Fate/reverse alternative   作:アンドリュースプーン

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第33話  師弟遭遇

「ソラウ。それじゃあ私は柳洞寺へと赴く。不埒な侵入者があれば直ぐに私へ連絡をしてくれ。ランサーとのラインはあるから、ソラウなら簡単なはずだ」

 

 ケイネスは普段の彼からは信じられぬ畏まった表情でソラウに言う。

 ソラウの反応はといえば実に簡素だ。これより戦場に赴く未来の夫を心配そうに気遣うでもなく「ええ」と貴族らしく頷く。

 

「期待しているわよ、ロード・エルメロイ。今度こそは時計塔の天才講師の名に恥じぬ戦いを見せてくれるのでしょうね?」

 

「も、勿論だとも!」

 

 ソラウの視線には皮肉と疑いが混ざっている。

 それも無理のないことだろう。この聖杯戦争が開幕してからケイネスとランサーの挙げた首級はゼロだ。未だ誰も討ち取れていない。

 初戦はアサシンの真名を看過(というより勝手に名乗ったのだが)し、アサシンに重傷を負わせるところまではいったが仕留めるまでにはゆかず、第二戦は令呪の一画を消耗しながらもアーチャーと遠坂時臣を討ち取ることはできなかった。

 ケイネスとしてもそろそろ華麗に敵の首を討ち取りたいところなのだ。己が名誉のためにもソラウの信頼のためにも。

 だからこその柳洞寺だった。

 柳洞寺にはセイバーとそのマスターが陣取っているという。セイバーは最優のサーヴァントであり、マスターの衛宮切嗣は腕利きの殺し屋で自分の拠点を破壊した不埒者。

 この者達を討ち取ればソラウも自分を見直してくれるだろう。

 ケイネスの行動にはそんな打算があってのものだった。

 ちなみに柳洞寺へ赴くのに遅れに遅れたのは一重にソラウのご機嫌取りで……ゲフンゲフンッ。工房の防御を完璧にしソラウの安全を確保するためだ。

 侮るなかれ。

 遠坂時臣以来まるで戦いをせず双子館に引きこもっていたケイネスとランサーの構築した工房は、原初のルーンをもつランサーの協力もあって神殿クラスにまで迫ろうとしている。

 壁や柱の隅々まで魔力を通した双子館は物理反発結界により爆発の衝撃だろうと吸収し受け流すし、ケイネス・ランサー・ソラウ以外の人間が双子館の敷地に足を踏み入れた瞬間、その人間はこの地に根付いていた地縛霊や悪霊、そしてケイネスが使役する"魔”の呪いと怨念を一斉に受け内部から融解することになる。

 また長距離からの狙撃攻撃にも警戒を払った。双子館を中心とした半径100mにほんの僅かな空間の歪を生み出すことで、例えミサイルがここを狙おうとその空間の歪に躓き決して双子館に命中することはない。

 更に更に。もし最初の内部から融解するトラップを突破できたとしても、その直ぐ後には時間操作の魔術を応用した結界を創り上げており、そこに踏み込んだ瞬間、その者の精神は時の牢獄に取り残されることになるだろう。

 その他それに匹敵する罠が合計71。魔術師どころではない。例えサーヴァントだろうとこの神殿に踏み込むのには手古摺るだろう。いやサーヴァントであるランサーの力も働いているので或いは運良ければサーヴァントすら仕留めてしまうかもしれない。

 

「ふっふっふっ……我ながらエクセレントにパーフェクトだ。爆破解体だろうとミサイルでもなんでもきたまえ。その悉くを撃退してみせよう」

 

「セイバーか。そういや一度も面見てねえな。最優の名に恥じぬ力があれば俺はそれでいいけどよ」

 

 ランサーの方も意気軒昂のようだ。

 強者との凌ぎ合いのみを求めて聖杯戦争に参加しているランサーだ。彼にとってもセイバーのサーヴァントは極上の敵対者に違いない。

 

