婚約者は魔界のプリンセス〜これって逆玉ってやつですかい?〜   作:kokon

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十三夜

聞いた事があるだろうか?野球選手の肘爆弾、サッカー選手の膝爆弾。

今まで頑張り過ぎた事によって、壊れやすい、いつ壊れても不思議では無い様を表す言葉だと俺は認識している。

なにが言いたいかと言いますと、今、習得しようとしている肉体強化の魔法。

俺は頑張って肉体強化をすると身体が耐えられ無い可能性がある、という事だ。

全身爆弾だな、なにそれ?新手のテロか?

 

「兜太様、一人で何を喋ってるんです? 」

「いや、何でも無いよ。自分でもなに言ってるのか、わからなくなってきたし 」

 

現在、 リリと二人でギルドに向かって歩いている。

昨日、夜の魔物狩りに出掛けた際に仕留めた獲物を換金する為だ。

こちらの世界のお金、ドマルを全く持っていない俺はリリのひも状態で生活している。

爆弾ボディーのひも男とか世間体が悪すぎると思う。

そういう訳で多少でもお金を得る為に、換金に向かっているという次第だ。

 

「いらっしゃいませ、ギルド、ミドラーシュ本店にようこそ! 」

 

気持ち良い挨拶でギルドの職員が迎えてくれる。

以前、対応してくれた蝙蝠羽のお姉さんを見つけて声を掛ける。

それにしても洋服の布の面積が少ない、けしからん、けしからんよ。

 

「あのー、魔物を狩ってきまして、換金して貰いたいんですけど 」

 

俺の事を覚えてくれていた様で、簡単な挨拶を交わした。

俺の背後に隠れていた、リリを見つけると

「これは、リリト王女様?!すぐに、すぐに、準備致しますので!」

「いえ、有り難いんですけど。普通に対応して頂いても宜しいですか?私は唯の付き添いですから 」

「宜しいのですか?そういう事でしたら・・・・ 」

 

この前来た時は、揉みくちゃにされて大変だったからな。

騒ぎにならない様にリリが先手を打ったんだろう。

空間魔法の魔道具である鞄から野ネズミの尻尾と小鬼の角を引っ張り出す。

大猪は俺が倒した訳じゃ無いからね、ムーは譲ってくれ様としてたみたいだが、断った。

 

「では、少々お待ち下さい 」

 

確認の為か、ギルドの奥にお姉さんが運んで行った。

 

「城に居るうちはお金の事を気にしなくても良いんですよ?税金ですから贅沢をする訳にはいきませんが、兜太様一人ぐらいは問題無いんですよ? 」

「ほら、俺も自由に使えるお金が多少は必要かな?と思ってさ 」

それなら良いんですけど、とリリも納得してくれた様子だ。

 

「お待たせ致しました、鬼城様! 」

 

肩で息をするお姉さんを見ると、急いでくれたんだろう、なんか悪い事した気持ちになる。

野ネズミは一匹、2,000D、三匹狩ったので6.000D。

小鬼は一匹、3,000D、二匹狩ったので同じく6.000Dだった。

合計、12.000Dをカードに入れて貰い、ギルドを後にした。

城に戻る途中、リリが今後も狩りに行くつもりなら防具を買った方が良いと言うので、ロック鳥の剣を買った武器屋に寄ることにした。

 

「兄ちゃんいらっしゃい!今日はどうしたよ? 」

 

亭主のドワーフが出てきてので、防具が欲しい事を伝えた。

店の奥に亭主が消えて、しばらくすると防具を抱えて戻ってくる。

 

「兄ちゃんの体型だと、軽い方が良いだろうよ。オススメは剣と同じ、ロック鳥の骨から作った防具だな 」

 

胸当てを渡され、持ってみるとかなり軽い、日本のプラスチックぐらいの重さに感じる。

これなら俺でも着れそうだなっと思い、値札を確認すると、1,200,000D。

桁がおかしい、剣も高かった事から覚悟はしていたが俺の本日の稼ぎの百倍。

あかん、こんなの買える訳が無いよ。

日本にある俺のお年玉貯金を足したって一桁多い、そっと亭主に胸当てを返した。

 

