学校が終わった後、隼は一人で家に帰っていた。何故、竜児と一緒ではないかというとまた声もかけずに消えてしまったのだ。そして、夜になり空腹を感じた隼は暇つぶしを兼ねて高須家に向かう事にした。
Side隼
竜児の家に無断で入ったのはいいんだが何故か大河が一緒にいた………………つまりそういうことなのか? まずいな………だったら俺がここにいるのは都合が悪いだろな。とりあえず俺は無言でコ○ドームを差し出してみた。
「だからいらないって言ってんだろが!!!!!」
「!!!? つけずにやるきだったのか!!?」
「私とコイツはそんな関係じゃない!! ていうかなんでハヤ君がいるの!!?」
「竜ちゃあん、あんまり騒いじゃ駄目ぇ~」
「あっ、やっほ~やっちゃん。」
「あ~やっほ~、はーちゃんも来てたんだ~。」
俺達が騒いでいると襖が開き中々エロい下着(洋服)をつけたやっちゃんが現れた。というか『はーちゃん』は止めてくれないかな……照れ臭いんだが…。
「おまっ…なんて格好してやがる!!?」
「かわいいでしょー、大河ちゃんはあ、どー思う?」
「そこ、パンツが透けてる」
「きゃー! ほんとだあ!」
『だがそれがいい!!!!!』
「黙ってろ!! 馬鹿ども!!!」
怒鳴ることないだろ………、そして大河は何故にジト目で俺を見る? 俺が何かやったか? その後、やっちゃんは仕事に向かって行き俺は改めて竜児たちに聞いてみた。
「えっと~、お前ら付き合ってんだよな?」
「ちょっと待て!!! なんでそうなる!!!」
「そうよ!! なんで私がこんな奴と!!」
「だって、クラス中で噂になってたぜ?」
俺がそう言った瞬間、何故だか二人は凄い凹んでいた……………。付き合ってることがそんなに恥ずかしいことなのか? 俺だったら彼女が出来たら『うっひょ~、彼女が出来たぜーーー!!!!!!』といった感じに自慢しまくると思うが……。よし!!! 一肌脱いでやるか!!!
「安心しろ!! 俺に任せとけ竜児、大河!!」
「本当か!!?」
「おう!! 友の悩みは解決してやらなきゃ男が廃るってもんよ!!!!」
「ありがとう!! ハヤ君!!」
そう言って俺は高須家を出て家に帰った後、携帯とクラスの連絡網を取り出した。さて、決行は明日の朝だな!!
SideOut
Side竜児
朝、大河を起こして隼の家にも向かったが隼はすでに家を出ていた。何か用事があったのだろうか? 俺はそう思い逢坂と一緒に登校している。
「あれ?」
「ん? どうした?」
「待ち合わせ場所にみのりんがいない……先に行っちゃったのかな?」
確かにいつもこの十字路で逢坂を待っている櫛枝がいなかった。逢坂は不思議に思いながらもとりあえず学校に向かう事にした。クラスの前に着きドアを開けた瞬間だった。
『おめでとーーーーーーう!!!!!!!!!!!!』
いきなり皆がそう言ってクラッカーを鳴らしたのだ。もちろん意味がまったくわからない俺と逢坂は呆然とするしかなかった。
「え………とぉ……何が?」
「何って………お前と逢坂が付き合う事にたいして祝ってるんだが?」
「付き合ってるとは思ってたけど本当に付き合ってるとはね~」
「タカっちゃんも教えてくれたらよかったのに。」
「水臭いぞ高須!!」
…………どういう事だ? なんで俺と逢坂が付き合ってることになってる? 逢坂の方を見るとこちらもかなり動揺していた。
「高須君……………………」
「く、櫛枝?」
「大河のことをよろしくお願いしまあぁぁぁぁぁあす!!!!!」
「はっ? いやいやいや!! それは勘違いだk」
「私の親友をよろしく頼みます!! それと悪く言う奴がいたらクラス全員でそいつをとっちめるから安心してね。」
俺の反論もむなしく櫛枝は笑顔でそういった。この瞬間、脈が全然なかったことを知った俺は反論する気力もなかった。そして、逢坂のほうを見ると。
「いやぁ~、頼んでみるもんだな!! 安心しろ竜児、大河!! お前たちは俺達が暖かく見守ってやるからな!!!」
そんなことを逢坂の目の前で言っている隼の姿があった………大河も俺と同じように反論する気力を失っていた。
