問題児と共に入れ換し者も異世界から来るそうですよ? 作:ただの遊び人外
今日は耀がギフトゲーム“造物主達の決闘”の決勝戦の日だ。
昨日、話をしていたらしくどうやら黒ウサギが司会をするようだ。
『長らくお待たせいたしました!火龍誕生祭のメインギフトゲーム・“造物主達の決闘”の決勝を始めたいと思います!進行及び審判は“サウザンドアイズ”の専属ジャッジでお馴染み、黒ウサギがお務めさせていただきます♪』
「うおおおおおおおおお月の兎が本当にきたあああああああああああ!!」
「黒ウサギいいいいいい!お前に会うために此処まで来たぞおおおお!!」
「今日こそスカートの中を見てみせるぞおおおおおおおおおおおおお!!」
・・・どうやら黒ウサギは凄く人気のようだ。
そんな中、十六夜が何かを思い出したかのように声を出す。
「そういえば白夜叉。黒ウサギのミニスカートの中を絶対に見えそうで見えないスカートにしたのはどういう了見だオイ。チラリズムなんて趣味が古すぎだろ。昨夜に語り合ったお前の芸術に対する探究心は、その程度なのか?」
「何の話してんだよ?」
秋人がツッコム。
しかし白夜叉はそんな言葉に落胆していた。
「フン。おんしも所詮その程度か。それではあそこに群れている有象無象と変わらん。おんしならわかる漢だ思っていたのだがな」
「・・・へぇ、言ってくれるじゃねえか。つまりお前には、スカートの中を見えなくすることに芸術的理由があるというんだな?」
「無論だ」
白夜叉は絶対の自信を持って返す。
「考えてみよ。おんしら人類の最も大きな動力源はなんだ? エロか? なるほど、それもある。だがときにそれを上回るのが想像力! 未知への期待! 知らぬことから知る渇望!! 小僧よ、貴様ほどの漢ならばさぞかし数々の芸術品を見てきたことだろう! その中にも未知という名の神秘があったはず! 例えばそう! モナリザの美女の謎に宿る神秘性! ミロのヴィーナスに宿る神秘性! 星々の海の果てに垣間見えるその神秘性! そして乙女のスカートに宿る神秘性!! それらの神秘に宿る圧倒的な探究心は、同時に至ることの出来ない苦渋! その苦渋はやがて己の裡においてより昇華されるッ!! 何者にも勝る芸術とは即ち――――己が宇宙の中にあるッ!!」
ズドオオオオオン!
という効果音が似合いそうな雰囲気、ってかほんとに白夜叉の後ろが爆発した。
「なッ……己が宇宙の中に、だと……!?」
十六夜はその言葉を聞いてよろける。
「そうだ!真の芸術とは内的宇宙に存在する!そう・・・スカートの中身も見えなければ芸術だ!」
ズドオオオオオン!
再び白夜叉の後ろが爆発する。
そして白夜叉は双眼鏡を二つ取り出す。
一つは当然十六夜に。もう一つは
「いや、なんで俺にも渡すんだよ?」
秋人に渡されていた。
「わかるぞ。おぬしも真の芸術を理解する者のはずだ。さあ、この双眼鏡を受け取り世界の真実を確かめるがいい」
白夜叉と十六夜が双眼鏡を使い黒ウサギのスカートの中を見ようと挑戦している中、秋人はもらった双眼鏡を静かにギフトカードに直していた。
(双眼鏡、ゲットだぜ!)
