問題児と共に入れ換し者も異世界から来るそうですよ? 作:ただの遊び人外
それはそれとして本編へどうぞ。
白夜叉とのゲームを終え、“ノーネーム”の居住区画に着いた。
「この中が我々のコミュ二ティでございます。この近辺はまだ戦いの名残がありますのでご注意下さい。」
「戦いの名残?噂の魔王って素敵ネーミングで呼ばれている奴とのか?」
「は、はい。」
「ちょうどいいわ。箱庭最悪の天災と言われる魔王が残した傷跡、見せてもらおうかしら。」
黒ウサギが門を開けると四人の視界に一面の廃墟が広がった。
「・・・おい、黒ウサギ。魔王とのギフトゲームがあったのは今から何百年前の話だ?」
「僅か三年前の話です。」
「ハッ、そりゃ面白いな。この風化しきった街並みが3年前だと?」
そう。“ノーネーム”コミュ二ティはまるで何百年という時間経過で滅んだように崩れ去っていた。
「・・・断言するぜ。どんな力がぶつかっても、こんな壊れ方はあり得ない。」
「確かにな。これは俺が何百人いようと、こんな壊し方は出来ない。」
十六夜と秋人が冷や汗をかいて言う。
しかし、この二人はこれを見て
「魔王・・・か。ハッ、いいぜいいぜいいなオイ。想像以上に面白そうじゃねえか・・・!」
「これが魔王の力・・・か。おもしれぇ。この力俺が超えてやろうじゃねえか!」
不敵に笑って呟いたのだった。
十六夜が手に入れた水樹を設置する為、五人と一匹は水門に向かう。
「あ、みなさん!水路と貯水池の準備は出来ています!」
「ご苦労様ですジン坊ちゃん♪皆も掃除を手伝いましたか?」
ワイワイと騒ぐ子供達が黒ウサギの近くに群がる。
「黒ウサのおねーちゃんお帰り!」
「眠たいけどお掃除てつだったよー。」
「ねえねえ、新しい人達ってどんな人!?」
「強いの!?カッコいいの!?」
「YES!とても強くて可愛い人達ですよ!今から紹介するので一列に並んでくださいね。」
パチン、と黒ウサギが指を鳴らすと子供達は一糸乱れぬ動きで横一列に並ぶ。
数は二十人前後だろう。中には猫耳や狐耳の少年少女もいた。
(マジでガキばっかだな。半分は人間以外のガキか?)
(実際に目の当たりにしたら想像以上に多いわね。これで六分の一?)
(・・・私、子供嫌いなのに大丈夫かなあ。)
(・・・ガキは苦手だ。)
四人は四者四様の感想を心の中で呟く。
「右から逆廻十六夜さん、魅剣秋人さん、久遠飛鳥さん、春日部輝さんです。コミュ二ティを支えるのは力あるギフトプレイヤー達です。なのでギフトゲームに参加できない者達はギフトプレイヤーの私生活を支え、励まし、時には身を粉にして尽くさねばなりません。」
「あら、別にそこまでする必要はないわよ?もっとフランクにしてくれても」
「駄目です。」
黒ウサギは飛鳥の申し出を今日一番の真剣な表情と声で断じる。
「コミュ二ティはプレイヤー達がギフトゲームに参加し、彼らのもたらす恩恵で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭の世界で生きていく以上、避けることの出来ない掟。子供の頃から甘やかせなこの子達の将来の為になりません。」
「・・・そう。」
飛鳥は黒ウサギの有無を言わせない気迫に黙らざるを得ない。黒ウサギは自分達が来るまでの三年間、たった一人でコミュ二ティを支えてきたのだ。それ故にこの世界の厳しさを十分に理解していたのだった。
「此処にいるのは子供達の年長組です。ゲームには出られませんが見ての通り獣のギフトを持っている子もいますので、何か用事を言い付ける時はこの子達を使ってくださいな。みんなも、それでいいですね?」
「「「よろしくお願いします!」」」
キーン、と耳鳴りがするほどの大声で二十人前後の子供達が叫ぶ。
「ハハ、元気がいいじゃねえか。」
「そ、そうね。」
(・・・本当にやっていけるかな。)
「・・・」
ヤハハと笑うのは十六夜だけで飛鳥と耀はなんとも言えない複雑な顔を、秋人は両手で耳を防いでいた。
「さて!自己紹介も終わりましたし!それでは水樹を植えましょう!黒ウサギが台座の上に根を張らせるので十六夜さんのギフトカードから出してくれますか?」
「あいよ。」
長年水が通っていない水路だが骨格だけは立派に残っていた。しかし所々がひび割れして、砂も要所に溜まっていた。流石に全ての砂利を取り除くのは難しかったのだろう。
「大きい貯水池だね。ちょっとした湖ぐらいあるよ。」
