大河襲撃事件の次の日、竜児は逢坂に電話で呼ばれ逢坂のところへ向かっていた。逢坂の家は竜児の家の向かいの高級住宅だったのですぐに向かう事が出来た。それと入れ違いに隼は竜児の家に向かっていた。
Side隼
高須家に入ったのはいいが、やっちゃん(泰子)とインコちゃんしかいなかった。先に行ったか? でもあいつが何も言わずに行くとは思えんが……。
「なぁ、どう思うよ? インコちゃん。」
「し……し……しら…な………しらたき!!」
「うん、相変わらず意味わかんね~わ♪」
俺はインコちゃんと会話(?)した後、学校へと歩を進めた。俺が学校に向かっていると急に背中に軽い衝撃が走り振り向くとそこには天真爛漫な笑顔の少女、櫛枝 実乃梨が現れた。
「やあやあ、おはよう。隼君!!」
「朝っぱらから元気だなお前は…………おはよ。」
「通学中に会うのは久しぶりじゃないかな?」
「そう……だな。今日は何故か竜児がいなくてな。だからいつもより早く家を出ちまった。」
「それでこうして会えたんだからこれは運命というやつじゃないかい?」
「何言ってんだか………………大河は一緒じゃねぇのか?」
「ノリが悪いな~隼君は……そんなんじゃ芸人にはなれねぇぜい?」
「お前に対するノリがわかんねんだよ!! そして、芸人になんかなるか!!」
「!!?………なんというツッコミ……おいちゃんと天下を目指さねえか?」
「だ~~~~!!!!!! キリがねぇ!! つうかどんどん深みにはまってやがる!!!」
その後、実乃梨は満足したのかようやく落ち着いた。体力には自信があった俺だがわずか数分やりとりに憔悴しきっていた………実乃梨…恐ろしい子!!
「あ、そういえば大河のことだったよね? 大河ならそこの十字路で待ち合わせすることになってるから隼君も私とトークしながら待たないかい?」
「ん~…竜児に置いてかれたし構わないぜ。」
それから二人で仲良く話していると俺と実乃梨の目に信じられないものが映った。大河と一緒に竜児が登校しているのだ。それを見た俺は驚いたが、あることを思いつき二人をからかってやることにした。
「よう、お二人さん!! 仲良く登校かい?」
「隼!? お前、櫛枝とずっと一緒にいたのか!!?」
「お前が置いてくから早めに出たらたまたま会ったんだよ。たく…行くなら行くって言えよ。」
「悪い………って、それと逢坂とはたまたま会っただけだ!! そうだよな逢坂。」
「そうそう、ただ家が近いだけよ。」
「な~んだ、偶然なんだ~……」
「ほらよ竜児♪」
俺はニコニコしながらあるものを竜児に渡した。それは……………
「ん? なんだこれ?」
「何って…………コ○ドームだけど? 二人に必要かなと♪」
『なっ!!!!!!!//////』
「いやぁ~、さすがに避妊はしなきゃね♪」
「バカかてめぇは!!!!!!!!!!」
「なんで私が駄犬なんかと!!!!!!!!!」
「騒いでないで学校行こうぜ」
そう言って学校に向かおうとしたが誰かに肩を掴まれた。俺がそちらに顔を向けるとやけににっこりとした実乃梨がいた。実乃梨は隼を連れて竜児たちから少し離れてから口を開いた。
「なんで隼君はコ○ドームなんて持ってるのかな?」
「…………なぁ、実乃梨? なんか怒ってね? 後、女子があまりコ○ドームなんて口にしない方がいいと思うぞ…」
「なんでかな?」
実乃梨の有無を言わせぬ迫力に俺は冷や汗を流した。そして、こう思った。『俺が一体何をした?』…と。
「いや………春田に貰ってな。春田が『ハヤっちゃんはモテるだろうから持っていた方がいい』と………」
俺がそう言うと実乃梨は普段通りの笑顔を浮かべた。
「そっか♪ そうだよね、いやぁ~超焦ったぜい。」
「(焦ったのは俺だ………だいたい焦ることってなんだ?)結局、何だったんだ?」
「隼君……女は秘密がある生き物なんだぜ…」
「いや、そんな…なんかカッコよく言われても。」
それから俺達は揃って学校へと向かった。途中、大河と竜児がなにやらこそこそと相談をしていたが俺は気にしないことにした。学校についてそうそう俺に近づいて来る奴らがいた一人は黒ぶち眼鏡をかけた男子、能登(のと) 久光(ひさみつ)だ。俺と竜児とは前も同じクラスで仲が比較的いい。もう一人は春田(はるた) 浩次(こうじ)。クラスから『アホ』や『アホロン毛』と呼ばれている愛すべきアホだ♪
「おはよう、沖田、高須。」
「おはよう、タカっちゃん、ハヤっちゃん。」
「おう、おはよう」
「おはようさん。あ、春田!! テメエからもらった物のせいで酷いことになりそうだったぞ!! 一発殴らせろ!!」
「ちょっと、ストップストップ!! ハヤっちゃんの力で殴られたらただじゃ済まないって!!」
そんなこんなで騒がしい朝の時間は終わって待ちに待った体育の時間になった……………くくく…待っていたぞこのときを!!!!! 体育館とグラウンドは俺の庭も同然。はっちゃけるぜ!!
