前回変なところで切ってしまったので、始まりも妙な感じになってます
そんな2人を余所に、白衣の男はいそいそと起動準備を始めていた。
「それでは、実際にこれらを起動させます」
白衣の男が棺の装置を起動させると、中の男達は目を開けた。
そしてそれが悲劇の幕開けとなった。
「え…」
トサカのような髪型の男が棺から出ると、白衣の男の隣に立っていた助手の喉笛を手刀で掻っ切った。
「うわっ…!」
さらに側にいた別の助手の男は髭面の男の突き出した拳に顔面を潰された。
「きゃぁっ!」
さらに黄色のニット棒を被った男は近くにいた女の首に噛み付いた。
そこからは阿鼻叫喚だった。
ありえない身体能力で蘇生された3人の男達は次々と乗客を襲った。
ある者は前の車輌に逃げようと扉を開けた。
「あぎゃ…!」
しかし、そこから同じ様な男達が何人も押し寄せてきた。
(この様子じゃ…、何十体と居そうだなぁ…)
訓練を受けている軍関係者は流石に冷静で、懐から拳銃を出すと襲い掛かってきたNEVER(ネバー)に向けて発砲した。
「なっ…、」
しかし、銃弾は肉体に弾かれ、次の瞬間、銃を持っていた腕は引き千切られた。
そして、一体のNEVER(ネバー)がレンを標的に定めた・・・、
「疾(チッ)!」
レンは手近なテーブルにあった純銀製のナイフとフォークを掴むとNEVER(ネバー)に投げ打った。
「ッ、効かねぇかぁ~」
身体にナイフとフォークが刺さったままNEVER(ネバー)はレンに襲い掛かった。
ドカンッ
レンはテーブルを蹴飛ばしNEVER(ネバー)にぶつけ、その衝撃で上に跳ね上がったワインの瓶を持った。
「奢りだぁ」
バキィン
レンはワイン瓶を頭部に思い切り振り下ろした。頭蓋骨が陥没したNEVER(ネバー)は、床に倒れたがそれでもなお動こうとしていた。
「とりあえずの急場凌ぎにはなるかぁ~…」
迫って来たNEVER(ネバー)二体に対し、レンは子羊の皮を何度もなめした高級な靴が汚れるのもいとわず、NEVER(ネバー)の頭部を蹴り砕き、足払いで床に倒すと顎を踏み砕いた。
混乱を極める車内で、レンの視界の端に先ほどの男が入った。
「あらぁっ!」
男は見たことのない手甲型の武器のドリルをNEVER(ネバー)に振り下ろし、頭部ごと潰してしまった。
「…やるじゃねぇかぁ~。さて、そろそろ一掃すっかぁ~」
レンは懐から白い呪符を取り出し床に五芒星(セーマン)を描いた。
「太白破軍金神符呪、急急如律了!」
その頂点に置いた呪符を中心に床から無数の針の山が出現し、NEVER(ネバー)を貫いた。
「おい!生き残ってる奴ぁさっさと後方車輌に移りやがれ!」
果たして、レンが振り返るとそこには屍しかなかった。ただ1人を除いて・・・
「よぉ~…、お前だけか生き残ったのは」
「あぁ…、」
男は針によって串刺しになった最初の3人のNEVER(ネバー)の足下に落ちたドッグタグを拾った。
「それは…?」
「こいつらは俺の仲間だった…、」
男はとある管理外世界の農家の大地主で3人は小作人。ある時その世界で戦争が起こり、その戦火に巻き込まれ農地は荒れ果ててしまった。小作人や家族を食わせるために男は多額の報酬と引き換えに政府の科学機関での人体実験に自分の身体を提供した。しかし、その間にも戦争は激化し、徴兵された3人の仲間が戦死してしまった。
「けど、問題はそこからだ」
政府は激化する戦争に勝つために財団を名乗る組織と手を組み、NEVER(ネバー)の技術と引き換えに実験の材料を提供した。それが、先ほどドックタグを付けていた三人の男を含めた最近の戦死者達だった。
「流石に三人分の遺体を担いでくのは無理でも、せめてアイツらのドッグタグくらいはと思ってよ……」
「なるほどなぁ…」
レンは金行符の効果が切れて針山から解放されて床に倒れたNEVER(ネバー)の方を見た。
「悪ぃことしたとは思ってねぇぞ」
「わかってる。むしろ礼を言う。あいつらをあれ以上暴走する前に止めてくれて感謝する」
「………」
レンは黙って残っていた酒瓶とグラスを男に差し向けた。
「手向けの盃だ」
「あぁ」
男はレンからグラスを受け取った。
「自己紹介がまだだったな」
「別にする必用もねぇよ」
「そう言うなよ、カズミ・クレナイだ」
「女みてぇな名前だなぁ」
「よく言われるよ、カズミンって呼んでもいいぜ」
「…呼ぶかぁ…」
レンは一瞬だけ黙り、口を開いた。
「………レン・ジャックジャガーだ」
2人は短く名乗るとグラスに琥珀色の酒を満たし軽く掲げて献杯し、一気に飲み干した。
「……ッ、…っ~!」
レンは酒瓶に残っていた酒を口に含むとNEVER(ネバー)の残骸の上に向けて吹き出した。
酒は霧状となり3人の男達の上に降り注いだ。
† † † † † † †
「さて、これからどうするか」
「…お前はこのまま後方車輌に戻ってただの乗客のフリをしてろ」
「レンは?」
「俺はここの始末を着ける。元々そぉいう依頼だったからな」
「そうか…、改めて、礼を言う。じゃあな」
「あぁ~…、お前は精々生きれよ」
「あぁ」
カズミはドッグタグを握り締めると後方車輌へと去っていった。そしてレンは・・・
「~ッ、ふ~…」
煙管に一服付けると、懐から白い山猫の面を被ると前方車輌への扉を開いた。
通路には先ほどの車輌に乱入してきたNEVER(ネバー)による殺戮の跡が生々しく残っていた。
「………」
レンは血溜まりを意に介さず、それでも死体には極力触れないように歩き、先頭車両の扉を開けた。果たしてそこには・・・・
「ひぃ…っ!」
実験をやっていた男が白衣を血に染めながらも椅子の影に隠れていた。
「さぁて…、話してもらうぜぇ~…」
レンが近付いた。すると・・・、
「…ッ!?」
背後から鋭い爪が襲い掛かってきた。
寸でのところで躱したレンは素早く懐から黒い呪符を取り出した。
「邪爪顕符・黒煉手甲急急如律了!」
白いスーツに白い山猫の面に漆黒の手甲と爪が装備された。
「誰だぁ…」
そこには紺色のボディスーツを身に纏った金髪に女が右手の鋭い爪を舌なめずりしながら立っていた。
「悪いけど、彼が捕まると面倒なので、アナタにはここで消えてもらうわ」
女のボディスーツの首元にはⅡの刻印がされていた。
今回登場させたのは、仮面ライダービルドのカズミンと三羽烏です
この列車編は次回で完結です
なるべく早く挙げますので