ポケットモンスター陰/陽 〜ポケットモンスターが幻想入り〜   作:Mr.Pooh

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UA1500突破。ご愛顧ありがとうございます。

タイトルから予想付くと思いますが、あの方登場。

では、本編どうぞ。





第八話 常識知らずの携帯獣使い

視点:早苗

 

「もう夕方ですか・・・。」

 

夕焼けに照らされて思わず呟きました。

 

夕暮れの守矢神社も風情があります。秋だと特にそうですが、初夏でも緑の葉を付け始めた草花が紅光に照らされて輝く様は見事です。

 

申し遅れました。私、この守矢神社で巫女兼現人神をやっているような者で、東風谷 早苗と言います。今後ともお見知り置きを。

 

私は今、葉っぱ一枚落ちていない、守矢神社の境内をひたすら竹ボウキで履いています。

 

・・・こんなの何も知らない人が見たら「お前何やってんの」とか言われそうですが・・・これも理由があってのことなのです。

 

理由の一つ目は参拝客が少なかったことです。これはまぁ、この神社自体山奥にあるので普段も一日五、六度程なんですが、今日はそれ以上でした。参拝客の方々の対応が無かった分時間があり、その分の時間境内の掃除に時間を割くことができました。

 

そして二つ目。それは私が今日全く予定が無かったからです。人里への布教も今日は休みだし、かと言って神社内の家事は空いた時間で済ませたし。今日は非番って訳にも行かない訳で。

 

結果ずっと境内を掃除してました。もう本当に綺麗なんですけど。

 

・・・何だか、振り返ってみて今になって今日一日を無為に過ごしてしまったような気がしてきました。

 

・・・いえ、今はそのことを忘れましょう。掃除、掃除・・・。

 

 

 

 

 

 

「おーい!早苗!」

 

 

 

 

 

 

「うわっ!」

 

思わず肩が震えました。

 

遠くの辺りから私を呼ぶ声。

 

周りを見渡しましたが、誰の姿もありません。

 

一体誰が私の名前を・・・?

 

「早苗ー!こっちこっち!」

 

私を呼ぶ声がまだ聞こえてきます。

 

「どっちですか!」思わず声を上げてしまいました。

 

「あっはは、上だよ、上!」

 

「上!?・・・あっ!」

 

上空にホウキとそれに乗った少女が浮かんでいました。

 

白黒のエプロンのような服に同じく白黒の魔法使い帽。

 

ふわふわと降下したその魔法使いは、魔理沙さんその人です。

 

「魔理沙さんじゃないですか。ここまで来るなんて珍しいですね。」

 

「たまたま近くまで来たもんでな。様子を見に来たぜ。」

 

「たまたま近くに?山に用事でもあったんですか?」

 

「ああ。ちょいとこいつの特訓を。」魔理沙さんはあるボールを帽子から取り出して答えます。

 

上下が紅白に分けられた、カプセル状のボールです。

 

 

 

 

 

・・・私はそのボールに見覚えがありました。

 

 

 

 

 

 

「・・・えっ、それって・・・モンスターボール!?」

 

「おっ、知ってたか。人里にしか流行ってないと思ってたんだがな。」

 

「人里で流行ってるんですか!?」

 

「えっ?ああ、今朝からポケモンが幻想郷に現れたって人里では大騒ぎで・・・。」

 

ポケモンが・・・幻想郷に!?

 

「詳しく聞かせて下さい!」

 

「えっと、それなら今日の文々。新聞の号外を・・・。」

 

「かっ神奈子様!」

 

「あっおい早苗!」

 

掃除なんてするんじゃありませんでした。

 

少しでも人里に足を運んでいればもっと早く気が付けたのに・・・。

 

・・・いえ、過去のことを悔やんでも仕様がありません。今は早く新聞を確認しなければ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「かっ神奈子様!今日の新聞!新聞ありませんか!?」

 

「うわっ!?・・・何だ早苗かい。騒々しいねぇ。」神奈子様は自室で読書に耽っていました。

 

この守矢神社には私以外に二人の神がお住まいになっています。この方が守矢神社の神様その一、八坂 神奈子様です。

 

「新聞だって?文々。新聞なら珍しく諏訪子が持ち出してたけど・・・どうしたんだい?」

 