「それじゃあ行ってらっしゃいケイネス。相手は三騎士の中でも随一の対魔力をもつセイバー。魔術師の貴方じゃどうあっても勝てない相手よ。注意することね」

 

「分かっているとも。行くぞランサー、今宵は敵の首級を持って帰るまでは帰らんぞ!」

 

「アトゴウラってわけかい? ってことは今度ばかりは敵を見逃すわけにゃいかねえな。遠坂時臣みてえに」

 

「その通りだ。だから貴様もゆめゆめ敵に温情をかけるなどはするなよ?」

 

「当ッたり前だ。情がねえなんざ言う気はねえが、敵に手心加える気なんざ今も昔も持ち合わせてねえよ」

 

 ケイネスはソラウをもう一度だけ振り返ると双子館を出た。季節が季節のせいか虫は鳴いておらず、夜の冬木市には冷たい空気と真っ暗な空のみがあった。

 常人なら寒さで震えるくらいはしたかもしれないが、そこは天下のロード・エルメロイ。着ている服もなにかと特別性なので寒さくらいはどってことない。

 

「俺としちゃセイバーよりもうざったいアーチャーから始末しておきたかったんだがな。……やっぱり工房が破壊されたことがムカついてるのか?」

 

「減らず口を叩くなサーヴァント。……まぁ、それもある。近代兵器を使っての爆破など……かような下衆の手段で我が城塞を壊した不届き者には然るべき誅罰を下さねばならん」

 

「俺には理解できんが、俺達風に解釈すんなら四枝の浅瀬を破って一騎打ちに乱入してきたようなもんか? そりゃ腹も立つわな。で、それ以外は?」

 

「遠坂時臣……あの男は正に私にとって最高の敵対者。このような序盤で下してしまうのは惜しい。あの男との戦いはもっと華やかな、そう……聖杯戦争の終盤。フィナーレを飾るものでなくてはな!」

 

 遠坂時臣の実力はケイネスにとっても予想外だった。

 無論、ケイネスも時臣の実力くらいは又聞きで訊いてはいたとも。

 宝石翁の弟子の末裔というのもあるが、時臣は時計塔でかなりの実績を残しているし広く人脈も持っている。宝石魔術について目を通した際にその名を目にする時もあった。

 だからこそケイネスは『遠坂時臣』という魔術師を自分と同じ優れた血統と才能をもつ魔術師なのだと当然のように思い込んでいた。

 しかし実際はどうだ。

 講師という役職柄というべきか。ケイネスは魔術師の技量を見抜くだけの観察眼がある。それは『魔術の腕』にのみ働く観察眼なのでそれ以外の才能を見抜けないという欠点があるのだが、それは今は置いておこう。

 その観察眼は正確に『遠坂時臣』という男の魔術師としての技量を把握した。

 驚くべきことだが、自分が創り上げた最強の礼装『月霊髄液』を真正面から打ち破った男は――――限りなく凡才だったのである。

 ケイネスは自分の『才能』を自覚しているが誇ったことはない。ケイネスが誇りにするのは名門魔術師の頭首としてのものであり、己が才能を誇った事は一度としてない。

 才能があるのだから優れた結果が付随するのは至極当然のことであり、優れた結果には『才能』があってこそとすら考えてもいた。

 それを覆したのが遠坂時臣である。

 彼には才能などない。凡人からみれば遠坂時臣は『天才』のように見えるかもしれないが、本当の『天才』であるケイネスから見てあれは『凡才』だ。

 ならばどうして『凡才』の時臣がケイネスと互角に戦えたのか?

 単純である。時臣は才能がないからこそ、努力をした。何度も何度も、報われるかどうかすら定かではない努力を延々と反復し繰り返した。

 そうして完成したのが遠坂時臣という魔術師である。

 

――――これは、素晴らしい!

