ラブライブ! その旋律は誰がために   作:米津

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#26 初めてのレコーディング(2)

 

 

 

 μ's初となるレコーディングは順調に進み、スケジュールにも余裕があるということで一旦休憩に入った。

 俺はと言うと、女子高生まみれの空間を抜けだして、近くの公園で一息ついているところだ。自販機で適当に飲み物を買い、ベンチに腰掛ける。

 

 ここまででレコーディングが完了しているのは、穂乃果ちゃん、凛ちゃん、絵里ちゃん、花陽ちゃんの4人だ。全員で9人だからまだ半分は終わっていないが、ここまでレコーディング作業をして感じたのは、総じてレベルが高いということ。

 

 穂乃果ちゃんは、リズム・音程ともに申し分なく、それに加えて伸びやかな声が心地よい。特に穂乃果ちゃんが長けているのは、その声量。ソロでも十分通用しそうなレベルであり、正直かなり驚いた。

 凛ちゃんも、歌唱力には光るものがある。元気っ子というイメージがあったが、歌声は曲調に合わせて上手く変化させることが出来るようだ。今回録っている『Mermaid festa vol.1』によく合った切ない歌声に、不覚にもビックリしてしまった。これがギャップ萌えというやつなのだろうか……?

 絵里ちゃんも同じく、リズム感も音高(ピッチ)も安定感がある。ただ、それ以上に目立つのはその声質。「透き通った声」という表現がこれ以上なくマッチしており、聴いていて思わずうっとりしてしまうような歌声だ。

 

 

 そして花陽ちゃんは――

 

「……あのっ!」

 

突然聞こえてきた女の子の声に顔を上げると、まさに今考えようとしていた女の子の姿が。

 

「どうしたの?花陽ちゃん」

「その……隣、いいですか?」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「花陽ちゃんも、外の空気が吸いたくなった?」

「はい、そんなところです」

 

 

 ベンチの隣にちょこんと座る花陽ちゃん。さっきも思ったけど小動物のようで可愛らしい。見たところ内気そうな子だと思っていたけど、こうして一人で話しかけに来てくれたところを見ると、考えを改める必要がありそうだ。

 

 

「レコーディングやってみて、どうだった?」

「はい、初めてだったのでやっぱり難しかったです……私だけ長引いちゃいましたし」

「気にすることないよ、初めてならしょうがないって」

 

 

 花陽ちゃん的にはあまり上手くいかなかったらしく、少しうつむいてしまった。確かに途中で歌詞を間違えてしまったり、音が飛んでしまったりして何回か録り直したけど。それでも初めてのボーカル録りだったら、むしろ早く終わった方だろう。そんな花陽ちゃんは眉が困ったようにハの字になっているのが可愛いけど、今は黙っておく。

 

 

「それに花陽ちゃん、歌自体は凄く上手だったじゃん」

「本当ですか……?! ありがとうございます……!」

「うん、それに歌声も丸くて温かみもあって、良かったよ」

「えへへ。お世辞でも嬉しいです」

 

 

 お世辞じゃないんだけどな。実際、彼女の歌声はさっき言った通りで魅力的だ。9人合わせた時にも花陽ちゃんの歌声のおかげで全体のバランスが取りやすそうだ。

 

 

「花陽ちゃんは歌うの好きなの?」

「はい! 実は私、昔からアイドルが大好きで。よくアイドルソングを歌っていたんです」

 

 

 花陽ちゃんの顔がパァ!と明るくなり、口調からもテンションが上がっていることが分かる。きっと本気で、昔からアイドルというものが好きだったんだろうな。

 昔から憧れていたアイドル。そして今、スクールアイドルという形で夢を叶えているんだと思うと、こちらにも込み上げるものがある。

 

 

「そっか、俺もμ'sは応援してるから、頑張ってね」

「ありがとうございます!」

 

 

 元気よく答えてくれた花陽ちゃんの顔には、満面の笑顔。それこそ、花が咲いたような笑顔。この顔を見ると、花陽ちゃんにとってアイドルは天職なんじゃないかとも思える。

 

