デスゲームに出会いを求めるのは間違っているだろうか   作:わかめ

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困惑の兎

ここは浮遊城アインクラッド。ソードアート・オンラインと呼ばれるゲームの舞台となっている世界。

ゲームの開発者、茅場晶彦により構築された世界は現実よりも美しい風景が広がっている。緑に彩られた草原に澄み渡る空。惜しむべくは所々に出現しているモンスターの存在だろうか…

 

このゲーム、SAOはフルダイブ式のMMORPGで、全100層で構成されたダンジョンであるアインクラッドを攻略することを目的とされたゲームである。

βテスターの応募も数多く、正式にサービスを開始する際にも店頭に数多くの人が並ぶほどに注目されたゲームであった…

 

既にサービスは開始され、多くのプレイヤーが好き好きに自身のアバターを作成し、このゲームにダイブしていた。

 

そして、草原にまた一人、新たなプレイヤーがこの世界に降り立った…

 

 

 

「…ここは…」

 

 

白い髪に赤い目、華奢な体にハーフプレート型の防具をつけた少年、ベル・クラネルは周囲を見渡し頭を傾げていた。

 

 

「おかしいな…確か僕はホームで寝ていた筈なんだけど…」

 

 

腕を組み思考にふけるが、猪形のモンスターがポップしたのを見て、腰につけた鞘から赤い刀身の短刀を取り出す。

少年は鋭い目付きでモンスターに迫ると、すれ違いざまに短刀で切り裂いた。

 

短刀、牛若丸弐式を血を払うために振るったのだが、最初から血が付いていなかったことに気付きもう一度頭を傾げた。

気のせいだと判断し鞘に牛若丸弐式を戻すと、現状を確認するために周囲を確認する。

 

 

「うわ!!」

 

 

突然少年の目の前に淡黄色の四角い何かが現れた。

少年は驚き、尻もちをつくが、四角い何かの中に白い文字で何かが書いているのに気付き、立ち上がって文章を読む。

 

 

「見たこともない字…だけど、なんでわかるんだろう」

 

 

『ボア×1 経験値10 20コル』と書かれている。少年は益々状況を掴めずに頭を傾げる。

 

こんな時に仲間がいれば何かがわかるったかもしれなかったのにと内心で呟いた少年はふと視界に何かが映っているのに気づいた。

黄緑色のゲージ、それとその下にはBeru(ベルと言う意味の文字)とLevel2と書かれている。

 

視線をずらすとまたモンスターがポップしていることに気付く。そのモンスターの上にも黄緑色のゲージがある。

 

少年はここがどんな世界であるかを理解は出来なかったが、少なくともここが自分が居たところとは別のところであることを理解した。

そう思い至った理由はいくつかあるが、まず視界に移る謎の情報。彼が知る限りこのような効果が発現するマジックアイテム等は存在しない。次にモンスター…そのポップの仕方だ。

彼が常日頃潜るダンジョンは基本的に壁に囲まれた所で、その壁からモンスターが出てくる。目の前のようにいきなり光を纏って出現するなど聞いたことすら無かった。

 

視界の端にある物を何気なく触れる。

 

彼の目の前に薄灰色の画面が現れた。そこに白い文字で書かれた様々な情報が目に入る。

コルという意味の文字の横に20という文字。

 

取り敢えずStatus(ステイタスと言う意味の文字)を触る。すると彼の前に筋力などの文字と数値が現れた。どれも数字の横にSSなどが表記されている。

筋力:1088 SS

耐久:1029 SS

器用:1094 SS

敏捷:1302 SSS

魔力:883 A

幸運:I

 

それを確認した彼は今度はSkill(スキルと言う意味の文字)を触って確認する。

 

 

憧憬一途(リアリス・フレーゼ)ってなんだろ。新しいスキルかな」

 

 

彼の目には憧憬一途(リアリス・フレーゼ)英雄願望(アルゴノゥト)、そしてソードスキルと書かれた物があった。

彼は憧憬一途(リアリス・フレーゼ)の内容を見れないかその項目を触ったが何も反応は無かった。英雄願望(アルゴノゥト)も同様で内容は見えなかった。

少しもどかしさを感じているが、こんどはソードスキルを触ったところ画面が変わった。

 

片手剣などの様々項目があるがそれらの熟練度は全て0と表記されていた。

 

一度最初の画面に戻ったが彼はここで一つおかしい点に気付いた。

通常のプレイヤーではなくてあたりまえのことだが彼にはあって当たり前のもの。魔法の項目が無かった。

 

 

「……ファイアボルト」

 

 

少年は確かめるために手を前に出し呪文を唱える。すると、赤い火が凄まじい勢いで射出され、手の先の草原の一部が燃えた。威力がどれほどのものかはいまいちわからなかったが、それでも彼は魔法が使えたことに安堵の息を漏らす。

次に少年は持ち物を見るが今現在自分が装備しているものが項目にあった。一度牛若丸弐式の項目を触ると腰にあった牛若丸弐式の片割れが鞘ごと消えた。少年は慌ててもう一度項目を触る。すると、牛若丸弐式は少年の腰に元通りに出現した。

 

それからも現状を理解するために少年は画面をずっと見つめ、この世界のルールを本能的ではあるが理解し始めていた。

 

 

既に時間も過ぎ、夕日に照らされた少年は鐘の音を聞く。

それと同時に身体が光り、少年の視界は白く塗りつぶされた。

 

 

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