婚約者は魔界のプリンセス〜これって逆玉ってやつですかい?〜 作:kokon
魔界!社会科見学!!学生としての本分を満たす為、学校が終わった後も社会勉強の時間を惜しまない。
なんという優等生だろ。
俺の心は踊っている。
城の外には出たこと無かったし、実際、街並みを観るとワクワクする。
だって、男の子だもん、漫画やアニメの主人公になった気分だ!
俺はミドラーシュ王国の中心街にいる。
街の中心にある城の門を潜り、衛兵に見送られながら街に繰り出した。
地面は、煉瓦が敷き詰めてあり、マンホールの様な物がある事から下水道も整備されている事だろう。
街の建物は、木造と、煉瓦造の二つに統一されている。
綺麗に放射線沿いに並んでいる街並みに圧倒されるな。
それに、街を行き交う人達が皆んな、バラバラの容姿をしている。
三メートルはありそうな一本角の大男、背中から羽を生やしてる鳥顔の人。
お、ピッチリした服に身を包む小悪魔なお姉さんもいる、猫耳!リアル猫耳の女の子!!
すげー!異世界すげー!!ここはどこだ?決まっている天国だ!!
「兜太様。随分、熱心に見学されてる様でなによりです 」
「そりゃー、リアルに猫耳とか最高じゃ・・・・」
リリと目が合うと、全く笑っていなかった。
徐々に、瞳からハイライトが消えていく。
リアル天国行きになりそうだな、うん。
「で、でも、リリより綺麗な人はやっぱり見当たらないな!うん 」
どうだ、誤魔化せたか?いや、そんなに甘くはないよな。
「もう、兜太様ったら。照れてしまいます 」
チョロい、チョロいよリリトさん。
絶対、悪い男に騙されるタイプだわ、この子。
駄目だろう、チョロい王女様って。
隣でリリはイヤンイヤンしてる。
「この街は昔、星が落ちて来た場所だったと言われています。大きなクレーターが天然の城壁となって街を守ってくれているのです 」
リリが照れながらも説明してくれる。
でも、城壁が必要って事は戦争とかあるんだろうなぁ。
さっきの大男とか攻めてきたら、五秒で降伏する自信あるね。
「リリ。時間も限られてるし、どこから案内してくれるの? 」
「はい。まずは魔道院から案内したいんですけど、どうでしょうか? 」
「魔道院?!異世界っぽいね!うん、そこに行こう 」
「では、ご案内しますね! 」
と言う訳で、魔法院にやってきました。
図書館と怪しい占い師の店を足して、割った感じだ。
建物自体は俺の高校ぐらいの広さがある。
「ここは、地球でいうと小学校と中学校が一緒になった感じですね。普通の座学と魔法の基礎を学ぶ所です。地球史なんて授業もあるんですよ? 」
「へぇー、リリも此処で勉強したの? 」
「はい、義務教育ですから。城に住んでいても例外はありません 」
「俺も習ってみようかな、魔法とか憧れるし。なんてね、無理だよなぁ 」
生粋の地球人である俺に、魔法はハードルが高すぎるな。
使えたら便利そうなんだけどね。
「良いんじゃないですか?学校に通うのは無理かもしれませんが、城で教えますよ? 」
「え、マジで!俺でも使えるの?! 」
「極稀に、魔力が全くない方もいますが、基本は誰でも基礎魔法なら勉強すれば使えますよ。でも、私、基礎魔法は大丈夫なんですけど・・・・攻撃系の高度な魔法は全く駄目なんですよね 」
「基礎だけでも教えてよ!お願いします、リリト先生! 」
美少女と個人授業、個人授業って言葉は胸にくるものがあるよね。
「はい、是非!こちらこそ宜しくお願いしますね 」
リリはそんな薄汚れた俺の心を疑いもしない、笑顔で答えてくれた。
いやー、リリトさん、ええ子や。
「この施設には、個人の魔力を測る魔道具があります。試しに兜太様も測ってみてはいかがでしょう? 」
「うん、測ってみたい!」
魔道具は直径一メートルぐらいの円だった。
壁に取り付けてあり、老人の顔が彫ってある。
嘘つきは腕が抜けなくなる。
地球の真実の口にそっくりだ。
口に手をいれると魔力を測定できるそうだ。
その名を魔力の口!まんまパクリだった。
「では、私がお手本に測ってみますね 」
リリはそういうと無造作に手を口に突っ込む。
おえぇー!!と、魔力の口がえづいている。
大丈夫なのこれ、彫られた彫刻、顔歪んでるけど。
「魔力が高い程、反応が激しくなります。私、結構自信あるんですよ 」
リリが手を引き抜くと口から紙が出てくる。
3,000Pと書かれている様だ。
これ、彫刻の反応いる?紙だけで充分じゃないかな?!