「なんか嬉しそうだな隼………」
「そういや、沖田は普通の授業はふざけてる癖に体育だけは頑張るもんな…………それで成績が良いってんだからたまに殺意わくぜ…」
「え? ハヤっちゃんって頭いいの?」
「あいつ去年の学年主席だぞ……………」
「うぇ!!? マジで!!?」
なにやら竜児たちが話しているが今の俺には聞こえてはいないぜ。どうやら今日の体育はバスケみたいだ…………恋ヶ窪先生……バスケが出来ます!! まずは準備運動とパスボールを二人一組でか…よし、竜児と組むか…………と思っていたら。
「それじゃあ準備運動から始めるぞー。二人一組になって広がれ」
「へい逢坂っ!!」
「はいここっ!! 組みましょう高須くんっ!!」
何やら、竜児は大河と一緒に組んでいた。今日はそういう日なのか? 男女ペアってことか? さて、誰と組むか………俺は周りを見て考えた。
SideOut
Side竜児
体育の授業が始まる直前、俺は逢坂と作戦を練っていた。最初の準備運動の二人一組のペアをきめる時にまず俺と逢坂が組む。そして、隼と組んでる相手にボールをぶつける。ケガをしてなくても無理に保健室に連れて行く。結果、逢坂と隼のみが残るという作戦だ。…………だが、俺は一つ疑問に思った。
「なぁ、逢坂………」
「……………なによ?」
「お前、隼とは親しいんだろ? だったら普通に誘えばよくないか?」
「え………えっと………その………恥ずかしくて誘えたことないから///」
だいたい櫛枝と三人で行動することが多かったらしいのでだいたい誘っていたのは櫛枝かららしい…………俺も隼に誘われた時に勇気を振り絞って行けばよかった…………。そして、俺と逢坂がペアを組んだのを見てからそれぞれ男女でペアを組みだした。待てよ………その場合、俺は女子にボールをぶつけなきゃならないのか!!? そして、隼の方を見て見ると…………
「隼君、一緒にやろうじゃないか!!」
「おぅ、いいぜ!! 超高速のパスワークを皆に見せつけてやろうぜ!!」
「相変わらず体育では熱いね~………だがその話乗った!!」
『…………………』
俺と逢坂は呆然とした。何故ならそれぞれの好きな人が一緒にペアを組んでいたからである…………俺が櫛枝にボールをあてるのは…………絶っ対!! 無理だ!! 多分、逢坂も親友にぶつけろとは言わないだろう………この作戦は失敗…
「………心苦しいけどやりなさい」
「やるのかよ!! 普通、中止じゃねぇのかよ!!」
「大丈夫よどうせ本気では当てないんだから……………それに、みのりんと一緒に保健室で過ごせるかもしれないわよ?」
櫛枝と保健室……だと!!? ………なんというシチュエーション……しかし、男が女にボールを当てるのは………だけど櫛枝と………う~~~~~ん………
「へい、竜児!! パスパスパース!!!!!!!」
「あ~~~~もう、どうにでもなれ!!!!!」
俺はボールを逢坂に向かって投げた。これで逢坂が避ければ櫛枝に当たる………はずだったんだが運の悪いことに投げた瞬間に逢坂はくしゃみをしてしまい顔面にクリーンヒットしてしまった………結局、俺は櫛枝ではなく逢坂を保健室まで運んで行った。
SodeOut
Side隼
昼飯時になり竜児がいきなり大河に『体育のときのことをゆっくり謝りたいから一緒に飯を食べないか? 櫛枝と隼も一緒に』と言いだした。あれ? 竜児の好きな人って実乃梨じゃなかったっけ? そんなことを話しているとまるおがやって来た。
「おお、皆で飯か? 俺も入れてくれ!!」
「ああ、別に構わないぜ」
「そんじゃ、机くっつけるか……竜児、まるお手伝え。」
机を二つ使ってそれぞれ席についた席順は実乃梨の隣に竜児、俺の隣に大河、真ん中にまるおだ。と、いうか席につくまでの竜児と大河の行動が意味不明だった……なんか踊ってるようにも見えたが………仲良くなったんだな…お兄さん嬉しいよ…。
「………なぁ、北村…なんで隼の奴、哀愁漂った表情をしてんだ?」