「・・・なんでさっきの爆発に誰も気づかないのかしら」
飛鳥の言葉は誰にも聞かれなかった。
「“ウィル・オ・ウィスプ”に関して、僕が知っている情報は以上です」
「ありがとう。あとはケースバイケースで臨機応変に対応する」
『それではプレイヤーの方々に入場していただきましょう!まずは“ノーネーム”の春日部耀!そして“ウィル・オ・ウィスプ”のアーシャ=イグニファトゥスです!』
耀が舞台に出ようとするとその瞬間、眼前を高速で駆ける火の玉が横切った。
「YAッFUFUFUUUUuuuu!」
「わっ・・・!」
『お嬢!』
ドスン、と耀は尻もちをつく。
「あっはははははははは!見て見て見たぁ、ジャック?“ノーネーム”の女が無様に尻もちをついてる。ふふふ。さあ、盛大に、いてっ、おい!誰だ石投げたやつ!」
ちなみに秋人がアーシャの頭上の空気と石を入れ換えた。
耀は火の玉の中心に見えるシルエットが気になり尋ねる。
「その火の玉・・・もしかして、」
「はぁ?何言ってんの?アーシャ様の作品を火の玉なんかと一緒にすんなし。コイツは我らが“ウィル・オ・ウィスプ”の名物幽鬼、ジャック・オー・ランタンさ!」
「YAッFUUUUuuuuuu!」
「ふふ〜ん。“ノーネーム”のくせに私達“ウィル・オ・ウィスプ”よりって、誰ださっきからちょくちょく石投げてるやつ!こいつの仲間か?そうなんだろ!?って痛いなほんとに!」
言わずもがな秋人の所為である。
(そういえばなんで俺はこんなことやってんだろ?)
秋人は無意識にやっていたようだ。
『せ、正位置に戻りなさいアーシャ=イグニファトゥス!』
「今の状況見てガン無視!?」
悲しきかな、アーシャはこうなる運命なのだ・・・。
『それではゲームの開幕前に、白夜叉から舞台に関してご説明があります!」
「うむ。ゲームの舞台についてだが・・・まずは手元にある招待状を見て欲しい。其処にナンバーが書いておらんかの?そこに書かれているナンバーが我々ホストの出身外門“サウザンドアイズ”の三三四五番となっている者はおるか?おるのであれば招待状を掲げ、コミュニティの名を叫んでおくれ」
ざわざわと観客席がどよめく。
そして、木霊の少年が声をあげた。
「こ、ここにあります!“アンダーウッド”のコミュニティが三三四五番の招待状を持っています!」
おおお!と歓声が上がる。
「ふふ。おめでとう、“アンダーウッド”の木霊の童よ。後に記念品でも届けさせてもらおうかの。よろしければおんしの旗印を拝見してもよろしいかの?」
白夜叉はいつの間にかその少年の前にいた。
その少年はすごい勢いで首を縦に振る。
旗印には巨大な大樹の根に囲まれた街が描かれていた。
「今しがた、決勝の舞台が決定した。それでは皆の者、お手を拝借」
白夜叉が両手を前にだす。周りの者を同じく両手を前にだす。
バン!と柏手一つ。
その瞬間————世界が一変した。
耀は下地が樹木の世界についた。否、ただの樹木ではなく
「この樹・・・ううん、地面だけじゃない。樹の根に囲まれた場所?」
上下左右、全てが巨大な樹の根に囲まれた大空洞だった。
「あらあら教えてくれてありがとよ」
「・・・」
耀はアーシャを無視した。
それが気に入らなかったのかアーシャは耀に対して臨戦態勢に入るが、耀は小声でそれを制す。
「まだ始まってない」
「はあ?何言ってんの?」
「勝利条件も敗北条件もまだ出ていない。これじゃあゲームが成り立たない」
アーシャは耀の説明に納得したのか突っ掛かってこない。
「しっさし、さすがは星霊様ねー。私ら木っ端悪魔とは比べものにならねえわ」
その瞬間空間に亀裂が入る。
その亀裂から輝く“契約書類”が出てくる。
《ギフトゲーム名“アンダーウッドの迷路”》
・勝利条件
一 プレイヤーが大樹の根の迷路より野外に出る。
二 対戦プレイヤーのギフトを破壊。
三 対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参を含む)。
・敗北条件
一 対戦プレイヤーが勝利条件を一つ満たした場合。
二 上記の勝利条件を満たせなくなった場合。』
「“審判権限ジャッジマスター”の名のもと、以上が両者不可侵であることを誓います。どうか誇りある戦いを。此処にゲームの開始を宣言します」
これが始まりの合図だった。
耀は黒ウサギの言葉が言い終わるや否やすぐさま走り出す。
耀は契約書類を見た瞬間、第一クリア条件でクリアすることを決めたようだ。
一瞬出遅れたアーシャはすぐさま追いかける。
アーシャは耀の背中に向かって叫ぶ。
「地の利はこっちにあるんだ!焼き払え、ジャック!」
「YAッFUUUUUuuuuuuuu!」
ジャックのランタンとカボチャ頭から悪魔の業火が耀を襲う。
しかし耀は少量の風を起こし炎を避ける。
(避けた?違う!今の風・・・コイツのギフトか・・・)
アーシャは避けられたことに舌打ちをする。
(風でそらせるなら大丈夫。早めにけりをつける!)