 

「そうだ、花陽ちゃんこれ飲む?」

 

 長々と話してしまったが、自分しか飲み物を買っていないことに気づき、まだ開けていない自分のペットボトルを差し出す。

 

 

「ピャア! そそそそんな、大丈夫ですぅ……!」

「ど、どうしたの花陽ちゃん?!」

 

 

突然甲高い声を上げて慌て始める花陽ちゃんに、思わずこっちも驚く。心なしか、ほんのり顔が赤くなっている気もする。

 

 

「だってそれを頂いたら茅野さんとかかか間接……」

「大丈夫大丈夫、それまだ開け……」

「そそそそういうのは真姫ちゃんがいいと思います……!」

 

 

 慌てていたのはどうやら、間接キスだと勘違いしていたらしい。何とも乙女な、可愛らしい理由である。とは言えこっちの説明はどうやら聞こえていないみたいだし、何よりどうして真姫の名前が出て来たのだろう?

 

 

「花陽ちゃん、どうして真姫の名前が?」

「だって、真姫ちゃんと茅野さんは付き合っているんですよね……?」

 

 

 

……ん?

 

 

「ごめん、よく聞こえなかったからもう一度お願い」

「真姫ちゃんと茅野さんは、付き合っているんですよね?」

 

 

 幸か不幸か、聞き間違いでは無かったらしい……。あまりにも非現実的な花陽ちゃんの言葉に、何だか頭が痛くなってきたぞ。

 

 

「ええと……それは誰から聞いたのかな?」

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「うぅ、申し訳ないですぅ……」

 

 

 花陽ちゃんの勘違いの真相はこうだ。以前真姫と俺が2人で作曲をしたとき、駅で待ち合わせをして真姫の自宅に向かった。これを偶然花陽ちゃんが見かけ、俺と真姫のことをそういう関係だと思ってしまったようだ。

 そりゃ、年頃の男女が2人で片方の自宅に向かっていたら、勘違いしてもおかしくはない……のかな?さっき花陽ちゃんがキラキラした目でコントロールルームを見てたのはこういうことだったのか。

 

 

「まぁ、この件はどっちに非があるわけでもないし」

「でも……」

「花陽ちゃんは、誰にもこのことを言わないでくれたんでしょ?」

「はい、真姫ちゃんのプライベートなことだと思ったので……」

「それだけで十分だよ、むしろ言わないでくれてありがとう」

 

 

 花陽ちゃんは随分と気が利く子らしく、あの日目撃したことは心の奥にしまって誰にも話さないでいてくれたようだ。もし誰かに話していたらと思うと、頭が痛くなる。

 

 

「ってことは、わざわざここに話しに来てくれたのも?」

「……はい。真姫ちゃんのことをよろしくお願いします、と言おうと思って」

 

 

 なんていい子なんだ、花陽ちゃん。いい友だちというよりむしろ真姫の保護者じゃないか。

 

「何というか、花陽ちゃんは律儀だね」

「そんなこと、ないですよ」

 

 

 それにしても俺と真姫が付き合う、か。今まで考えたこともなかったな。確かに彼女は意地っ張りだったり、頑固だったりするけど、音楽を通じて急速に仲良くなれた気がする。特に泊まりこみの作曲の時は、それまで知らなかった顔なんかも見ることが出来たし。

 

 夢中でピアノを弾く、真剣で、楽しそうな真姫。その姿は年下とは思えないほど綺麗で、色っぽいとすら感じることもある。

 からかわれて、顔をトマトのように真っ赤に染める真姫。上ずった口調、声色とあいまって、年相応の可愛らしさを感じた。

 冷凍食品を自信満々な顔でふるまう、料理のできない真姫。自分も人のことを言えないけど、こういうところはお嬢様らしい。

 夜、だだ広いリビングで見た、寂しそうな顔をした真姫。両親の職業の都合上、ひとりでいることの多い真姫がこれまでに感じてきたであろう寂しさは、計り知れない。

 

 