『そやな。門を通ってからあっちこっちに水路があったけど、もしあれ全部に水が通ったら壮観やろうなあ。けど使ってたのは随分前の事なんちゃうんか?そこんとこどうなん、ウサ耳の姉ちゃん。』
「はいな、最後に使ったのは三年前ですよ三毛猫さん。元々は龍の瞳を水珠に加工したギフトを貯水池の台座に設置していたのですが、それも魔王に取り上げられてしまいました。」
その瞬間、十六夜と秋人の瞳が光る。
「龍の瞳?何それカッコいい超欲しい。何処にいけば手に入る?」
「十六夜君の言う通り。超欲しい。写真とかないの?」
「さて、何処でしょう。知っていても十六夜さんと秋人さんには教えません。それと写真もありません。」
黒ウサギは適当に話を濁す。そしてジンが話を戻す。
「水路の整備も時々してはいたのですけども、あくまで最低限です。それにこの水路じゃまだこの貯水池と水路を全て埋めるのは不可能でしょう。ですから居住区の水路は遮断して本拠と別館に直通している水路だけを開きます。此方は皆で川の水を汲んでいたときに時々使っていたので問題ありません。」
「あら、数kmも向こうの川から水を運ぶ方法があるの?」
「はい。みんなと一緒にバケツを両手に持って運びました。」
「そのうちの半分ぐらいは途中でコケて無くなっちゃうんだけどねー。」
「黒ウサのねーちゃんが箱庭の外で水を汲んでいいのなら、貯水池をいっぱいにしてくれるのになあ。」
「・・・そう。大変なのね。」
飛鳥はちょっぴり落胆したような顔をする。
おそらくだがもっと画期的なものを期待していたのであろう。
「それでは苗のひもを解いて根を張ります!十六夜さんは屋敷への水門の開放をお願いします!」
「あいよ。」
十六夜は貯水池に下りて水門を開ける。黒ウサギが苗の紐を解くと、根を包んでいた布から大波のような水が溢れ返り、激流となり、水門の鍵を開けていた十六夜を襲う。
「ちょ、少しはマテやゴラァ!!流石に今日はこれ以上濡れたくねえぞオイ!」
十六夜は慌てて石垣まで跳躍する。しかし、少し間に合わなかったようで所々濡れている。
「おいおい、十六夜君所々濡れてるぜ?」
秋人は軽い調子で言う。
「うっせーよ。まあ、そこまで言うのなら」
十六夜が秋人の腕を掴む。
「えっ。」
「お前も濡れて来いやァ!」
思いっきり貯水池の方に投げつける。しかし、秋人は慌てず、
「
黒ウサギと位置を入れ換える。
「えっ、ちょ!?」
黒ウサギは慌てるがもう遅い。黒ウサギは貯水池の中にダイブした。
「おいおい、十六夜。俺じゃなかったらダイブしてたじゃねえか。」
「ちっ。」
「そう露骨に舌打ちすんなって。あれ、黒ウサギどうしたの?」
秋人の後ろに黒ウサギが立っていた。
「どうしたもこうしたもありません!なんで黒ウサギを身代わりにしたんですか!?」
黒ウサギの言い分は最もだ。しかし秋人は悪びれもなく、
「視界に黒ウサギがいたから。」
「黙らっしゃい!」
パチーン、と黒ウサギいつの間にか持っていたハリセンで秋人の頭を叩く。
四人は箱庭やコミュ二ティへの質問はさておきとにかくお風呂に入りたかった。なので、黒ウサギは湯殿の準備を進める。しかししばらく使われていなかった湯殿が綺麗なわけがなく、それを見た黒ウサギは真っ青になり、
「一刻ほどお待ちください!すぐに綺麗にいたしますから!」
と叫んで掃除に取り掛かった。
『お嬢・・・ワシも風呂に入らなアカンか?』
「駄目だよ。ちゃんとお風呂に入らないと。」
しばらく四人は雑談して時間を過ごしていると
「ゆ、湯殿の用意が出来ました!女性様方からどうぞ!」
と言う黒ウサギの声が聞こえた。
「ありがと。先に入らして貰うわよ。」
「俺は二番風呂が好きな男だから特に問題ねえよ。」
「俺はどっちでも。」
女性陣が風呂の方に向かう。
「さてと、俺は外の奴らと話をつけて来るが、オマエはどうする?」
「ちょっと考えごとしたいからパス。」
秋人はそう言い、先程決めた自分の部屋へと向かった。
秋人は自室でギフトカードを見て呟く。
「まさか殺意がギフトってのはちょっと予想外だったな。まあそれはそれとして・・・“??? ?”ってなんだよ・・・」
秋人はorzの体制となる。
「“
秋人はそう言い目を閉じた。
・・・天井に張り付いて。
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