「兜太様、命に関わる物です。値段は気にしないで下さい 」

「いや、そういう訳にもいかないよ。気持ちだけ貰っておくね 」

 

リリは最初から自分が買うつもりだったらしく、俺の言葉は無視してマールを呼ぼうとしている。

慌てて、リリの口を抑えつける。

 

「兜太様!なにをモゴモゴ、するんでモゴモゴ 」

「リリ、大丈夫だから。剣は買って貰ったんだし。これ以上は本当に悪いから! 」

 

リリは俺の事を甘やかし過ぎだと思う。

このままじゃ、ひも男への道が開けてしまう気がして怖い。

狩りに行く時は城の備品を借りる事で、リリは渋々納得してくれた。

リリに先に店から出て貰い、剣の柄に付ける紐だけ購入して、城へ戻る事にした。

 

 

 

 

 

日も傾き、夕飯までの時間を自室で過ごす事に、試しの木の実を摘み、力を入れてみるが割れる気配は全く無い。

 

「練習するにも、身体が爆発するとか言われたらなぁ。出来ないよなぁ 」

 

そんな事を愚痴っているとドアが叩かれる音に気づいた。

メープさんが食事に呼びに来たのかと思い、はーい、とドアを開ける。

 

「兜太さん、帰って来たなら声掛けて下さいよぉ 」

 

夕飯には早いと思ったが、ムーだったか。

どうしたんだ?っと聞いてみると

 

「マールさんから聞きましたよぉ、訓練学校に行くなら教えて下さいよぉ。面白そうなイベントじゃないですかぁ 」

「いや、遊びに行った訳じゃないから 」

「なんかぁ、教官さんにビシビシ鍛えられたって話じゃないですかぁ?見たかったわぁ 」

 

こいつ、俺がどんな目にあったか知ってて楽しんでやがる!

それに、マールに聞いたって・・・・

仲良しさんなのか?実は。

 

「マールさんとはぁ、休みの日にお茶を飲んだりするお友達なんですぅ 」

「なんか、イメージと違う! 」

 

影を纏ったまま、ムーと優雅にお茶を飲む、マールさん。

いやいや、無いだろ。

 

「それで、兜太さんが爆発するって本当ですかぁ? 」

「本当じゃねぇーよ!! 」

 

マールさん、説明は的確にお願いしますよ。

溜息をつきながらも、訓練学校で教官に言われた事を説明した。

 

「なんだぁ、そんな事ですかぁ。大丈夫ですよ、私が作った腕輪は完ぺきですからぁ 」

 

ボインと、音がするぐらい胸を張るムーは得意げそう言った。

どうでも良いけど、本当に大きいな!揺れる、揺れる!本当にどうでも良いけど。

 

「要するにぃ、魔力を身体の限界値以上引き出さなければ良いんですぅ。この腕輪は引き出せる魔力そのものを、石で抑制しているんですから問題ありませんよぉ 」

「確かに、言われてみればそうか。心配して損したな 」

「でもぉ、どれぐらいの魔力に身体が付いてくるかはぁ、わからないんですけどねぇ。その辺は試してみないとなんともねぇ 」

 

駄目じゃねぇーか!お試しで爆発する訳にはいかねぇーよ!

魔族の歴史を見ても、俺と同等の魔力を持った者は片手で数えられる程度、身体が魔族より劣る人間は全く、予想が出来ないそうだ。

とりあえず、肉体強化は石を一個だけ解放して練習する事にした。

 

 

 

 

 

ムーと入れ替わりで、メープさんが入ってくる。

今度こそ、夕飯の支度が出来た様だ。

メープさんの後ろをついて、食堂へ向かう中、軽い雑談をかわす。

 

「本日は、旦那様も戻られましたので晩餐も少し豪華な物になると思いますメェ 」

「それは楽しみですね!リリのお父様と会うのも初めてですし 」

 

そうメープさんに言い返すのが、俺の精一杯だった。

食欲なんか一瞬で吹き飛ぶ、魔法の言葉、リリのパパ。

 

 

背中と手から嫌な汗が止まらないなぁ。

 




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