カードショップの中に入り、見回す。
「なんだこりゃあ」
アニメのバトスピ(覇王編)からは予想もつかないほど、荒れていた。
「おるあぁ! 神 造 巨 兵 オリハルコンゴレム・ゴレム召喚じゃワレェ!」
「バースト発動! 双翼乱舞。コストを支払い4枚ドローするよ」
そんな声が、どこかしこからも聞こえてくる。
マジ異世界じゃねぇの。
「どうかしたのか」
「あ、不良の人」
「名前で呼べや。ゴレムっつうもんだ」
「名前が青使いだな。俺は宣野座紅。で、これなによ」
そう言いつつ、店内を指さす。
「お前さんがどこから来たのか知らないが」
「俺も知らん」
「どういうことだよ……近年はどこもかしこも物騒になってきていてな、博物館に展示されているXレア盗難事件やらコピーカード大量流出とかで……」
「はぁ」
「まあ盗難事件の主犯は俺だけどな」
「おまわりさーん!」
「バッ、ヤメッ」
「冗談だよ。とりあえず言ってくる」
「ちょ、おま、今漢字違わな……って待てよ!」
はい、無視無視♪
それにしても、えらい世界にきちまったなぁ。
治安状態が人殺し一歩手前くらいか?
店の中央に歩み寄り、周囲を見渡す。
息を思い切り吸い込み、デッキを掲げて、腕を広げて大声を張り上げる!
「ここで一番強い奴、かかってこい! まあどうせ雑魚だろうけどなぁ!」
……その声にこの店の中にいる全員が振り向いた。
「どうした? いないのか?」
「ここにいる」
「おわっ! どこから湧いてきやがった!?」
唐突に目の前に現れた女が、デッキを俺に見せつける。
ちっこすぎて見えなかったよ。
「さぁ、早くやろうよ。丁度暇だったんだ」
「あ、ああ。えっと、一応聞いとく。『強い』のか?」
「少なくとも、この店では一番『強い』よ」
「OKOK」
「どうせなら、店のバトルステージでやろうじゃないか。オーナー、いいよね?」
店のカウンターにいるでかい男がオーナーのようだ。
オーナーは親指を立てている。
「良いそうだ。賭け(アンティ)は適用させるかい?」
「そこらへんはよくわからないけども、いいんじゃないかな?」
「私に聞かれてもね。それでは、有りということで」
「その、一つ聞くけど。店のステージってのはなんなんだ?」
「観客がいるってことさ。知らないなら、体験してからの方が早い」
「お、おう」
この女、気が強いなぁ。
ちょっと苦手かもしれん。
「私はルドラという。君は?」
「宣野座紅」
「……ゲートオープン界放」
ルドラが宣言した瞬間、店の中が光り輝く。
目が眩み、開けるとバトルフィールド。
相変わらずデッキは自動でセットされている。
どういう原理だ。
「ほら、周りを見てごらん。観客がいるだろう」
見渡すと、確かに観客がいる。
店の中にいた全員だ。
ゴレムが叫んでいるようだが、声が届いていない。
「音は遮断されているのさ。外野に口出しされたり、アドバイスを受けるのを防ぐためだね」
「よく出来てんなぁ」
「この世界は君を先行としたようだよ。初期手札を含めてドローしたまえ」
「あ、はい」
初期手札は……なんだこれは!?
『ハガネヴルム』『ムシャドラコ』『シップウドラゴン』『紅蓮フレイム』『イクサトカゲ』
デッキ変わってんじゃねーか! 俺のじゃねーぞこれ!
はい。ソウルコアが導入されました。
……アルティメットも解禁しましょうかね?