昔の宮殿の大広間のような空間にて、倒れる人影とその脇に立つ人影がある。
「あぁ、魔王よ死んでしまうとは情けない。」と、立っている人影が言う。
「あのなぁ。どこぞの自分の利益の為に民に悪政をしいて、都合が悪くなったら仲の良かった他種族を悪だと勝手に言って、一方的に戦争仕掛けて勇者とかいう暗殺者を送ってくる屑(某有名RPGの王様)と似たセリフ吐かないでくれるか?」
倒れた人物は顔を上げ、立っていた人物に文句を言った。
「すごいディスりまくるねぇ魔王。善政をしいて民に慕われていた君が、殺されるなんて思って無かったよ。」
「殺したのは勇者だからな。あんな死神みたいな化け物に勝てうる奴がいると思うか?我が思うに、あれは人間ではなく悪魔のたぐいだぞ。奴め我が争いを無くそうとしてるんだと熱弁しているのに、聞く耳持たず殺したのだぞ!最悪だ!あいつは。」
ため息をつきながら立ち上がりその鋭い爪の生えた右手を差し出した。もう一人の人物も右手をだし握手をした。
「久しぶりよのぉ閻魔。できればまだ会いたく無かったがな。」
「そうだね。魔王アラン・ドゥ・ナイトメア。会うのは、二百五十三年ぶりだよ。やっぱりまた生き返るつもりかい?」
「あたり前だ。現世にいる我が可愛い魔族たちを残して死んでいられるか!」
「安定の魔族溺愛症だねぇアラン。」
「ところで生き返ることについてだが・・・。」
「条件の事だろ?」
「あぁ、そうだ。」
「復活だからねぇ。自分以外の手助けが必要だ、それも人間のね。魔族は主に‘負の力,を使って生命活動をしているだろ?一回目と同じく、魂を現世に送る力のある‘正の力,が無いんだよ。負の力はこっちに来た魂が作れるけど、正の力の量は一度生を受けた時にきめられるしね。」
彼は緑茶を啜り、
「つまり、正の力を持つ人間の力が必要なんだよ。」
「うむ。それならば、ここから現世に啓示を送って我が〝最高の〟部下に・・・。」
「いや、暴力とかで無理やりやらせたりじゃダメなんだ。恐怖や不安を感じた人間じゃあ正の力が使えないから。だから自ら進んで君を復活させようという人じゃないとダメなんだよ。一回目もそうだったろう。忘れたのかい?しかも、君は負の力が異常なくらい多いから必然的に人間の方も正の力が多くないといけないんだ。・・・〝彼女〟の魂が〝消えていなければ〟よかったのに。」
するとアランは冷え切った声で。普通友人に使わないような声色で。閻魔に言った。「そのことをしゃべるな。たとえ〝貴様〟でも許さんぞ。」と、
それを聞き閻魔は「すまない。思慮浅い発言だった。」と言って頭を下げた。
しばしの沈黙があり、
「・・・それ、復活不可能ではないか?」と、アランが。
「まぁね。僕も未だに二回も復活した奴は見たことが無い。だから、それで復活できたら凄い強運の持ち主だって事さ。君は友として、特別に人間領に復活の台座を移しといてあげよう、人間領のどこに建てられるかは運しだいだがね。普通なら自分が死んだ所にできるものだよ?」
「あぁ!感謝する!やはり、持つべきものは友だな!」と、喜ぶアラン。
「まあ、それはいいのだけれど言いたいことは」まで言った時、客間がガラッと開き、赤い二本角の鬼が入ってきた。
「閻魔様!審判を受けるものが数多く、まだか!と抗議するものが後を絶ちません!至急、審判を再開してください!」
「え~い!うるさい!黙らせておけ!それがお前らの役目だろう!」と、閻魔は大喝してため息をついた。
「大変だな。閻魔。」と、アランは満面の笑みでにやつきながら言った。
閻魔はそれをシカトし、
「言いたいことは,僕からの条件だ。望みの薄い中、君を復活させてくれたのだから君はその人間の三つの願いを叶えろ。これは天国、地獄と現世の調整者としての命令だ。叶えないのなら、また死んでもらうぞ。聞いていたかい?」
閻魔はドスのきいた声で言った。アランはしっかりと首を縦に振って、
「何も、私はそんな狭量な魔族じゃないさ。まぁ、生き返れるまで気長に待とうではないか。」
アランがお茶を飲むと遠くから何かの音が聞こえたので、耳をすますと怒号や罵声が聞こえてきた。閻魔○ね!とか、閻魔早くしろやきもいんだよ不細工め!とか叫ぶ命知らずな奴がいる。とはいえ皆死んでいるわけだが。閻魔を見ると眉間に深々としわがよっている、怒りをこらえているのだろう。アランは気を利かせた。
「話は終わったのか?だったら我の事は気にせず、審判に行って来い。夜になったら久しぶりに飲み明かそうぞ。」
「うん・・・そうだね。もう復活の事について話は無いし、仕事してくるよ。」
そういって閻魔は客間から出ていった。十数秒後、魔王が次々と審判を待っている者たちの名を読みあげ、最後に地獄行きだ!!と叫ぶ閻魔の声が聞こえた。悲痛な叫びの声から察するに、先ほど閻魔に罵声など吐いた輩だろう。三界の調整者が私怨でそういう事を決めていいのかよ。と、アランは心の中でつっこんだ。