黒銀~silvery black~・改   作:蒼乃翼

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どこかで聞いたことある物の名前とか出てきますが、御愛嬌

※2016年11月4日時点
改定


3話 治療

フェイトの怪我は実弾による狙撃だった。

弾丸は貫通し、幸い急所は外れていたが、出血が酷くそれに伴ない体力、魔力ともに大量に消耗していた。

レンの手術により傷口は塞がり、この世界特有の綿花から紡いだ糸で縫合された。この糸は時間とともに身体に適合して吸収されていくので抜糸の必要はなく、傷痕も残らない。

「あとは落下した時に全身強く打ったからな、これを全身に巻いておけばいい」

「これ、アロエ?」

「メディアカルアロエ。止血にも創傷被服剤にも湿布にもなる万能アロエだ」

そう言うと、レンはフェイトの病衣を全部脱がせた。一瞬の早業でフェイトは抵抗すらできなかった。

「きゃぁっ!」

「とりあえず前に巻いたのは交換だな」

レンは有無を言わせずフェイトの包帯を取ろうとした。上半身と二の腕、両足に薄緑色の包帯を巻いたフェイトは全身を真っ赤にしながら抵抗を試みた。が・・・、

「まだ麻酔効いってから動けないぞ」

「・・・ぅ~・・・」

顔も真っ赤にして大人しくレンの治療に従った。

「風呂も入れねぇからついでに身体も拭いておくな」

「はっ!?」

いつの間にかレンの手元にはお湯の張った桶とタオルがあった。

「あの・・・」

「安心しろ、滋養強壮効果のある薬湯に鎮静作用と抗菌消臭作用のある香草をブレンドしている。体臭が気になったりすることはないぞ」

「じゃなくて・・・」

「あとタオルは97管理外世界の極東の島国属するさらに小さな島にあるイマバリという最上級のタオルだ」

「………」

もはや抵抗すら諦めたフェイトは、レンにされるがままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・もうお嫁に行けない・・・・」

全身にアロエ包帯を巻かれ、真新しい薄水色の病衣に着替えたフェイトは麻酔が切れてきた身体を無理矢理動かし、枕に顔をうずめた。先ほどの清拭で使われたお湯の良い香りが身体からしているが、今のフェイトの心を癒すには至らなかった。

「11のガキが何言ってんだか。それより、ちょっと上体起こすぞ」

レンはリモコンを操作してベッドの上半分が上げた。

「一応、髪も梳いておくぞ」

レンはフェイトの身体をひっくり返すと上半身にクッションを抱かせて前に傾かせ、髪を梳ける体勢をとらせた。

「このままじゃ寝るのにも治療にも邪魔になるから、ついでに結うぞ」

寝ている間にくしゃくしゃになってしまったフェイトの金髪をレンは櫛で丁寧に梳いていった。梳いて真っ直ぐ綺麗になった髪を、レンは手早く、しかし見事な三つ編みに結ってヘアゴムで留めた。レンはその髪をフェイトの右側にそっと垂らした。

「これで前に垂らしときゃいいだろ」

ぶっきらぼうな言葉使いとは裏腹に、髪の扱いや先の治療、どれをとっても繊細、肌理細やかなものだった。ふと、フェイトは徹夜明けのエイミィの寝癖だらけの髪を直している義兄のことを思い出した。

「ふふ」

「あん?」

「いえ、ちょっと義兄のことを思い出しただけです」

「兄貴がいるのか?」

「えぇ、尊敬している、今の私の目標でもある大好きなお兄ちゃんです」

「…羨ましいな」

レンは小さく呟いた。

「あの、通信できませんか?むこうに無事でここにいることを知らせたいんですけど」

「悪いがそれはできん。ここに通信機の類はないからな」

「貴方自身は通信できないんですか?念話とかデバイスの映像通信とか」

 

 

「そもそも俺、魔力無ぇし」

 

 

「え?!」

 

生まれつき魔力がない人間はミッドにもいるし、管理局の上層部にだっている。しかし、自分を助けてくれた、しかもあの犯罪グループがいたところに魔力を持たない人間がいたということにフェイトは驚いた。

レンは銀髪をガシガシと掻くとベッドを倒してフェイトに毛布をかけた。

「もう一回寝れ。たぶん次目を覚ますなら明日だ。食事はその時まで我慢しろ。まだ内臓は回復しきってねぇからな」

「………はい」

 

 




根本のイメージとしては、ブラック・ジャックです
個人的に一番偉大だと尊敬してる作品です
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