 

 才能こそが魔術師の全て。才能がなければ結果は伴わぬ。そういう固定観念を抱いていたケイネスにとって、時臣はその常識を打ち破るイレギュラーであった。

 その遠坂時臣をそこいらの雑魚と同列にただの敵として扱う事は許されない。

 遠坂時臣こそロード・エルメロイの経歴に燦然たる名を残す武勲となるに相応強い。彼の者以上の武勲はこの聖杯戦争にはないだろう。

 ケイネスは時臣に対して『尊敬』の念すら抱いていた。

 

「最上の獲物は最後で。だけど俺からすりゃ最上の獲物が最初なんだがな。相手がセイバーとなりゃ」

 

「文句を言うなランサー。……それにセイバーのマスターを排除せねば、思う存分に魔術戦にも興じられん。魔術師の誇りをもたぬ下衆は掃除しなければなるまい」

 

「掃除とはいうが、館の掃除は俺に任せっきりだったじゃねえか?」

 

「黙れ馬鹿者!」

 

 ランサーとケイネスは二人、柳洞寺を目指す。

 しかし二人は知らない。柳洞寺が既に陥落しており、セイバーと衛宮切嗣はそこにいないことを。遠坂時臣は衛宮切嗣によって重傷を負い、言峰綺礼の手によりこの世から消されたということを。

 

――――そして二人が館を出たことを見ていた死神の使いの存在を。

 

 ケイネスもランサーも気付かぬままに館を出る。

 ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリに危険が迫ろうとしていた。

 

 

 

 ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリ。ケイネスの前でこそ、貴族らしい品格と、高飛車で女帝さながらの風格を見せる彼女だが実際彼女はケイネスのことを嫌っている訳ではない。ただ特に好いているわけでもないが。

 彼女は元々降霊科学部長を代々担う時計塔魔術師の名門ソフィアリ家の息女として誕生した。

 だが名門魔術師の娘とはいえ、魔道とは『天秤』のような例外を除けば一子相伝が基本である。

 ソフィアリ家を継ぐのはソラウの兄だと決まっていたので、本来ならばソラウは魔道とはなんの関係もなく生きていく筈だった。しかし時代がそれを許してはくれなかった。

 当時ソフィアリ家は深刻な権力闘争の渦中にあり、ソフィアリ学部長や後継者の兄はいつ死んでもおかしくはなかった。

 ここで問題となるのは後継者である。

 ソフィアリ学部長が死ぬのは――――言い方は悪いが、まだどうにでもなる。その後を息子が継げばいいだけなのだから。

 魔術師とは個人ではなく家という群体。後継者さえいれば頭首が死のうと問題はない。

 しかし後継者が死ぬのは大問題だ。もしも後継者を失い、ソフィアリ学部長までもが死ねば名門ソフィアリ家は没落を余儀なくされる。

 そんな状況下で所謂『保険』として魔道の教育を施されたのがソラウだ。

 ソラウには優秀な血族による優秀な魔術回路があり、魔術師としての素養ならば一級品であった。長男さえいなければ頭首にしても遜色ないほどに。

 もしも後継者である兄が死んだ場合、ソラウに魔道の力があれば後継者をソラウにすることができる。そのためソラウは幼少時から後継者ではないにもかかわらず後継者となれるだけの魔術の基礎を教えられてきた。

 だが結果的にソフィアリの兄妹は二人とも権力闘争を生き抜き魔術刻印は兄が継承することになる。そうなると次はソラウの扱いが問題となった。

 ソラウには優秀な魔術師としての素養と魔術師としての知識がある。それは基礎的なものではあるが、一度魔道を進み魔道を身に刻んでしまった以上、今更になって一般人のままというわけにはいかない。

 だがソラウの素養は確かなもの。頭首とすることは出来ないが魔術師の弟子としての魅力はあるし、男を蕩けさせる美貌、なにより新たなる優秀な魔術師を生むための胎盤としての価値もあった。

