久々に書くから最初のほうはてこずるかもですww
―この世界の誰一人、見たことがないものがある。
それは優しくて、とても甘い。多分、見ることができたなら、誰もがそれを欲しがるはずだ。
だからこそ、誰もそれを見たことがない。
そう簡単には手に入らないように、世界はそれを隠したのだ。
だけどいつかは、誰かが見つける。
手に入れるべきたった一人が、ちゃんとそれを見つけられる。
そういうふうになっている。
ここは高須家、ここに住んでいるのは二人の男女だ。男の方は高須 竜児、家事全般が出来、成績優秀、品行方正な優等生である………あるのだが、非常に目つきが悪い。どれくらい悪いかというとぶつかった人間が財布を差し出してくるほどである(本人は超気にしている)。そして、女の方は高須 泰子(やすこ)、見た目が二十代の美女なのだが……驚くことに竜児の母なのである。極度の竜児依存症で最近は隼(はやと)にも依存してきている。
そして、先ほど名前だけ出てきたのが竜児の家でよく寝食を共にする沖田(おきた) 隼、竜児と同じ高校に通っている。竜児の凶悪な目とは少し違いキリッとした目に所々はねた黒髪そして右目に眼帯をしている。成績優秀で運動も出来、人づきあいがいいのでとてもモテるが鈍感なので気付いていない。住んでいる場所は竜児の家の向かいの高級住宅の一室である。
もうすぐ学校の始まる時間だが竜児は必死で隼を起こそうと奮起していた。
「おい!! 隼!! 早く起きろ!! 学校に遅刻しちまうぞ!!」
「ん………ん?」
「やっと、起きたか!?」
「その幻想をぶち壊す!!………むにゃむにゃ…」
「起きてねーーーーーー!!!!!!!!!」
その後、必死で隼を叩き起こした竜児は隼と共に急いで飯を食べ家を出た。今日は始業式があるので二年になってしょっぱな遅刻なんてものを味わいたくない二人は全力で学校まで走った。途中で通学する生徒達が見えてきてからスピードを落とし今は歩いている。
「もう、走らなくても大丈夫そうだな。………竜児、大丈夫か?」
「はぁ……はぁ………なん…で、お前は………息すら切れてないん……だよ」
「お前が運動不足だからじゃね?」
「お前が……異常なんだよ!!!!!!!」
竜児の言うとおり隼の体力は異常でマラソン大会で隼の走りと体力を見た陸上部が「俺……辞めます…」と泣きながら退部届を出しに行っていたほどだ……隼が必死に止めて事なきは得たが……。隼は苦笑を浮かべて竜児のほうを向くと目元を前髪で隠す竜児の姿が映り呆れた。
「お前、まだ気にしてんのかよ?」
「仕方ないだろ………これのせいで今までずっと苦労してきたんだから…」
「俺はその眼、結構好きだぜ。それに外見だけで判断しようとする奴なんざ気にすんな。そんな奴らにお前の良さはわからんよ。」
「……サンキューな、親友」
「どういたしまして、親友♪」
「親友」、これが中学時代からのこの二人の関係である。竜児は隼の過去を知っていて、つらい過去があったはずなのに一生懸命生きている隼を尊敬している。隼も自分の過去を知ってもこうして自分と対等に付き合ってくれる竜児に感謝している。二人が笑いあっていると不意に竜児に生徒がぶつかり財布を落とした。竜児は親切に財布を拾い渡そうとするが相手の生徒は竜児の顔を見た瞬間、顔が蒼白となった。
「ホントにすいませんでした!! その財布はあげるので命だけわ~~~~~!!!!!!!」
『……………………………………』
そう言って、生徒は走り去って行った。竜児と隼は呆然とした後、置いて行かれた財布に目をやった。
「あ~~~~……これどうする? 捨てるか?」
「バカ言うな!! ちゃんと届けるに決まってるだろう!!」
「ホント、お前みたいなやつが怖がられてるなんてバカが多い世の中だな…」