「いや、俺にはまったくわからんが何かあるのだろう。そっとしといてやろう。」
「へへへ………隼君が気付いてないうちにこの唐揚げもらってやるぜ!!」
「みのりん駄目だよ勝手に取っちゃ!!」
「ごめんね大河………でもね…女にはやらなきゃならないときがあるのよ!!!」
何やら俺が物思いにふけっている間に俺の弁当に近づく箸の存在に気付いた。ふっ……甘いわ!! 俺は持っていた箸で実乃梨の箸を止めた。
「な……………んだと…」
「甘いな~~~実乃梨…………砂糖漬けしたフレンチトーストに練乳とチョコレートシロップを一気にかけたくらい甘いぜ…」
「確かにそれは甘そうだな…」
「と、いうか食べたら一瞬で虫歯になりそうね…………」
俺達がそんな馬鹿を言いあっていると実乃梨とまるおが部活のミーティングに行ってしまった。そして、それと同時にクラスにある人物がやって来た。
「いいところにいたな隼………ちょっと来い。」
「………今、食事中なのですが?」
「生徒会長命令だ。」
「こんなとこで権限使うなよ!! あんたにはびっくりだよ!!」
「いいから行くぞ」
俺はそのまま生徒会長に引っ張られて連行された。生徒会長狩野 すみれ(かのう)簡単にいえば完璧超人だな。大和撫子って表現が似合うんだが………どうも男勝りな性格のせいでなんか親分っぽいんだよな……。結局、着いた場所は何故か屋上だった。
「会長~~……結局、なんなんすか? また生徒会に入れってやつだったらお断りしますよ」
「むっ……何故だお前の力ならこの学校を楽しくすることが可能だろう。」
「そういったことはまるお……祐作で間にあってるでしょ…それともアイツが信用ないんですか?」
「そんなことはない………そんなことはないが……」
「『夢』っすか……」
「あぁ……夢のためにも私は留学する…」
すみれの夢は宇宙に行くことなのだ。そしてそのためにも留学をしなければならない。だがすみれは祐作の思いに気づいていたのだ。
「あいつは……祐作なら大丈夫っすよ。あいつはそんなに弱くねぇから。」
「…………そうだな、アイツもわかってくれるだろう。」
「時が来たらアイツに話してやるといいですよ。多分、応援してくれんじゃないっすか?」
「だといいな」
そう言って笑いあっているとチャイムが聞こえてきたので俺たちはそれぞれの教室へと戻って行った。…………この時の俺の考えは甘いものだと知るのはもう少し後のことになる。
本日、最後の授業である調理実習が終わった。ふむ……我ながら中々よい出来栄えだ!! 俺が自画自賛しているとなにやらこそこそとしている竜児と大河の姿が目に入った。
「おっす、竜児、大河。何やってんだ?」
「おう、隼ちょうどよかった!! ……ほら早く渡せって…」
「……わかってるわよ………あのハヤ君、私のクッキー食べてみてくれない?///」
「おぅ…女子からの手作りクッキーとは……中々、レベルの高いものを…」
なにやら竜児と大河が小声で話していた気がするが気にすることでもないだろう……俺は大河からクッキーを受け取りそれを食べた。…………うん、これは………
「………………ふむ……………」
「ど……………どう?」
「惜しいな……………………」
「へ…………?」
「塩じゃなくて砂糖を混ぜてたらよかったな♪」
「………………(しまったーーー!!!!! コイツが思ったことをストレートに言う奴だということを忘れてたーーー!!!! つうか塩と砂糖を間違えるとかベタだなおい!!!!!!)」
なにやら大河は目に見えるくらい落ち込んでるし竜児は頭抱えてるし………カオスだ…。とりあえず、大河の口に俺の作ったクッキーを入れてみた。
「もがっ……………」
「お?大きすぎたかな? 大丈夫か?」
「…………………………/////////////」
なにやら大河は顔を真っ赤にして完全にフリーズしてしまった。とりあえず……………この状況をどうしよう………。
SideOut