 その『商品価値』を見込まれ、以来ソラウは政略結婚の道具として扱われてきた。

 ソラウがケイネスの前で高飛車かつ尊大に高嶺の花として振る舞うのは己が『商品価値』を高めるための処世術である。

 『商品価値』として育て上げられたソラウは、そのために何事にも『情熱』を感じられなかった。

 言い寄ってくる男は数えきれないほどいたし、父の紹介で優秀な魔術師の嫡子という者にもあきれ果てるほどに会った。

 ただソラウにもそれに不満があるわけでもなかったので、ソラウはただ唯々諾々と刻まれた処世術に従い高嶺の花として振る舞ってきた。

 ケイネスとの婚約もその一貫である。否、ソラウ・ヌァザレ・ソフィアリという『商品』の集大成というべきかもしれない。

 ロード・エルメロイ。時計塔の若き俊英。神童、天才の名を欲しいままにしたエリート講師。

 彼の隣に座ることを一体どれほどの女が夢見た事か。

 そんなケイネスとソラウが結婚すれば、アーチボルト家とソフィアリ家の繋がりは強固のものとなり、ケイネスの才能も合わせて時計塔に一大派閥を築き上げることもできただろう。

 誰もが二人の婚約を祝福したし、ケイネスの方もソラウに心底惚れこんでおりこれ以上ない理想の結婚……のはずだった。

 だがやはり『情熱』はない。

 客観的な視点がこれほどの結婚はないと判断しながらも、ソラウの心が動かされるということはなかった。

 ケイネスに追従する形で聖杯戦争に参加してもそれは同じだった。

 何一つ変わらない。唯一心が動かされたのは冬木ハイアットホテルが爆破された際に抱いた危機感くらいで、心は冷たく冷え切ったままだ。

 

 このままこうして――――『情熱』をもたぬままに、ただの商品として演じていくのだとすれば。

 

 華やかでいて錆びていて。幸せのようでいて不幸せで。全てを持っているように見えて何も持っていなくて。

 

 それは―――――とても退屈だ。

 

「誰っ!」

 

 だがそういう思考に浸っていられる時間は、冷酷にも終わりを告げた。

 館の中に誰かがいる。自分以外の誰かが。

 ケイネスとランサーというのは有り得ない。二人はつい先ほど出て行ったばかりだ。敵を倒したにしても帰りが早すぎる。

 

(まさか――――侵入者!?)

 

 けれど有り得るのだろうか。この双子館には想像を絶する魔術的トラップが張り巡らされている。

 ケイネス・エルメロイの魔術師としての才覚とランサーのルーン魔術。この二つが不規則なようでいて規則的に組み合わさった館は正に鉄壁の城だ。

 突破できる魔術師などいる筈もない。となればこの襲撃者というのは。

 

「貴女がソラウ・ヌァザレ・ソフィアリか。恨んでくれて構いません。令呪の約定に従い貴女を捕える」

 

 窓の差し込む月光に照らされその面貌が露わになる。

 月明かりに濡れた金色の髪。深い緑色の瞳。女でありながら溜息を漏らしてしまいそうでいて――――空気そのものが凛と澄み切ったようにすら感じられた。

 ソラウは知っている。セイバーのクラスは三騎士でも随一の対魔力をもつと。魔術師では勝ち目などないと。

 であればケイネスの罠もランサーのルーンも、一切合財が無意味なのは当たり前であった。

 逃げ出す間すらありはしない。ラインを通してケイネスとランサーに助けを求める間すらなかった。

 セイバーは瞬時にソラウの前に迫ると、訳が分からない内にその意識を奪い取った。

 

 

 

「…………………」

 

「なー、元気出せよケイネス。そう落ち込むなって」

 

 柳洞寺に行ったはずのケイネスはとぼとぼと帰路についていた。ランサーがそんなケイネスを苦笑しながら励ます。

 どうして柳洞寺に挑んだケイネスがこうしてとんぼ返りしているかというと、それはもう柳洞寺が蛻の殻だったという事に尽きる。

 サーヴァントの気配は残っていた。戦闘の痕跡もあった。しかしセイバーと衛宮切嗣どころか、寺には人っ子一人としていなかった。

 恐らくはケイネスが来る前にセイバーと衛宮切嗣が敗れたか、それとも衛宮切嗣が拠点を変えるなどしたのだろう。

 結果的にケイネスはソラウに意気揚々と勝利宣言しておきながら空振りしたわけで、気が落ち込むのも無理はなかった。

 

