~朝6:00~
ピピピ!ピピピ!
ザザ…
〈ヘイ!YO!早く起きやがれ!じゃねえと三味線が一本出来上がるぜ!?〉
薄明りの光が差し込んで明るくなったこの部屋で、電子時計が設定された時刻に起動し、ウザい声を部屋いっぱいに響かせた。
ゴロゴロ…
部屋の中央に鎮座する山。ただの膨らんだその布団は、上下運動をゆっくり繰り返している。この布団の中に部屋の主が眠っているようだが、一向に起きようとする気配が無い。
〈Forrrrrrrrrrrrrr!早く起きやがれ!じゃねぇとレモンぶちまk―〉
刹那、布団から一本の腕が伸び、電子時計に突き刺さった。ピンクと肌色をたして2で割った感じの色をした毛が生え、一種の獣を連想させる。
「…」
~数十分後~
ガチャ
マンションのような建物から、一匹のネコのような生き物が出てきた。2足歩行にサラリーマンの服という、明らかに人間っぽい服装をしている。片手にはボストンバッグ。大きくつぶらで青い瞳をしているが、やる気のない中年男性のような表情は、妙に現実感がある。
「はぁ………」
どうやらこの惑星にも地球と同じく仕事はあるようだ。これから出勤でもするのだろうか、この表情で。
「ああぁ…だりぃ…、のニャ~」
ぶつくさいいながらアパートの階段を駆け下りていく。
「―聞いたかニャ?また地球で全面戦争があるらしいニャよ?」
「ほんとかニャ!?最近は何の音沙汰も無かったのに…」
「これで何回目ニャ?第八次世界大戦が終わったばかりニャ…」
階段を駆け下りていく最中、そんな会話が聞こえてきた。なにやら朝の会話とは思えない内容だが…。
「どうも、おはようさん」
二人が田中へと顔を向け、駆け寄ってきた。
「ニャニャ」
「おはようニャ、田中さん!」
どうやら彼は田中という名前のようだ。地球の極東の島国を連想させる不思議な名前である。
「今日は何処の惑星に脅迫商談をしに行くのニャ?」
「いんニャ、今日は社内のクリーニングだよ」
「クリーニング…!?」
一人がその単語に大きく反応し、その身を震わせる。
「社内にいる社員達ごと洗い流した後に、何事も無かったかのようにインテリアや家具、その他諸々を置いていつも通り仕事し始めるという、あのクリーニング!?」
一体、彼らの社会制度がどうなっているのかは、彼らにしかわからない。
「大丈夫ニャ?」
「ハッ!?あ、あぁ…大丈夫ニャ」
ブルブルブル
〈あくしろよ…〉
腕に面白半分で取り付けたBL物の時計(定価4250円)が、設定した時間になったことを知らせる。
「もう行くニャ」
「いってら」
「いってらっさいニャ」
走りだしたのは良いものの、このままでは遅刻が確定してしまう。そう思ったかどうかはわからないが、田中はおもむろに携帯を取り出し、電話ボタンをポチリ。
「あ、光速自動車会社でしょうか?今すぐに一台借りたいのですが…」
立ち止まって周りを見回す田中。
「大丈夫です。付近には誰も…、あっ、はい、お願いします」
携帯をしまうと、見計らったように上空から轟音が近づいてくる。ニャンコ星での乗用車、『SORA-ToBe』。通称、ソラと言われる乗り物である。地球にある自動車と何ら変わりない外見だが、浮いている。そして、後方にはジェットエンジンらしきものが取り付けられているようだ。
「…」
地面にゆっくりと着地したソラに乗り込むと、急いでシートベルトを付ける。
「自動運転、K社まで最大全速」
田中がそういったのも束の間、ソラは音速で上空へと舞い上がり、雲の中へと消えていった。
イメージ絵が出来ました。絵は壊滅的ですが、自分の頭のなかでのニャンコ星人は皆、こんな風貌をしてるんです。