「諏訪子様ですね!ありがとうございます!」

 

「早苗!落ち着け!お前はいつも慌てすぎてるぞ!」足早に立ち去ろうとする私を神奈子様が呼び止めました。

 

・・・いけないです。また周りが見えなくなってしまっていました。

 

確かに慌てていましたが・・・しかし今は慌てなければならない気がするのです。

 

「・・・そんなに急ぎなのかい。邪魔して悪かったね。」神奈子は私が考えていたのを察したのか、少し同情したように言いました。「早く行きな。」

 

「はっ、はい!失礼しました!」

 

ドタドタと部屋を出て行く私の裏で、神奈子様が呟いていました。

 

 

 

「・・・あれは何か外の世界を思い出したような顔だったね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「諏訪子様!新聞!新聞を貸してください!」

 

「わわっ!・・・なーんだ早苗か。後ろから大声出されちゃびっくりするじゃないか。」諏訪子は前のめりになった帽子を直しながら言いました。

 

この方が守矢神社の神様その二、守矢 諏訪子様です。神奈子様と諏訪子様、このお二方は幻想郷に来る前からの付き合いで・・・あぁ、私も含め守矢神社の神様は全員外界出身です。経緯は・・・って、こんな場合じゃ無いんでした!

 

「新聞!新聞はありませんか!?」

 

「うん。見ての通り、今私が読んでる。ちょっと待ってくれる?」

 

「横から失礼します!」

 

「ええっ!?うわっ!?・・・もう・・・。早苗はスイッチ入るといつもこうだなぁ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

次なる異変か 外来生物大量発生

 

今朝から幻想郷各地で外来のものと思われる生物が大量発生している。博麗神社の巫女、博麗 霊夢氏は異変の可能性が高いとして調査を進めている。

今回の大量発生は通常のものとは違い、非常に多種の生物で同時に発生している。草原や高原に現れた種もいれば、竹林の中で身を隠すように現れた種、空を飛ぶ種、湖の中を泳ぐ種、中には人里の建築物のでひっそりと息づいた種など様々である。さらにそれらの動物は総じて外界出身で、外界では総称して「ポケモン」と呼ばれていたことも明らかになっている。

また同時にポケモンを捕まえ使役する道具「モンスターボール」も幻想郷にもたらされた。これを使って使役したポケモンを戦わせる「ポケモンバトル」も今朝から人里では流行している。現在モンスターボールは魔法の森前の商店「香霖堂」で販売中。

ポケモンの大量発生やポケモンバトルの流行について昔から幻想郷を知る人物である稗田 阿求氏はこう語った。「きっかけが異変とはいえ、ポケモンバトルの流行で人里に活気が出てきたのは嬉しい。しかし、このポケモンが今後人里だけでなく幻想郷全体で問題を起こしかねないのも事実である。いくら活気付いていると言っても流行りは流行りで、いつか廃れてしまうだろうから、問題が起こる前にそうなることを期待する。」幻想郷全体で、今後どのようにポケモンが影響を及ぼすのか、今後も調査を続行することにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:諏訪子

 

「早苗〜・・・。お〜い・・・。ダメだ、全然聞こえてない・・・。」

 

私が話しかけていることなど知らない様子で早苗は読み進めている。

 

・・・まぁ、無理も無いか。

 

外界の生き物が大量にこっちに流れて来たんだもん。おまけにその生き物がポケモンと来たら、そりゃあ慌てるよね。

 

・・・もう、私いなくて良いよね?

 

「・・・じゃあ早苗。私もう行くy」

 

バッ!

 

「うわっ!」

 

突然、早苗は顔を上げた。

 

その目は・・・これ以上無い位輝いていた。

 

この目に振り回されなかった記憶は祟り神として長いこと生きてきた私にも無い。早苗に限ったことでは無いが、早苗なら特に。

 

「・・・諏訪子様。」

 

「なっ・・・何だい?」

 

「私・・・行ってきます。」

 

「えーと・・・今日はもう夕方だし、どこへ行くにも止めておいた方が・・・。」

 

「大丈夫です!なるべく、すぐ戻ります!」

 

すごく輝かしい笑顔で振り向いた。ダメだ、こうなった早苗は止められない・・・。

 

「あー・・・うん。気を付けてね・・・。」

 

「じゃあ!すぐ戻ります!」言い終わるか言い終わらないかで早苗は慌ただしく部屋から出て行った。

 

「・・・新聞でも見たけど、何だか幻想郷が騒がしくなりそうだね・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:魔理沙

 

早苗に新聞にポケモンのことが書いてあることを伝えると、早苗は神社の中に飛ぶように戻っていった。

 

相変わらずの騒がしさだ。・・・いや、今回はいつもより慌てていると言うか、驚いていたと言うか・・・。そんな気がした。

 

もしかして、外界でポケモンのことを知っていた?

