デスゲームに出会いを求めるのは間違っているだろうか 作:わかめ
「ちょっと待て、じゃあ何か?俺が岩を砕こうと奮闘しようとしている間にフロアボスは倒してしまったってことか?」
「ああそうだヨ。しかもベル坊一人でな」
アクティベートされた第3層の街中の食堂で飯を食べながらアルゴは話す。その横にはベルとβテスト時代からアルゴの知り合いであるキリトが座っていた。
ベルはいまいち話しについていけずに耳を傾けながらも意識は食事の方へ向いてしまっている。
そんなベルを見てキリトはこんな奴がソロクリア出来るとは信じられないといった顔を浮かべて腕を組んだ。
「まあ、昨日1日ベル坊と行動してわかったのは、こいつは普通のプレイヤーでは無いってことダナ」
「確かに、こんな短期間でフロアボスをソロ狩り出来るとか異常としか思えないな」
「それだけじゃないゾ。ベル坊のレベルは信じがたいことに2なんダヨ。これはオレっちも確認させて貰ったから間違いナイ」
「んな馬鹿な」
「あんな動きができるのはレベル2ではあり得ナイ。だったら考えられることは…」
「チートかバグか」
テーブルに置かれた椀のスープを啜りつつ二人は視線をベルへと向ける。
一体この少年はどういった存在なのかがわからない。ただ幸せそうにご飯を頬張るベルがとても悪人には見えないし、罪悪感なども見て取れない。
2人はこの少年がチート行為を行っているとは到底考えられないと結論づけた。
「まあ、本人に聞いてみるのが一番じゃないのか?」
「そうダナ。なあベル坊。お前ってどうしてそんなに強いんダ?」
ベルは二人に話しかけられ、食べていた物をごくりと音を立てながら飲み込むと、首を傾げながら答えた。
「僕、何故かわからないけれど飛躍的に強くなっていると言われました」
「言われた?それは誰にだ?」
「誰って、神様ですよ?」
「神様?何言ってるんダ」
「いやいや、僕のファミリアの神、ヘスティア様ですよ」
「……なあアルゴ、こいつ大丈夫なのか?」
「………なあ一ついいカ?ベル坊」
「はい、何でしょう」
「お前の髪は地毛カ?」
「はい。そうですよ」
そう答えるベルはアルゴから見て嘘を付いているようには見えない。様々な人と話してきた彼女だから信じられる自身の目。これで嘘を付いているとしたら大したものだが、どうにも彼女にはベルがそんな人間には見えなかった。
「じゃあもう一つだ。ベル坊はどうしてSAOをプレイしているんダ?」
「SAO?……何ですか?それ」
「……なあアルゴ」
「キー坊は黙ってナ」
「(´・ω・`)」
「最後に、お前はここにどうして自分がいるかはわかっているのカ?」
「わかりませんよ。気づけばここに居ましたし、神様達と一緒にお祝いしてた所までは覚えているんですけど…」
何故そんな事を聞かれるのか理解できないベルは首を傾げながらアルゴを見つめる。
アルゴは腕を組んで唸りながら考えている。
果たして目の前の少年の話を鵜呑みにするとして、どういった弊害が出るのか。
この少年は紛れも無くここにいる。唯のプレイヤーではない、かと言ってもNPCにも思えない。
そう言えばこの少年はレベルを10にするといった時に何年かけるのか?と言っていた。つまりはこの少年にとってレベルが2というのは普通の事なのだ。
このSAOの常識とはかけ離れた少年の常識。つまり少年は自分の能力について知っている。更にあの戦闘能力。一朝一夕の戦い方ではない。
「ああ、そう言えば二人は冒険者になってどれくらいたつんですか?」
「冒険者?……俺達がSAOをプレイし始めたのは1週間前だろ?」
「成る程、でもそれくらいなら3層までくるのって危なくないですか?」
「まあ、それもそうだが。お前は人のこと言えないだろ?」
「いや、僕はもう少しで2ヶ月くらいですから」
「2ヶ月?」
この少年の言い分はおかしい。確かにSAOサービス開始したのは1週間前なのだ。なのに2ヶ月…
「なあベル坊。お前、そのファミリアってので何していタ?」
「何って冒険者ですよ。僕のファミリア鍛冶や調合って分野の人居ないですから。ああ、でも鍛冶なら一人だけ…」
合点がいく。いや、推測の域を脱していないが、もしこの少年の話を信じるとすれば、この少年は自分たちの世界の住人ではない。アルゴの知る限り、冒険者や神様などのファンタジーな事は現実世界では起こっていない。なのにベル坊の様子を見る限り、冒険者というのは周知の物のようだ。つまり、本当に存在しているとすればアルゴが知らないはずがないのだ。
到底信じられない話ではない。だがしかし、アルゴは見てしまったのだ。この少年がフロアボスにトドメを刺した光景。そう、魔法を。
信じない事は出来ない。ただ、この情報を他人に知られる事は危険過ぎる。唯でさえ嫉妬深いMMOプレイヤーが存在しているのだ。もしこの少年が特別な存在であると知られればどうなるのか…下手をすればこの少年という戦力を失うことになるかもしれない。
そこでアルゴは一つ思いついた。自分が監視すればいいのでは?
そうなればアルゴ自身が攻略組にならなければならないかもしれないが、間違いなくSAO全体の戦力が上昇する。だが、アルゴ一人では庇え切れない。ならば、ここにいるもう一人の力も借りればいい。
「よし聞いてくれ二人共」
「なんですか?」
「何だ?アルゴ」
「今からこの3人でギルドを作る。理由としてはベル坊の秘匿だ。こいつが目立つと争いの元になる」
アルゴの言葉にショックを受けるベルをキリトは見る。まだ少ししか話していないが、この少年が少し自分たちとズレているのを感じていた。それにアルゴが仲間になるというのは彼自身願ってもないこと。その情報量の多さと機転の聞く頭は間違いなく心強い味方になる。
「俺はいいと思うぞ」
「あ、あのギルドってなんですか?」
「アインクラッド、迷宮を攻略する為の集団ダ」
「それってファミリアみたいなものですか?」
「かもしれナイ。だけど安心しなベル坊。何もお前にそのファミリアってのを鞍替えしろって言っているわけじゃナイ。このゲームをクリアするまでの仲間ってことだ」
「成る程…パーティみたいなものか、じゃあ受けます!!」
「よし、手続きの方はオレっちがしとくから」
今ここに、最前線攻略ギルド、【
ギルド名を決める際
「よぉし、じゃあ各自好きな名前考えてくれ」
キリト【
アルゴ「厨二乙」
ベル【英雄団】
キリト「ちょっとそれはどうかと」
アルゴ【鼠の宿】
ベル「…何だか食堂の名前みたいですね」
結局キリトとアルゴのを合体させたのが採用されました