黒銀~silvery black~・改   作:蒼乃翼

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豪華列車編の序章を投稿します
書いているうちにとある作品からとある4人を出すことにしました


4話 列車

豪華寝台特急『カンパニア号』

次元航行船による異世界旅行が当たり前になっていても、この様な時間のかかる旅行は需要がある。

時間を贅沢に浪費しながら景色やその時間を楽しむ者。

 

そして・・・、

 

外界と隔離されたある種の密室状態を利用し密会をする者達が・・・

 

 

 

 

「………~」

車窓の高速で流れる景色に向かって紫煙を吐く男が一人。

「………」

真珠のように深みのある純白の生地のスーツに宝石のような光沢のある水色のネクタイ、人目で上質と分かるシャツに身を包んだ男は雁首と吸口を繋ぐ羅宇の部分だけで30cmもある頑健そうな煙管を咥えていた。

「…~」

目深に被ったソフト帽からは細く二本に結った長髪を垂らし、優雅に紫煙を吸っていた。

「…~」

男は紫煙を吐いた口にワイングラスを当てると鳩の血のように赤いワインを流し込んだ。

 

そしてまた煙管を咥えて吸い、紫煙を吐いた。

 

(流石に…、酒の品揃えはいいなぁ~)

 

レン・ジャックジャガーは独酌でワインを呑んでいた。すでに目の前にはロゼ、白、スパークリングの空瓶が並んでいた。その横にはブドウが房ごと、塩を山と盛ったサラミの皿が置かれていた。レンは医者の不養生何するものぞと言わんばかりにブドウや塩を持ったサラミを口に放り込むとワインで流し込んだ。

 

 

「お楽しみのところ失礼致します」

 

 

そこにボーイが片手に高級そうなガラス製のピッチャーとグラスを載せた盆を持って近付いてきた。

「超浄化水はいかがですか?」

「いくらだ?」

レンが値段を聞くと、ボーイは以前管理局上層部が飲んでニュースになった水よりも高い値段を口にした。

「貰おうか」

レンは水を注がれたグラスを手にすると煙管を叩いて雁首の中の灰を落とし懐に仕舞うと前方車輌へと移動した。

レンが何故このような場にいるかというと・・・・・

 

 

 

 

 † † † † † † † 

 

 

 

 

 

数ヶ月前

レンはとある管理外世界での仕事を終えて、そこの世界で最高級ホテルのVIPルームでシャワーを浴びて湯上りのエールをジョッキで呑みながら管理局の重鎮ラルゴと映像通信をしていた。

『死者が甦る、そんな話を聞いたことはあるかの?』

「………噂だけならなぁ…、最近よく耳にする。それもぉ俺が使う裏の情報網だけじゃなく、表側の方でも実しやかに囁かれているなぁ。単なる都市伝説かと思ったが、管理外世界(こんなとこ)でも噂されてたところを鑑みるとぉ…、」

『どうやら事実らしいのじゃ』

ラルゴは映像にとある資料を映した。それは数ヵ月後に処女運行される豪華列車のパンフレットだった。

『この鉄道でその死者蘇生の技術を持つ財団の集会が行なわれるそうじゃ』

「………そこに潜りこめってかぁ…?部外者がそぉ簡単に…」

『それは問題無い。もともと外部へのお披露目を目的としている集会らしくての。その手の世界の連中がかなりの数乗り込むそうじゃ』

「…なるほどなぁ…」

『そこに潜入し、死者蘇生の概要、できるならその組織の全容といかなくてもでき得る限りの情報を掴んできて欲しい』

「俺みてぇな医者がちょぉどいいってことかぁ~…」

『ただ、それでも篩いにかけられるみたいでの。超浄化水と呼ばれる水を購入できた者だけが集会を行なう車輌に入れるそうじゃ』

「………一応訊くけどよぉ、それいくらだ?」

『はっはっは、お前さんからしたら端金じゃよ』

「…あァん?」

ラルゴが笑って誤魔化すと通信を切ってしまった。

「………くそがぁ…」

レンは悪態をつきながらジョッキを傾けて中身を一気の呑み干した。

 

 

 

 

 

 † † † † † † † 

 

