ナナギ転校から数日後。
いつものように他の生徒に見つからないようにしながらフリーランニングで登校してきて、いつものように授業をサボっていると不意にカルマが声をかけてきた。
「ナナギ君、修学旅行のことでいいかな?」
「・・・修学旅行?」
ナナギはキョトンとする。確かにそんな行事があることは知っていたが、特に何かやることがある、とは思っていなかったのだ。
「そう、班決めあるじゃん?もしかしてしてどこにも入ってないんじゃないかと思って。」
「あ。そーいえば。」
忘れてた、というとカルマはあきれ顔になり、
「良ければうちの班に入んない?」
「メンツはどんな感じ?」
「渚君に茅野ちゃん、杉野と神崎さんにオレだけど・・・」
「じゃあお言葉に甘えてそこに入るよ。渚いるし、茅野とも話して見たかったし。」
別に変な意味ではない。
親しみやすい渚は一番に仲良くなった奴だし、茅のには何故か時々変な対応をされるからである。
じーっと見てきたかと思えばあからさまに避けられたリ、まるで自分のことを探っているような気がしてならないのだ。
「それじゃあ渚君たちに報告してくるよ。」
ちなみに今は4限の終わり。次は昼休みだ。夜時間分もサボるとは。
そして長時間サボってるもの同志サボリスポットが被らないとは。
ある意味凄いことである。
五時間目。
「それじゃあどこを回るか、きめよっか。」
体育の授業で鳥間が言っていた話によると、
「国はすでに腕利きのスナイパーを配置したので、上手く連携して奴を追い込んでくれ」
とのことだった。・・・らしい。
つまり、暗殺向けのコース選びをしなくてはならない。
「んじゃまずここに追い込んで・・・」
「いやいや人が多いところの方がせんせーも動けなくなるよー」
「それじゃ一般の人に迷惑駆けるかもしれないだろ?」
「デーも観光的にはそっちの方がたのしいじゃーん」
当初の目的を忘れてんだろと突っ込みたくなるのをこらえる。
結局その日の撃つには決まらず、明日また改めて話し合いをすることになった。
次の日。
何とか回る場所を決めることができ、一件落着・・・かと思いきや、和気あいあいとしゃべっているメンバーの中で、一人だけお通夜のメンバーがいた。
まぁ、無理もない。どうしてそんなことになったのか、それがわかるのはまだまだ先の話である。
旅行当日。
「うわぁ~、A組からD組までグリーン車だぜ」
「うちらだけ普通車。いつもの感じだね。」
恒例のE組差別にうんざりした声があちこちから聞こえてくるが、
「でも席同士が近いほうが話し合うのに便利だし、いいんじゃないか?」
ナナギの鶴の一声でその場の空気は少し明るくなった。
そして電車内。
皆が暗殺会議を進める中、渚はせんせーがいないことに気づく。
「あれ、ナナギ君殺せんせー知らない?」
ナナギは駅中スイーツ店をマッハで移動しまくっていたせんせーを思い出し、
「たぶんだけど・・・」
乗り遅れたんじゃないか、というと同時に窓にマッハでしがみついてきたせんせーに二人して声を上げてしまう。
「なんで窓に張り付いてんだよ、殺せんせー!!」
「いやぁ、駅中スイーツを買ってたら乗り遅れまして。」
やっぱりな・・・とナナギはあきれてため息をついた。
その後目立ちすぎる殺せんせーを見かねた菅谷がせんせーの付け鼻を自然なものへと作り変えたのを見て、この旅行で皆の意外な一面が見られるかもな・・・とナナギは考えていた。
というか、すでに見え見えだった・・・
隣に班の奥田が何やらうきうきした様子になっている。
だがその手には何やら怪しい液体が入ったフラスコ&ビーカーがあった。
「・・・奥田さん、その謎の液体って、何?」
「シカを一瞬で手なずける薬です!鹿せんべいにも入ってる鹿が大好きな成分がたくさん入ってて、調合が間に合わなかったのでここでやってるんです!」
ニコニコ笑顔の奥田にナナギは頭を抱えて、
もしシカに何かあったらクラス全体の責任になるんだが・・・
と考えて、いやあの奥田に限ってそれはないな、と半分期待を込めて考えを打ち消した。
その隣では、茅野が花札に興じていて、それも十分意外だったが、何よりも驚いたのはあの神崎がPSPの超難関で有名なゲームを軽々クリアして見せたことだろう。
たちまち神崎の周りに人だかりができるのを横目で見ながら、ナナギは八班の暗殺計画書を右りつぶした・・・。
そして旅館に着き、いろいろあった後皆が眠る頃、ナナギは一人で外へ出ていた。
今回の暗殺では、ナナギが「殺る」係になっている。ここでもしうっかり自分のチカラの片鱗を見せてしまったら全てが終わる。
あれもこれも全部カルマのせいだ・・・‼楽しみやがってあの野郎・・・!
ナナギはしばらくしてから布団に戻ったが、とても眠れそうになかった・・・。
次回は殺せんせー暗殺のためにナナギがある意味犠牲になります・・・。
あ、ケガするとかそういうんじゃなくて、精神的に・・・