それから俺と逢坂はゾンビのようにファミレスに入り浸りお互い無言でテーブルに突っ伏していた俺は渾身の力を振り絞って口を開いた。
「なんで……こん…な………ことに…………」
「……………………」
頑張って出たのはこれだけだった。どこで間違ったのだろうか? どこで勘違いされたのだろうか考えるとキリがない。俺が悶々と悩んでいると逢坂が口を開いた。
「…………暖かく見守ってる……か……」
「…………逢坂……」
大河は自嘲気味に呟いた。……………傷つくのには慣れていたはずだった………誤解されても…………勘違いされて色々想像されるのにも慣れていたはずだった。でも………脈が完全になかった………これだけのことでこんなに傷つくとは思いもしなかった…バカだな……最初から期待してる時点でおかしいのに、特別好かれているわけでもないのに、なんの行動も起こしてないのに、なに期待してたんだかな………
「うん………………決めた」
逢坂はそう言って立ち上がり外へと向かった。俺は慌てて会計を済まして逢坂を追った。
SideOut
Side大河
ファミレスを出た後、私は夜道を歩きながら隣にいる高須君に話した。家族と折り合いが悪くてケンカばかりして引っ越して今のマンションを宛がわれたことを………
高須君は笑った。楽しそうに、優しく、そしてつらそうに………高須君には感謝してる。高須君は見ず知らずの私の手伝いをしてくれた。………ま、まぁ…多少、脅した感はあるけどそんなのノーカンよノーカン!!! 高須君は私にご飯を作ってくれた。やっちゃんも私を可愛がってくれた楽しかった…凄く暖かかった……だから………終わりにする
「明日、ハヤ君に告白する」
「逢坂?」
「これで全部終わりにする、あんたの犬の奉公も全部」
高須君が驚いた顔で私を見る。確かに今日の感じだとハヤ君は私のことを恋愛対象として見てないかもしれない……うん…怖い…凄く怖いよぉ……でも私は前に進みたい、このままじゃいけない…高須君にも迷惑がかかる……それに……気持ちを伝えないまま終わりたくない!!! 高須君は私の頭にポンと手を置いて笑顔で言った。
「応援してる」
それから私と高須君は談笑しながら帰る途中に電信柱を見つけて思いっ切り不満をぶつけた。なんで私が色々言われなきゃならないのか、手乗りタイガ―?ふざけんな!!!! なんでみんな話を聞いてくれないの、なんで勝手に決め付けるの……なんで? なんでなんでなんでなんでなんで!!!!!??
私は一心不乱に電信柱を蹴り続けた。途中で高須君も思う事があったのか不満をぶつけて蹴っていた。そのあと、通報があったのか私達は警察から逃げるように去って行った。
家の前までつき私は時計を見ると23時59分を指していた。あと少しで今日が終わる…
「3…2…1……これであんたはもう自由。それじゃあ」
「おう。…………あ、明日!! 明日頑張れよ!!!」
ありがとう………
「ばいばい………『高須君』」
SideOut
Side隼
次の日の朝、クラスに入った瞬間、俺は自分の目を疑った。教室の中がめちゃくちゃになっていたのだ。
「…………………何事だ?」
「あっ!! 沖田!! 大変だったんだぞ!!」
「手乗りタイガーが大暴れしたんだよ!!」
「大河がやったのか!!?」
話を聞いたところどうやら竜児と大河は付き合ってなくそのことに対して大河は暴れたらしい…………なるほどな。俺は皆に向かって頭を下げた。
「すまん…………俺のせいだ……。俺が早とちりしたばかりにこうなった……」
「隼君………。隼君だけのせいじゃないよ。私だって…」
「そうだよ!! 隼君が悪いわけじゃないよ!!」
「俺ら全員、共犯だ……そんなに思いつめるな…。」
全員の言葉がありがたかった。俺は竜児の前に行き再び頭を下げた。
「竜児…………すまない。」
「気にすんな。誰にでも間違いはある………それにその言葉は後で逢坂自身に言ってくれ。」
「あぁ……」
後で大河にも詫びよう………。そんなことを考えているとまるおが現れ『おっ!!? なんだこの惨状は!! クラス委員である俺が遅刻するだけでここまで風紀が乱れるというのか!!?』と叫んだ。………………空気読め、ボケ!!