「はぁ………お前は、人気者でいいよな。」
「……………お前はいきなり見ず知らずの奴から『ドラゴン様』って呼ばれたら気分がいいか?」
「……………………俺が悪かった。」
『はぁ……………』
隼にはファンクラブがありファンの子は隼のことを『ファルコン様////』と呼ぶのである………最近の隼の悩みの一つである。二人で溜め息を吐いていると後ろから肩に手を置かれ振り向くと友人の一人、北村 祐作(ゆうさく)が現れた。
「1:ギガスラッシュ、2:オラオラオラオラ、3:メガンテ…………ここは3で…」
「いやいや、なんで全部が攻撃系のものでそして何故ドラクエ系に挟まれてオラオラさんがでているのか、そしてよりにもよって何故自己犠牲技を選択した!!!!」
「ははは!! 相変わらずだな二人とも!! おはよう!! 高須、沖田。」
「はよ~~っす。 相変わらず熱いね~まるお君。」
「おぅ北村、おはよう」
祐作は眼鏡を掛けた容姿に真面目な生活態度から『チビ○子ちゃん』の丸尾君にそっくりなことから女子と隼から『まるお』と親しまれている。三人で雑談しながらしばらく歩き、ようやく学校についた。学校につきクラス表を見ると竜児と隼と祐作は同じクラスだと言う事がわかった。それに…………
「よかったな~竜児♪ 愛しの櫛枝(くしえだ) 実乃梨(みのり)とクラスが一緒じゃないか!!」
「う、うるせぇ!!///」
隼が竜児にだけ聞こえるくらいの声量で竜児をからかう。竜児は女子ソフトボール部の女子部長である櫛枝 実乃梨が好きなのだ。いつもニコニコとしておりマイペースで…これが一番重要なのだが…………本物の…………『天然』である。三人でクラスついた瞬間に周りから声が聞こえてきた。
「うわ、高須君と同じクラスかよ。やっぱ、迫力あるな~」
「ちょっと怖いよな…」
「誰か話しかけてこいよ…」
「いや、無理だって!!」
などなど、竜児はいつものことと溜め息を吐き祐作も苦笑する。だが、隼だけは反応が違っていた。隼は教壇の前に立ち黒板に向かって……
『ドーン!!!!!!!!』
黒板が割れない程度でぶったたいた。いきなりの行動に全員が驚き隼に注目する。隼は不機嫌そうな顔をしてから言い放った。
「てめぇ等、竜児のことをさんざん言いやがって…何様のつもりだ!! あぁ!? 竜児は目つきが悪いかもしれないがなコイツはお婆さんの荷物を持ってやったりボランティアに参加したりといい奴なんだよ!! わかったか!!!!」
『……………………』
竜児は前もって隼に自分のことは気にするなと言わなかったことに後悔した。去年も隼は文句を言おうとしたが竜児が止めたのだ。今年は言わなくても覚えてるだろう的な考えだったので何も言っていないのだ。これで隼まで皆から悪く見られたらどうしようと竜児は考えていたがこれは杞憂に終わることとなった。
「高須君………そのごめんな…」
「目つきが怖いからつい極悪人だと思っちまって………」
「沖田くんも悪かったな……不快な思いさせちまって・・・」
「本当にゴメン!!」
生徒の何人かが竜児と隼のほうにやって来て謝りに来たのだ。竜児と隼は一度顔を合わせ笑顔を作り同時に言った。
『気にすんな、これからよろしくな!!』
こうして早い段階で竜児は皆に安全だと認識されるようになった。そして、友達のために必死になった隼の姿を見て胸を撃たれた女子が居たとかいないとか…………
その後、まだ来てなかったクラスメイト達がやって来て竜児の存在に気付くが他のクラスメイト達が「あいつはいい奴だ」と説明していたので問題はなさそうだった。
「隼…………ありがとな」
「俺とお前の仲だろ………気にすんな。」
「しかし、さすが沖田だな!! あんな状況ではっきりと自分の思いをぶつけられるとわ…………やはり生徒会に入らないか?」
