少年少女 ナナギと暗殺   作:Marina

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Marinaです‼新作ですのでよろしくお願いします!


演技の時間

まさにエンドというにふさわしいであろうオンボロ校舎を見て、少年―篠宮那凪は小さく嘆息した。

 

進学校であるが故に尋常でない難しさの転入試験には手こずったが、それよりも「マジな話クレイジー」と影で散々に言われている浅野親子にE組転入を許可させる事のほうがその何倍も疲れる作業だったのだ。

 

そしてやっと話が済んだと思ったらこの山道にこの日差し、トドメと言わんばかりにこの校舎。

 

本当にこんな環境に約一年間も通わなくてはいけないのか、といささかうんざりしていたところで

 

「君が篠宮那凪くんですね。教室まで案内するから、ついてきてください。」

 

「・・・・・・」

 

声をかけてきたのは一言でいうところのタコ。攻めてきた宇宙人カなんかか、と一瞬思ったが、こいつが俗にいう「殺せんせー」なのだろうと数秒遅れて脳が理解した。が。それでもつい一言言いたくなるのが人間なわけで。

 

「・・・なんだこいつ」

 

「失礼な!・・・とはいってもこれが普通の反応ですよねぇ。仕方ありません。篠宮君、私が殺せんせーです。」

 

(知ってるっつーの)

 

「私についての説明はもう受けていますね。」

 

「ああ。俺は篠宮那凪。下の名前で気やすく読んでくれ。」

 

「はい。素敵な一年にしましょ・・・・・・・・。」

 

そう言ってナナギが差し出した右手を見て固まる殺せんせー。十秒後。

 

「にゅやぁぁぁぁぁ!?著、それを一体どこで!!」

 

なんとナナギの右手のスマホには、裏山でエロ本のモデルたちに話しかける殺せんせーが映っていた。

ごていねいに音声付きで。

 

「あいさつ代わりにこの動画クラスのメールリンクに送信してっと・・・」

 

「にゅやぁぁぁぁぁ‼?やめてください!それだけは!!せんせー何でもしますからぁぁ!!」

 

「んじゃ駅前のスイーツデラックスセットおごってよ。」

 

「にゅやぁ!?あれはめちゃくちゃ高いって有名じゃないですか‼無理ですよ‼先生もうすぐ給料日なのに!!」

 

「それじゃついでにユーチューブにアップしてっと・・・」

 

「わかりましたよ‼おごればいいんでしょ、おごれば!!」

 

「そゆこと。物分かりよくて助かったよ、殺せんせー。ちなみに今のレコーダーに録音しといたから。これでもう逃げらんないねぇ。」

 

「~~~‼‼ぐぐぐ・・・」

 

 

 

 

「み、みなさん・・・転校生を・・・紹介します・・・」

 

「どうしたの、殺せんせー。なんか今日は戦った後の戦士みたいだよ~」

 

「す、鋭いですね、中村さん。実は転校生に脅迫されまして・・・!!」

 

扉の方から無言の殺気を感じて全身を凍り付かせる殺せんせー。ナナギを怒らしてはとんでもないことになる、と身をもって予測できたようだ。

 

「どうしたの?」

 

「いいいえいえ、なんでもないんです!そそそれでは、入ってきてください。」

 

ちなみに言っておくとナナギは芸能人クラスの美男子。そんな人が扉から登場すればまぁそういうことになるわけで。

 

クラス中の視線がナナギに釘付けになった。ナナギとしてはそれくらいの注目慣れっこなわけで、颯爽と教壇まで歩いて行くと、

 

「篠宮那凪。東京から来た。下の名前で気やすく呼んでくれ。」

 

いつもの調子で自己紹介を済ませた。しかし殺せんせーは何か物足りないらしく、

 

「ほかに言うことはありませんかねぇ」

 

ナナギは返答に困ってクラスを見まわしてみた。そこで言い忘れていた物に気づき、まっすぐに殺せんせーを見て、言い切った。

 

「俺はこのクラスの暗殺に加わる気は一切ない。」

 

「!!??」

 

教室中に衝撃が走った。無理もない。

 

E組行きになった時点でもう人生積んだようなものなのであってその人生を百八十度変えるチャンスであろう賞金百億。そんなプラチナチケットを自ら手放すなんて。

 

予想通りの反応にナナギはため息をつくと、

 

「簡単に理由を説明すると、俺はとある事情で生活費全部自分で稼がなきゃいけない状況になってるんだ。だからぶっちゃければ暗殺なんてしている暇はないんだ。」

 

「でもだったらなおさらお金必要なんじゃないの~?」

 

倉橋がもっともなことを言う。

 

「それはそうだが、俺だって働かなきゃ金なくなるし、生きてけなくなる。」

 

な~んか重い話にクラス中が静まり返る。みんな反応に困っているのだ。

 

「そう・・・だったらまずは地球の未来より明日のごはん・・・」

 

ナナギはガバット顔を上げると、

 

「地球の未来より明日のごはん!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

沈黙。殺せんせーですらリアクションに困っている。

 

そんな中。

 

「・・・言い切った。」

 

「言い切ったな。」

 

速水と千葉がボソッと呟く。

 

「だってしょうがないだろ!?」

 

うわーーーん、というナナギの心の叫びが聞こえてきそうだ。

 

「そんなんでいいわけアンタは」

 

「だって食わなきゃ死ぬし」

 

ぎゃーすぎゃーすと繰り広げられる言い争いに殺せんせーは沈黙し、

 

「なんか・・・ずるいです」

 

「「「「は?」」」

 

「皆さんだけで話進めないで下さいよ‼先生だけ仲間はずれみたいじゃないですか1!」

 

(あーもうまためんどくさいこと言い出すのがここに一人・・・)

 

そんな中、珍しくおとなしくしていたカルマが一人、

 

「今日風邪でいないけど磯貝がいればよかったのにね・・・」

 

ああ・・・と全員が思った・・・・・。

 

そんなこんなでE組に一人の仲間が加わった。

 

だが、この一見普通に見えるナナギが隠し持っているチカラとその大きすぎる秘密に、まだ誰も、気づいていなかった・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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