 ふと思い出せるだけでも、様々な側面のある女の子だ。もしも、万が一、これだけ表情豊かで可愛い子と付き合えたら、きっと毎日が楽しいだろうな。……こんな柄でもないことを考えてしまうのは、きっと花陽ちゃんのせいだろう。そうに違いない。そして今になって少し恥ずかしく思えてきた。なかなか悔しい。

 

 

「そういう花陽ちゃんは、どうなの?」

「えぇ?! 私は、そういうのはまだ……!」

 

 

 ちょっとした仕返しのつもりで花陽ちゃんに質問をすると、案の定慌てふためいいて顔を赤くしてしまった。とはいえ、これだけ俺と真姫の件に興味を持っていたのだから、彼女自身もこういったことに興味がないというわけではないのだろう。

 

 

「うぅ、なんだかからかわれた気がします……」

「まぁ、こういうのは遅いとか早いとかじゃないから」

 

 

「あら、何の話?」

「う゛ぇぇ……真姫?!」

 

 

 いつの間にか、目の前に現れていた真姫。あまりの驚きに変な声が出てしまった。急な登場に同じく花陽ちゃんも動揺している様子。真姫だけはこちら側の驚きっぷりにちょっと不審そうな顔をしている。

 

 

「そんな驚かなくても……私だって休憩しに来ただけよ」

「そ、そうか」

「で、何の話をしていたの?」

 

 

 君と僕が付き合ってる(勘違い)って話をしてたよ、とか言えるわけ無いでしょうが。ついでに君のいろんな表情を思い出してたよなんて言えるわけもありません!流石に恥ずかしい。

 困ったなぁ。バレないようにちらっと花陽ちゃんの方を見ると、目があってしまった。

 

 

「何でもないよ!ね、花陽ちゃん!」

「そうです!何でもないんですよね、茅野さん!」

「「ね~~」」

 

 

 もはややけくそといった感じで誤魔化しにかかる。花陽ちゃんもそんな俺に乗っかってくれて、よくわからないコントみたいな状態に。

 

 

「見るからに怪しいじゃない…………あれ、悠人先輩、なんか顔赤くない?」

「うるさい、真姫のせいだ」

「う゛ぇぇ……何でそうなるのよ~!」

「「ね~~」」

 

 

 冷静さを欠いている俺と花陽ちゃんは、もうこれで乗り切るしかないんだ。真姫に八つ当たりしつつ、花陽ちゃんとこのあと滅茶苦茶ねぇねぇしまくった。

 

 

「(2人ともこんなに仲良かったかしら……?)」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「希ちゃん、お疲れ様でした」

『思ったより大変なんやなぁ、お疲れさま~』

 

 

 休憩後もμ'sのレコーディングは順調に進み、南改めことりちゃん、にこちゃん、そして今希ちゃんのレコーディングが終わったところだ。

 

 ことりちゃんの歌は凄かった。『脳がとろける声』とはよく言ったもので、彼女の声を繰り返し聴き続けた俺はどうかにかなりそうだった。花陽ちゃんの歌声も柔らかくて甘かったが、ことりちゃんのそれは更に濃縮したような甘さ。アイドルとしてこれだけ強い武器を持った彼女は、衣裳係という要素を取り除いたとしても、μ'sというグループにとって強力な存在に違いない。

 

 にこちゃんのレコーディングも、ことりちゃんと違う方向性で凄かった。彼女はとにかく、細部まで強くこだわりを見せていた。節々の歌いまわし、歌声、ブレス。バックの演奏と合わせたら聞こえなくなってしまうようなところまで、とにかくこだわっていた。にこちゃんをそこまでさせるのはやはり、アイドルへの強い憧れだろう。海未からこのことは聞かされていたが、想像以上だった。終盤、キャラ作りも忘れ真剣な表情で歌入れを続ける様子にはカッコ良さすら感じてしまった。

 

 たった今終わった希ちゃんは、とりあえず可愛かった。まずその歌声は、これまで音源でも聴いていたが、他のメンバーと違った方向に独特な声質で可愛かった。時折音程を間違えてしまった時の『ごめんなぁ、もう一回お願い!』はむしろありがとうございます、って感じで可愛かった。異常に歌の上手な他のメンバーと比べると少し歌が苦手らしく、それでも一生懸命に頑張ろうとする姿がまた可愛かった。

