黒銀~silvery black~・改   作:蒼乃翼

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2話にして主人公登場です
声は諏訪部さんで変換して読んでみて下さい


※2016年11月4日時点
改定


2話 出会

「・・・、ん」

フェイトは目を開けた。見覚えのない木製の天井、消毒液特有の鼻をつく刺激臭、柔らかい衣服の触感を認識した。

「ここは・・・」

フェイトは起き上がろうとした。

「あれ?」

上手く身体が動かせなかった。五感は働いているが四肢が全く動かなかった。

 

 

 

 

 

「よぉ、起きたか?」

 

 

 

 

 

威圧的な声が聞こえた。辛うじて動く首だけ動かしてそちらを見ると、白衣を着た男がいた。

その男は175cm以上はありそうな長身に、白衣の上からでも分かる程鍛え抜かれ身体をしていた。男はフェイトの側までくると顔を覗き込んだ。

声と同じくらい荒々しい動作だったが、触れるその手からフェイトは温もりを感じた。

「………」

男は白衣の胸ポケットから眼鏡を出してかけるとじっとフェイトを診た。

顔立ちは野生的で眼鏡をかけたせいで目付きの悪さがかなり際立っていた。

そして髪はフェイトと対照的な銀色の短髪で、ほのかに甘い匂いがした。

「あの…、」

「レン・ジャックジャガ-だ」

男・・・、レンはフェイトの額に手を当てたり下瞼を捲ったりしながら自己紹介をした。

「わ、私は・・・きゃぁっ!!!」

レンは、いきなりワンピースタイプの病衣を捲り挙げた。

フェイトの顔がみるみる赤くなっていった。さらにレンは腹部を撫で始めたが、身体が動かせないので抵抗できなかった。身体が動かせないだけで五感はあるので、くすぐったかったし恥ずかしかった。

「傷の回復はまぁまぁだな。麻酔もそろそろ切れるし、起きたら少し動き回れよ」

「…は?」

フェイトはわけがわからなかった。

「あ、貴方一体誰なんですか?」

「自己紹介はしたろ?時空管理局嘱託魔導士フェイト・テスタロッサ・ハラオウン」

「な…、なんで…」

「管理局のIDパスを勝手に見た」

「……」

フェイトは目の前の男が分からなかった。会話は上から言葉を投げるだけでこちらの返答を受け付けさせない威圧的な話し方。

「たしか私は次元犯罪者グループと接触して…」

「そうだ。お前は大人数で不意をつかれて重傷を負って、魔力が尽きて空から落ちた、と言うわけだ」

「あなたが助けてくれたんですか?」

「俺はあいつらが誰でも良かったんだが、わざわざ身を隠すのも面倒だから無視していた。が、空から金髪ツインテールの美少女が落ちてきたらさすがに無視できんだろ」

「ぁう…」

フェイトは重ね重ね申し訳なく思った。

「そうだっ、バルディッシュは?」

「あの女子が持つには些か以上に物騒な戦斧デバイスなら…」

レンが指差した先、サイドテーブルには・・・

「バルディッシュ…、良かった…」

フェイトは安堵した。

「残存魔力全部使い切ってシールド張ってお前を守っていたぞ。そのせいで今は活動休止状態だ。あいにくデバイス関係は門外漢なものでな、直してやることはできんぞ」

レンは肩を竦めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…、あの私が倒れてからどれくらい経ちました?」

「あん?まる1日だが」

「…っ、」

三次試験の制限時間は半日。つまり・・・

「……また、ダメだったな………」

フェイトの胸中には義母や義兄、周囲の期待に応えられなかった自分の無力さと情けなさと同時に、大切な友人が再起不能となっている現状で自分だけがどんどん先に行ってしまわなくて良かったという相反する想いが藤や葛の蔓の様に絡まっていた。

 

 

 

「おい」

 

 

 

レンの発した一言にフェイトは感じたことのない恐怖を感じた。

「お前は、命が失われるかどうかの瀬戸際だったんだぞ。それを繋ぎとめていたデバイスへの心配までは分からんでもないが、その後お前は何を考えた?自分の命が助かったことより他のことを考えていただろ」

「………」

フェイトは自分の内面まで見透かされたことに何も言えなかった。それ以前に、レンから発せられている不可視の怒気に圧倒されていた。

「命助かったことへの安堵感が無いってのは、そりゃぁずいぶんと自分の命を軽く見てんなぁ…、おい」

「……ぁ、」

フェイトは今になって恐怖と絶望が湧き上がっていた。

「連中、管理局員とはいえ、ガキのお前を殺す事に一切の躊躇がなかったぞ」

そうだった。あの犯罪者グループは自分を発見したときも、局の嘱託魔導士と名乗った時も対応は変わらず、口封じ、排除、あるいは雑草でも抜くかのごとく攻撃を放ってきた。フェイトが今までの案件で関わった人間たちは悉く管理局という威光に怯え、そこまではいかずとも何らかのリアクションは見て取れた。しかし、連中は躊躇が無かった。

今まではリンディやクロノ意図的に兇悪犯が絡んだ事件をフェイトに任せていなかったから遭遇したことが無かった、所謂、プロ。

「………~っ、」

フェイトの目から大粒の涙がこぼれた。

あれだけ自分愚かさを言及されたのだから、当然の反応だ。

そして当のレン本人はといえば・・・

「………ったく、鬱陶しいから俺の前で泣くんじゃねぇよ…」

ぶっちきらぼうに言いながら、レンはハンカチをフェイトの顔に投げつけると視線を反らした。

チラッと見えたその横顔は、態度や言葉とは裏腹に、少し動揺していた。

「…クス」

フェイトが小さく笑った。

「…変な人ですね…」

そんなレンが、何故かフェイトは優しく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイトはレンに現状を確認した。

「えっと、ここは管理外世界なんですけど、レン…さんはここの住人なんですか?」

「いや、この世界には勝手に別荘、まぁここなんだが、を建てていてな。今は休暇でここに滞在しているんだ」

「あの、お仕事は何を?」

「あぁ」

レンは眼鏡を中指であげると牙の様な八重歯を見せながら答えた。

 

 

 

 

「医者だよ」

 




最初は杉田さんか小野Dかで迷ったんですけど、どっちもStrikerSになったらいるので、個人的お気に入り声優の一人、諏訪部さんの声でキャラを創りました
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