 

ありえる。

 

って言うか他の理由が見当たらない。

 

早苗が外界でポケモンを扱っていたなら、私が見せたモンスターボールに驚くのも自然な反応だろう。

 

もしそうなら、後で早苗にポケモン捕獲のコツでも聞くとするか・・・。

 

「魔理沙さーん!」

 

「あっ早苗!お前、いつもに増しt」

 

「魔理沙さん、お願いです!香霖堂まで乗せて行って下さい!」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと待て!今から行く気か!?」

 

「もちろんです!モンスターボールがあると聞いては黙っていられません!」

 

色々聞きたいことがありすぎる。

 

遅くに出て行って神奈子と諏訪子は心配しないのか。守谷神社のおゆはんは大丈夫なのか。そして、早苗は本当に外界でポケモン使いだったのか・・・。

 

 

 

 

 

 

・・・ん?

 

 

 

 

 

 

早苗の手に赤い機械が握られている。確かさっきは持っていなかった。

 

 

 

 

 

もしかして、ポケモン図鑑か?

 

 

 

 

 

 

もしそうなら、早苗が外界でポケモン知っていた説は完全ビンゴだろう。わざわざこっちにいない動物の図鑑をこっちに持って来ている辺りは驚きだが。

 

質問する価値はありそうだ。かなり慌ててるから聞けるかどうかは分からないが・・・一緒にいるに越したことはないだろう。

 

「全く、常識外れにも程があるぜ・・・よし、乗ってけ。」

 

「ありがとうございます!全速力でお願いしますね!」

 

「・・・ゑ!?全速力!?」

 

「はい!少しでも早く手にしなければなりませんからね!」

 

「全速力って言ったら・・・かなり飛ばすから落ちたところで責任は取れんぞ?」

 

「大丈夫です!私、飛べますから!」

 

そうだこいつ飛べんじゃねーか!

 

要するに、普通に飛んで行くより私のホウキに乗った方が速いから、とそういう理由で私に頼んだのだろう。

 

「・・・重ねて言うが落ちても責任は取れん。つまりは落ちた時点でスルーして進んじまうぞ。それでも良いならさっさと掴まれ!」

 

「はいっ!」

 

実を言うと限界の速さ出してると後ろの様子が分からないだけだが、凄みを乗せてみた。それでも早苗の決意は変わらないらしい。

 

実際あまり気が乗らなかったのは事実だが、早苗が私を頼るなんて滅多に無いことだ。

 

・・・よし、いっちょやってやるぜ!

 

私はホウキを横にして跨ぐ。後ろで早苗は同じようにホウキに跨った。

 

「よしっ、行っくぜー!」

 

「はい・・・うわっ!」

 

二人の身体はあっという間に持ち上がり、瞬間、ものすごいスピードで直進する。

 

二人一緒に運ぶのは流石にキツイぜ・・・。

 

「ひゃあーっ!」

 

早苗はさながらジェットコースターのような感覚で声を出している。

 

こちとら必死なのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

全力を出した甲斐あり、ものの四、五分で森の上空まで到着した。

 

ホウキのスピードを落としながら降下し、ちょうど香霖堂の前で停止。

 

運搬完了、だぜ。

 

「ありがとうございました!ちょっと待ってて下さい!」

 

早苗はホウキから降りるやいなや香霖堂に直行した。

 

「・・・もうあれは止めようとしたら撥ね飛ばされるレベルだな。ありゃ。流石常識に囚われない巫女だ。」

 

結局、質問は一つもできず終いになってしまった。腹も減ってきたし、そろそろ帰るとするか。帰りの便は予約入ってないし、大丈夫だろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:早苗

 

魔理沙さんのホウキ。守矢神社から香霖堂まで約五分。流石です。

 

「霖之助さん!霖之助さん!」

 

「おっ、いらっしゃい・・・って早苗ちゃん!?」

 

霖之助さんは私の来店に驚かれているようでした。もう夕暮れ時だったかなのか、普段あまり行かない私が来たからなのか。

 

「霖之助さん、モンスターボールを譲って下さいませんか!?」

 

単刀直入に目的の品を言いました。

 

「えーっと・・・良いよ。持って行って。五個までなら代金はいらn」

 

「ありがとうございます!」

 

早くポケモンを捕まえに出かけなければ!