「何度も言ってるが入らん!! あの馬鹿会長にもそう言っておけ。」
三人で話していると一人の女子が近づいてきた。そして、その女子を見て竜児は固まった。笑顔の似合う美少女、櫛枝 実乃梨だった。
「や、北村君! 隼君!! 今年は同じクラスだね!!」
「ん? おお、櫛枝もC組だったのか!!」
「おっす、実乃梨。 大河は一緒じゃねぇのか?」
「大河は今、トイレにでも行ってるんじゃないかな? ……隼君!! 女子にそういうこと言わせちゃいけねぇな~、いけねぇ~よ」
「いや……お前が勝手に言ったんだろうが……おい、竜児…固まってんなや」
「あ、高須君…だよね? 私のこと、覚えてるかな?」
竜児は実乃梨に話しかけられたことによりかなり緊張していた。そして、なんとか言葉を絞り出した。
「…………櫛枝 実乃梨、だろ」
「あらあらまあ! フルネーム覚えてくれたんだ、嬉しいかも!」
その後、実乃梨は女子ソフトボール部のミーティングに向かった。竜児はと言うと実乃梨の一言により頭の中がショートしていた。隼はそれを見て呆れた後竜児の頭に拳骨を落とした。
「いい加減、目を覚ませボケ!!」
「痛っ!! 何すんだ!!」
「お前が先ほどからニヤニヤしているからだ…」
おそらく竜児のニヤニヤを感知できるのは中々いないだろう。竜児は笑うと結構、凶悪に見えてしまうため……。
「たくっ……そのしまりのない面を水道場で洗って来い…」
「わかったよ………」
「あ! 高須!! 前!!」
祐作が言うのと同時に竜児は何かにぶつかった感触を感じた。下を向くとそこにはお人形のように可愛らしい少女が居た。身長は小さく長い髪がふんわりと体を覆っていた。そして、竜児はつい呟いてしまった。
「………………手乗りタイガー?」
「………はぁ…(あの馬鹿…)」
「誰が………手乗りタイガー、ですって?」
次の瞬間、竜児は蹴り飛ばされた。そして、倒れた竜児を見た少女は竜児を一瞥して………
「竜、ね。…………だっさ」
そう言って自分の席に向かって行った。隼は溜め息をつきながらその少女、逢坂(あいさか) 大河(たいが)の元へと向かった。
「おい、大河……フォローする身にもなってくれよ……」
「あっ!! ハヤ君もクラス一緒なんだ!! よかった~♪」
「ハヤ君はやめい……お~い…聞いてますかい?」
「やあやあ、お二人さんお熱いね~。お兄さん妬けちまいそうだよ…」
「みのりん!!」
「何言ってんだ…お前は…」
大河と隼は家が近所という事もありよく顔をあわせるし実乃梨も含めて一緒に行動することが去年よくあったのだ。隼は竜児を誘ってみたのだが『心の準備が出来てない!!』と言っていたので大河と竜児は面識がなかったのだ。大河は実乃梨のことを『みのりん』、隼のことを『ハヤ君』と呼ぶのだ。
「ねぇ、ハヤ君。 学校が終わった後……その……ね……えっと…」
「ん?どした?大河?」
「ななななななんでもない// うん、なんでもないの////!!!」
「お……おう」
「お~!! そうだ!! この後、大河とご飯食べに行くんだけど隼君も来ない? 来ちゃいなよYou~!!」
「……………………(また自分から誘えなかった…)」
大河がどことなく落ち込んだ表情を見せるが実乃梨のほうに意識が行っていた隼は気付くことが出来なかった。
「誘いは嬉しいが今日はダチの家で飯を一緒に作る予定だからパスな」
「そっか~…残念。」
「む~……仕方ない。許してしんぜよう!!」
「何をだよ………」
こうしてこの日は無事に終わり隼と竜児はそれぞれ分担して料理を作り高須家では泰子を含めた三人と高須家のペットであるインコの『インコちゃん』を含め楽しく食事をした。余談だが隼は洋食においては竜児の腕を軽く凌駕するとか……