 

 

「悠人先輩、鼻の下伸びてるわよ」

「仕方ないじゃないか、希ちゃん推しなんだから!」

「そこまで開き直ると清々しいわね……」

 

 

 コントロールルームにいるのは真姫だけだし、不思議と真姫にならこれくらいさらけ出しても良い気がしたのだ。やり過ぎた感も否めないが。

 

 

『うふ、聞こえとるよ♪』

「うお、スイッチ切り忘れてた……失礼しました!」

 

 

 こちらからレコーディングルームに通じる音声を切っていなかったらしく、真姫とのやり取りがだだ漏れだったようだ。俺としたことが痛恨のミス!

 

『いえいえ、ウチは良いんよ! ……それより真姫ちゃん、ごめんなぁ~♪』

「な、何でそうなるのよ!意味分かんない!」

 

 

 よくわかんないけど希ちゃん、まじ小悪魔。今日のおかげで彼女のμ'sの中での立ち位置がわかってきた気がするぞ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 Mermaid festa vol.1のレコーディングも終盤戦、あと2人残っているのは海未と私。今はというと、向こうのレコーディングブースで希と海未が交代しているところね。

 

 ……まったく、希ったら色々と見透かしたようにからかってくるんだから。

 

 実際に希がどう思っているのかは分からないけど。彼女のことだから、こちらが思っているよりも数手先を行っていると見た方が良さそうね。

 悠人先輩も、悠人先輩よ。前に言ってた『希ちゃん推し』はどうやら本当みたい。今日一日、先輩の隣でずっと手伝いをしてるけど、希のレコーディングの時が一番楽しそうだったもの。楽しそうどころか、鼻の下まで伸ばしちゃって。……だらしないんだから。

 

 

 やっぱり、男の人は希や絵里みたいに胸が大きくてスタイルのいい人が好きなのかしら……。思わず下を向きながら、ペタペタと自分のそれを確かめてしまう。

 はぁ、小さくはないけど、大きくもないわね……。私のだってあと何年かしたらきっと大きくなってるはずなのに。

 

 

「あの……真姫?」

「……?」

「えっと、男の前でそういうことはしない方がいいと思うぞ」

「……っ!!」

 

 

 気まずそうにしながら指摘する悠人先輩の声で、ようやく自分の醜態に気がついた。同じ部屋に先輩がいるのに、両手で自分の胸を触るなんて。私としたことが、大失敗……!

 

 

「……変態」

「えぇ!俺のせいなの?! 理不尽じゃないかな!」

 

 

 ついつい憎まれ口を叩いてしまう私。それでも悠人先輩は困ったように笑いながら、相手をしてくれる。……あ、よく見ると先輩の顔、赤い。

 

 

「と思ったら今度は笑ってるし」

「……内緒」

 

 

 私のことも少しは女の子として見てくれているのかな、と思ったら嬉しくなってしまったとか、言えるわけない。それは今まで感じたことがあるようで、ないような感覚。どこか不思議で、心がポカポカとする感覚だった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 8人目ともなると、流石に先輩も私も作業に慣れてきたみたいで、最初と比べるととてもスムーズになってきた。初めはひたすら戸惑っていたところも、今では手慣れたものね。まぁ、これも先輩がいろいろ勉強してきてくれたおかげなんだけど。

 

 そんなこんなで、どうやら海未のレコーディングを始める準備が整ったみたい。大きなヘッドフォンを装着し、一人向こうのブースに立つ海未は珍しく緊張している感じがする。

 

 

「海未、もしかしなくても緊張してるだろ」

『そそそんなことありませんよ……!さぁ悠人、おお願いします!』

 

 

 海未、それは緊張してるって言ってるようなものよ。思わず悠人先輩と顔を見合わせ、お互いに苦笑い。そう言えば、放送室のマイクでμ'sメンバーとして喋る時も緊張していたし、海未はこういうのが苦手なのかしら?

