問題児と共に入れ換し者も異世界から来るそうですよ? 作:ただの遊び人外
十六夜は苛々しげに言う。
「で、呼び出されたのは良いが何で誰も居ないんだよ。こういう時は招待状に書かれていた『箱庭』ってやつを説明する人間が現れるもんじゃねえのか?」
「確かにそうね。何の説明も無いままでは動きようがないもの。」
「・・・この状況に対して落ち着き過ぎてるのもどうかと思うけど。」
「でもまぁ、確かに呼び出されてから一時間位たってるわけだし、十六夜君の言う通りに説明する人間が出てきてもいいよね。」
そう。秋人の言う通り、呼び出されてから既に一時間が経とうとしていた。勝手に呼び出しといて、そんなに待たされたら苛々しても仕方ないだろう。
そんな中、秋人が後ろを指で指しながら呟く。
「まぁ、いざとなったら、そこにいる人に聞けば良いだけだしね。」
「なんだ、貴方も気づいていたの?」
「勿論。あんなに気配がだだもれだったら、普通気付くよ。十六夜君と春日部さんも気づいてたでしょ?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?」
「風上に立たれたら嫌でも解る。」
四人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠った冷ややかな視線を草むらにむける。
その視線に耐えきれなかったのか、隠れていた者は焦りながら出てきて呟く。
「や、やだなぁ。御四人様そんな狼みたいな恐い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ?ここは黒ウサギの脆弱な心臓に免じて穏便に御話を聞いて頂けたら嬉しいでございますヨ?」
そんな問いに四人は、
「断る」
「却下」
「お断りします。」
「黒ウサギってのが名前?」
「あっは、取りつくシマもないですね♪後、黒ウサギの名前は黒ウサギですよ♪」
バンザーイ、と降参のポーズをとる黒ウサギ。
しかし、黒ウサギは冷静に四人を値踏みしていた。
(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。一人関係ないことを聞いてきましたけど。)
黒ウサギがそんな事を考えていると、耀が疑問に思ったのか黒ウサギの隣に立ち、黒いウサ耳を根っこから鷲掴み、
「えい」
「フギャ!」
力いっぱい引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、いきなり黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業。」
「自由にも程があります!」
黒ウサギは激怒した。確かに自分の耳を引っ張られたら、誰だって怒るだろう。
しかし、
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
十六夜が左耳を、
「・・・じゃあ、私も。」
飛鳥が右耳を、
「俺もノリに乗って。」
秋人が尻尾を、
「ちょ、ちょっと待ー!」
左右後に力いっぱいに引っ張られた黒ウサギは言葉にすることの出来ない悲鳴を上げ、その悲鳴は近隣に木霊した。
「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか、まさか話を聞いてもらうのに小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス。」
「いいからさっさと進めろ。」
「俺達はそれぐらいの時間をまたされたんだからさ。別にいいじゃん。」
黒ウサギは半ば本気の涙を瞳に浮かばせながらも、咳払いをし、涙を押しとどめ、両手を広げて、
「それでは皆さんいいですか?定例文で言いますよ?言いますよ?さぁ、言います!ようこそ、箱庭の世界へ!我々は御四人様にギフトを与えられし者達だけが参加できるギフトゲームへの参加資格をプレゼンさせていただこうかと思い召喚いたしました!」
「ギフトゲーム?」
「そうです!既に気づいていらっしゃるでしょうが、御四人様は普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星などから与えられた恩恵でございます。ギフトゲームとは、その恩恵を用いて競いあう為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございます!」
両手を広げて箱庭をアピールする黒ウサギ。
「まず初歩的からさしてもらえるかしら?貴女の言う我々とは貴女を含めた誰かなの?」
「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とあるコミュニティに必ず属していただく必要があります!」
「嫌だね。」
「それは義務?」
「属していただきます!それにこれは、義務です!」
「・・・主催者って誰?」
「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催するゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループもございます。特徴といたしましては、前者の方は自由参加が多いですが、主催者が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険性が高いでしょう。しかし、見返りは大きいです。主催者次第ですが、新たな恩恵を手に入れるのも夢ではありません。後者は参加のためのチップ用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらは全て主催者のコミュニティに寄贈されるシステムです。」
「後者は結構俗物・・・チップには何を?」
「それも様々ですね。金品・土地・利権・名誉・人間・・・そしてギフトを賭けあうことも可能です。新たな才能を他人から奪えばより高度なギフトゲームに挑む事も可能になるでしょう。ギフトを賭けた戦いに負ければ、当然ーご自身の才能も失うことになるのであしからず。」
「ハイリスクハイリターンって訳か。なかなか楽しそうじゃないか。」
「最後にもう一つだけ質問させてもらっていいかしら?」
「どうぞどうぞ♪」
「ゲームはどうやったら始められるの?」
「コミュニティ同志のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録すればOK!商店街でも小規模のゲームを開催しているので、是非、参加していってくださいな。」
「・・・つまりギフトゲームとはこの世界の法そのもの。と、とらえてもいいのかしら?」
「ふふん?なかなか鋭いですね。しかしそれは八割の正解、二割の間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換なども存在いたします。ギフトをもちいた犯罪等もってのほか!そんなふていな輩は悉く処罰します。ーが、しかし、ギフトゲームの本質は全くの逆!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能だということですね。」
「そう。なかなかに野蛮ね。」
「ごもっとも。しかし主催者は全て自己責任でゲームを開催しております。つまり、奪われるのが嫌な腰抜けな初めからゲームに参加しなければいい話でございます。」
「じゃあ、今度は俺が聞きたいんだけど、いいかな?」
「どうぞ♪」
「ようするにさ、勝てばいいんだよね?」
「・・・YES!勝てば失うものもなにもないですし、得るものしかありません!」
「そっ。ありがと。」
「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務があります。しかし、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たなる同士候補の皆さんを何時まで野外に出しておくのはいささか忍びない。ここから先は我らのコミュニティでお話させていただきたいのですが・・・よろしいですか?」
「待てよ。俺がまだ質問してないだろ?」
今まで口を出さないでいた十六夜が口を出した。それに対して黒ウサギは
「・・・どういった質問ですか?ルールですか?それともゲームそのものに対してですか?」
十六夜は少し間を開けて一言。
「この世界は・・・面白いか?」
「ーYES!ギフトゲームは人を越えた者達だけが参加することを許された神魔の遊戯。箱庭の世界は外界よりも格段に面白いと、黒ウサギが保証します♪」
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