「平均は500Pぐらいなんです!結構多いんですよ、私! 」
リリが胸を張って紙を見せてくる。
楽しそうだから、彫刻の事は気にしないでおこう。
さて、俺の番だな!セオリー通りなら測定器が壊れる筈だ!
凄い魔力、兜太様、抱いて!と、なる筈だ。
気合を入れて彫刻に描かれた老人に腕をぶち込む。
「さぁー!こい!俺の隠された力!! 」
彫刻は一ミリ反応しない。
あれ?おえぇー!は?顔を歪めておえぇー!でしょ??
だが無反応、変化は無い。
空気が一瞬で凍る、さっきまでの和気あいあいとした雰囲気はどこへ行った。
当然、口から紙も出てこない。
「あの、その、兜太様。」
「うん、大丈夫だから。こんな事だろうと思ってたから 」
「その、私は気にしませんから。兜太様、ど、ドンマイ 」
涙がちょちょぎれた、もう、5月近いのに風が冷たい。
「魔力が無くても、魔道具を使えば魔法は使えますから!大丈夫です!! 」
「え?そうなの??」
「はい、魔道具に魔力を予め保存しておけば、いつでも取り出して使えます 」
そう言って、一冊の本をリリが持ってきた。
本に書かれている事を説明してくれるようだ。
魔力と言うのは、身体から直に湧いてくるものらしい。
これを呼び水にして、魔素と呼ばれる自然エネルギーを集める。
魔力が多い程、扱える魔素の量も増える。
魔道具は、魔力を溜めておくタンクの様な物らしい。
魔力を溜めておけば、魔力が残っている限り効果を発揮する物だ。
電池の様な物だな。
地球に設置してあるゲートの結界も、魔道具で維持しているらしいし。
でも、例外はある様で、肉体強化や治療魔法、珍しいが召喚魔法などは自分の魔力のみで発生させる事になる様だ。
「他にもいろいろあるのですが、基本はこんな感じですね 」
「魔力が無い俺でも、魔道具があれば魔法が使えるんだね。是非、試してみたいな! 」
魔法が使えるってだけで気分が高揚してくる、オラなんだかワクワクしてきたぞ!
魔法院を後にして、次の目的地を目指す。
そろそろ、夕方に差し掛かる時間だ。
目的地は、夕飯の買い出しで忙しなく人が行き来している大通り。
店を冷やかしながら、散策する予定だ。
なんだか、デートぽっくない?これってデートってやつだよね!
「兜太様、申し訳ありませんが、その、少し待っていて貰ってもいいですか?」
トイレですか?うん、行っておいで!なんて言わないよ?
ジェントルマンはさり気ない気づかいが必要なんだ。
黙って、リリにポケットティッシュを渡してやった。
顔を真っ赤にして走って行くリリ、そんなに照れんなよ!
リリを待っていると、城を出た時に見かけた一角の大男がいた。
子分みたいな奴らを連れて、こちらの方へ向かってくる。
「おーおー、臭えなぁ。兄さん、臭えと思わねぇかぁ? 」
どうやら、俺に話しかけてきてる様だ。
絡まれてるよね、俺?相手、三メートルぐらいあるんですけど。
俺もトイレ行っとけば良かった、ちびりそう。
「ソウデスカ?俺には出店のいい匂いしかしませんが・・・・ 」
「あん?馬鹿にしてんのか、人間!お前が人間臭いっていってるだ!!」
ですよねー、わかってますよ、そんな事。
「おい、お前、ちょっと来て貰おうか?良いよな? 」
「いや、連れを待っていますので・・・・ 」
「おい、お前ら!そいつを連れてこい!! 」
へい!と元気が良い子分達に引きづられ、俺は路地裏へ消えていく。
やべー、少しちびったかも・・・・
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