SideOut
Side竜児
あの後、隼は逢坂に謝った。その時に逢坂が放課後、話があると隼に伝えた。逢坂は昨日、俺に言った………『これで全部終わりにする』と……『バイバイ高須君』と…。告白現場を覗きに行くのも野暮だから俺はトイレに行った後、帰ろうとしていた……が、よりにもよってあの馬鹿は男子トイレの真下で告白をしていた……。
「ハヤ君………私は……その………ハヤ君のことが好き!!」
「…………………………」
言った………。アイツが一生懸命勇気を振り絞って言った一言に対し隼は……
「………よかったぁ~~~~」
「へ?」
「いや、今回の件で大河に嫌われてるんじゃないかと思ってさ…本当に嬉しいよ。」
「じゃ…じゃあ!!」
「俺も『友達』としてお前のことが大好きだ♪」
そう言った………。逢坂は『そういう意味じゃない』と叫びたいんだろうが大河の背中は震えており声に出すことが出来なかった……。その後、二人はまた明日と挨拶して別れた……………
あいつは多分誰にもわからない場所で一人で泣くはずだ…短い付き合いだがアイツのことはよくわかる。
問………………高須竜児はどうするべきか?
答………………『そんなの簡単だ』
俺は逢坂の元へと駆け出した。
SideOut
逢坂と別れた隼は花壇のある場所を曲がった瞬間、壁に片足をつけて立っているすみれに会った。
「こんなとこで何してんすか? 会長。」
「…………………………なんで、あんな断り方をした。」
すみれは真っ直ぐな目で隼を見つめた。
「………………なんのことですか?」
「とぼけるな。 先ほどの女の子とのやりとりだよ……………お前、本当はわかってたんだろ?」
「…………おっしゃってることがわかりません。そんじゃ、俺は帰るんで…」
「あの子じゃねぇのか? お前が前に言っていたほっとけない女の子ってのは?」
隼はすみれの一言に一瞬、足を止めた。そして、隼は口を開いた。
「……………あの子の傍にいるべきは俺じゃない…。それに……………俺に人を好きになる資格はない…。」
そう言って去って行った。隼が去った後、すみれは拳を強く握り壁を叩いた。
「私じゃ……支えにはなれねぇのかよ…」
その言葉は風に乗ってすぐに消えた。
Side隼
会長と別れた後、俺はたまたま竜児と大河を見つけた。
「大河!!」
「大河ってあんた………」
「俺は竜だ。お前は、虎だ。………虎と並び立つものは、昔から竜だと決まっている。だから俺は竜になる。そんでもってずっとお前の傍に居続ける」
すると、大河は泣きだした。自分をちゃんと見てくれる奴に会えて嬉しいんだろう…………その後、笑顔になった大河の表情は俺には見せたこともないぐらいの綺麗な笑顔だった…………。
「竜と………虎か…………ふっ…確かにぴったりだな。」
俺は少し自嘲気味に笑い竜児と大河の向かって行った方向を見た。そして、一人呟いた。
「なら俺は隼になる………………お前らの行く道を見守り続ける孤高の隼となる。」
俺はそう言って家路についた。
SideOut
この日から……竜と…虎と…隼の奇妙な関係が出来た。