「貴様はただそうやっておちゃらけていれば良いのだろうがな。ソラウにあれほど言われておきながら今日の失態。誰一人サーヴァントもマスターも討ち取ることなく帰ったらソラウがどんな顔をするか……」

 

「怒るんじゃねえか?」

 

「他人事のように言うな!」

 

 ランサーの指摘が的確そのものだったのもあり、ケイネスは青筋をたてながら叱責する。

 

「今日は敵の首級を持って帰るまで帰還しない、とか言っちまったしねえ。これで手ぶらで帰ったら、んま男としては情けないわな」

 

「……ッ」

 

 男として情けない→ソラウが見損なう→ソラウがソフィアリ学部長に言い付ける→学部長失望→婚約解消→破滅。

 瞬時に頭の中でそんな展開が想像されケイネスは青い顔をした。

 ソラウとの婚約が解消されようとケイネスの魔術師としての人生は破滅しないのだが、ケイネスにとってソラウと別れるということは破滅同然なのである。

 

「こうなればセイバーでなくともいい。キャスターでもバーサーカーでもライダーでも何でもいい。今すぐにサーヴァントかマスターを見つけ出し倒すぞ」

 

「無茶言うなよ。まだどいつの居場所も分かってねえじゃねえか。それとも遠坂時臣のとこ行くか?」

 

「彼奴は最後だ。そこは曲げん」

 

「マスターも頑固だねえ。んじゃ間桐ってとこでも狙うか? アインツベルンがセイバーなら、残る御三家は間桐だけだろ」

 

「……それしか、ないか」

 

 間桐。御三家のマスターなので居場所は遠坂同様掴めている。

 アインツベルンに雇われた衛宮切嗣のように拠点を変えているということもありえるが……それは行ってみれば分かることだ。

 バーサーカーはとっくに脱落し、間桐雁夜もとっくに死んでいることを知らないケイネスは間桐へ行こうとして。

 

「マスター、噂をすればなんとやらだ。ご客人だぜ」

 

 ランサーが鋭く声をかける。ケイネスがその視線を追えば夜の闇に紛れて黒い影が一つ。

 ケイネスはあのサーヴァントを見た事がある。他ならぬ遠坂の屋敷で。時臣とケイネスが戦いをやめる遠因ともなったサーヴァントである。

 

「……奴か。こちらを伺って……誘っているのか?」

 

「そのようだ。仕掛けてくる気はねえみてえだし。誘いにのるのも一興じゃねえか。念願のサーヴァントがあっちから来たんだし」

 

 ライダーは挑発するようにケイネスを見ると、そのまま追跡可能な速度で二人から離れていく。

 

「これは幸先が良い。私がロード・エルメロイだと知って挑んでいるのかは知らぬが、その挑戦を受けようではないか。ランサー」

 

「おうよ」

 

 ランサーの肩につかまり、夜の街をかける。

 辿り着いたのは未遠川の側だった。この辺りは娯楽施設もないので夜になれば人気もない。

 サーヴァントが戦うのにはピッタリだ。

 

「ほう。まさか君がこの聖杯戦争に参加しているとはね」

 

 サーヴァントの隣に並ぶ敵マスターの姿を見咎めたケイネスは鼻を鳴らす。

 

「え? ウェイバーくん」

 

 そう。その敵マスターはケイネスの教え子であるウェイバー・ベルベットだったのだ。

 

「……ケイネス先生」

 

 ウェイバーもまたケイネスの名を呟く。

 才能や血統もなにもかもが真逆の師弟がぶつかり合おうとしていた。

 


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