 

 

 

 

そして現在・・・

(あとで必要経費として請求すんぞ…)

レンは帽子を被り直すと特別車輌に入った。

その車輌は列車の中間にある二階建て車輌の天井を抜いて一両としているので小規模なパーティーホールのような状態になっていた。

中にはレンと同じ様に高級なスーツに身を包んだ男に中には豪奢なドレスを着た女性までいた。

(………ざっと見ただけでも、闇医者に臓器ブローカーがうようよ…、ちらほらカタギの診察料のお高い私立病院の医院長に、製薬会社の重役も混じってんなぁ…)

正規と非合法の隙間で活動している自称裏医者のレンはグラスに注がれた超浄化水(という名ばかりのただの水)を飲み干すと手近のテーブルにグラスを置いた。

(ん…?)

こういう場に来る医療関係者は、大抵痩身痩躯か医者の不養生ででっぷりと太っている中年か老人のどちらかだが、そのいずれにも当てはまらない人間がいた。

レンは持ち前の眼力で見定めた。

背筋が伸び、隙の無い身のこなしの男が酒を呑む為にグラスを傾けると、袖から少し腕が露出し傷痕が見えた。

(……銃創…、痕がくっきり残ってんなぁ…、となるとぉ整った設備のとこじゃなく、戦場で処置された傷…、にしては手がそれほど汚れちゃいねぇなぁ)

すなわち、軍人は軍人でも軍医や研究者である人間もこの場にはいた。

 

(………あン?)

 

レンの視線は一人の男に注がれた。

(あの身のこなし…、ただものじゃねぇなぁ……)

レンは少し探るためにレンはさり気なく近付いた。

「よぉ、あんたもここの技術に興味があんのか?」

レンに気づいた男が話し掛けてきた。

「…まぁなぁ~…、だからここにいるわけだしなぁ~…」

「だよな。なんか別の事に注意を向けてるような気がしてな」

レンは近くを通ったボーイのお盆から琥珀色の蒸留酒のグラスを取ると一気に煽った。

「…なぁに、ここに来させた依頼主への費用請求について考えてたんだよぉ」

「上からの命令か?」

「…そんなとこだぁ」

レンより多少年上と思しき男は人目で安物と思われるスーツに締めなれていないネクタイを緩めて、辟易しながら酒を煽っていた。

「せめて飲み食いできる分は頂戴しとかないと、割に合いそうにないな」

「…そぉだなぁ~…」

レンはさらに二、三訊いて他愛の無い会話をすると特に注意すべき人間ではないと判断し、適当に切り上げ、車輌内を歩き回った。

(………どぉやら当人はまだ置くの車輌から出てきてねぇみてぇだな…)

レンは前方車輌へと続く扉を見ていた。

 

 

 

 

 

 † † † † † † † 

 

 

 

 

 

「お待たせしました」

扉が開くと、袖を捲くった白衣を着たやたら爽やかな男が入って来た。

「本日は我々の新技術、NECRO OVER(ネクロオーバー)の素晴らしさをぜひご覧下さい」

白衣の男は棺のようなケースを三つ運び込ませた。

「この技術は死んで間もない死体を…、」

白衣の男はNEVER(ネバー)の技術について語り始めた。

「人間の体は無意識にリミッターを掛けています。それは人間の本来の身体能力は肉体を滅ぼしてしまうからです。NEVER(ネバー)は肉体の頑強さを向上させダメージを負ってもすぐに回復する耐久力と回復力があります。それにより本来の力を発揮できるようにして、さらに生前の技術、知識もそのままに…、」

説明を聞きながらレンは納得した。

(なるほどなぁ…、軍人が混じってんのは、この技術で生体…、いや死体兵器を造ろうとしてんのかぁ~…)

 

ピシ

 

レンの持っていたグラスに皹が入った。

(………胸糞悪ぃもん造りやがって………)

レンは帽子の下で怒りの視線を意気揚揚と演説している白衣の男に向けた。

 

 

 

そして、レンが目を付けた男もまた・・・・

 

「マサル…、ショウヤ…、ショウキチ…」

 

 

 




続きは心火を燃やしてなるべく早く投稿します
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