 

 

 

 

 

 

「待って!」

 

 

 

 

 

 

「へっ?」

 

霖之助さんがいきなり呼び止めてきました。心なしか真剣な表情に見えます。

 

「・・・早苗って、外界でポケモン知ってたのかい?」

 

真剣な表情で何を言うのかと思えばそんなことでしたか。まぁ、言っていなかったので気になるのも普通でしょうが。

 

「もちろんです!こっちに来る時は少し名残惜しかったですが、こう見えても結構たくさんのポケモンの面倒見てきたんですよ。たとえば・・・話した方が良いですか?」

 

「いや全く。それだけ聞ければ十分だ。それじゃあ、捕獲頑張って。」

 

「? ・・・ええ、頑張ります!霖之助さん、ありがとうございました!」

 

私の武勇伝を退けられました・・・いやいやそうじゃなくて。

 

霖之助さんの顔に少々引っかかる所はありましたが・・・今は詮索する暇もありません。

 

私は急いで香霖堂を後にしました。

 

 

 

 

 

 

「・・・これは少し好都合かな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

視点:神奈子

 

早苗が出て行った後の守矢神社。

 

諏訪子と私。部下的な存在のはずの早苗によく振り回されてはいるが、遅くの時間に出掛けたのは初めてだ。

 

この時間に出掛けられて一番困ることは他でもない、食事についてである。

 

「そろそろ夕飯なんだけど・・・早苗が居ないんじゃねえ・・・。」

 

守矢の食事は三柱揃ってが基本中の基本。幻想郷に来てから、そうしなかった日は思い浮かばない。

 

おまけに諏訪子や私は料理下手。いつもの食事当番は早苗なのだ。諏訪子に至ってはふりかけご飯すらまともに作れない。・・・粥しか作れない私が言えることではないのだが。

 

「お腹空いたぁ・・・。ねぇ神奈子ぉ・・・。早く晩ご飯食べたいよぉー・・・。」

 

「・・・うん、じゃあ先に作っといてやるか。早苗も帰った時は疲れてるだろうし、今日はあいつの手を借りないで作ろう。」

 

こんなことも一大決断な訳だ。

 

「じゃあお願いねー・・・。」

 

「・・・おい諏訪子、今日くらい手伝ったらどうなんだ?早苗も出ちゃったし、人数少ないんだぞ。」

 

「えぇ・・・。めんどくさいし、お腹空いたからあんまり動きたくない・・・。」

 

「全くお前は子供っぽいのかそうじゃないのか・・・。ったく、気が向いたら来いよ。」

 

「そうするー。」

 

立ち上がり、料理をするため台所に向かう。料理と言っても粥なのだが。

 

「なーんでああ都合の悪い時だけ子供っぽくなるかなぁ・・・。」

 

自然と愚痴が出てくる辺り結構カチンと来たらしい。少し諏訪子の飯の量を減らしてやるとするか・・・。

 

 

 

 

 

 

・・・!?

 

 

 

 

 

 

・・・その様子を見て、諏訪子への怒りが吹っ飛んだ・・・いや、吹っ飛ばされた。

 

倒されたカゴ。

 

乱雑に積まれた鍋。

 

そして・・・食い散らかされた野菜。

 

・・・台所がグチャグチャなのだ。

 

少しの食べ物も見当たらない。

 

「・・・な」

 

私は唖然として、

 

 

 

 

 

 

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

幻想郷全体に響きそうな声で叫んだ。




視点変更の暴力。

駄文の癖して5000字越えだし多分まとってません。伏線とか伝わってるかどうか。

ウチの早苗は常識無いです。

さて、守矢神社の食べ物を荒らした犯人は・・・?

では。
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