 

 

「海未、別に試験でもないし、やり直しも出来るから大丈夫だよ」

『うぅ、それは分かっているのですが……』

「ほら、一緒に深呼吸しようか」

『深呼吸、ですか?』

「そうだよ。じゃあ、せーの……」

 

 

 緊張する海未を諭す悠人先輩。

 

 これまで聞いたことのないくらい、優しい声。

 海未へ向ける先輩の顔は、心から信頼してる人にしか見せないような、穏やかな表情。

 

 私は、その表情を横から見ている。

 そっと、見ているだけ。

 

 

 

 

 その声は、その表情は、私には向いていないんだ。

 

 

 ふと浮かんできたのは、そんな考え。こんなことを考える意味も、そもそも何故浮かんできたかも分からない。

 

 海未の緊張を解くのが目的なのだから、当たり前のことなのに。

 

 当たり前、なのに。

 

 そんな当たり前のことも分からなくなるくらい、キュッと胸の奥が締め付けられる感覚に陥る。

 痛いわけではなけど、ちょっと苦しい。無意識の内に、呼吸が荒くなる。

 前にも似たようなことはあったけど、何よコレ……?

 

 

『ありがとうございます、もう大丈夫ですよ』

「よっしゃ、じゃあ頭サビから行ってみようか」

 

 

 気が付くと、海未の緊張はすっかりほぐれていて、準備万端だった。むしろ、準備出来てないのは私みたい。

 

 ……大丈夫、きっと私のもほぐれるわ。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

『よし、主旋律はこれでOKだから一旦休憩しよう』

「はい、ありがとうございました!」

 

 

 分厚いガラスを隔てた向こうの部屋にいる悠人の声が、ヘッドフォンから聞こえてきます。人生初めてのレコーディングは、悠人のおかげで大きなミスもなく進み、無事前半戦を終えることが出来ました。この後は、主旋律の上や下からハモるパートを録るみたいです。

 

 ここから見える景色は、たくさんの機械、向こうの部屋の悠人、そしてその横にいる真姫です。先ほどから歌を録っていて気になったのは、真姫がほんの少し、調子が悪そうだったことくらいでしょうか。

 一見普段通りの真姫なのですが、時々僅かに顔をしかめているような気がしたのです。

 

 

『そしたら、またさっきと同じ編集頼んでも……って真姫?』

『ええと……………………』

 

 

 ふと聞こえてきたのは、向こうの部屋の作業の会話でしょうか。とは言え、途中からマイクのスイッチが切られたみたいで、それっきり何も聞こえてきません。

 試しにヘッドフォンを外してみても、さすがに肉声はこちらの部屋までは届かないようです。む、聞こえないとなると、ちょっと気になってしまいますね。

 

 真姫に元気がなかったのに、悠人も気がついたのでしょうか。何かを真姫に話しています。一方の真姫は、さっきまでの表情とはうってかわって、楽しそうな表情に戻っています。

 

 μ'sに入ったあたりの人見知りな真姫を知っている身からすると、こうしてメンバーだけでなく悠人とも打ち解けているのを嬉しく思います。人見知りなのは、自分もなのですが。

 ですが、こうして話している内容が聞こえない状態だと流石にモヤモヤしますね。悠人や真姫が楽しそうに笑うのを見ると、どうしても何の話なのか気になってしまいます。大げさかもしれませんが、このままあの2人が私の知らないところへ行ってしまうような気がするんです。

 

 ……私は、わがままですね。悠人と真姫は音楽という大きな共通項を持っています。だから、私の知らないところにいるのはある意味当たり前なのに。それでも、私もそこに連れていって欲しい、3人のままでいたい、と思ってしまいます。

 幼なじみ、μ's。どうやら私はそれと同じくらい、この3人の関係が気に入っているみたいです。

 

 神様、どうかこんな私をお許し下さい。私の周りの大切な世界が、このままでありますように。

 

 

『……海未、そろそろ大丈夫?』

「えぇ、大丈夫ですよ!」

 

 

 

 

 




はじめてのレコーディング(3)に続きます。


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