来ても、元からここで生活してた動物は消えていないようだ。これは安心するべき点だろう。共存が可能かは別にしても。

 

このペットが死屍累々を体現してる時に主人はどうしているのか・・・っと、ここか。主人の部屋は。

 

事前準備として少し聞き耳を立ててみたが、目新しい音は無かった。こいつも倒れてるんじゃ無かろうな。

 

コンコンとノックを送ると、少し遅れて「・・・どうぞ。」と帰って来たので、扉を開いた。

 

「よくいらっしゃいましたね。」

 

予想に反して、ペットの主人──さとりは特段ぐったりしている様子も無く、小さい体型には不釣り合いの大きめのデスクに座っていた。

 

「久々ねさとり。調子どう?」

 

「二日前までは悪くありませんでしたが・・・最近はめっぽうです。」

 

こめかみを押さえて言ったが、そこ関係あるのだろうか。

 

「そうでしょうね。それで・・・。」

 

「あぁ、大丈夫ですよ。」私を制したさとりはデスク椅子から飛び降りると、私のすぐ目の前まで移動してまた話し始めた。

 

「この暑さ、何とかしてくれるんですね。ありがとうございます。」

 

「えっ・・・あぁ、そうよ。」

 

私が言う前にお礼言われた・・・。

 

さとりは、自身の身体にまとわり付いている臙脂色のサードアイで相手の心を見る。

 

さとりの目の前に立ったが最後、言いたいことも言いたくないことも全部筒抜けにされるのだ。今回はそれが「この暑さを解決してあげますよ」と言う私の慈愛の心だった。

 

「・・・慈愛の心なんですか?」

 

・・・この通り。ちらと考えたことでさえサードアイは見逃さない。

 

「ちょっとした冗談よ。談してないけど。」

 

「・・・なるほど、萃香さんと勇儀さんに頼まれちゃ断れませんよね。お疲れ様です。」

 

「黙らっしゃい。人の考えはともかく記憶まで見るんじゃないわよ。」

 

「じゃあ今度からは声に出さないようにします。」

 

私はそもそも心を見られたくないのだが・・・それは無理な相談なのか。

 

「んで?何だってこんなに暑いのよ?原因は?」

 

「お分かりのようですが・・・ポケモンです。」

 

「やっぱり?」

 

「はい。灼熱地獄のせいってのも正解ですよ。今お空が頑張っている所です。それから・・・。」

 

「ちょ、ストップ!」

 

「? 何ですか?」

 

「あんたは心読んでるから良いかも知れないけど、私のペースもあるんだから。私の心の疑問じゃ無くて私が聞いたことについて答えてちょうだい。」

 

「あっ、はい。」

 

ふぅ。危うく調子を持ってかれる所だった。

 

「よし。とりあえずこの一件は、ポケモンが灼熱地獄で暴てれるから起こってる、って認識で良いのね?」

 

「えっと・・・暴れてる、ってのは少々行き過ぎている部分があるかも知れませんが、大方その認識で大丈夫です。」

 

「うん。そのポケモンは?」

 

「名前は良く分かりませんが・・・小さい身体で、その何倍もの炎を自在に操っていました。」

 

ほのおタイプか。しかも小柄、と。

 

少なくとも私が会ったことのあるポケモンでは無さそうだ。

 

「お空が昨日からずっとその子の相手をしているんです。」

 

「ほう。そいつずっと動いてんの?丸一日も?」

 

「いえ。休み休みです。流石にお空も休んでいる相手を襲う程野暮では無いので。」

 

「ふぅん・・・。」

 

旧地獄の妖怪が暑さに困惑している中でそんなポリシー掲げてて大丈夫なのだろうか・・・。

 

「ポリシーは大切ですよ?」

 

「心読むなってば。」

 

「すいません。・・・まぁ、実際に見てみるのが手っ取り早いでしょう。とりあえず灼熱地獄に向かってはいかがですか?」

 

「いかがって・・・暗に行けって言ってるわよねそれ?」

 

「ええ。結構な死活問題ですし。」

 

「ポリシーよりは大切じゃ無いのに?」

 

「・・・言ってくれますね。」

 

「ん?あんたがその気じゃ無いならこのまま帰っても良いのよ?」

 

「すいませんでした。」

 

「分かれば良いのよ。」

 

 

 

 

 

 

さとりと喧嘩手前にまで発展する件はあったが、あの後無事に和解して、今は灼熱地獄に向かっている。

 

と言っても、行き方は簡単。地霊殿の前庭にある天窓から更に下に潜るだけだ。

 

その前庭に戻ると、燐が相変わらず寝ていた。呑気なもんだ。

 

とにかく蓋が被さっている穴を開いて、中を覗く。

 

・・・ヴェッ!?暑っつ!

 

これ半端じゃ無い。夏とか関係無い。蒸し焼きにされている感覚だ。いや実際常時そうなのだが。

 

しかし入らねば・・・私もここから出たら燐みたいになりそうだ。

 

さとりから詳しいポケモンの情報を聞いていない分、今はどう戦うべきか分からないが、どんな手でも良いように動きやすい状態で向かうに越したことは無い。

 

ふう、と溜息を一つ。

 

それじゃ、やりますか。




次回、例のポケモン登場。

では。
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