耀は風で炎をそらせるとわかってから速度を上げる。
なんとなくだが、急がねばならない気がしたからだ。
「あっ!待て!くそ、こうなったら三発同時に打ち込むぞ、ジャック!」
「YAッFUUUUUuuuuuuuuu!」
今度は先ほどよりも勢いのの増した三本の炎を放つ。
しかし耀は今度は何もせずにかわした。
「
“ウィル・オ・ウィスプ”の伝承の正体は、大地から溢れ出たメタンガスなどの可燃性のガスや物資の類である。
本来ならば無味無臭なのだが、嗅覚が他の人より鋭い耀は違和感を感じたのだ。
アーシャは離れていく耀を見つめ諦めた様にため息を吐いた。
「・・・くそったれ。悔しいが後はアンタに任せるよ。
「
その声を聞いて耀は振り返る。
後ろを振り向いたらそこにジャックの姿は無く、気がついたら耀の前方にいた。
「嘘」
「嘘ではありません。失礼」
ジャックの真っ白な手で耀を弾く。
「っ・・・!?」
「さ、早く行きなさいアーシャ。ここは私が足止めします」
「悪いねジャックさん。本当は私の力だけで勝ちたかったんだけど・・・」
「それは貴女の怠慢と油断が原因です。猛省し、このお嬢さんのゲームメイクを少しは見習いなさい」
「了解しました〜」
アーシャはすぐさま走り出す。それを追いかけようとする耀。しかしジャックによって止められる。
「ま、待っ」
「駄目です。貴女はここでゲームオーバーです」
そしてジャックのランタンから篝火が放たれる。
それは瞬く間に炎の壁となり進路を防ぐ。
耀はそれを見ながら考える。
(参ったな。アーシャが先に行ったから勝つ為にはジャックを壊すしかないんだけど・・・不死、か。だったら多分壊せないよね)
耀は諦め降参しようとして声を出そうとする。しかし、その途中で秋人が言っていた言葉を思い出す。
自分が絶対勝てる相手としか戦わないのか?秋人はそう言っていた。
「いや、まだ私は諦めない・・・!」
耀は自分のペンダントを握りしめて言う。
「いいのですか?失礼ながらお嬢さんの実力では・・・」
「わかってるよ。そんなこと。・・・けどね、
「ヤホホ!なるほど、次に繋げるためですか。よろしい、ならば!」
ジャックは腕を広げ叫ぶ。
「いざ来たれ、己が系統樹を持つ少女よ!聖人ペテロに烙印を押されし不死の怪物、このジャック・オー・ランタンがお相手いたしましょう!」
ジャックが放つ威圧感は凄まじい。しかし
(確かにこの威圧感は凄い。けど秋人が戦う時に放つ時の方が凄い!)
耀は臨戦態勢を取る。
今、戦いが始まろうとした瞬間————
『勝者!アーシャ=イグニファトゥス!』
「・・・え?」
世界が崩れた。
十六夜達がメインの話も書きたい今日この頃。